磐梯山、五色沼、一切経山

磐梯山、五色沼
一切経山


【日時】 2011年8月26日(金)〜28日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 27日:曇り 28日:晴

【山域】 磐梯山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 磐梯山・ばんだいさん・1818.6m・三等三角点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山
【ガイド】 山と高原地図「磐梯・吾妻・安達太良」(昭文社)
【コース】 八方台より
 
【山域】 裏磐梯
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 五色沼・ごしきぬま・800m・なし・福島県
【コース】 五色沼入口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山
【ガイド】 山と高原地図「磐梯・吾妻・安達太良」(昭文社)
【温泉】 横向温泉ホテルマウント磐梯 600円

【山域】 吾妻連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 一切経山・いっさいきょうざん・1948.8m・一等三角点本点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/福島、吾妻山/土湯温泉、吾妻山
【コース】 浄土平より
【ガイド】 アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「磐梯・吾妻・安達太良」(昭文社)
【時間記録】
8月26日(金) 15:00 新潟=(R.49、会津坂下、喜多方、R.459、磐梯山ゴールドライン 経由)=19:30 八方台  (車中泊)
8月27日(土) 6:12 八方台―6:36 磐梯温泉中ノ湯跡―7:30 お花畑分岐―7:38 弘法清水―8:05 磐梯山〜8:25 発―8:45 弘法清水―9:01 お花畑分岐―9:41 磐梯温泉中ノ湯跡―10:09 八方台=(磐梯山ゴールドライン、R.459 経由)=10:35 五色沼入口―11:39 青沼〜11:55 発―12:35 五色沼入口=(R.459、R.115、土湯峠、磐梯吾妻スカイライン  経由)=15:00 浄土平  (車中泊)
8月28日(日) 6:11 浄土平―6:48 酸ヶ平―7:21 一切経山〜7:28 発―9:15 浄土平=(磐梯吾妻スカイライン、土湯峠、R.115、猪苗代磐梯高原IC、磐梯自動車道、安田IC、R.49 経由)=12:00 新潟
 磐梯山は、会津の中心部猪苗代湖の北側に位置する火山である。磐梯火山は、大磐梯山、櫛ヶ峰、赤埴山の三つから構成されており、方向によって姿が異なる。1888年の水蒸気爆発によって大磐梯山の北に位置していた小磐梯山は吹き飛び、流れ出た土砂は川をせき止め、裏磐梯の湖沼地帯が作られた。

 五色沼は、裏磐梯の代表的な観光スポットになっており、全長3.6kmの五色沼探勝路が設けられ、夏は観光客やハイカーで賑わっている。冬にはこの探勝路は雪に覆われるが、最近ではスノーシュー歩きのフィールドとして人気が高まっている。

 福島・山形県境に広がる吾妻連峰は、東北では飯豊・朝日に次ぐ大きな山塊である。主稜線は、一切経山から烏帽子山、東大巓、西吾妻山へと、2000m級の峰々を連ねて続いている。東大巓を境に、その東を東吾妻、西を西吾妻と呼ぶ場合がある。東吾妻を代表するピークは、一切経山であり、磐梯吾妻スカイラインの開通によって浄土平から容易に登れることから、多くのハイカーで賑わっている。

