栗駒山、秣岳、月山、姥ヶ岳

栗駒山、秣岳
月山、姥ヶ岳


【日時】 2016年8月12日(金)〜14日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 13日:晴 14日:晴

【山域】 栗駒山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 栗駒山・くりこまやま・1627.4m・一等三角点本点・岩手県、宮城県
 秣岳・まぐさだけ・1424.0m・三等三角点・秋田県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新荘/秋の宮/栗駒山、桂沢
【コース】 須川温泉より
【ガイド】 秋田の山登り50(無明舎出版)、山と高原地図「栗駒・早池峰」(昭文社
【温泉】 須川温泉・須川高原温泉 600円

【山域】 出羽山地
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 月山・がっさん・1984m・なし(1979.5m・一等三角点補点)・山形県
 姥ヶ岳・うばがだけ・1669.7m・三等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/月山/月山
【コース】 姥沢コース
【ガイド】 アルペンガイド「鳥海・飯豊・朝日」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「鳥海山、月山」(昭文社)

【時間記録】
8月2日(金) 13:50 新潟=(R.7、荒川胎内IC、日本海東北自動車道、朝日まほろばIC、R.7、鶴岡、R.345、R.47、新庄、R.13、雄勝、R.398 経由)=20:00 須川温泉  (車中泊)
8月13日(土) 5:15 須川温泉―5:35 名残ヶ原―6:10 昭和湖―6:50 天狗平分岐―7:08 栗駒山―7:30 天狗平分岐―9:04 秣岳〜9:22 発―10:09 秣岳登山口―10:52 須川温泉〜14:30 発=(R.398、雄勝、R.13、新庄、新庄IC、尾花沢新庄道路、R.13、尾花沢、R.347、R.287、R.112、志津 経由)=15:00 姥沢  (車中泊)
8月14日(日) 4:50 姥沢―5:52 リフト分岐―6:13 牛首分岐―7:00 月山〜7:30 発―8:14 牛首分岐―8:35 湯殿山神社分岐―8:50 姥ヶ岳―9:23 リフト分岐〜9:40 発―10:48 姥沢=(志津、R.112、R.458、左沢、R.287、長井、R.113、R.7 経由)=15:10 新潟
 栗駒山は、秋田、岩手、宮城の三県にまたがる独立峰である。高山植物に彩られ、山麓には多くの温泉が点在していることから人気の高い山になっている。秣岳は、栗駒山の西の秋田県内にあるピークで、栗駒山から秣岳を結ぶ天馬尾根には小湿原が連なっている。2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震によって交通網などに大きな被害を受けたが、現在では以前と同じく復旧している。

 月山は、羽黒山、湯殿山と合わせて、出羽三山と呼ばれ、古くからの信仰の山である。なだらかな山頂を持ち、日本海近くの豪雪地にあることから、夏遅くまで残雪を抱き、高山植物が豊富なことから人気の高い山になっている。

