温海岳、天魂山、藤倉山

温海岳、天魂山
藤倉山


【日時】 2014年6月7日(土)〜8日(日) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 7日:曇り 8日:曇り

【山域】 鶴岡周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 温海岳・あつみだけ・735.6m・二等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/温海、/温海、山五十川
【コース】 滝コースから旧拝殿周回
【ガイド】 なし

【山域】 鶴岡周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 天魂山・てんばくざん・290.5m・三等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/温海/温海
【コース】 越路峠
【ガイド】 なし

【山域】 鶴岡周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 藤倉山・ふじくらさん・653.6m・二等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 酒田、村上/三瀬、温海/三瀬、山五十川
【コース】 水無からの林道
【ガイド】 なし

【時間記録】
6月7日 6:00 新潟=(R.7、蓮野IC、R.113、荒川胎内IC、日本海東北自動車道、朝日まほろばIC、R.7、温海温泉 経由)=8:10 古和清水手前駐車場〜8:43 発―8:53 登山口―9:24 三ノ滝―10:22 小菅野代分岐―10:03 嗽清水―10:22 林道―10:38 温海岳〜10:55 発―11:45 旧拝殿跡―12:04 古和清水手前駐車場=(温海温泉 経由)=12:28 越路峠―12:56 天魂山〜13:00 発―13:26 越路峠=(温海温泉、R.7、三瀬 経由)=15:00 林道入口  (車中泊)
6月8日 5:20 林道入口―5:33 林道終点広場―6:12 見晴台〜6:24 発―6:57 藤倉山―7:04 三角点―7:11 藤倉山〜7:27 発―7:48 見晴台―8:13 林道終点広場―8:25 林道入口=(三瀬、R.7、朝日まほろばIC、日本海東北自動車道、荒川胎内IC、R.113、蓮野IC、R.7 経由)=11:10
 温海岳は、新潟県境に近い温海温泉の背後に聳える山である。頂上には無線基地が置かれ、林道が上がっているものの、途中から分れる沢沿いの遊歩道からは渓谷美を堪能できる。山と渓谷社「分県登山ガイド山形県の山」の旧版には紹介されていたが、山頂まで林道が延びていることと、沢沿いの遊歩道が荒れていることからか、新版からは除外されてしまった。温海温泉まで日本海東北自動車道が延びてきたことによって観光整備が行われたのか、現在では、沢沿いの遊歩道に加え、直接山頂に登る旧登拝道も整備しなおされ、登山の魅力が増している。

