屏風岳、熊野山

屏風岳
熊野山


【日時】 2014年9月26日(金)〜28日(日) 2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 27日:晴 28日:晴

【山域】 蔵王連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 前山・まえやま・1684m・なし・山形県、宮城県
 杉ヶ峰・すぎがみね・1744.9m・・山形県、宮城県
 屏風岳・びょうぶだけ・1825m・宮城県
 南屏風岳・みなみびょうぶだけ・1810m・なし・山形県、宮城県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/上山/蔵王山、不忘山
【コース】 刈田峠登山口より
【ガイド】 山と高原地図「蔵王・面白山・船形山」(昭文社)

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 熊野山・くまのやま・600m・なし・山形県
 無名山(女立)・むめいさん(おんなだて)・三等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/手ノ子/羽前上郷
【コース】 道照寺平スキー場登山口より
【ガイド】 なし

【時間記録】
9月26日(金) 14:10 新潟=(R.7、新発田、R.290、R.113、R.13、蔵王エコーライン 経由)=18:50 刈田峠登山口  (車中泊)
9月27日(土) 6:50 刈田峠登山口―7:03 刈田峠―7:29 前山―7:50 杉ヶ岳―8:12 芝草平〜8:20 発―8:56 屏風岳―9:09 水引入道分岐―9:36 南屏風岳〜9:45 発―10:16 水引入道分岐―10:27 屏風岳―11:00 芝草平〜11:25 発―11:46 杉ヶ岳―12:09 前山―12:31 刈田峠―12:47 刈田峠登山口=(蔵王エコーライン、R.13、R.113、長井 経由)=15:00 道照寺平スキー場  (車中泊)
9月28日(日) 6:15 道照寺平スキー場登山口―6:29 ゲレンデ上(休憩地)―6:34 祭り場分岐―7:02 熊野神社―7:30 無名峰(女立)―7:53 熊野神社―8:07 祭り場分岐―8:10 ゲレンデ上(休憩地)―8:22 道照寺平スキー場登山口=(手の子、R.113、R.290、新発田、R.7 経由)=11:50 新潟
 蔵王連峰は、北蔵王、中央蔵王、南蔵王に大別される。一般に、蔵王で思いうかべる連峰中最高点の熊野岳は、中央蔵王に属している。中央蔵王一帯は、御釜とぞの背後に広がる火山性の荒涼とした風景によって、蔵王エコーラインを利用した観光客も混じって、すっかり観光地化している。しかしながら、エコーラインの南部に広がる南蔵王は、樹木におおわれたなだらかな山が連なり、静かな山歩きが楽しめる。屏風岳は、南蔵王の最高峰であり、山頂より僅かに下がった所に一等三角点本点が置かれている。

 熊野山は、長井の西に設けられた長井ダムの南岸に延びる尾根上のピークである。麓の集落の信仰の対象である熊野神社が置かれ、現在はハイキングコースとして良く整備されている。コースの途中には展望台が設けられて、長井ダムや祝瓶山の眺めを楽しむことができる。

