萱峠

萱峠


【日時】 2011年11月23日(水) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 東山連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 萱峠・かやとうげ・670m・なし・新潟県
【コース】 花立峠登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長岡/長岡/半蔵金
【ガイド】 なし

【時間記録】 7:00 新潟=(北陸自動車道、中ノ島見附IC、R.17、R.352、栖吉 経由)=8:18 花立峠登山口〜8:28 発―9:21 三ノ峠山分岐―10:17 コバ清水―12:12 萱峠〜12:24 発―(13:23〜13:43 昼食)―13:54 コバ清水―14:23 三ノ峠山分岐―15:18 花立峠登山口=(往路を戻る)=16:50 新潟
 萱峠は、長岡市の東に連なる東山連峰の最高峰であり、古くからの信仰の山である鋸山の南の稜線伝いにあり、牧場として使われていたため、一帯には芝地が広がっている。

 久しぶりの快晴が巡ってくるようである。名残りの紅葉に彩られた山から新雪の山を望もうということで、長岡の鋸山に向かった。高速の上から見る粟ヶ岳や守門岳は、白く染まっていた。長岡の東山連峰が近づいてくると、この山も雪が積もってごま塩状態になっているのが見えた。
 萱峠から鋸山への周回コースを歩こうと思い、花立峠登山口に車を停めた。花立峠経由で鋸山を目指す登山者の車もかなり停められていた。車道を400mほど戻って、萱峠登山口から山道に進んだ。
 取り付き部の谷から尾根の末端部を巻いて南側の谷に入る。足場の悪い泥斜面もあるが、ロープが固定されており、助けになる。沢を渡って右岸側に移るが、水量もかなりあり、長靴では問題なかったが、通常の登山靴では渡るのが難しい状態であった。沢沿いに進むとヘツリ部があり、固定ロープを掴んで慎重に進んだ。濡れ落ち葉やぬかるみで、足元が滑りやすくなっており、油断はできない状態であった。滝の脇を越すと谷も広がってくる。放棄された耕作地跡が見られ、元は農作業のために歩かれていた道を登山道として整備しなおしているようであった。
 地形図では、谷沿いに進むように書かれているが、南に方向を変えて、杉林の中に進んでいく。尾根上に出ると、杉林も途切れて、雑木林が広がるようになった。雪も現れて、名残りの紅葉との美しい組み合わせを楽しむことができるようになってきた。
 三ノ峠山との合流点に出ると、その先は、堀状にえぐれた中に登山道が通じている。初めは喜んでいた雪であったが、急に雪が多くなり、一歩ずつラッセルを続けるようになった。萱峠までの登山道は、林道跡を利用したような幅広であるのだが、吹き溜まりとなって、林の中よりも雪が多くなっていた。
 南蛮峠への破線道が分かれる付近では、雪で倒れた雑木によって、道が完全に隠されてしまっていた。地図を見ると、尾根の左側をトラバース気味に進めば、コバ清水に至ることが判るが、南蛮峠への道に引きずりこまれかねないところであった。倒れた木の枝を起こしたり、跨いだりしながら進むと、再び登山道が現れ、コバ清水に到着することができた。
 雪はさらに深くなり、膝上まで潜るところも出てきた。長靴の中に雪が入り、靴下もずぶ濡れになって、ときおり靴下を絞って水をぬぐう必要も出てきた。鋸山への周回は無理なようで、萱峠を目的地にすることにした。それとて、可能かは判らず、12時を引き返しのリミットにすることにした。
 竹之高地分岐を過ぎると、西の展望が開けて、金倉山が雪をまとった姿を現した。麓の紅葉はまだ残っており、雪とのコントラストが美しかった。スノーシューがあったらもっと楽に歩けるのにと思いながら重い足を進めた。