 お盆はまとまった休日がとれる反面、道路の混雑がひどく、山選びに頭を悩ませることになる。暑さも厳しいことから少しでも高い山、一般道でも行ける山ということで、栗駒山と月山に決めた。
 お盆の最中であるが、快調に車を運転し、栗駒山の登山口の須川温泉には夜の早い時間に到着した。高速道路の無料区間が点在していることも助けになっている。いつものように、少し離れた所で夜を過ごし、朝になってから駐車場に移動した。
 時間には余裕があったが、朝の涼しいうちにということで早立ちした。須川温泉の建物の裏手を抜けて、まずは名残ヶ原を目指した。遊歩道として整備されているものの、笹が倒れこみ気味で、温泉客向けの道としてはもう少し刈り払いの整備が必要に思われた。左手にトラバース気味に歩いていくと、名残ヶ原に到着した。朝日に輝く名残ヶ原の向こうに、栗駒山の山頂が広がっていた。栗駒山を眺めながら木道を進んだ。夏の花の盛りの時期は終わりに近づいているが、イワショウブの花が湿原に広がっていた。
 湿原を抜けると、灌木帯の登りになるが、左側に地獄谷が沿うようになる。立ち入り禁止の看板が立てられ、ロープが長く張られている。硫黄の臭いもしているが、それほど危険は感じられず、むしろ下山後の温泉が楽しみになった。
 その先で昭和湖に到着。緑の色の水を湛えた火山湖で、美しいがちょっと不気味な感じもする。このコースは、名残ヶ原や昭和湖といった見どころが次々に現れることからお気に入りになっている。この先は、標高差250mの一番の頑張りどころになる。
 ひと汗かいて稜線上に出ると天狗平で、秣岳との分岐になる。ひとまず、栗駒山に向かった。快晴で周囲の展望が広がっていたが、この道は戻ってくることになるので、まずは登りに専念することにした。緩やかな登りが続いた。木道が敷かれている所もあるが、左右から笹が倒れこんできており、中央を歩くことになって、木道は邪魔になっていた。
 到着した栗駒山の山頂は、三名が休んでいるだけであったが、日中は混み合うはずである。これが六回目となり、家からは遠いわりには多く登っている山である。いわかがみ平も眼下に見下ろすことができ、登山者が登ってくるのも見えていた。
 展望を楽しみながら天狗平へ引き返した。秣岳は正面に一段低く見え、その向こうには鳥海山がピラミッド型の姿を見せていた。右手には、須川温泉や昭和湖を見下ろすことができ、その奥には焼石岳が大きな山体を見せていた。左は崖状に切り落ちて荒々しい姿を見せていた。
 天狗平に戻り秣岳への道に進んだ。道の状態が気になっていたが、昨年あたりに刈り払いが行われたようで、茶色に変わった枝が登山道脇に落ちていた。天狗平から栗駒山への道よりも、状態が良かった。1573mピークを越した後は、見通しの無い灌木帯の下りになる。標高差200m程の一気の下りになるので、ここは我慢の歩きになる。
 鞍部に出ると、小ピークを連ねて秣岳へ続く天馬尾根の眺めが広がる。この先は、小湿原が連続して現れて、気分も高まる。露岩帯になった小ピークを越すと、秣岳の下に広がる湿原に到着する。ここも開放的で気持ちの良い場所である。ベンチもあってひと休みしたいところであるが、秣岳への登りをもうひと頑張りした。
 急登を終えたところで、登山道脇に腰を下ろして大休止にした。秣岳の山頂は、木立に囲まれて展望がないので、ここで休んだ方が良い。湿原を見下ろし、歩いてきた天馬尾根を辿っていけば、栗駒山の山頂が大きく聳えている。この眺めは、縦走の醍醐味である。
 歩きだしてすぐ先の秣岳の山頂に到着してみると、小広場の片隅で二人連れがラーメンを煮ていた。この暑いなか、なにもラーメンを食べる必要もないと思うのだが。他人の食べるラーメンの匂いを嗅ぎながらの休憩にならずに済んだことからも、休んだ場所の選択は正解であった。
 秣岳からは一気の下りになる。途中、ザレ場のトラバースになるが、強烈な太陽に照らされて、暑さが堪えるようになった。幸い、下りを続けるとブナ林に入り、木陰が気持ちよい道になった。
 車道に飛び出して、後は最後の頑張り所になった。40分程の歩きなので、栗駒山から秣岳への歩きの楽しさはその労力をうわまわる。
