高陽山

高陽山


【日時】 2018年5月6日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 高陽山・こうようざん・1126.5m・二等三角点・新潟県、福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/大日岳/飯里
【コース】 中ノ沢登山口より
【ガイド】 会津百名山(歴史春秋社)

【時間記録】 5:50 新潟=(R.49、徳沢、R.459、新町 経由)=7:05 中ノ沢入口〜7:30 発―7:47 登山口駐車場―8:44 急坂下―9:50 高陽山〜10:15 発―10:51 急坂下―11:36 登山口駐車場―11:55 中ノ沢入口=(往路を戻る)=13:40 新潟
 飯豊連峰の三国岳から南東に延びる尾根上には、疣岩山、卷岩山、鏡山、七森山、立石山、高森山のピークが次第に標高を落としながら続き、その最後に高陽山がある。標高はそれほどないが、周囲に高い山がないため目立つ山である。山頂はブナ林で覆われており、西会津方面からは、白く輝く飯豊連峰の前に「黒森」とも呼ばれるようにどっしりとした黒い姿を広げている。福島・新潟県境線上の山であるが、山頂には山浦と中ノ沢の人々の安置した祠があり、福島県につながりの深い山である。

 連休最終日は、ようやく晴天が巡ってくるようである。飯豊連峰の眺めの良い山を考えていき、西会津の高陽山に出かけることにした。高陽山は、2006年10月に登ってから間がかなり開いてしまっている。当時は、登山道があるものの登る者も僅かであったが、現在は5月3日に山開きも行われるようになって、状況はかなり変わっているようである。
 登山口の中ノ沢は、車のナビを設定しようとすると判り難いが、新町の郵便局脇の道に進むと、後は幅広の車道を進んでいけば中ノ沢入口のT字路に到着する。
 T字路に高陽山の登山案内板が置かれていた。堰堤下の登山道入口に駐車場マークが書かれていたが、道が細かった記憶があったため、ここから歩きだすことにした。
 集落内に入って少し先で右折。火の用心と書かれた消防団の建物があり、高陽山へはその脇から始まる林道へと進むことになる。消防団の建物の前の集会所の広場にも停められるようだが、地元の人にことわる必要がある。
 林道は、民家の脇を過ぎた先で耕作放棄地の中を上っていくことになる。以前は未舗装の荒れた道であったと思うのだが、きれいに舗装されていた、一車線幅であるが、見通しも効くので、対向車が来た場合に路肩に避けるのも難しくはなさそうである。林道が左に曲がって沢を渡ると、登山口の駐車場に到着した。車10台ほどの広さの駐車場が整備されていた。現状では、ここまで車で入ってきて歩きだすのが正解ということになる。
 駐車場からは、林道跡の歩きになる。巨大な砂防ダムを見下ろしながら進むと、沢と同じレベルになって丸木橋で左岸に移る。数日前の山開きで大勢が歩いたようで、林道上はドロドロ状態になっていた。このドロンコ道は、断続的に現れた。右岸に渡った先で簡易水道施設があり、再び左岸に渡ると、その先は登山道の歩きになった。左をさす十五夜の沢標識が倒れていたが、左手を流れる沢の名前を示しているのか判らないが、一本道であった。緑に覆われた谷間の緩やかな登りが続いた。
 標高630m地点で伐採地の下に出て、高陽山の山頂を眺めることができた。まだまだ高い所にあった。伐採地は、枝がまとめられてきれいに片付いていたが、植林の跡は見られなかった。伐採地の西側を迂回していき、尾根をはずして僅かに下ると、急坂の下に出た。ここには「清水あり 上部へ急登」と書かれた標識が置かれていた。左には、小さな滝のかかる沢が流れており、これが清水なのかは判らない。この先の急登に備えて、気を引き締める必要がある。
 この先はブナ林に囲まれた細尾根の急登が続いた。巨木も混じって、汗を拭いながら新緑の風景を楽しみたいところであるが、ブヨがまとわりついてきた。虫除けスプレーを体に吹き付けたが、効果はなかった。耳にも飛び込んでくるので、タオルで頬被りして耳を保護した。虫除けネットと携帯用蚊取り線香が必要であった。ブヨを置き去るスピードもでず、忍耐の登りになった。急坂下までの緑の濃くなった谷間の歩きではブヨはいなかったので、尾根周辺に見られる融けかかった残雪と関係あるのかもしれない。
 左手に県境尾根が迫ってきたが、登山道はそのまま直登を続けた。傾斜が緩んで山頂が迫った所で雪原が現れ、登山道を辿るのが難しくなった。そのまま雪原を歩いて山頂に向かってもよかったが、一応登山道を探しながら辿っていくと、左手の県境尾根に乗ってから山頂に向かった。先行の単独行が少し離れた所の雪原を下っていくのを見ると、山頂に到着した。
 高陽山の山頂は、雪原の中に岩が頭を出しており、円盤状の山頂標識が現れていた。一面に広がる雪原の向こうのブナ林の間に飯豊が姿を見せていた。奥の高まりまで足を延ばすと、飯豊連峰南面が遮る物の無い姿を現した。残雪期限定の眺めであるが、飯豊の展望台といっても良い。高森山まで足を延ばす誘惑にかられたが、次回の課題とした。
 飯豊連峰の展望を楽しんだ後に下山に移った。雪原を下っていき、GPSの軌跡を見て登山道に戻った。この雪原の下りは、短い距離であるが意外に難しい。登りの際に雪原に出たら、そのまま直線的に山頂を目指した方が、安全かもしれない。下りの途中に、数組の登山者とすれ違い、人気の山になっていることを知った。急坂の下りは、最後には足の筋肉が悲鳴を上げるようになった。急坂を終えた後は、ミヤマカタバミやヤマザクラの花を見ながらの、整理体操といって良い気楽な歩きになった。
 高陽山は、4月下旬から5月上旬に飯豊連峰の展望を楽しむ定番の山になりそうである。
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