 天魂山は、温海温泉入口の日本海際に聳える山である。山頂にはアンテナ施設が置かれており、国道7号線を走る際に目に留まる山である。

 藤倉山は、鶴岡の南の日本海沿岸部にある山である。山頂には薬師如来の祠が置かれ、最近は登山口に至る標識も整備されている。

 梅雨入りしたが、関東地方と違って、日本海側の雨はそう多くはならないようであった。五月初めに八森山に登った際に、案内板が道路脇に置かれていたことから気になっていた藤倉山へ出かけることにした。
 藤倉山は日曜日に登ることにして、土曜日は、温海岳を登ることにした。温海岳に登ったのは95年6月であったが、ネットから「温海獄登山マップ」をダウンローロしてみると、最近の様子は違っているようであった。
 無料区間の荒川胎内ICから朝日まほろばICの間の東北日本海自動車道を使うだけでも、県北までのアプローチが短くなっている。県境を越して山形県に入ると、直に温海温泉への分岐になる。最近、温海温泉まで高速道路が延びたおかげか、温泉街までの道も良く整備されている。温泉街にある熊野神社を通り過ぎると、その先で温海岳の山頂まで続く林道の入り口になる。案内標識に従って林道を上がっていく。急坂を上っていくと、未舗装の道に変わるが、路面状態は悪くはない。ただ、道幅は細く、対向車に注意が必要であった。
 ヘアピンカーブ手前に路肩の空き地があり、登山案内板も置かれていた。状況が判らずにそのまま車を進めると、ヘアピンカーブを越した先で路肩部に古和清水があり、そこからひと走りすると、遊歩道入口に到着した。遊歩道入口には、車一台分の駐車スペースがあったが、マップを見ると、山頂から旧拝殿跡を経由して古和清水に戻る道があるようであった。場合によっては、温泉街の平清水登山口まで下ってから、林道を登り返す可能性もあるため、車をヘアピンカーブ下の駐車スペースまで戻してから歩き出すことにした。結局、このヘアピンカーブ下の駐車スペースが、古和清水のための駐車場ということになっていた。
 改めて、林道を歩き出した。ヘアピンカーブを登ると、その先で清水が勢いよく湧き出していた。下山してきて判ったことだが、古和清水の手前のコンクリートブロックで固められた法面が途切れた所が、旧拝殿跡への登山道の入り口であった。ここには案内板は無いので、経験が無いと、ここから登るのは難しい。
 古和清水を過ぎて林道を歩いていくと、林道下に一ノ滝が現れ、その先で遊歩道入口になった。沢沿いに続く遊歩道は良く整備されていた。最初の目標地点である二ノ滝は、遊歩道から少し離れており木立に隠されていた。以前は苔むして滑りやすかった木の橋も、整備しなおされて歩きやすくなっていた。ただ、歩く者は少ないようで、遊歩道の上には枯葉が厚く積もっていた。鶴見の滝を過ぎると、三ノ滝が現れ、その先は急な登りになった。沢を離れてトラバース気味に登っていくと、林道に飛び出した。ここは、小菅野代分岐ということで、北の小菅野代への道が分かれているようであった。
 林道を少し辿るとコンクリート製の建物があり、その脇からブナの森遊歩道が始まっていた。急斜面をひと登りすると、水平道が続くようになった。沢を巻いていく道で、長く感じる道であった。初めは細いブナしかなかったが、歩くうちに太いブナも見られるようになった。途中、嗽清水があり、水も勢いよく噴き出していたので、飲んで元気を取り戻した。
 林道に飛び出し、すぐ先で左の林道に進むと、正面に温海岳の山頂が見えてきた。山頂手前で、左に分かれる遊歩道に進み、ひと登りすると温海岳山頂に到着した。コンクリート製の建物は扉が閉ざされて中をうかがうことはできなかったが、熊野神社本殿の張り紙が取り付けられていた。
 その先の高まりが温海岳の山頂で、ベンチも置かれていた。周囲の木立も刈り払われて、展望が広がっていた。雲がかかって朝日連峰の眺めは閉ざされていたが、日本海や粟島を望むことができた。天候が充分とは言えなかったが、展望の良い山頂という印象で、前回とは状況はかなり違っていた。
 ひと休みの後に、旧拝殿跡へと下ることにした。登山道は熊野神社本殿前から始まっていた。良い登山道が続いていた。ほぼ地形図の破線道に沿っての下りが続いた。急な所は九十九折になっており、歩きやすい道であった。ブナ林も、こちらの方が見事であった。ただ、急な下りが続き、こちらを登るとなると、かなりの体力が必要になりそうである。
 高度400m地点で尾根から外れて右の谷へとコースを変えるが、再び破線に沿っての下りになった。標高200m地点で右にトラバースすると旧拝殿跡に出た。石垣に囲まれた中に清水が湧き出ていた。旧拝殿跡が、古い登山道を現すであろう破線から外れているのは不思議であった。なにやら詩が掘り込まれている石碑も置かれていた。
 麓の平清水へ良い登山道が続いていたが、古和清水への道に進んだ。少し進んだ所で、長床分岐に出た。ここで北側の杉林を抜けるコースと崖際を通って古和清水へ下るコースが分かれる。杉林経由のコースは草が茂って登山道を見分けることができなかったので、崖コースに進んだ。
