二ツ森、亀割山、大森、御駒山、中丸山から熊野岳

二ツ森、亀割山
大森、御駒山
中丸山から熊野岳


【日時】 2012年7月13日(金)〜16日 前夜発三泊三日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 14日:雨後曇り 15日:雨 16日:曇り

【山域】 尾花沢周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 二ツ森・ふたつもり・695m・なし・山形県
【コース】 和牛育成センター
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/薬莱山/魚取沼
【ガイド】 新・分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)

【山域】 神室連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 亀割山・かめわりやま・620m・なし・山形県
【コース】 瀬見温泉より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新庄/新庄/瀬見
【ガイド】 分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 大堀・りんどうの湯 350円

【山域】 栗駒山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 大森・おおもり・676.8m・三等三角点・宮城県
【コース】 砥沢川より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新庄/岩ヶ崎、栗駒山/花山湖、切留
【ガイド】 新・分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)

【山域】 栗駒山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 御駒山・おこまやま・522m・なし(519.7m・三等三角点)・宮城県
【コース】 少年自然の家より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新庄/岩ヶ崎/花山湖
【ガイド】 新・分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 中山平温泉・しんとろの湯 420円

【山域】 蔵王連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 中丸山・なかまるやま・1562m・なし・山形県
 熊野岳・くまのだけ・1840.5m・二等三角点・山形県
【コース】 蔵王ライザワールドスキー場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/上山/蔵王山
【ガイド】 山と高原地図「蔵王・面白山・船形山」(昭文社)

【時間記録】
7月13日(金) 14:30 新潟=(R.7、新発田、R.113、今泉、R.287、左沢、R.488、幸生)=18:40 市民の森  (車中泊)
7月14日(土) 6:00 市民の森=(幸生、R.488、R.112、R.347、母袋 経由)=7:50 二ツ森登山口―8:17 鞍部―8:29 二ツ森―8:40 鞍部―9:04 二ツ森登山口=(母袋、R.13、船形、松原橋、R.47 経由)=10:24 瀬見温泉ポケットパーク―10:39 亀割子安観音―11:06 沢―11:18 奥の院―11:50 亀割山〜12:05 発―12:25 奥の院―12:34 沢―12:58 亀割子安観音―13:14 瀬見温泉ポケットパーク=(R.47、池月、R.457、花山 経由)=18:30 砥沢林道登山口  (車中泊)
7月15日(日) 6:23 砥沢林道登山口―(伐採地の上から引き返し)―6:58 砥沢林道登山口=7:14 砥沢登山口―7:38 尾根上―9:09 分岐―9:27 大森―9:43 分岐―11:06 尾根上―11:34 砥沢登山口=11:55 少年自然の家―12:05 三角点―12:08 御駒山―12:22 車道―12:44 少年自然の家=(花山、R.457、川渡大橋、R.47、赤倉温泉、尾花沢、R.13、蔵王エコーライン 経由)=19:00 蔵王ライザワールドスキー場  (車中泊)
7月16日(月) 5:31 蔵王ライザワールドスキー場―6:37 中丸山―7:50 熊野岳―8:22 刈田岳分岐―8:36 刈田駐車場―9:45 蔵王ライザワールドスキー場=(蔵王エコーライン、R.13、赤湯、R.113、新発田、R.7 経由)=13:20 新潟
 二ツ森は、尾花沢の東にある翁山の峰続きの山である。山頂は、その名前の通りに二つに分かれているが、北峰(男山)には道が無いことから、南峰(女峰)が登山の対象になっている。

 亀割山は、神室連峰周辺部の山で、杢蔵山と谷を隔てて向かい合う山である。この亀割山には義経伝説が残されている。義経と弁慶一行が奥州に逃げ延びる途中、亀割峠を越えようとする時、義経の北の方が産気づき、亀割峠の中腹で男の子を出産した。その子の名前は、地名に基づいて、亀若丸と名付けられたという。

 大森は、栗駒山の前衛峰で、以前は登山道が無かったものの、国立花山少年の家によって登山道が整備されたという。しかしながら、二度の震災あるいは伐採の影響によって、現在は廃道状態になっている。