 福島原発事故の後は、震災の影響は少ない福島県の会津地方でも、観光客は大きく減っているという。観光客の誘致、あるいは料金徴収の費用節減によるものか、福島県内の有料道路は無料になっている。震災後に福島県の山は訪れていなかったので、様子を見に出かけることにした。
 金曜日の午後に家を出て、一般道を使って会津に向かった。7月末の新潟・福島県豪雨の影響も確かめる必要があった。津川手前の阿賀野川の川岸では、道路が削られて修復工事が行われていた。阿賀野川の津川付近は満々と水が湛えられてボートの練習場になっていたが、ダムの水が放出されたためか、川底の泥が露出しているところが目立った。
 会津坂下で夕食を買い込み、喜多方へ向かった。喜多方は、観光地という雰囲気が無くなって、薄暗い雰囲気が漂っていた。裏磐梯に向かう途中の大塩温泉の旅館街も宵の口にもかかわらず、街の灯りが消えていた。道の駅「裏磐梯」の駐車場も、数台の車が停まっているだけであった。
 家を出た時には、猫磨ヶ岳か磐梯山のどちらを登るか迷っていたのだが、八方台から磐梯山に登ることにして、ゴールドラインに進んだ。ゴールドラインは、確かに無料開放されていた。八方台の広い駐車場には、数台の車が停められており、登山者はそれなりにいることが判った。夜中に到着する車に眠りを妨げられるのを避けるため、一旦戻った所の駐車場で夜をあかした。朝になってから八方台に戻ると、車は10台ほどに増えていた。
 磐梯山へは、各方面からの登山道が整備されているが、この八方台からのコースが一番楽なようである。磐梯山は、団体や学校登山でも登られる人気の山なので、これまではこの一番人気のコースは、混み合うのがいやで避けてきていた。冬のスノーシュー歩きで、猫魔スキー場から丸山まで歩くのも良さそうなため、その偵察のために歩いておく必要もあった。
 登山口からは、ブナ林の中の緩やかな登りが続いた。以前は林道であったような幅広の道であった。朝のさわやかな空気を吸い込みながらの歩きと思ったが、蚊が多く、虫除けスプレーをかけても何か所も刺されてしまい、山シャツを着こむはめになった。おかげで、汗を流しながらの歩きになった。標高も高いブナ林の中で蚊が多いのは意外で、地熱によって水たまりが暖められているのであろうか。
 ひと汗かくと、磐梯温泉中ノ湯跡に到着した。家屋は残されているが、戸は閉じられて荒廃が進んでいる。一帯は、硫黄の臭いが強く漂っていた。温泉跡を過ぎると、すぐに銅沼からの登山道が合わさる。磐梯山に初めて登ったのは、銅沼からのコースであったが、眺めの点を考えるならば、八方台からよりは銅沼から登った方が面白い。
 その先は、特徴の無い、だらだらの登りが続いた。涼しくなったとはいえ、8月の山とあって、汗びっしょりになっての登りになった。
 ようやくお花畑との分岐に出て、ここは右折。ひと歩きで弘法清水に到着した。いつもなら弘法清水で喉を潤すのだが、水を飲むことは避けた。
 弘法清水からの登りは、いつもながら苦しいものになった。弘法清水まででもやっとという登山初心者には、この最後の登りはきついものになるであろう。
 到着した磐梯山の山頂には、先着の登山者が一人いるだけであった。登り口付近は、羽蟻が群がっており、足を止めることもできない状態であった。
 磐梯山の山頂の三角点は、これまで探したが見つからなかったのだが、最高点部を見ると、新しい標石が埋め込まれていた。手前に置かれたプレートには、以下のように書かれていた。

 三等三角点「磐梯」
 磐梯山山頂の三角点「磐梯」は明治37年(1904年)5月に設置されましたが、長年の風雨等により、三角点が亡失したため、「磐梯山三角点復旧支援会(代表:猪苗代山岳会)」の協力を得て、三角点の再設置を行いました。
 平成22年(2010年)10月
 国土交通省国土地理院

