葉山(村山)、雨呼山、祝瓶山

葉山(村山)
雨呼山
祝瓶山


【日時】 2012年10月5日(金)〜8日(日) 前夜発3泊4日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 5日:曇り 6日:雨 7日:晴

【山域】 月山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 葉山・はやま・1461.7m・一等三角点本点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/月山、尾花沢/富並、葉山
【コース】 岩野コースから畑コース
【ガイド】 山と高原地図「朝日連峰」(昭文社)
【温泉】 べにばな温泉ひなの湯 250円

【山域】 二口山塊周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 雨呼山・あめよばわりやま・906m・なし・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】  仙台/楯岡/天童
【コース】 ジャガラモガラ登山口
【ガイド】 新・分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 天童最上川温泉ゆぴあ 300円

【山域】 朝日連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 祝瓶山・いわいがめやま・1417.0m・二等三角点・山形県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/朝日岳/徳網、羽前葉山
【ガイド】 山と高原地図「朝日連峰」(昭文社)
【コース】 大石橋より

【時間記録】 
10月5日(金) 14:30 新潟=(R.7、新発田、R.113、今泉、R.287、左沢、R.488、幸生)=19:00 市民の森  (車中泊)
10月6日(土) 6:05 岩野登山口―7:28 シャム(樽石)コース分岐―7:37 お田沼―7:59 お花畑分岐―8:17 小僧森―8:30 大僧森―9:00 葉山―9:20 奥の院〜9:47 発―10:03 葉山―10:28 大僧森―10:41 小僧森―10:55 お花畑分岐―11:46 キャンプ場登山口―12:03 畑―12:27 岩野登山口=(幸生、R.488、R.112、R.287、黒伏高原 経由)=16:00 林道終点船形山登山口  (車中泊)
10月7日(日) 6:00 黒伏高原=(貫津 経由)=6:50 ジャガラモガラ登山口〜7:15 発―7:28 林道終点―7:40 分岐〜8:08 発―8:36 竜神の池―8:45 雨呼山〜8:50 発―8:58 竜神の池―9:12 分岐―9:23 林道終点―9:37 ジャガラモガラ―9:45 ジャガラモガラ登山口=(天童、寒河江、R.287、R.113、小国、五味沢 経由)=19:00 大石橋登山口  (車中泊) 10月8日(月) 5:40 大石橋登山口―5:59 祝瓶山入口―6:47 817mピーク―7:47 一ノ塔―8:11 大玉山分岐―8:26 祝瓶山〜8:50 発―9:04 大玉山分岐―9:28 一ノ塔―10:12 817mピーク〜10:17 発―10:54 祝瓶山入口―11:14 大石橋登山口=(五味沢、小国、R.113、R.290、R.7 経由)=14:00 新潟
 東北には、羽山、麓山、葉山と書いて、はやまと呼ぶ多くの山がある。これらは、奥の山に対して、里に近い端の山という意味を持ち、里人の信仰の対象になり、山頂には奥の院が置かれていることが多い。村山市近くの葉山は、月山の東に位置し、古い火山で山頂部には爆裂火口を持ち、その縁をたどる稜線歩きが楽しめ、山麓には深いブナ林が広がっている。かつては、出羽三山のひとつに、月山、羽黒山とともに数えられ、修験道の山として信者を集めていたという。

 雨呼山は、二口山塊の面白山から西に派生する尾根上にあり、昔から雨乞いの山として信仰の対象になってきた山である。山の中腹には、風穴の窪地で特殊な植物相を示すジャガラモガがある。