 御駒山は、栗駒山を仰ぎ見る信仰の里山であったようであるが、現在では、麓にある野外施設の花山少年の家からの学校登山の山として親しまれている。

 蔵王連峰の最高峰である熊野岳は、信仰の対象の山としての歴史も有しており、蔵王連峰の主峰になっているが、熊野岳の南に隣り合う刈田岳には、蔵王エコーラインが通じていることから、御釜見物の観光客やハイカーで賑わっている。中丸山は、熊野岳から西に下る尾根上にあるピークで、坊平からこの山を経由して熊野岳への登山道が通じている。

 海の日がらみの三連休であるが、日本全国雨模様で、晴天の登山は望めない状態であった。とりあえず、東北の山で三日分の計画を立てたが、その通りに進むようにも思えず、ガイドブックや地形図を収めたコンピューターを車に積んで出かけた。
 まずは、村山の葉山を目指した。以前に、山の内コースから登っているが、今回はまだ歩いていない、岩野と畑コースを周回することにした。
 大江町から肘下温泉に通じるR.458に進み、幸生から畑への道に入った。分岐からしばらくは、サクランボの果樹園が並んでいた。山奥に分け入る道であったが、しっかりした舗装道路で、車の走行には問題はなかった。
 畑の集落に到着すると、大きな駐車場が設けられていたが、周囲に民家が並んでいて野宿はしずらい雰囲気であった。もう一方の登山口の市民の森に進んで、そこで夜を過ごすことにした。家を早めに出たおかげで、明るいうちに到着することができ、登山口の確認も行うことができた。
 朝になってみると、本降りの雨になっていた。葉山の登山意欲を失って、まだ登ったことのない低山に計画変更することにした。分県登山ガイド「山形県の山」の中から、二ツ森を登ることにした。尾花沢へと北上し、東に向かうR.347に進んだ。母袋に到着すると、和牛育成センターの標識があり、細い車道へと進んだ。畑の中をひと登りすると、車道に進入禁止の鎖が掛けられていた。脇の空き地に車を入れて、ここから登山口まではどれほどあるか、GPSを使って確かめようとしていると、牧場関係者の車が到着して、道を開けた。午後の5時には、施錠するようだが、朝も早いと締まっているようである。
 牛舎の脇を通り抜け、高みに進んでいくと分岐に出た。登山者用駐車場へは右の道に進む。牧柵に沿った未舗装の道を進んでいくと、草地の空き地に出て、ここが登山口になるようであった。雨は上がったが、ガスが垂れ込めて、周囲の様子は全く判らなかった。  歩き出すとすぐに、右手方向にのぼり滝散策コースが分かれたが、二ツ森へはそのまま直進する。牧草地の外れから、谷間へと分け入る。しばらくは、急な登りが続くが、それを突破すると、草原の広がる鞍部に到着した。左手には、交通安全明神と彫られた石碑が置かれていたが、その奥の北峰への道は見当たらなかった。
 草原には、ウツボグサやナデシコの花が咲いており、目を楽しませてくれた。
 南峰へは、草原の中の一直線の登りなった。雨で滑りやすくなっており、足元に注意が必要であった。  到着した南峰の頂上は、草原状で、晴れていれば腰を下ろしてのんびりできそうであった。頂上にも石碑が置かれていたが、なんと書かれているのかは判らなかった。
 山を下りて車に戻ると、山頂はまだ雲に覆われていたが、緩やかに起伏する丘が周囲に広がる牧場地が見えるようになってきた。
 歩行時間は短かったが、ガイドブックに載っていて気になっていた山を一つ終えることができた。
 天気も回復してきたので、もう一山ということで、亀割山を登ることにした。亀割山は、分県登山ガイド「山形県の山」の旧版には載っていたが、新版では削除されてしまった山である。古くから登られてきた山ではあるが、登山道に不明な所があるというのが、削除の理由のようである。
 R.47線沿いの瀬見温泉の登山口周辺には駐車スペースはない。しかも交通量の多い幹線国道沿いとあっては、路上駐車もできない。瀬見温泉駅の前から、川向うの温泉街に通じる道路があり、それに入ると、すぐ先に瀬見温泉の由来が書かれた案内板やベンチも設けられた駐車場がある。少し遠くなるが、ここから歩き出すことにした。幸い、雨も止んで薄日もさしこむようになってきた。