 駐車場に戻って、下山後の温泉を楽しんだ。硫黄の臭いの温泉は、東北の山歩きの楽しさを増してくれる。車に戻り、木陰に移動してひと休みした。下界に下ると暑さが厳しいので、涼しい山の上で時間をつぶすことにした。
 時間を見計らって運転開始。山を下ると猛暑に包まれたが、運転中は車の冷房が効いて涼しい。月山の入口の志津に到着すると、再び高度が上がり、また夕方になって涼しくなっていた。姥沢の駐車場に入ると、車の出入りがうるさいので、手前で夜を過ごして、早朝に移動した。
 ようやく明るくなった早朝にもかかわらず、駐車場からは歩きだしていく登山者がいた。姥沢コースは、夏山リフトの利用者が大部分を占めるため、早朝から歩きだせば、静かな山を楽しむことができる。
 駐車場から姥沢小屋までの車道は、結構傾斜があって、いきなり息が上がる。姥沢小屋は撤去されて無くなっているが、姥沢周辺のロッジも、老朽化したものが何軒も閉鎖になっている。スキー人口の減少が影響しているのだろうか。
 姥沢小屋跡から登山道に進む。緩やかに登っていき、尾根を回り込むと、西俣沢を見下ろしながらの歩きになる。トラバース道に入ると、黄金清水が現れるが、冷たい水は帰りの楽しみにして先に進んだ。
 このコースは、木道が敷かれている所が多いが、今回は細かい補修がされており、滑って危険ということはなかった。草原に出ると、前方に牛首から月山にかけての眺めが広がるようになった。盛りは過ぎたとはいえ、ニッコウキスゲなどの花で飾られた湿原が広がっていた。
 リフト駅からの道が合わさると、牛首に向かっての直線的な登りが続くようになる。周りに草原が広がって開放的な眺めであるが、傾斜はきつい。牛首の三叉路に出て、次はガレ場の登りになる。混み合っていると、足が止まったりして面倒だが、誰もおらず、マイペースで登り続けることができた。この登りは、標高差280mあるので、小さな山を一つ登ることになる。幸い、一気に登りきることができた。
 鍛冶小屋跡を過ぎれば、もうひと登りで山頂台地に到着し、お花畑の向こうに月山神社を眺めることができる。月山神社では、法螺貝も吹き鳴らされて、月山詣での信者の朝の参拝が行われていた。
 いつものように、一等三角点まで足を延ばして月山の登頂とした。快晴となって、鳥海山が北の空に浮かんでいた。月山山頂のお花畑で、ハクサンフウロやハクサンイチゲ、ハクサンシャジン、タテヤマリンドウなどの撮影を行った後に下山に移った。
 急坂に入ると、牛首から姥ヶ岳に至る稜線の眺めが素晴らしく、写真撮影のためにしばしば足が止まった。朝日連峰や日本海の眺めも広がって、最高の天候になっていた。下りの途中には、多くの登山者とすれ違うようになった。
 牛首から姥ヶ岳に向かう登山道に進むと、再び人は少なくなった。湯殿山礼拝所への分岐なる金老へは標高差60mほどの一気の下りになって、姥ヶ岳方面へは標高差50m程の登り返しになる。姥ヶ岳の山頂は、大勢の登山者で賑わっていた。ここで大休止にすると、リフトを使って姥ヶ岳止まりの初心者と思われそうなので、下ってから休むことにした。下りの斜面に広がる草原はキンコウカの花で埋め尽くされていたが、登ってくる大勢の登山者は疲労困憊で、花に目を配る余裕はないようであった。途中のベンチでも腰を下ろして休む登山者の姿が目立っていた。姥ヶ岳は、初心者用の山として賑わっていた。
 リフト山頂駅との分岐からはトラバース道に進んだ。気温が高くなっていたので、三叉路の手前の沢の横断部で腰を下ろした。雪渓から流れる水で、冷気が運ばれていた。
 三叉路から姥沢への道に進むと、太陽が強烈に当たって暑さが厳しくなった。黄金清水まで下ったところで、頭が痛くなるほど冷たい水を飲んで元気を取り戻した。
 駐車場に戻ると、車で満杯状態になっており、到着する車も続いていた。リフト利用の観光客は、これからが多くなる時間帯のようである。
 帰りは、鶴岡経由か長井経由か迷ったが、海水浴客のいない内陸部コースを選び、渋滞にも合わずに早い時間に家に戻ることができた。

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