 祝瓶山は、朝日連峰の南端にある鋭峰である。朝日連峰縦走路はこのピークまで延びているが、この山だけを目指す日帰りで登られている。

 例年、体育の日であった10月10日は、新潟周辺の山で紅葉の盛りになる。三連休の山の計画を立てる上で、紅葉の美しい山を考えることになるが、今年は紅葉が遅れているようである。北アルプス方面なら紅葉も楽しめそうであるが、天気予報はぱっとしない。稜線部なら紅葉も始まっているだろうということで、東北方面に出かけることにした。
 虎毛山で湿原でも見ようかと思ったが、秋田県の土曜は、時々雨というものなので、北上はしないほうが良さそうということで、村山葉山を登ることにした。7月14日に葉山の登山口に入っていたものの、小雨のために他の山に向かい、課題の山になっていた。その後の山は、一応の計画を立てていたものの、その時の気分次第になりそうであった。
 肘折温泉に通じるR.488から幸生で林道に進む。果実園の中を抜けていくと畑の集落に到着する。舗装道路が続いて、山へのアプローチとしては楽である。畑の集落に登山者用の駐車場があるが、岩野コースから登ることにして車道を先に進んだ。市民の森への林道に入ってすぐのところに岩野コースの登山口がある。市民の森で夜を過ごした。
 前回は雨で他の山に向かってしまったが、今回は曇り空で、登山に問題は無い状態であった。岩野コースを歩き出すと、すぐ先で、大円院跡に出た。葉山の修験道の寺が置かれて一時は隆盛を極めたが、明治維新の神仏分離以降は廃れて、現在は台地状の空き地が残されているだけである。
 尾根に取りつくと、急な登りが始まった。かなり登ったところで、八丁坂の標識が現れたが、このような標識は坂の下においておいて欲しい。ようやく急坂を登り切ると三宝荒神の標識が置かれていた。その後も傾斜は緩やかになったものの、長い登りが続いた。
 シャムコース分岐を過ぎると、小さな湿原に出た。池の周囲の灌木の紅葉が美しく、しばらく足を停めて写真撮りになった。
 湿原の向こうに見えている高まりを越すと、その先で畑コースとの分岐に出た。分岐のすぐ先でお花畑の草原に出た。木道が敷かれて、開放感のある草原であった。
 その先の小僧森と大僧森の乗り越しに最後の汗を流すことになった。大僧森を過ぎると、細尾根上に大ツボ石が横たわっており、その上からは、葉山の山頂から北に延びる稜線を一望することができた。その先は、ほぼ平坦な稜線歩きが続いた。
 葉山の山頂は縦走路から僅かに脇に入った所にある。刈り払いの広場になっているが、灌木が周囲を取り巻いており、展望は限られている。奥の院まで進んでから大休止にすることにした。
 葉山の山頂からは、一旦下りになるが、その途中で、奥の院の置かれたピーク一帯の紅葉の眺めが広がった。今年の紅葉は一週間以上遅れており、東北の山の紅葉は1400m標高以上に限られているようである。この後の山の計画も考える必要がある。
 緩やかに登り返し、山の内コースの分岐からひと登りするとお堂の置かれた奥の院に到着した。葉山の山頂や周囲の山々の展望も広がって、休むのに良い山頂である。十部一登山口方面の登山道をうかがうと、池が見えたので、下ってみた。
 小さな池の周りに木道が敷かれていた。葉山の山頂も望むことができ、周囲の草原も茶色に色づいて紅葉に彩られていたので、木のテラスに腰を下ろして大休止にした。
 奥の院では単独行の若者が十部一登山口方面から登ってきたのに出会ったが、小僧森付近や畑登山口に下る途中、数組の登山者に出会った。葉山への登山コースでは、畑コースが一番利用されているようである。
 畑コースは、分岐の先ははじめ急坂であったが、大噂仏見晴台に出ると、その先は比較的緩やかな下りが続くようになった。足早に歩ける快調な下りが続き、尾根を外して左に下っていくと、登山道口に出て、後は農道の歩きになった。登山道入口付近にはキャンプ場が設けられていたが、営業は終わって入口に綱が張られていた。
 畑の集落から岩野登山口までの車道も、幸い25分ほどで済んで、我慢の範囲であった。登山地図には、登山口間の車道歩きは書かれていないことが多いが、周回コースとして歩くためにも、書いておいて欲しい。戻った岩野登山口には、私の車だけで、他の車はなかった。
 葉山登山を終えてまずは温泉に入り、次の山を考えた。近くの山ということで、船形山を黒伏高原から登ることにした。スキー場のある黒伏高原までは良い道路が設けられているが、その先の林道は荒れている。林道終点広場で夜を過ごすことにしたが、夜中に本降りになった。林道は雨水で抉られてできた溝もできていたので、大雨で路面がゆるむとスタックする恐れがある。未明に車を動かして、黒伏高原まで下った。
 小雨の朝になった。高い山は無理そうなため、近くの雨呼山を登ることにした。雨呼山は、雨乞いの山として信仰されてきたというので、雨の中に登るのもどうかなと思わないでもない。
 雨呼山よりはジャガラモガラの名前の方が知られているようで、ジャガラモガラの案内標識に従って車を進めることになった。高度をかなり上げた所で舗装道路の終点となり、ここからジャガラモガラへの遊歩道が始まっている。