 少し歩くと、温泉街に入った。近代的な建物のホテルもあったが、それよりも目に留まったのは、喜至楼という古い木造旅館であった。今回は温泉のことまで下調べを行っていなかったので入らなかったが、日帰り入浴可能で、混浴のローマ式千人風呂といのが名物なようである。次回の課題ということにしておこう。
 温泉街から橋を渡って国道に出て西に進むと、亀割子安観音に出る。社殿の左脇に奥の院という案内板が置かれており、左を示す矢印が書かれていた。亀割山とは書かれていないが、とりあえずは、奥の院をめざせばよさそうである。民家の裏手から線路沿いに進んでいくと、スノーシェードを通り抜けて山側に抜ける道があった。列車に注意して線路を横断すると、杉林の中を上がっていく道に出た。ひと登りした所で、亀割山という案内板も見つけて一安心になった。旧版のガイドブックは現在では入手が難しいが、この道の入り方は、ガイドブックの概念図と違っている。
 杉林の中の急斜面をじぐざぐに登っていくと、登山道を夏草が覆うようになった。草の下になった登山道ははっきりしているので歩くことはできるが、雨上がりとあって、ずぶぬれになってしまった。ひと登りして、木立の中に入ると道はしっかりしてきた。急斜面を抜けてトラバース道に変わると、古くからの道と思われるようなしっかりした道に変わった。
 左に沢を見下ろしながら進むと、沢の横断になった。水量も少ないので、渡るのに問題は無かった。枝尾根に取りついてからひと登りすると、奥の院に到着した。「義経北の方がここで出産し、峠の名前から亀若丸と名付けられた」と書かれていた。周囲には、杉の大木が並んでいた。
 その先の道は、やや細めになるが、辿るのに問題は無かった。小さな水の流れを横断していくと、高みを目指すジグザグの登りに変わった。地図によれば、尾根上に出てからは、折り返せば山頂に到着のはずであった。ところが尾根沿いの緩やかな登りが続いた。小広場に出ると、その奥には、アンテナ施設が設けられていた。その脇からはひと登りで亀割山の山頂に到着した。
 ガイドブックの山頂写真にも載っている赤さびた方向指示板や展望図盤も確かにある。どうもおかしいと思って地図を確認すると、三角点の置かれた593.9mピークではなく、その西の620mピークが亀割山の山頂であった。そうなると、新庄側の下り口もガイドブックと変わって、山頂から直接下るくることになりそうだが、これは確かめなかった。
 ひと休みして広場に戻ると、瀬見温泉の街並みを見下ろすことができた。
 ぱっとしない天気であるが、二山を登ることができたことに満足することにした。
 下山の途中、翌日の山を考えた。晴天は望めなそうなので、低山巡りを続けることにした。まだ登っていない近くの山を考えていくと、宮城県に入るが、花山周辺の御駒山、大森、大土ヶ森といった山が候補としてあがってきた。
 ガイドブックに従って、花山少年の家へ通じる道路を見送って先に進み、左に分かれる未舗装の林道に進んだ。砥沢川を渡って、少し登り返したところに広場があり、ここが登山口のようであった。大森から下りてきた尾根の末端部は伐採地になっていた。
 翌朝になると再び雨が降り出していた。中学生向きの登山に使われていたコースということなので、問題はないだろうということで、雨の中を出発した。
 枝沢沿いの作業道に進むと、右に道が分かれたので、高みに向かうこの道に進んだ。作業道にはキャタピラの跡が付けられており、最近も重機が出入りしていたようである。
 ひと登りして周囲を見渡せるようになると、一面の伐採地が広がっているのが判った。尾根上は木立が残されているので、そこに上がる道を探して、水平に伸びる作業道を行き来したが、結局登山道は見つからなかった。これだけ大規模な伐採となると、安全のために登山道は閉鎖されていたはずである。その後に震災も続いて、結局、ここからの登山道は廃道になってしまったように思えた。
 ガイドブックによれば、砥沢川の下流部から取りつくコースもあるようなので、そちらをあたってみることにした。
 車道を下っていくと、沢3という看板があり、沢に向かっておりていく道があった。すぐ脇に車を停める路肩スペースもあった。
