黒沢峠

黒沢峠


【日時】 2016年11月20日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 雨

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 黒沢峠・くろさわとうげ・468m・なし・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/手ノ子/小国東部
【コース】 黒沢側登山口より
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:50 新潟=(R.7、新発田、R.290、大島、R.113、小国、黒沢 経由)=8:35 黒沢峠登山口〜9:00 発―9:42 古屋敷―9:54 黒沢峠―10:15 市野々側登山口〜10:22 発―10:45 黒沢峠―10:55 471mピーク〜11:13 発―11:34 林道―11:53 黒沢峠登山口=(往路を戻る)=13:50 新潟
 現在では米坂線や国道113号線が通る荒川沿いに続く越後街道は、かつては越後と米沢を結ぶ交通の要所であった。川沿いには難所が続いて道を付けることができないため、内陸部を切り開いて街道を作り、十三の難所が続いたことから十三峠街道とも呼ばれている。越後街道は、本街道として使われていたが、現在ではその役目が終わって、忘れられた道になっている。十三峠とは、米沢側より、諏訪峠/宇津峠/大久保峠/才ノ頭峠/桜峠/黒沢峠/貝淵峠/高鼻峠/朴ノ木峠/萱野峠/大里峠/榎峠/鷹巣峠と続く。
 黒沢峠は、市野々と黒沢の集落を結ぶ古道であり、大永元年(1521)に開削された旧道と延享3(1746)年頃に開削された新道があり、後者は天保10(1839)年から慶応3(1867)年にかけて敷石工事が行われ、現在でもその敷石道が残されている。

 黒沢峠を先回訪れたのは2004年9月であったが、この時は横川ダムができておらず、横川に架かる橋の袂から林道に入って登った。この時のGPSのログを見ると、白い森おぐに湖の水中を歩いていることになっている。横川ダムは、羽越水害の被害を受けて計画され、2003年3月に着工されて2008年3月に竣工している。訪れたのは、工事が始まった直後で、現在では新しくできたダム湖や道路などで大きく様変わりしている。黒沢峠の取り付きである市野々も湖底に沈んでしまっている。
 今回は、まだ歩いていない黒沢側から歩くことにした。R.113の小国町の米沢側には、黒沢峠敷石道の標識が出ている。黒沢の集落を過ぎると、舗装さrているものの細い道に変わった。地図における二本線の車道の終点が登山口であろうと思って車を走らせた。終点近くのカーブの手前で土砂置き場と思われる広い空き地が現れた。登山口付近の様子が判らなかったので、ここから歩きだしたが、少し歩いた先の登山口には、駐車場や休憩所、パイプ組の天蓋も設けられて、園地化していた。車も二台停められていたが、これはキノコ採りのものであった。案内板を見ると、地図に記載されている敷石道の他に旧道も整備されていることが判った。
 敷石道に進むと、さっそく敷石の列が現れた。敷石は緑の苔に覆われており、滑りやすそうで脇を歩くことになった。雨の後でぬかるんでいたが、落ち葉に覆われて長靴を履いていることもあって気にはならなかった。カメラを首から下げて敷石道の写真を撮りながらの歩きになった。木の葉もほとんど落ちていたが、それも冬の訪れ間近の風景として趣があった。
 ひと歩きすると一里塚、さらに古屋敷という茶屋跡も現れた。ここの広場からは展望が開けており、谷に白い筋を引いた飯豊連峰の姿が見えていた。稜線は雲に隠されていたが、雨上がりとしてはそれ以上は期待できない。
 敷石道を見ながら歩いていると黒沢峠に到着した。黒沢峠の敷石道は全長2.6kmで、内1.8kmに加工された石が敷かれているというが、他の古道でも見られない規模である。紅葉と苔むした敷石の写真を目当てにカメラマンが入っているかと思ったが、会うのはキノコ採りだけであった。静かな山歩きを楽しむにはかえって都合が良かった。
 地図を見ると、峠から市野々側登山口までの距離はそう長くはない。市野々側登山口まで足を延ばすことにした。こちら側も、敷石道が長く続いていた。杉林が広がっているところも多いが、雑木林の中に延びる敷石道は美しかった。意外に短時間で市野々側登山口に到着した。脇に黒沢峠の説明版も置かれていた。せっかくなので車道を少し下って、白い森おぐに湖を見物した。車道の終点広場からは、湖の全景を眺めることはできなかったが、静かな湖面が広がっていた。
 もうひと頑張りして黒沢峠へ登り返した。峠は、木立に囲まれて陰気な感じなので、旧道に進んでから休む所を探すことにした。杉林の中を登っていくと471mピークに到着した。このピークは細めなブナ林が広がっており、明るい感じであった。落ち葉に腰を下ろして大休止にした。ピークの北側には地図に載っていない送電線が通じており、鉄塔も立っていた。林道も下に見えており、旧道を下っていくとその林道に出るようであった。
 旧道は尾根沿いに続いていた。登山道は樋状に凹んでおり、かつては多くの人が歩いたような痕跡が見られた。途中で送電線の鉄塔が現れ、ネーム板を見ると「横川ダム線10」とあった。この下からは飯豊方面の展望が開けていた。右下に林道を見下ろすようになると、じきに旧道の登山口に出た。その後は林道歩きで黒沢峠登山口に戻ることができた。
 黒沢峠は、他では見られない大規模な敷石道を見学することもでき、是非とも歩いてみたいハイキングコースである。

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