 山頂に置かれた三角点を見ると、登頂という気分になるので、やはり三角点はあってほしい。このような亡失になった三角点の再設置が、山岳会の協力のもとで行われたということは、初めて知った。標石は、真新しく輝いているが、その前の説明のプレートは、早くも火山灰で汚れて読みにくくなっていた。磐梯山山頂の条件は厳しいようである。
 下りは、弘法清水からお花畑を回った。山頂部は雲に覆われて展望が閉ざされていたが、お花畑蕗まで下ると、櫛ヶ峰の眺めが広がった。
 下りの途中、大勢の登山者とすれ違うようになった。ただ、大人数の団体は僅かで、個人客ばかりであった。
 八方台の駐車場に戻ると、駐車場の際に車がびっしりと停められていたが、観光バスは見られなかった。観光的には、観光バスが入らないのは大きな問題であろう。
 時間が早かったので、猫磨ヶ岳にも登ろうかとも思ったが、蚊が多いのに閉口して、一旦山を下り、五色沼でお昼を食べることにした。
 国道脇のビジターセンターもある駐車場から歩き出した。ここから歩き出すのは初めてであったが、すぐに毘沙門沼入口の駐車場に出るので、車はこちらに停めた方が良い。
 広い駐車場は空いており、観光バスは1台しかいなかった。脇のホテルのレストランも休業していた。
 ボートが浮かぶ毘沙門沼を巻きながら、遊歩道を先に進んだ。赤沼や弁天沼、るり沼が次から次に現れてくるが、遊歩道からでは、木立が邪魔して湖面が思うように開けない。雪の時期に歩いた方が、眺めは良い。それでも多くのハイカーが歩いていた。
 青沼まで進んだところのベンチで昼食をとってから引き返した。これ以上進むと、檜原湖まで歩いて、後はバスで引き返すのが良いことになるが、バスの時刻表は確かめていなかった。
 引き返す途中、雨が降り出して、早足で歩くことになった。幸い、それほど濡れることもなく車に引き返すことができた。
 これで山は終わりにして、川上温泉で汗を流すことにした。いつも利用している温泉に到着すると、閉鎖されていた。客がほとんどいない旅館のため、ゆっくりと温泉に入れると贔屓にしていたたけに残念であった。吾妻スカイラインに向かい、途中の横向温泉に入った。ここも客が少ないようで、前よりもすたれた感じが進んでいた。
 いつもは、料金ゲートが解放されている夜中にしか吾妻スカイラインには進入したことがなかったが、今回は無料開放ということで、昼間に走ることができた。土湯峠から少し高度を上げると、濃霧に包まれた。
 浄土平に到着してみると、ここの駐車場も無料開放になっていた。この駐車場は、夜中にも車が到着してうるさそうなため、少し引き返した路肩広場で夜を過ごした。夜中に星空が広がったが、肌寒く感じられるほど気温が下がった。
 朝になって、浄土平に駐車場に戻った。一切経山の南斜面からは、勢いよく噴気があがっていた。臨時駐車場をつっきって、登山道に進んだ。登山道に進んですぐにガレ場経由で前ピークの肩に出るコースが分かれるが、これは有毒ガス発生のために閉鎖になっていた。これからは、もこのコースが再開されることはなさそうである。
 酸ヶ平に向かうコースに進むと、尾根沿いの登りになる。急登も僅かで、緩やかな登りに変わり、酸ヶ平の広がる台地にでる。三叉路から避難小屋に向かうと、その先でガレ場の登りになる。息を切らすが、登りはそう長くはない。前ピークの肩に出て振り返ると、鎌沼や東吾妻山の眺めが広がり、足を停めて眺め入ることになった。その先は、砂礫地の緩やかな登りで一切経山の山頂に到着する。
 山頂をそのまま通り過ぎて、下り斜面の縁に出ると、五色沼の眺めが広がった。雲が流れる状態であったが、湖面に青空と白雲が浮かぶ眺めを楽しむことができた。山頂には、他に二名がいるだけであった。
 引き返して、酸ヶ平の三叉路から鎌沼に進んだ。酸ヶ平の草は、早くも茶色に色づいていた。鎌沼も静かな湖面を広げており、秋の風情を楽しむことができた。いつもだと東吾妻山を登って周回するのだが、浄土平の駐車場に車を停めたので、東吾妻山を登ると、最後の車道歩きが長くなる。鎌沼の眺めを楽しんだ後に、そのまま浄土平に下った。この道は、今まで歩いたことがない。
 浄土平に戻ると、登山者の車で駐車場がかなり埋まっていた。しかし、観光バスはおらず、福島県の観光の低迷状態を知ることになった。

山行目次に戻る
表紙に戻る