権ノ神岳

権ノ神岳


【日時】 2015年4月25日(土) 日帰り 【メンバー】 単独行 【天候】 晴 【山域】 川内山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 権ノ神岳・ごんのかみだけ・1124.2m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/粟ヶ岳
【コース】 橋立より
【ガイド】 なし

【時間記録】 5:30 新潟=(R.49、亀田、R.403、加茂 経由)=6:30 松平橋〜7:00 発―8:06 林道終点―8:48 橋立―10:58 権ノ神岳〜11:25 発―13:05 橋立―13:40 林道終点―14:36 松平橋=(往路を戻る)=16:00 新潟
 新潟平野の縁に沿って広がる粟ヶ岳から白山にかけて長く続く稜線は、新潟周辺で馴染みの深い山の風景になっている。白山の右隣りの宝蔵山のように、粟ヶ岳の左には権ノ神岳が寄り添っている。権ノ神岳へは、白山から縦走する他に、高柳あるいは小乙から橋立を経て縦走路を辿るルート、大俣川上流部から七頭に至る七頭登山道を使うルートが考えられる。登山道が整備されているにもかかわらず、隣の粟ヶ岳に比べて、権ノ神岳への登山者はほとんどいない。

 近場で残雪の山を楽しむため、権ノ神岳に出かけることにした。夏道も利用するため、上高柳から橋立経由で登ることにした。
 上高柳から林道に進み、尼池山方面の林道分岐の先の松平橋手前のスペースに車を停めた。この先は、通行止めの場合もあって、どこまで入れるのかは年によって異なる。結局は、青木滝分岐まで入ることができ、林道歩きが少し長くなってしまった。ピッケルとアイゼンも持ち、荷物は重くなった。さすがにワカンの季節は過ぎ去っている。
 山菜取りで賑わっているかと思ったが、途中で三台ほどの車が停められているだけであった。青木滝分岐には車の進入防止の鎖が掛けれていた。林道には落ち葉や木の枝が落ちて荒廃が目立つようになっていた。大きくカーブを描いてひと登りすると、林道分岐に出て、右手の林道に進む。ここには宝蔵山、権ノ神岳高柳登山道入口と書かれた標柱も置かれている。以前は、ここから登山道歩きが始まったのだが、現在は、新しい林道が出来ており、そのまま林道歩きが続くようになる。
 九十九折の道を登っていくと、新緑に彩られた笠峰の北斜面を眺めることができるようになる。以前は、歩いていても気持ちの良いところであったので、林道歩きになったのは少々残念である。伐採地が広がるようになると、稜線も頭上に迫ってくる。水源保護のための植林なのかもしれないが、苗木はまだ細い。
 林道の終点まで進むと、丸太で整備された段々が現れ、これを登ると、橋立と小乙との分岐に出る。以前あった笠峰方面の登山道は、完全に消えていた。小乙方面からの伐採道を使って無雪期にも笠峰の山頂には登れるが、笠峰からこの分岐までの稜線歩きができなくなったのは残念なことである。
 この分岐から橋立までは意外に長く感じられる。残雪の上を歩く所も出てきて、沢を巻くような所では足元に注意する必要もあった。残雪の中に新緑のブナ林が広がり、写真撮影のために足が止まった。
 橋立に到着して、権ノ神岳への登山道をうかがうと、しっかりと刈り払いされていた。歩いて判ったことだが、太い枝も切られており、昨年末に登山道の整備が行われたようであった。藪がうるさくなっている時期もあったので、今年は権ノ神岳から粟ヶ岳への縦走のチャンスかもしれない。分岐に置かれた登山標識には、「水源地、小乙集落下山口」と書かれたものもあったが、水源地からの登山道は、一度消えてしまっていたが、復活しているのだろうか。水源地からの登山道の偵察を行うよりは、自転車の利用の方が面倒がないかもしれない。
 緩やかに登っていって678mピークに到着すると、権ノ神岳や粟ヶ岳の眺めが広がった。権ノ神岳へ至る稜線を眺めると、白い残雪と茶色い地肌が混じっており、夏道もかなり使えるようであった。678mピークからは標高差60mほどの下りになる。夏道も使えて楽に下ることができたが、帰りは登り返しに息が上がることになった。
 鞍部からは急な登りになった。雪原を登っていくと、一番急な所は夏道が現れており、楽をすることができた。この急坂を登りきると、ブナが点在する台地に出た。台地は二重山稜状態で地形が複雑であるが、迷うほどではない。再び細尾根に出ると、残雪歩きと夏道を交互に使うようになった。雪庇も落ちており、歩きやすい状態になっていた。
 標高860m地点からは、再び急な登りになった。ここまではキックステップで足場が確保できていたが、途中で雪が堅いところも出てきたので、ピッケルを取り出していた。ひと登りすれば傾斜が緩んでその先は夏道の歩きになりそうなため、ピッケルだけで通過することにした。ここの下りはアイゼンも使うことにして、この急坂の場所を記憶した。
 急坂を突破すると、幅広尾根がカーブを描きながら権ノ神岳の山頂に続くのを一望することができた。もうひと頑張りと、気合を入れ直すことになった。権ノ神岳への最後の登りは再び急坂になるが、夏道を使うことができた。
 権ノ神岳は、遠目にはドーム状に見えるが、狭い山頂を持っている。山頂一帯は雪が消えて、三角点も頭を出していた。粟ヶ岳への縦走路が下っていく先には、痩せ峰が連なる七頭を越した先に粟ヶ岳が堂々とした姿を見せていた。粟ヶ岳の右下には砥沢峰が寄り添い、避難小屋も見えていた。また、粟ヶ岳の左手には一本岳が鋭い山頂を見せていた。さらに、三角点の奥の雪原に出ると、川内山塊の眺めが広がっていた。
 縦走路の下降点に腰を下ろし、粟ヶ岳を眺めながら大休止にした。誰もいない静かな山頂であったが、時折雪崩の音がこだましていた。
 下りを開始して山頂下の雪堤を歩いていると、男女の二人連れとすれ違った。快晴の日にもかかわらず、この日は、権ノ神岳には三人が登っただけであった。白山は別にして、粟ヶ岳と比べても登山者は格段に少ない。
 行きに記憶しておいた急坂をピッケルとアイゼンを使って下ると、後は宝蔵山や白山を眺めながらの快適な歩きになった。雪原の中の新緑がまぶしく輝いていた。
 残雪と新緑を楽しむには、連休前のこの時期が良さそうで、恒例の山になりそうである。

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