稲包山、唐松山

稲包山
唐松山


【日時】 2015年6月12日(金)〜14日(日) 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 13日:晴 14日:曇り

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 西稲包山・にしいなづつみさん・1570m・なし・新潟県、群馬県
 小稲包山・こいなづつみさん・1560m・なし・新潟県、群馬県
 稲包山・いなづつみさん・1597.7m・三等三角点・群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/四万/三国峠、四万
【コース】 三国スキー場跡より
【ガイド】 分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「谷川岳・苗場山・武尊山」(昭文社)

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 唐松山・からまつやま・1079.3m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/須原/大湯、須原
【コース】 手ノ又登山口より
【ガイド】 分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、新潟日帰りファミリー登山(新潟日報社)

【時間記録】
6月12日(金) 14:00 新潟=(R.49、R.403、黒水、R.290、森町、栃尾、R.290、R.252、小出、R.17 経由)=19:00 二居  (車中泊)
6月13日(土) 5:25 三国スキー場跡―5:58 丸木橋―6:41 三坂峠―7:40 稲包山〜8:15 発―9:08 三坂峠―9:39 丸木橋―10:15 三国スキー場跡=(R.17、小出、中子沢 経由)=15:00 手ノ又登山口への林道途中  (車中泊)
6月14日(日) 5:00 手ノ又登山口への林道途中―5:13 手ノ又登山口駐車場―5:45 滝見台―6:33 稜線分岐―7:18 いっぷく平―7:42 猫岩下―8:23 唐松山〜8:40 発―9:12 猫岩下〜9:22 発―9:40 いっぷく平―10:19 稜線分岐―10:53 滝見台―11:12 手ノ又登山口駐車場―11:25 手ノ又登山口への林道途中=(中子沢、R.252、R.290、栃尾、森町、R.290、黒水、R.403、R.49 経由)=14:00 新潟
 稲包山は、谷川連峰の西端の三国山と白砂山の間に続く上越国境から、わずか南に外れた群馬よりにある山である。ピラミダルな山頂を持ち、里人の信仰の山として開かれてきた。四万温泉と法師温泉を結ぶ赤沢林道を経由して登るのが普通であるが、稲包山の東面の送電線巡視路を下山路にとるコースも利用されている。さらに、三国峠から三国スキー場跡に至る県境稜線縦走路も整備され、その途中で稲包山を登ることができるようになった。

 小出の北側に位置する権現堂山は、中越地方のハイキングの山として人気の高い山になっている。しかし、その峰続きの唐松山は、登山道が整備され、標高もより高く、きれいな三角形をした山頂からは、守門岳、浅草岳、毛猛山塊、越後三山などの360度の展望が楽しめ、山頂手前には猫岩というスリルの味わえる岩場もあるが登る者は少ない。

