栂池自然園、雨飾山

栂池自然園
雨飾山


【日時】 2011年7月8日(金)〜10日(日) 前夜発各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 9日:晴後曇り 10日:晴

【山域】 後立山連峰北部
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 栂池自然園・つがいけしぜんえん・2020m・なし・長野県
【地形図 20万/5万/2.5万】 富山/白馬岳/白馬岳
【コース】 栂池ロープウェイより
【ガイド】 山と高原地図「白馬岳」(昭文社」
【料金】 3300円(ロープウェイ往復、入園料)、駐車場 300円
【温泉】 倉下の湯 500円

【山域】 海谷山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
雨飾山・あまかざりやま・1963.2m・二等三角点・新潟県、長野県
【地形図 20万/5万/2.5万】 富山/小滝/越後大野、雨飾山
【コース】 雨飾高原キャンプ場より
【ガイド】 新・分県登山ガイド「長野県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「妙高・戸隠・雨飾」(昭文社)

【時間記録】
7月8日(金) 16:00 新潟=(北陸自動車道、糸魚川IC、R.148、小谷温泉、R.148 経由)=21:00 岩岳入口  (車中泊)
7月9日(土) 6:20 岩岳入口=(R.148 経由)=6:40 栂池高原〜7:25 発=(栂池パノラマウェイ 経由)=8:07 自然園駅―9:33 展望湿原〜9:51 発―11:45 自然園駅=(栂池パノラマウェイ、R.148、小谷温泉 経由)=15:00 雨飾高原キャンプ場  (車中泊)
7月10日(日) 4:45 雨飾高原キャンプ場―5:30 ブナ平―6:05 荒菅沢―9:05 笹平金山分岐―7:34 雨飾山〜8:08 発―8:43 笹平金山分岐―9:32 荒菅沢―10:08 ブナ平―10:50 雨飾高原キャンプ場=(小谷温泉、R.148、糸魚川IC、北陸自動車道 経由)=14:00 新潟
 栂池自然園は、白馬連峰の乗鞍岳の東南山麓の1860〜2020mの間に広がる湿原である。ロープウェイを利用してアプローチできるが、2km程の奥行きがあり、一周すれば軽ハイキングになる。

 妙高連峰西端の雨飾山は、百名山に選ばれていることもあり、交通の便は良いとはいえないにもかかわらず、休日は山頂直下の上り下りで渋滞になるほどの人気の山になっている。登山道が四方から開かれているが、その中でも、雨飾高原キャンプ場は、途中の荒菅沢からの布団菱の岩峰の眺めが素晴らしいこともあって、最も人気の高いコースになっている。

