西大巓、西吾妻山

西大巓、西吾妻山


【日時】 2012年8月4日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 吾妻連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 西大巓・にしだいてん・1981.8・二等三角点・福島県、山形県
 西吾妻山・にしあずまやま・2035m・なし・福島県、山形県
【コース】 早稲沢登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/吾妻山/檜原湖、吾妻山
【ガイド】 山と高原地図「磐梯・吾妻・安達太良」(昭文社)

【時間記録】 
8月3日(金) 14:40 新潟=(R.49、会津坂下、喜多方、R.459 経由)=18:30 早稲沢登山口  (車中泊)
8月4日(土) 4:50 早稲沢登山口―5:13 布滝分岐―5:42 百貫清水入口―6:39 ゴンドラ山頂駅―8:12 西大巓―9:07 西吾妻山―9:27 天狗岩〜9:40 発―10:30 西大巓〜10:50 発―12:00 ゴンドラ山頂駅―12:46 百貫清水―13:14 布滝―13:45 早稲沢登山口=(R.459、喜多方、会津坂下IC、磐越自動車道 経由)=17:00 新潟
 山形と福島との県境に広がる吾妻連峰は、東・中・西吾妻に分けられるが、西吾妻を代表するピークが西吾妻山と西大巓である。西吾妻山は連峰の最高峰で、日本百名山のピークハントのためにこの山を目指す者も多い。西吾妻山へは、ロープウェイとリフトを乗り継いで簡単に登ることのできる天元台からのコースが多く用いられているが、裏磐梯のグランデコスキー場のゴンドラが通年運行されるようになったことから、このコースも歩きやすくなっている。