 紅葉をどの山で楽しもうかと頭を悩ませることになった。比較的近い山として蔵王連峰の屏風岳が思いついた。木々の紅葉の進み具合は判らないが、途中の芝草平で草紅葉が見られるはずであった。
 蔵王エコーラインに走りこんで高度を上げていくと、ガスの中に入ってしまった。刈田峠登山口近くの路肩スペースに車を停めた時は、霧雨が吹き寄せる状態であった。蔵王連峰は、気象状態がきびしく、稜線部にガスがかかっていることが多い。翌日天気が悪いなら山を下って、低山歩きに変えても良いと思って眠りについた。明け方の冷え込みが厳しく、車に積み込んだ布団など夏装備のままであったことを後悔した。
 翌朝、隣のスペースに車が入ってきたので目が覚めた。雨は上がって、晴空の元に前山から屏風岳の眺めが広がっていた。山腹の木々の紅葉も始まっていた。絶好の登山日和になっていた。まだ時間が早いのに、何人かの登山者が前を通り過ぎて行った。展望を楽しむにはもう少し太陽が昇ってからの方が良いので、ゆっくりと出発準備をした。
 案内板のある登山口からは、一旦下りになる。木道が敷かれた湿原が現れると、周囲の灌木の紅葉や前方に聳える前岳や屏風岳の眺めに足が止まった。この日は、終始、デジタル一眼を首に下げて、写真を撮りながらの歩きになった。下り切った所は刈田峠で、左に入ると避難小屋がある。蔵王エコーラインが造られるまでは、東西を結ぶ峠道があったのかもしれないが、現在では南北の縦走路が通っているだけで、名前だけの峠になっている。
 刈田峠を過ぎると、前岳への登りが始まる。山頂が近くなると、露岩帯の急登りになった。ここの登山道は、蔵王エコーライン上からも一直線に伸びているのを見分けることができる。朝の元気なうちなので一気に登りきることもできるが、背後を振り返ると、刈田岳が大きく広がり、蔵王ハイラインの有料道路がジグザグに上がっていくのが見え、しばしば足を停めて眺めることになった。
 急登を終えて緩やかな尾根道を進むと、杉ヶ峰への登りが始まるが、長くは続かない。なだらかな山頂の杉ヶ峰を越して下りにかかると、芝草平が見えるようになってきた。草紅葉になって茶色に染まっていた。前方には屏風岳が皿状に大きく広がり、その右奥に南屏風岳の山頂がのぞいていた。
 芝草平一帯は、湿原に立ち入り禁止のロープや木道、ベンチがしっかりと整備されていた。このコースを歩いたのは、1995年7月以来ということになる。先回は泥だらけの登山道に苦労したが、現在は整備も行き届いて、一般向けのコースになっていた。南に木道が延びていたが、湿原の中を少し進んだ先で行き止まりになっていた。湿原の中の小さな池や屏風岳の眺めが良いので、帰りには、ここで大休止することにした。
 屏風岳への登りは、標高差170m程で、地図ではなだらかな斜面が続くように見えるが、所々で急な所もあり、汗を流しての登りになった。帰りにすれ違った登山者は、一様に息を切らしていた。
 屏風岳の山頂はオオシラビソに囲まれて、展望も無く、目印のないままに通過してしまう。少し下ったところで三角点が現れ、ここに山頂標識も置かれている。この日は、南屏風岳まで足を延ばす予定であった。屏風岳から下り始めると、南屏風岳方面の稜線が雲に隠されてしまった。一瞬どうしようかと迷ったが、ガスの中に見え隠れする水引入道を眺めているうちに、再び青空が戻ってきた。
 崖の縁を辿って下っていくと、水引入道への分岐になり、その先は、緩やかに上がっていく尾根が南屏風岳の山頂へとつながっていた。ここからは、灌木の紅葉に包まれての歩きになった。東の空には飯豊連峰や朝日連峰、月山の眺めが広がっていた。
 南屏風岳の山頂は、これまで不忘山からの縦走の途中として登っていた。縦走の際には、痩せ尾根を登りきって南屏風岳でひと息つき、南屏風岳の登頂自体の満足感は薄いものであった。南屏風岳の山頂の先に少し下って、紅葉に彩られた不忘山への細尾根の眺めを楽しんだ。
 屏風岳に戻る途中、すれ違う登山者も多かった。早立ちの登山者は、南屏風岳まで足を延ばすものが多かった。
 行きは南に向いていて逆光気味であったが、帰りは順光になって紅葉も輝いてみえるようになった。屏風岳山腹は一面に紅葉が広がり、その左奥には芝草平の湿原も望むことができた。
 芝草平に戻って大休止にした。登山口に戻る途中、多くの登山者とすれ違ったが、目的地は南屏風岳、屏風岳、芝草平、杉ヶ峰と、人それぞれであった。
 今回は、紅葉見物のために稜線をそのまま往復したが、ろうづめ平の方を回っても良いのかもしれない。
 この日、紅葉の山を堪能したが、御嶽山では噴火が起きて多数の死者が出た。日本百名山クラスの人気の山、土曜日、紅葉の盛り、正午近くでの噴火と被害が増える悪条件が揃って、前代未聞の山岳事故になってしまった。浅間山や焼山登山の際には火山情報を気にしながら登っていたが、御嶽山を登った際には、噴火の危険性は全く考えていなかった。山の安全についても考えなければならない条件が増えたことになる。
 二日目は、長井ダム脇の熊野山に登ることにした。この山は一般的には知られていないが、昔からの登拝道がハイキングコースとして整備されているようである。尾根の末端部の小坂集落から尾根沿いに登山道が続いているようであるが、現在では北側の道照寺平スキー場からの登山道が整備されて、案内板も置かれているようであった。様子を探るために、まず道照寺平スキー場を目指した。
 長井の街中で食料を買い込んで長井ダムに向かった。ダムサイトに通じる新しく整備された道に進むと、すぐに道照寺平スキー場への道が分かれた。すぐ先で、ゲレンデ下に出ると、コミュニティセンターがあり、その前に登山道の案内図が置かれていた。ゲレンデと見比べてコースを確かめた。その晩は、ダムサイトまで進んで、空き地で夜を過ごした。
 朝になってスキー場に移動して、ゲレンデを見上げながら朝食をとった。スキー場は少し高度を上げただけだったが、平野部を覆う雲海を見下ろすことになった。
 登山道入り口を示す標柱からゲレンデ内に進んだ。流水でガレ場状態になった作業道を進むと、ゲレンデ内に島状に残された杉木立の右下に出て、ここからは杉木立の下縁部をトラバース気味に登っていくことになった。尾根近くに出た所で、ゲレンデ脇の急斜面の登りになった。ここを登りきると、ゲレンデ最上部に出た。ここには休憩地と書かれており、谷奥には長井ダムが見えていた。
 ここからは雑木林の中の登りになった。傾斜はゆるいものの、苔の生えた泥斜面で、足元に注意が必要であった。ひと登りすると、祭り場からの登山道が合わさった。この先は溝状に掘り込まれた道が続き、信仰の山であったことが伺われた。三角点広場を過ぎて500m標高を過ぎると傾斜が増し、牛戻しという標識も現れた。
 傾斜が緩むと、熊野神社の境内に到着した。社殿の奥には、御神木大杉が立っていた。ここは山頂の少し手前であるが、少し登ると、東屋の置かれた第一展望台に到着した。長井ダムや祝瓶山の展望が開けていた。
 少し下った後に緩やかな登りが続いた。第二展望台に出ると、ここでも長井ダムと祝瓶山の展望を楽しむことができた。ここからもうひと頑張りで、無名峰に到着した。標識には女立という説もあるとも書かれていた。地図には破線がさらに奥に向かって続いているが、山道はここまでであった。三角点周辺は木立に囲まれて展望は閉ざされていたが、一段下の斜面が刈り払われて、置賜盆地の展望が開けていた。ただ、雲海が広がっており、里の様子は隠されていた。
 下りは、登山道の整備も行き届いていることから快調に歩くことができた。
 初冬に登ると展望を楽しめそうな山であった。
 
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