 梅雨の間の山は、天気予報に振り回されて、直前にならないと、北か南、どの方面の山に行くかも決まらない。天気予報を見て、上越方面の天気が良さそうなため、しばらく登っていない金山を登ることにして出かけた。
 金山は新潟県の山になるが、長野県側から入るために移動時間がかかるので、早めに家を出た。ところが、小谷温泉の先の妙高高原に抜ける林道の入り口にチェーンが張ってあり、侵入禁止になっていた。2000年7月に登った時は、妙高高原まで通り抜けはできなかったものの、金山の登山口までは車で入ることができたので、今回は油断して道路状況を確かめないでいた。
 急遽、別な山を考えることになり、第二案の栂池自然園を訪れることにした。先頃、地元のテレビのハイキングコーナーで、栂池自然園が紹介されたばかりである。栂池へのロープウェイを利用すると、そのまま白馬岳を目指すことになって、栂池自然園はそのままパスすることになってしまう。この機会に、栂池自然園も訪れておくことにした。
 一旦、白馬村の恒例になっている野宿場所で夜を明かした。ロープウェイは、8時始発のはずなので、ゆっくりと起きて栂池高原を目指した。高原に出ると、快晴の朝になって、白馬岳を中心とする後立山連峰の山々の眺めが広がった。
 有料駐車場に車を停めてから、ロープウェイの始発時間を確認すると、7時半になっていた。始発時間には、ひと集団の登山者が集まったが、梅雨時のせいで少ない状態であった。切符の購入を見ていると、自然園へのハイカーは半分ほどのようであった。自然園だけならば、始発に乗る必要はないと普通は考える。
 ゴンドラとロープウェイを乗り継ぐと、標高1820mまで一気に上がってしまうことができる。車道をひと登りすると、自然園の入り口に到着する。白馬大池への登山道も、この入口から始まる。
 栂池自然園は、入場料を徴収するだけのことはあって、木道がしっかり整備されていた。湿原の向こうには白馬岳が頭をのぞかせて、美しい眺めを見せていた。湿原にはミズバショウが白い花を散らばせ、ミヤマキンポウゲが黄色い群落を作っていた。花を眺めながら木道を進んだ。
 木道は細かく分岐したが、とりあえず、右側に分かれる道を選んで奥へと進んだ。栂池自然園は、主に東西の二つの湿原からなるが、東のわたすげ湿原を横断すると、楠川の横断になる。川の先は、登りになるが、キヌガサソウやシラネアオイの群落が現れて楽しませてくれた。
 早くも雲がかかってきて、白馬連峰の眺めは閉ざされてしまった。始発のロープウェイに乗ったのは正解であった。
 浮島湿原の分岐からはモウセン池を目指すと、登りが続くようになって、汗が噴き出てきた。ハイキングレベルと油断したが、結構歩きでがある。
 展望湿原に到着したところで、木のテラスの上でひと休みした。早くもガスが流れるようになって、湿原を乳白色に染めていた。
 展望湿原の少し先が最高点になり、その後は、階段状の急坂が続くようになった。ここを登るには、ちょっとした登山並みの体力が必要になる。歩いてきたように、反時計回りにコースを選んだ方が楽なようである。
 浮島湿原に戻る頃には、大勢のハイカーに出会うようになった。花を見ながら、来たのとは別な道を選んで入口に戻った。高層湿原とあって花は多く、楽しむことができた。
 下界に戻ると、猛暑が襲ってきた。涼しい所を探して車を走らせることになった。八方尾根の黒菱平に上がってしまおうかと思ったが、林道が通行止めになっていた。木陰に車を停めて、翌日の山を考えた。持ってきていた登山地図のうちから雨飾山を選んだ。昨晩金山を断念した後、そのまま雨飾山に予定変更をすれば、無駄な移動がなくなったのだが、栂池自然園を楽しんだのでよしとしよう。
 再び来た道を戻り、雨飾山登山口を目指した。この晩は、大網峠へ少し進んだ所の駐車スペースで夜を過ごした。その前に大網峠まで様子をうかがいに進むと、峠から先の林道は通行可能になっていた。
 夜中に雷雨が襲ってきたものの、翌朝は快晴になっていた。車を動かして、登山口に移動した。登山口には広い駐車場が設けられて、雨飾山の人気のほどがうかがわれるが、梅雨の時期とあって、車は10台ほどで少なかった。前夜泊なのか、朝食をとっている登山者が多いなか、登山道に進んだ。
 登山道は、沢に向かって緩やかに下っていく。前夜の雨のせいで木の枝が倒れこんできており、掻き分けるうちに濡れてしまったが、いずれにせよ汗でずぶぬれになる運命であった。
 しばらくは大海川の河原歩きが続く。木道が整備されて歩きやすくなっていた。雨飾山は、毎回違った登山道を歩いてきたため、最も代表的なこのコースを往復するのは、第一回目の1992年10月以来のことになる。少し歩いた所で、11分の1の行程標識が現れた。この標識は、どのような基準で決められたのかは判らないが、坂の途中などに置かれており、歩くうえであまり助けにはならなかった。
 尾根の末端に取りつくと、本格的な登りが続くようになった。傾斜が緩んでトラバース気味の登りに変わると、ブナ平に到着した。周辺のブナ林が見事であった。
 谷の奥へと進むトラバース気味の歩きが続いた。枝尾根を乗り越すと、荒菅沢の眺めが飛び込む展望地に出た。布団菱の岩峰と残雪に彩られた沢の眺めを楽しむことができた。先回は紅葉の季節であったので、残雪の眺めは初めてであった。
 沢に向かって下っていくと、残雪に覆われた荒菅沢に出た。登山道の続きをうかがってから残雪を横断した。青空をバックにした布団菱の眺めが素晴らしかった。残雪の上では冷気が流れて、立ち止まると寒く感じられるほどであった。
 荒菅沢からは、急な登りが続くようになった。笹平までは標高差450mなので、ここからが一番の頑張り所になる。枝尾根上に出ると、ピークに向かって登山道が続いていくのが見える。前方のピークが山頂のように見えるが、これはだましのピークで、期待が裏切られて余計に疲れることになる。痩せ尾根になり、露岩部に木の梯子が二か所に掛けられている。混雑時には、ここで渋滞がおきるのだが、この日は問題なく通過できた。
 背後に金山や焼山の眺めが広がるようになると、笹平に到着する。たおやかに広がる笹原の向こうに雨飾山の山頂が頭をもたげていた。その左右には、北アルプスの峰々が広がり、山頂での展望の期待が高まった。
 笹平一帯は花も多く、今回の目的の一つになっていたが、まずは雨飾山の山頂を目指した。山頂が近づくと、山頂に登山者が立っているのが目にとまった。急坂を登って行き、山頂の手前に達したところで、三名グループが下ってくるのとすれ違った。到着した山頂には誰もおらず、独り占めで静かに展望を楽しむことができた。
 白馬岳を中心とした後立山の眺めが長く続いていた。残雪もまだ豊富で、谷に引かれた白い筋が美しかった。東には、金山と天狗原山が大きく、その背後に焼山が聳え、火打山も頭を見せていた。鋸岳から鬼ヶ面山、駒ヶ岳と続く岩稜も標高こそ低いものの、存在感を見せていた。展望を楽しんでいるうちに、ガスが流れて、周囲の展望も見え隠れするようになった。
 山頂付近にも、お花畑が広がり、グンナイフウロやテガタチドリの花を見ることができた。山頂からの急坂の途中で、登山者にもすれ違うようになった。笹平では、ハクサンフウロやトキソウの花も見ることができ、花の点では満足することができた。
 笹平から尾根の下りに入ると、暑さが堪えるようになった。気温が一気に上がったようである。大汗をかきながらの下りになった。すれ違う登りの登山者は、一様に苦労しているようであった。雨飾山は、コースタイムからすればそれほどかからないが、暑さ対策と、気温が上がってガスが広がる前の展望を楽しむためにも、早立ちが正解であった。
 下山すると、猛暑になっており、温泉に入る気にもなれず、家路についた。結局、この日が梅雨明けになった。

山行目次に戻る
表紙に戻る