 用があって、土曜日の夜には家に戻る必要があった。日帰りの山で、新潟からそう遠くない山を考える必要があった。猛暑が続いていることから、それなりに高さのある山ということで、磐梯・吾妻連峰方面を考えることになった。まだ歩いていないコースということで、早稲沢登山口から西大巓経由で西吾妻山を目指すことにした。2005年7月にグランデコスキー場のゴンドラを使って登ったことはあるが、早稲沢登山口から登ったことはない。
 節約のために高速を使わず、下道を走って裏磐梯入りした。道の駅の先で檜原湖湖畔に出るが、早稲沢までは時計回りと反時計回りのどちらを走るか迷うことになる。時計回りで走ったが、距離は短いものの、途中でカーブが連続して道が細い所がある。工事中のトンネルが完成すれば走りやすくなるのだが、いつになるのだろうか。
 早稲沢集落のT字路から白布温泉への道に進むと、右に登山口への林道が分かれる。入口に遊歩道の看板が置かれている。畑地を抜けて谷間に入ると、未舗装の道に変わった。路面の状態もそれほど悪くなかった。突如といった感じで、早稲沢登山口の駐車場に到着した。駐車場は舗装されて、トイレも設けられていた。
 観光地として賑わう裏磐梯ではあるが、この早稲沢登山口を利用する登山者は多くないようで、他の車は無く、静かな夜を過ごすことができた。
 西吾妻山まで登ろうとすると、かなりの長距離になるので、明るくなったところで歩き出した。早稲沢登山口からは、吾妻川探勝路として整備されており、幅広の道が続いた。落ち葉の積もる道であったが、砂利もまかれていた。渓谷沿いに緩やかな登りが続いた。
 布滝入口で、直接西大巓に至るコースとデコ平経由のコースの二手に分かれる。事前の情報で、西大巓へのダイレクトコースは未整備でヤブコギになるというので、今回は無理しないでデコ平経由とすることにした。布滝分岐からは、一転して急登に変わった。丸太の段々が整備されていたが、かえって足に負担がかかり、辛い登りになった。ひと登りした後の右方向にトラバースする所で、ガレ場から水が湧き出ており、良い水場になっていた。この日は1Lの水を持っていったが、暑さが厳しく、ほとんど飲み干して、最後にこの水場のお世話になった。
 急登を終えると、山裾に沿ったほぼ平坦な歩きに変わった。周囲には美しいブナ林が広がっていた。吾妻連峰というと、針葉樹の森が広がるイメージがあるので、このブナ林は先入感を変えることになった。
 百貫清水は帰りに寄ることにして、その先のデコ平湿原は朝の静かな時に見学することにした。デコ平湿原は、木道が敷かれて、ゴンドラで上がってきた観光客の見物場所になっているようだが、草が延びており、それほどのものとは思えない。
 デコ平湿原の先で、ゴンドラ山頂駅に到着した。運行開始前で、静かさが漂っていたが、予期しないことに単独行が追い付いてきた。どうもデコ平口の駐車場から歩き出したようである。デコ平口への林道は、かなり荒れているようなのだが、ゴンドラの開始時間が遅いため、利用する登山者は多いようである。
 単独行と前後するようになったが、すでに2時間近く歩いているため、スピードはそれほど上がらないため、先に行かせてマイペースで歩くことにした。
 ゲレンデを登り始めると、背後に荒々しい爆裂火口を見せる磐梯山の眺めが広がった。ゲレンデの中をジグザグに登っていき、リフト山頂駅手前で、右手の木立の中に進んだ。この先は、山頂を目指す直登が続いた。木の根や石が露出した道で歩きづらく、展望が全くないので余計に体力を消耗する。どこまで登ってきたかは、登山道周囲の針葉樹の丈が少しずつ短くなっていくので判るだけである。GPSに入力してあるトラックのポイントをあと何メートルと見るのが、登りの励みになった。
 ようやく視界が開けて、右手に西吾妻山が望めるようになると、西大巓への最後の登りになった。登りついた西大巓には、先行の単独行がいるだけであった。快晴の山頂からは、磐梯山、安達太良山、吾妻連峰の東側、飯豊連峰をはじめとする大展望が広がっていた。
 ひと休みの後に、西吾妻山に向かった。一旦下って後に、草原の中をトラバース気味に進んでから、再び登りを頑張ることになった。幸いこの登りはそう長くはなく、湿原の広がる台地に出ることができた。木道を進み、避難小屋の手前から、西吾妻山山頂への道に進んだ。緩やかに登っていくと、西吾妻山の山頂標識が現れるが、針葉樹の木立に囲まれて見通しもない。実際の2035m点よりは西側によっていて、最高点といった雰囲気でもなく、ここだけをみればがっかりする山頂である。天元台スキー場からリフトを利用して登ってくる登山者もおらず、静かな山頂であった。
 天狗岩に回って、腰を下ろして朝食にした。吾妻神社の社殿の向こうには、白い残雪模様を残した飯豊連峰が大きく広がっていた。先回は、天狗岩周辺は、昼食をとる登山者で大混雑になっていたが、誰もおらず静かに風景を楽しむことができた。休んでいくと、ようやく登山者の一団が到着してきた。
 ひと休みの後に、西大巓への戻りを開始した。途中、西大巓方面からの登山者にもすれ違うようになった。西大巓の山頂に戻ったところで、再び大休止にした。山頂で出会った登山者と話を交わしていると、デコ平口から歩き出して、早稲沢コースを登ってきたというので、登山道の状態を聞くとヤブコギであったという。実際に登ってきた者がいたということは、歩けないことはないようだが、下りは危険なため、無理をせずに来た道を引き返すことにした。デコ平からわざわざ布滝まで下るなら、早稲沢登山口から歩き出した方が気分的にも楽だと思うのだが。
 西大巓からの下りの途中、登山者にも出会うようになったが、バテて後どれくらいというお決まりの質問をしてくる者もいた。半分くらいのところであったので、これからが頑張りどころと答えておいた。リフトやゴンドラを利用するのは楽なように思えるが、運航開始時間が遅いので、真夏だと暑いさなかに登ることになって、かえって辛い目に合うことになる。
 ゴンドラ山頂駅に戻ると、ハイカーで賑わっていた。夏山用ゴンドラの利用者は、西大巓への登山者よりも、デコ平湿原周辺の散策者の方が多いようである。
 帰りには、百貫清水によってみたが、池から流れ出る水はそう多くは無かった。溜り水になっている所も多いようなので、湧き出ている所をねらってひしゃくで水を汲んで飲んだ。冷たくて美味しかったが、見た目はあまり良くない池であった。布滝への下りの途中の湧水の方が良さそうに思えて、もうひと歩きした所で水を十分に飲んだ。
 帰りに布滝を見物したが、岩場に細い流れが幾つもかかった美しい姿を見せていた。
 早稲沢登山口に戻ると、他には一台の車が停まっているだけであった。滝の所で出会った男女が乗ってきた車のようで、ここから西大巓を目指した登山者は他にはいなかったようである。
 早稲沢登山口から西吾妻山までは標高差1000mを越えて頑張る必要はあるが、デコ平までの道は良く整備されて歩きやすいので、じっくりと山を楽しむという点ではお勧めなコースである。

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