宝蔵山、橋立

宝蔵山、橋立


【日時】 2016年5月3日(火) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 白山・粟ヶ岳山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 宝蔵山・ほうぞうざん・897.1m・三等三角点・新潟県
【コース】 上高柳口より周回
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/越後白山
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:30 新潟発=(R.49、亀田、R.403、加茂 経由)=7:30 松平橋〜7:30 発―8:00 権現堂コース入口―9:15 尾根上―10:18 宝蔵山〜10:33 発―11:09 橋立―11:39 林道終点―12:16 権現堂コース入口―12:27 松平橋=(往路を戻る)=13:45 新潟
 宝蔵山は、白山の隣りに寄り添う山で、粟ヶ岳へ至る稜線上のピークである。縦走路以外に、上高柳あるいは小乙から橋立経由、さらに中大谷から尼池山経由のコースがあり、現在ではいずれも登山道が良く整備されているにもかかわらず、宝蔵山を訪れる登山者は少ない。

 連休中の貴重な晴天が巡ってくるようだが、気温30度の予報が出た。遠くに出かける気にならず、近場で静かな山歩きができるところを考えた。昨年の5月6日に登ったばかりであるが、宝蔵山に再び出かけることにした。今回は、まだ歩いていない権現堂コースを登ることにした。このコースは尼池山の先で尾根に出るが、昨年歩いた先に上から見たところでは、それなりに刈り払いが行われているような感じであった。
 上高柳から林道に入り、送電線鉄塔への林道入口を見送り、橋を渡った先の広場に車を停めた。この先も車を停めるスペースは各所にあるが、もし権現堂コースが歩けない場合は尼池山の先から林道を歩いて戻ってくるので、車はこのあたりに置いておくのが良い。
 しばらくは、杉木立に囲まれた沢沿いの歩きが続く。山菜採りが多く入っているかと思ったが、車は二台しか見なかった。林道が右に大きく曲がってゲートが置かれ、直進は青木滝への道となる分岐で、「権現堂、一ノ木戸、白山」と書かれた標柱が立っており、沢方向に向かって踏み跡が続いていた。この権現堂と一ノ木戸というのが、どこの地名かは判らない。
 緩やかに下っていくと、高柳川に出て、徒渉することになった。水量はかなりあり、渡れるルートを見つけたものの、水面下の石を踏み台にした際に片方の靴に水が入ってしまった。幸い、歩いているうちに靴下が湿った状態くらいに収まってくれた。
 杉林の中に続く踏み跡道を見失わないように注意する必要があった。踏み跡は少し窪んでいるのが目印になったが、杉の落ち葉が積もって、気を抜くことができなかった。途中、「宝蔵山に至る」という標柱が現れたものの、連続的にコース標識が置かれているような道ではなかった。木の標柱の側面が大きく抉られており、熊の爪とぎの跡のように思えた。
 尾根が明瞭になってきて、コース取りに問題は無くなってきたが、笹薮が濃くなってきて、藪漕ぎ状態の登りになった。地形図の破線をほぼ辿っているのが、幸いした。尾根の途中の標高400m地点で大きな天然杉が現れて、良い目印になった。その先は、登りの傾斜が増した。
 標高470m付近でコースは左に曲がるはずと注意しながら登っていくと、直進する踏み跡と、左の沢にトラバースしていく踏み跡が分かれた。もう少し登ってから曲がるはずと思って直進すると、少し先で藪にぶつかった。戻って、土に半ば埋もれていた案内板を持ち上げると、左の方が三角になっていた。地面に置かれているので、置き方次第ではどちらともとれてしまうが、左に進むことにした。トラバース気味に進むと、狭いが深く抉られた沢に出た。なんとか乗り越えると、その先に踏み跡が続いていた。
 屈拠点も越したようでひと安心したものの、標高490mの台地に出たところで、笹薮が濃くなって踏み跡を見失った。一旦引き返し、右方向に進むと、草地に出て踏み跡を見つけることができた。その先しばらくは、ここまでで一番はっきりした道になったが、トラバース気味に進むと再び笹が倒れこむようになって、尾根上の登山道に飛び出した。ここには、「権現堂コース 上高柳に至る」という標柱が立てられており、以前から気になっていたので、ようやくすっきりした気分になった。結論からいうと、廃道寸前の難易度の高いコースで、GPSは必携、登りは山感を発揮してなんとかなったが、下りは無理な状態であった。この一帯の登山道の状況は、毎年変わってくるので、注意が必要である。
 ひと仕事終えた気分になってしまったが、一応、宝蔵山を登っておくことにした。整備された登山道は、やはり有り難い。前宝蔵下・旧炭焼場跡の標識を見ると、急坂が始まるが、自分の体力の心配だけをしていれば良い。尾根沿いの道に出ると、緑濃い宝蔵山の山頂も見えてきたが、前宝蔵山のトラバースに入ると、昨年は残雪で道を探す状態であったものが、残雪は完全に無くなっていた。最後の急登を終えて山頂台地に出ると、ようやく二か所ほど残雪を横断するところも現れた。昨年に比べて、今年の雪の少なさに驚かされた。
 宝蔵山の山頂は木立に囲まれているので、橋立への下り口に進んでから残雪の上に出て、権ノ神を従えた粟ヶ岳の眺めを楽しもうと思ったが、すでに雪は消えていた。とりあえず、落ち葉の上に腰を下ろして大休止とした。全く同じ時期に訪れても山の状態は全く異なっていた。だからこそ、何度も訪れる価値があるといえる。
 下りは、橋立へと下った。気温も30度近くなったようで、半袖Tシャツで歩いていても汗が噴き出た。時折谷から吹き寄せる風は生暖かいものの、気持ちは良かった。
 この日に出会った登山者は、前宝蔵のトラバースで追い抜いた老人二人組だけであった。白山と粟ヶ岳は、連休中の貴重な晴天ということで賑わっていたであろうが、静かな山ということで、宝蔵山に足が向いてしまう。

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