 尾根の張り出しを越えると、一旦下りになる。萱峠から鋸山に続く稜線も迫ってきているが、まだ登りが残されている。
 萱峠へのトラバースが始まったが、木の枝が倒れて、進むのに苦労するようになった。結局、木の枝が倒れて登山道が隠されてしまった。歩きやすそうな木立の中を進むと、深くえぐれた沢に行き当たった。沢の先の登山道の続きを探したが見つからなかった。
 ここまでかと思って、GPSで示される現在地を地図と照らし合わせた。718.6m三角点ピークの下まで来ており、標高差50mほど登れば、鋸山への登山道が通じている台地に上がることができるようであった。萱峠へのトラバース道は、急斜面の下を通過しているので、積雪期に歩くのには適していない。
 登山道から離れて、直登を開始した。最初沢沿いに登り始めたが、急なために、木の枝を掴みながらジグザグに登ることになった。取り付きとしては、もう少し手前からの方が傾斜が緩やかったようである。
 傾斜が緩んだと思うと、林道跡に出た。この道は、すぐに沢に行き当たり、その先はなくなっていた。沢を見ると、二又になっており、向かって左の沢は雪に埋もれていた。見上げると、沢の上の木立に赤布が付けられているのが見えた。この雪に埋もれた沢を使うことにした。雪にステップを切りながら登っていくと、台地に出ることができた。
 林を抜けると、牧場の鉄柵が現れた。後少しの歩きであったが、雪が深く、足が止まりそうになった。
 萱峠は、二つのピークの間の窪地であるので、今回は手前のピークを最終目的地とした。雪に覆われたピークの上からは、守門岳、浅草岳、毛猛山塊、越後三山がパノラマ状に広がっていた。真っ白に染まって、冬の訪れを告げていた。今日の目的の展望は楽しむことができた。
 二人連れが登ってきたのと入れ替えに下りを始めた。私の足跡に助けられて登ってきたようである。
 台地から林道跡に下る場所を考え直すことにした。登ってきた沢沿いは、急で滑落の可能性もある。登ってきた地点を過ぎて先に進むと、赤布が連続的に付けられているのが目に入った。これを辿っていくと、鋸山への稜線から外れていった。地図を見ると、北から西に方向を変えて鞍部に通じる尾根沿いに進むように思えた。西に方向を変える付近からは、堀状に抉れた道に変わった。最後は林道跡に飛び出したが、これは行きに歩いた道ではなかった。右に辿ると、すぐに歩いてきた林道の分岐に出た。このコースの方が、地形的に無理がない。今回のような積雪期には、この尾根コースを辿るべきであるが、夏道としてこのコースが使えるのか、いつか確かめる必要がある。
 鞍部からの登り返しは、足も疲れて、きつく感じられた。トラバース道に変わったところで、展望を楽しみながら大休止にした。
 萱峠で会った夫婦連れには、ラッセルのお礼を言われたが、帰りの歩きは、二人の足跡のおかげで少しだけは助けになった。雪道の歩きで足はしだいにきつくなってきた。  行きに出会った、南蛮峠分岐の倒木帯を過ぎると、雪の上の足跡が急に増えた。ここまで来て引き返したものが何人かいたようである。三ノ峠山分岐に出ると、三ノ峠山方面からも足跡が続いていた。
 分岐を過ぎると、ようやく雪がなくなった。後は気楽な歩きと思ったが、足がつってしまった。最初は左足で、だましながら歩いていると、右もつってしまった。雪道の歩きは、通常の登山道とは疲労の部位が違ってくる。
 花立峠登山口に戻ると、まだ車は残っており、鋸山は賑わったようである。ずぶ濡れになった衣類を着替えて、車の中で休んでいると、鋸山からの下山者も現れた。ズボンの状態を見ると、濡れてもおらず、同じ雪山といっても、トレースがしっかりついて夏山と同じ感覚で歩けたようである。個人的感想ではあるが、道を見失いながら登った萱峠とどちらが面白いかと聞かれれば、萱峠と答えることになる。

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