 未舗装の林道を歩くと、分岐に出た。左上に続く林道に進むと、すぐ先で鵜沢山経由若松山への道の分岐が現れた。林道の終点から登山道が始まるが、あまり歩かれていない感じであった。急斜面の階段登りが始まった。整備されてから時間が経ったためか、ステップが崩れているところもあった。尾根上に出たところで、右に進んだが、これは間違いで、少し先で下りに転じて引き返すことになった。正解は左に曲がる必要があった。さらに階段登りが続いた。尾根上に出ると、ようやく傾斜は緩やかないなった。
 ピークが迫ってきたところで、竜神の池が登山道右手に現れた。雨乞いに使われた池ということであるが、僅かな水溜りであった。雨乞いが必要な日照りの時でも、この池は涸れていないのであろうか。
 一旦ピークに出るが、雨乞山は、僅かに下ってから登り返した先のピークである。台地状の山頂を進むと三角点が置かれており、ここが山頂ということにされていた。周囲はブナ林に囲まれており、展望はなかった。
 雨乞山から下った後にジャガラモガラに寄っていくことにした。林道分岐に戻ってから下に進む林道に進むと、すぐ先でジャガラモガラへの遊歩道が始まっていた。階段状に整備された遊歩道を下っていくと、すり鉢状のジャガラモガラに出た。木道が敷かれて、中心部は立ち入り禁止になっていた。ジャガラモガラは、風穴によって気温が低く保たれ、この標高では見られない植物が生えるという特殊な環境になっているという。木道脇には、風穴なのか、幾つもの穴が開いていた。  ジャガラモガラからは、緩やかに遊歩道を登っていくと、駐車場に戻ることができた。
 天童の温泉に入ってから、翌日の山を考えることにした。天気予報をチェックすると、翌日は晴天になるという。厚い雲が広がっていたが、天気予報を信じて、展望の良い祝瓶山を登ることにした。祝瓶山へは小国まで戻る必要があり、家が近くなるのも都合が良い。
 五味沢に到着して先に進むか迷った。前日は悪路の林道を進んで登山口に入ったが、雨のために山を下ることになった。気になる天気であるが、雲が広がっているものの、その隙間から太陽がのぞきはじめていた。晴を期待して、登山口まで進むことにした。大石橋手前の駐車場までの林道は、細いものの、舗装がほとんどされているのはありがたい。
 登山口に到着してみると、山小屋泊りと思われる二台の車が停められているだけであった。雨のために朝日連峰への入山者も少なかったようである。登山口の駐車場では早朝に到着の車で起こされる可能性が高いので、少し手前の路肩広場に車を停めて寝た。結局、翌朝出発まで、到着した車は無かった。
 明るくなった所で歩き出した。登山道に入ると、すぐに吊り橋の大石橋が現れる。踏み板が三枚並ぶ幅であるが、一枚しか置かれていないので、渡るのに怖い思いをした。団体だと渡り終えるのに時間がかかりそうである。左岸に移ると、しばらくは河畔のブナ林の中を辿ることになる。小さな沢を越すと、祝瓶山への分岐になる。
 祝瓶山への登山道は、いきなりの急登で始まる。尾根上に出ると少し傾斜はゆるくなるが、その後も急な登りが続く。気温も低くなっているため、急坂もさほど気にならずに登り続けることができた。時おり展望が開けると、大朝日岳の山頂が朝日に照らされるのを眺めることができた。
 817mピークを越すと、一旦下りになる。前方に延びる尾根の先には、まだ高いピークが待ち構えていた。登山道周囲の木立も、標高が上がるにつれてブナ林から灌木帯に変わっていった。岩の下に出て、それを巻くと、一ノ塔に到着した。祝瓶山の山頂はまだ高く聳えているが、そこに至る細尾根も目で追うことができて、頑張る気持ちが湧いてきた。大朝日岳を中心とする朝日連峰の眺めもさえぎるものの無い状態で広がっていた。
 最後の頑張りということで気を奮い立たせ、祝瓶山の山頂に進んだ。足も草臥れてきてはいるが、展望の開けた細尾根歩きとなれば、歩くことは楽しみになる。大朝日岳への縦走路を左に分けてひと登りすると、大朝日岳に山頂に到着した。広場になって腰を下ろしてのんびりできる山頂である。三角点の周りには、地元の中学生の登山記念の標識が置かれていた。この急登の続く山に学校登山で登るのは、さすがに地元の学生である。むしろつきそうの先生の方がばてそうである。
 気になる紅葉であるが、一ノ塔方面の尾根で始まっているのみであった。大朝日岳周辺の稜線では紅葉が始まっているようであるが、遠くにあって紅葉を楽しむところまではいかない。飯豊連峰をはじめ、周辺の山々の遮るものの無い展望が広がっていたので、通常なら会心の山ということができるのだが、紅葉の時期が外れているということで不満が残ってしまう。贅沢な不満ということになる。
 貸し切りで大展望の山を楽しんだ後に下山に移った。下山途中、五組ほどの登山者とすれ違ったが、三連休の山としては、空いているといって良い。
 祝瓶山では紅葉の時期をはずしたが、家からもそう遠くはないので、またの期待に訪れることにしよう。

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