 草が被った踏み跡を進むと尾根を越して崖際に出た。その先ははっきりした道になったが、転落に注意の幅の狭いところもあるので注意が必要であった。車道が見えてくると、杉林の中の下りになり、最後は古和清水脇に下り立った。そこからはひと下りで車に戻ることができた。
 今回歩いた周回コースは、以前の沢沿いの遊歩道の往復よりも魅力が増しており、温海岳もお勧めの山になったといえる。
 温泉街に戻った後に平清水登山口の偵察を行うと、こちらも案内板が置かれており、しっかりした登山道が始まっていた。すぐ脇には駐車場も設けられており、林道歩きが少し長くなるが、ここから歩き出して周回するのもよさそうであった。
 温海岳から下山して時間も早かったので、近くにある天魂山を登ることにした。地形図を見ると、山頂にはアンテナ施設があり、車道が続いているようであった。
 新しくできたトンネルを抜けて庄内小国川側に出て、養護施設の脇から温海温泉に戻る道に進んだ。トンネルができるまでは温海温泉とを結ぶために普通に使われていた道のようであった。越路峠に出ると十字路になって、天魂山登山口の標柱が置かれていた。車道の様子が判らないので、越路峠から歩き出したが、車道は山頂まで上がることができる状態であった。途中、温海温泉側の展望が開けたところもあり、歩くのも無駄ではなかったが。
 山頂部は幾つかのアンテナ施設が置かれていたが、トイレと展望台が設けられていたのは予想外であった。温海温泉の観光客向けの展望台として整備されたのかもしれない。
 展望台に上がると、展望盤が置かれていたが、周囲の低山の眺めは広がっていたものの、木立によって日本海方面の眺めは一部で、温海温泉方面は完全に隠されていた。
 二山登ったことで、この日の山は終わりにして、藤倉山に向かった。温海温泉で入浴したかったが、観光地化しており、無料駐車場や公衆浴場の場所が判らなかったので、敬遠することになった。
 国道7号線を北上し、横町の交差点を右折すると三瀬駅に出る。ここからは、藤倉山の登山案内に従って車を走らせることになる。駅裏に回り込むと、その先で自然に水無集落内に入っていく。集落内で二回左折することになるが、藤倉山の案内板頼りであった。
 高速道の下を通過すると、対向車とのすれ違い困難の田圃の中の細い道になった。高速道の下には駐車スペースもあり、ここから登山口までは2km弱なので、ここから歩いても良いかもしれない。田圃の広がる谷間から水無川沿いの林道に入ったところに駐車スペースがあったので、ここから歩くことにして、夜を過ごした。
 本降りの雨音で早朝に目が覚めてしまった。雨の中の長靴登山を覚悟して登山の準備をしているうちに雨は止んだ。
 しばらくは、水無川沿いの林道の歩きが続いた。林道は細い所もあるが路面の状態はそう悪いものでは無かった。林道終点まで車で入るかどうかは、度胸と好みの問題となろう。
 広場に出ると、ここが藤倉山登山の際の獅子畑林道駐車場であった。轍状の林道が先に続いているが、行き過ぎることは無いであろう。
 案内標識に従って沢を渡って台地を進むと、獅子畑登山口に出た。沢沿いに進むと200mで「大杉水無川源泉」に出るようであるが、こちらは立ち寄らなかった。
 尾根の末端に取りつくと、急な登りが始まった。ただ、古くから使われてきた道のようで、急な所は巻くように道が付けられているので、歩きやすかった。
 急登を続けていくと、刈り払いが行われており、三瀬の集落と日本海の眺めが広がった。登山口に掲示されていた「800m見晴台」かと思ったが、ここからもうひと登りして391m標高点から延びてくる尾根に登りついた所に広場やベンチが設けられており、ここが見晴台であった。三瀬の集落と日本海の眺めを楽しみながらひと休みした。
 ここからは、傾斜も少し緩やかになって、ブナ林に囲まれた尾根の登りになった。日本海近くの山に広がるブナ林として、この山のブナ林も大切にしてもらいたいものである。
 藤倉山の山頂が近づいた所で発育の悪い杉の植林地が左手に現れると、荒れた林道が登山道脇まで延びてきているのに出会った。地図を見ても林道は複雑に分岐しており、どの道が辿れる状態なのかは不明であった。
 この先で急坂が現れ、それを越すとベンチの置かれた展望台が現れ、その先の杉木立の中に石の祠と藤倉山の山頂標識が置かれていた。三角点の置かれた所が山頂と思っていたが、北東の小ピークが山頂とされていた。
 三角点まで200mとあり、登山道も続いていたので、先に進んだ。鞍部に下った所で、戸沢集落への道が分かれた。この先は、最近切り開かれたような道になったが、緩やかに登っていくと、三角点広場に到着した。木立に囲まれて展望は無い山頂であった。
 藤倉山山頂脇の展望台に戻って大休止にした。三瀬集落や日本海の眺めも高度感が増していた。北に延びる日本海の海岸線の先には、鳥海山を眺めることができた。以前、「海を眺めることのできる山」という特集を雑誌で見たことがあるが、この藤倉山はそこに選ばれるべき山であろう。登山道もしっかり整備されている山にもかかわらず、一般に知られていないのは残念なことである。
 下山も登山道がしっかりしているので、快調に下ることができた。

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