 沢に向かって下っていくと、河原に出て、沢岸をさらに進むと沢にロープが張られた渡渉点に出た。連日の雨で水量が増しているためか、それとも踏み石が流されてしまったのか、ロープ沿いは深い状態になっていた。沢岸を行き来してルートを見定めて、長靴を履いたままで渡渉することができた。通常の登山靴であったなら、裸足になって渡る必要があった。
 踏み跡を辿って杉林の中に入ると、大森を示す登山標識を見つけることができてひと安心できた。尾根上に向かっての九十九折の急登が始まった。虎ロープが張られていたが、これはコースを示すもので、途中で切れているところもあり、支点に使うのは危険な状態であった。
 ひと汗かいて尾根上に出た。分岐の尾根の下方向には、進入禁止のロープが掛けられていた。その後は、尾根沿いのしっかりした道が続いた。進むにつれて、登山道周辺の木立も太いものが目立つようになって、自然度も増してきた。
 557m小ピークを越えて、その先の幅広尾根に出ると、背の低い笹原が広がるようになって、どこでも歩けるためか登山道が不明になってきた。580m小ピークを越えると再び尾根は細くなったが、登山道は完全に藪に覆われていた。倒木もあることから、登山者はこの先に進むのをあきらめた感じである。
 雨の中の辛いヤブコギが続いた。登山道は笹や草で覆われて、周囲の灌木帯とは植生が違っていたおり、藪の下の登山道は足で探ることができた。尾根は微妙に方向を変えるので、展望の無い中のヤブコギでも歩けるのは、GPSのおかげである。
 611m小ピークを越えると、最初に登ろうとしたコースの合流点となる。道がはっきりしていたら、こちらを下ろうかと思ったが、踏み跡は見当たらなかった。
 分岐から先の登山道は、再びはっきりしてきたが、大森への最後の登りになると、再び道は消えてしまった。急登を終えて左に曲がると、大森の山頂に到着した。三角点が頭を出して、木の上に山頂プレートが掛けられていた。
 道の印象が薄れないうちに、すぐに下山に移った。ヤブコギ地帯を終えて、再びしっかりした登山道に戻った時は、ほっとした。その後の歩きは順調であったが、長靴の中に水が入ってしまって、靴下を脱いでしぼる必要もあった。
 最後の尾根上から沢への急降下は、雨で足元が濡れており、滑らないように注意が必要であった。最後の難関の沢であるが、長靴の中に水が入ってしまっているので、これ以上は濡れる心配もないということで、浅瀬を選んでジャブジャブと渡ってしまった。
 中学生向きの学校登山の山ということであったが、予期せぬヤブゴギの山であった。この状態だと、登れるのも今年が最後のようにも思われる。  予期しない雨の中のヤブコギで疲れていたが、もうひと頑張りして、御駒山も登っておくことにした。御駒山は、それほど時間はかからない。
 国立花山少年の家は、立派な建物が並んでおり、駐車場も満杯であった。坂を上っていき、建物の右手に進むと、御駒山への登山道が始まっていた。山道が始まると、山頂目指しての直登になった。途中で、右に迂回コースが分かれたが、そのまま直登を続けた。このコースは、登りはともかく、下りには注意が必要である。
 ようやく傾斜が緩んで左に曲がると、三角点の置かれた広場に出た。予想に反して山頂標識もなく、すっきりした山頂であると思ったら、山頂はまだ先であった。緩やかに登っていくと、小さな祠が置かれた御駒山の山頂に到着した。
 下りは、北に向かう尾根に進んだ。最後は車道と砂利道の合流点に飛び出した。後は、整理運動と思って、砂利道を歩いて国立花山少年の家に戻った。
 連休の最終日は、ともかく蔵王付近まで戻って、雨なら三吉山を登ることにした。
 夕刻に上山に到着し、国道から分かれて、三吉山への車道に進んだ。高度を一気に上げて登山口に到着したが、駐車場はゴルフ場との兼用であるため、ここでの野宿は難しそうであった。いつものように、蔵王に上がって夜を過ごすことにした。もしも天気が良いのなら、蔵王のコマクサ見物をするのも良い。
