赤崩山

赤崩山


【日時】 2013年5月18日(土) 前夜発日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 飯豊連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 赤崩山・あか崩やま・1070.5m・三等三角点・山形県、福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/玉庭、熱塩/岩倉、川入
【コース】 大日杉分岐から
【ガイド】 なし

【時間記録】
5月17日(金) 14:30 新潟=(R.7、新発田、R.290、R.113、手ノ子、岩倉 経由)=16:30 大日杉分岐
5月18日(土) 5:00 大日杉分岐―6:21 飯豊トンネル入り口―7:22 谷池平分れ―7:58 広河原分れ〜8:12 発―8:24 谷池峠―9:08 赤崩山〜9:23 発―9:45 谷池峠―9:53 広河原分れ〜11:05 発―11:41 谷池平分れ―12:30 飯豊トンネル入り口〜12:43 発―14:10 大日杉分岐=(往路を戻る)=17:30 新潟
 飯豊本山から東に延びる県境稜線は、三国岳、牛ヶ岩山を経て五段山に至る。赤崩山は、五段山の東に位置する谷池平の脇に頭をもたげた山である。五段山から大塚山を経て飯森山に至る県境稜線には地図上では破線が記されているが、現在では道は無くなっている。

 春を通り過ぎて初夏を感じさせる陽気に変わってきたが、もう少し残雪の山を楽しむために、登る山を考えた。豪雪地帯の山を眺めていくうちに、飯豊連峰の西に位置する赤崩山に目が留まった。大日杉からの飯豊登山を行う時に、その先の林道がどのような状態なのか、興味を持っていた。おそらく、大日杉分岐の先は冬季閉鎖であるが、長い林道歩きを覚悟すれば、赤崩山まで達することができるだろうと考えた。雪融けも進んでおり、雪崩や谷への滑落の心配も少なくなっているはずである。
 早朝発を考えて、前夜入りすることにした。予想通りに、大日杉分岐の先で、林道はゲートで閉ざされていた。大日杉方面の林道に入ったところの砂防ダムの親水公園の駐車場で夜を明かした。
 本格的な雪山装備は必要ないであろうと思い、六本アイゼンを念のために持っていくことにした。まったく雪のない林道を歩き出した。アプローチは、「飯豊桧枝岐大規模林道」と呼ばれる二車線舗装の高規格林道である。山形県と福島県の県境と県境をつらぬく飯豊トンネルはすでに完成している。ガードレールのロープが外されているが、車の走行には全く支障のない状態であった。
 帰宅後調べると、この林道は、2013年6月に開通とのことであった。飯豊トンネル入り口からは、稜線上の川入切合まで40分で上がれるようで、飯豊本山への楽なコースとして今後利用者が増える可能性がある。
 新緑と残雪に彩られた葡萄沢を見下ろしながらの歩きが続いた。次第に残雪豊富な県境稜線が近づいてきた。
 県境の飯豊トンネルが口を開けており、その手前で、葡萄沢林道が分かれていた。ここまでの車道では雪が消えていたが、この先は残雪と土の上を交互に歩くようになった。枝沢が入り込むところでは、残雪が沢に落ち込んでおりトラバースに注意が必要ではあったが、アイゼンを履くほどではなかった。谷間から高度を上げると、日当たりが良くなったためか、土道が続くようになった。
 県境稜線が近づいてくると、残雪歩きが続くようになった。県境線に出たところの谷地平分れで、飯豊への登山道が始まるはずであったが、残雪のためか、登山標識のようなものは見つけられなかった。
 県境線の一段下をトラバースしていくと、小ピークを巻いた先から県境線から離れて谷地平への下りが始まった。地形的な関係か、谷地平への下りの林道からは雪が完全に消えていた。稜線上に出れば後は稜線歩きと思っていただけに、予想が少々外れた。前方に迫ってきた赤崩山も残雪が僅かになっていた。あわよくば大塚山までと思っていたのだが、それは不可能になった。時間的に余裕ができたので、気は楽になった。
 谷地平の広河原分れでは、三方の谷地が合わさっている。まだ大部分が残雪に覆われていたが、雪融け部は一面のリュウキンカとミズバショウで埋め尽くされていた。これまで見た湿原の中でも、最大級の花の密度であった。足を停めて湿原の花の写真を撮ったが、赤崩山を登るために先に進んだ。
 雪に埋もれた林道を辿っていくと、再び県境稜線に出た。ここは谷池峠と呼ばれており、林道は福島県側に延びていっている。ここから赤崩山に登るつもりであったが、南に面しているためか、雪は無くなっていた。谷池平方面からの北尾根を登るべきか迷ったが、標高差100mほどなのでヤブコギ覚悟で谷池峠から登り始めた。地図には破線が記されているので、赤崩山あたりまでは踏み跡程度は残っているかもしれないという期待もあった。
 杉林の中をひと登りすると、小さな高まりを越して谷間に出た。県境線は、窪地から左の尾根に向かって延びているが、登るにしては急すぎた。右手の枝尾根を登ることにした。藪が濃い所もあったが、なるべく直線的に山頂を目指した。GPSで戻る際のコースは確認できるが、コースの修正ができるだけないように、赤布を付けながら登った。幸い、この赤布は、下山時にすべて回収できた。
 赤崩山の山頂は、藪に囲まれており、一ヶ所残雪が残っており、そこから飯豊の眺めを楽しむことができた。五段山から牛ヶ岩山にかけての稜線は緩やかに横たわり、その向こうに飯豊本山がピラミッド型の山頂を見せていた。この時期の飯豊を、新しい方向から眺めることができたことに満足した。
 コースに注意しながら藪を下り、林道に出てからは谷池平に戻ってお花畑を眺めながらの昼食にした。この季節に谷池平を目的に訪れる者もいないであろうから、まさに秘密の花園といって良い。残雪登山が思わぬ花園見物になってしまったが、予想外の楽しみも登山の醍醐味である。
 下山は距離も長く、最後の車道歩きは足にもきた。


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