 梅雨のさなかにもかかわらず晴れ間が巡ってくるようなので、遠出することにした。谷川連峰の山を考えて、平標山か稲包山にするか迷いながら車を走らせた。いつものように、二居で夜を過ごし、翌朝車を走らせた。平標山の元橋登山口に到着してみると、4時過ぎの早朝にもかかわらず、かなりの車が停まっているのが目に入った。ハクサンイチゲなどの花の盛りということで、大勢の登山者が訪れているようであった。この混雑度を見て、稲包山に向かうことにした。
 苗場スキー場入口から国道353号線に進む。国道といっても林道並みの道幅である。奥にあった三国スキー場も閉鎖されて、道の荒廃が進んでいるようであった。車道は三国スキー場跡で終わるが、ゲレンデ跡は唐松なのか植林地に変わっていた。先回訪れたのは、2008年9月29日でかなり時間が経っており、スキー場の施設は完全に撤去されていた。駐車場も無くなっていたが、車を停める路肩スペースは充分にあった。
 道の延長方向に歩いていくと、この先通行止めの道路標識があり、その下に稲包山への登山道標識が置かれている。しばらくは沢沿いの歩きが続く。以前見られた林道跡の痕跡も薄らいで、少し草が覆い気味の登山道に変わっていた。枝沢の黄蓮沢の標識脇にはベンチが設けられているが、雪によるものか壊れていた。
 丸木橋入口の標識を見ると、沢に向かっての下りになる。丸木橋は2008年9月の段階で流されてしまっており、ガランノ沢の渡渉になる。流れの中に石が積まれており、靴底を濡らす程度で渡ることができた。ただ、増水すると渡渉が困難になるかもしれない。
 対岸に渡ると、すぐに尾根の登りが始まるが、ひと登りしたところで涸沢を横断して東側の尾根に取りつく。この先しばらくは急登を頑張ることになるが、尾根上に出ると、傾斜も緩んでひと息つくことができる。尾根が広がってブナ林が見られるようになると、県境稜線に出る。東に方向を変えて僅かに下ると三坂峠に出る。三坂峠は、三国峠よりも古く、ここが、上野、越後、信濃の三国の境界であったようである。群馬県側に四万川の谷間が広がっているが、道型は見られない。なお、ここの標識は倒れており、もし雪で流されてしまうと、三坂峠の位置が判らなくなるので、再設置が望まれる。
 ここからは、稜線歩きになるが、まずは西稲包山への登りに汗を流すことになる。西稲包山からは、岩とシャクナゲの木の根を足がかりにする急な下りになる。続いて小稲包山への登りになる。先回は笹がうるさい状態であったが、昨年あたりに刈り払いが行われたようで歩きやすくなっていた。
 小稲包山に出ると、稲包山は目の前に近づいている。県境稜線を辿った後に縦走路から別れて群馬県側の登山道に進むと、ひと登りで稲包山の山頂に到着した。当然ながら誰もいない山頂であった。稲包山の山頂には石の祠が置かれているが、群馬百名山の標柱も立てられていた。
 この日は薄雲が掛っていたが、三国山から大源太山、平標山を経て仙ノ倉山に至る稜線を眺めることができた。西に広がる稜線の先には、上ノ倉山、忠治郎山、上ノ間山、白砂山といった2000m級の山が連なっているが、それぞれの山頂を見分けることは難しかった。
 大休止の後に下山に移ったが、他には3グループ5名の登山者に出会っただけの静かな山であった。
 三国スキー場跡に戻って驚いたことは、多くの車が停められていることであった。どうやら姫筍採りの入山者のもののようであった。ゲレンデの高みに向かって踏み跡ができていた。
 最初は平標山に登るつもりで早起きをしてそのまま稲包山に向かってしまったため、下山は早い時間であった。六日町のブックオフで時間をつぶした後、小出の唐松山に向かった。
 中子沢の羽川荘を過ぎると、唐松山登山口に通じる林道が左に分かれる。すぐに未舗装の道に変わり、車のすれ違い注意の細い道に変わる。溜池の脇を抜けると田圃も現れ、その先で登山者用の駐車場に到着する。車五台ほどで満杯になってしまい、車の方向転換も難しくなりそうであるが、唐松山に登る者はそう多くはないはずである。一旦駐車場までやってきたが、傾斜があって寝づらいので、林道を少し戻った路肩スペースに車を停めた。翌朝、車を戻すのも面倒なので、そのまま歩き出すことにした。
 駐車場から緩やかに下っていくと、溜池の脇に登山口があり、尾根の登りが始まる。初めはブナ林が広がっているが、すぐに灌木帯が広がるようになる。この一帯の山は、豪雪地のため木が育たないようである。
 ひと汗かくと、権現堂山の山麓にかかる不動滝を見下ろすことができる滝見台に到着する。ここはT字路になっており、左は川東地区遊歩道が続いている。この川東地区遊歩道は、町村合併後管理されなくなって藪に返っているが、尾根沿いには道型が続いているのを確認できる。入口付近は草が被っているものの、腰下のため、少々のヤブコギを覚悟すれば歩けそうである。せめて中子沢からの区間だけでも復活させてもらいたいものである。めざす唐松山は、上権現堂山との鞍部から稜線を長く辿った先の高みにあった。この先は気合を入れて登る必要がある。
 一旦少し下った後に、痩せ尾根の登りが始まる。ザレた登山道で、崩壊地の縁を通過する所もあるので、滑落に注意が必要である。稜線が近づいてくると、傾斜はあいかわらずきついものの、ブナの広がる山腹の登りに変わる。
 稜線の鞍部より少し上権現堂山側の高みで稜線分岐になる。ひと息いれて唐松山への道に進んだ。一旦僅かに下ると、トラバース道が続くようになった。二重稜線の窪地に出ると、残雪がまだ残る池が現れた。ここが鏡池のようであるが、登山標識は見当たらなかった。
 いっぷく平と呼ばれる954.5m点への急な登りが始まるが、泥斜面で滑りやすく、足元に注意が必要であった。登りは息が切れるだけだが、下りには要注意である。いっぷく平に出てほっとひと息。ただ、この先も小さなアップダウンが続くので、気を抜くことはできない。954.5mの三角点脇は大きく崩壊して、三角点もそのうち崩れ落ちそうであった。尾根を進んでいくと猫岩がしだいに近づいてきた。
 猫岩の基部に到着すると、猫岩は通過できず、唐松山へは迂回路を進むようにという看板が立てられていた。猫岩に登るのは後回しにして、唐松山に進むことにした。以前は、この迂回路ははっきりしなかったが、現在はメインルートになって登山道ははっきりしている。岩の基部に回り込むと、以前は気が付かなかった洞窟があるのが目に留まった。最後に急な登りを行うと、松の木の脇で稜線に戻ることができる。猫岩の眺めは、こちらからの方が素晴らしい。近寄って垂直に切り落ちた岩を見上げると、鈴が取り付けられていた。猫の首に鈴ということらしい。しゃれで行ったのだろうが、危険を伴う作業であったに違いない。
 猫岩を過ぎると、ピークへの登りになるが、唐松山はもう一つ先である。ピークの上には、松川林道からの登山道が上がってきている。道形は残っているものの、草が延びており、ヤブコギ覚悟のコースになっているようであった。空が明るくなってきてはいたものの雨粒が落ちてきたが、ここまで来ては山頂を諦めるわけにはいかない。足を早めたが、幸い、雨はその時だけであった。
 唐松山に到着して、展望を楽しみながらの大休止にした。曇り空ではあったが、展望は広がっていた。守門岳、浅草岳、毛猛山塊、未丈ヶ岳、越後駒ヶ岳、八海山、権現堂山といった山々が周囲に並んでいる展望は、その標高以上のものである。先回は、松川林道から高鼻山への周回を行ったが、高鼻山への山道が藪に返ってしまっているようなので、現在は難しくなっている。
 猫岩まで戻った所で、岩に登っていくことにした。岩場をひと登りするとトラバースになるが、灌木の枝が掴めるのが助けになった。岩場をひと登りすると猫岩の上に出た。上は台地状になっているが、周囲は崖になって切り落ちている。以前あった巻き道入り口という標識は無くなっており、頂上からは引き返すことになっていた。
 いっぷく平からの急坂を慎重に下っていくと、5名ほどのグループとすれ違い、これがこの日に出会った登山者の全てであった。
 稜線分岐から細尾根の下りを続けていくと、暑さが堪えるようになった。これからの季節は、暑さ避けのためにも早朝登山を行う必要があるようである。

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