 連休中であったが、蔵王エコーラインを走る車は少なかった。翌朝、山を下りる可能性もあるので、途中の蔵王高原坊平の駐車場に車を停めた。夜中に目を覚ますと、星空が広がっていた。晴天なら頑張って歩かなければならないと、山の計画を改めて考えることになった。蔵王高原坊平は、中丸山を経て熊野岳に至る登山道の開始部になっている。深夜の車中で、コンピューターを立ち上げて、GPSにトラックデーターを送り込んだ。
 中丸山目指して歩き出そうとしたが、車道をさらに上がって、蔵王ライザワールドスキー場下部のヘアピンカーブ部から歩き出した方が短縮できることに気が付いた。車を走らせると、ヘアピンカーブから脇道に入る道があり、その入口に駐車スペースもあった。
 車道を進んでペンションの下を通過すると、リフト終点部の広場に出た。ここまで車で入ることもできるようであった。ここから山道が始まった。
 仙人沢に向かっての急な下りになった。登山道は階段状に整備されていて問題なく歩けたが、登り返しがいやになった。
 沢底までまだかなりある所で、太いワイヤーを用いた吊り橋が現れた。不動滝と観音滝の間ではあるが、観音滝寄りで、地形図とは違っていた。対岸に渡った後しばらくは、階段状の急登が続いた。階段が崩れて、足場に注意が必要なところもあった。
 尾根上に出ると、緩めの登りが続くようになった。三日目の歩きであったが、足の具合は好調であった。登山道は、時にジグザグを繰り返し、歩きやすい道が続いた。
 次第に木立の背は低くなり、中丸山の肩に出る頃には、灌木帯と草原が広がるようになった。目の前に中丸山の丸い山頂が迫ると、草原に敷かれた木道の上を歩くようになった。谷越しには、蔵王エコーラインがカーブを交えながら台地をぬっているのが見えた。
 木道歩きで中丸山の山頂に到着した。中丸山の山頂標識は、最高点を回り込んだ先の、下り口に置かれていた。熊野岳から刈田岳にかけての稜線が目の前に広がっていた。朝の晴天にもかかわらず、雲が山頂部にかかってきていた。熊野岳の山頂に到着する頃には、ガスの中を歩くようになりそうであった。先に進むか迷ったが、時間も早いので、登りを続けることにした。
 中丸山から一旦下ると、鞍部付近は草原が広がっていた。鞍部の先は、再び尾根沿いの登りになった。傾斜が緩んで山頂が近づくと、砂礫地帯になった。道しるべなのか歩道のつもりか判らないが、道幅の石畳が続くようになった。ガスで展望は閉ざされていたが、突如、コマクサのお花畑の中に足を踏み入れていた。熊野岳のコマクサは、避難小屋付近だけかと思っていたので、思わぬ発見であった。ここのコマクサは、石畳の間にも沢山咲いており、近づいて写真を撮りやすかった。
 花の写真撮影で少し時間を使ったが、その先はひと登りで熊野岳の山頂に到着した。山頂部は強風が吹き抜けて、足がふらつく状態であった。少し標高を下げれば天気も回復するはずなので、刈田岳駐車場から蔵王エコーライン沿いの登山道を使って下ることにした。
 神社の石垣に入って、風よけに雨具の上着を着込んだ。ガスの中で視界も僅かになっており、コース標識の木の柱をみつけて、ようやく下り口が判った。その後は、木の柱に沿っての歩きを続けた。馬の背付近では、風も強かったが、刈田岳手前になると周囲も見えるようになってきた。この付近は、最近は何度も歩いているので不安もないが、初めてであると苦労しそうである。
 リフト乗り場の駐車場に下ってから坊平へは、歩くのが初めてになる。車道を少し歩いてから左手の歩道に進むと、木道の敷かれた湿原が現れた。御田ノ神と呼ばれるようで、通行量の多い車道脇に、このような湿原があるのは驚きであった。避難小屋も湿原の奥に見えていた。
 再び車道に戻ってから、坊平への登山道に進んだ。車道のカーブをショートカットした後は、高度をまっすぐに下げていくようになって、蔵王ライザワールドスキー場の上部に出た。この後は、ゲレンデの中に続く道を下るようになった。上山の市街地や朝日連峰や蔵王連峰の山々も眺めることができて、気持ちの良い下りであった。
 蔵王の熊野岳は、コマクサ見物のために毎年でも登りたい山である。歩きがいのあるコースとして、今回の中丸山経由のコースを今後は使いたいと思う。

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