兎平から三五郎山

兎平から三五郎山


【日時】 2011年2月24日(木) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 菅名山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 兎平・うさぎだいら・683.6m・三等三角点・新潟県
 横山・よこやま・861m・なし・新潟県
 三五郎山・さんごろうやま・910m・なし・新潟県
【コース】 電気橋たもとより
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川、御神楽岳/高石、馬下
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:40 新潟発=(R.49、茅野山、R.403、新津、村松、笹目 経由)=7:40 電気橋たもと〜8:05 発―10:28 兎平―11:35 横山―12:03 三五郎山〜12:10 発―12:33 横山〜12:55 発―13:43 兎平―14:52 電気橋たもと=(往路を戻る)=16:20 新潟
 新潟周辺でも人気の菅名山塊には、多くの登山道が開かれているが、それらは新潟平野よりの西面に集中しており、東面は、大きな空白状態になっている。その中にあって、地図を見ると、菅名山塊南部の笹目の集落近くから北東に長い尾根が続き、登山道を示す破線が記されている。この破線は、683.6m三角点付近に広がる台地で終わっているが、この一帯を兎平と呼ぶ。この道は廃道になっているようで、登るのは、冬から早春の雪のある時期に限られる。兎平からの尾根は、風越山からの尾根に合流して菅名山塊最高峰の三五郎山に続いている。

 仕事が休みのため山に出かけることにした。晴天になるようなので、展望の良い山ということで、兎平に出かけることにした。今年は兎年のため、干支にからんだこの山も、登る者が多いであろうと思われる。自分の干支でもあるので登りたいと思っていたが、道の無い山で人に出会うのは面倒なので、平日に登ることができるのはありがたい。
 兎平の登山口に向かう途中でみた福連寺山や雷山は、雪解けが進んで、地肌が目立ってきていた。今年の大雪も下越方面はそれほどのことはなく、例年並みに雪解けが進行しているようである。
 これまでと同じように、早出川を渡った橋のたもとから取りつくようにした。道路脇の斜面からは、雪がほどんど無くなっていた。斜面は木もまばらな草付きのため、足を滑らせて滑り落ちる可能性が高い。兎平にはこれまで二回登っているが、ここから雪にステップを切って登り初めている。道幅を広くする道路工事が行われたことによって、法面が急になってしまったようである。別な所から取りつくか迷ったが、すぐ脇に落ち込む沢から取りつくことにした。
 沢の水は少なく、不安定な石が転がっているが、滑落のような危険性はない。デブり跡と思われる土砂に覆われている所もあったが、沢の周囲の斜面の雪はほとんど無くなっていた。
 初めは切り立っていた沢の両脇も、次第に緩やかになっていき、ひと登りしたところで雪原の残る杉林の斜面が緩やかに沢に落ち込んできた。沢を離れて雪原に上がって、スノーシューを履いた。すぐ上で尾根が鞍部状にたるんだおり、そこを目指して登った。この最初の取りつきさえクリアすれば、兎平までは、地形が複雑な以外は、特別な難所はない。
 雪原はここのところの暖かさでグズグズになっており、スノーシューでも足を取られる状態であった。団体のものと思われるトレースがあり、自分でもGPSでコースを確認するものの、これを辿ることになった。
 兎平までのコースは、はじめは杉林で見通しが利かず、さらに尾根が合わさってくるので、登りはともかく下りは難しくなるので、注意しながら歩く必要がある。GPSを使わない状態なら、要所に赤布を付けながら歩く必要が出てくる。
 周囲に雑木林が広がるようになると、まだ距離はあるが、兎平の雪原の縁が見えてきた。沢を挟んで、青空をバックにした風越山付近の雪稜も見えてきて期待も高まった。頑張って歩き続けるうちにようやく兎平も迫ってきた。
 兎平への最後の登りは、短いが急斜面になる。直登の後に右にトラバースしてから折り返すと、兎平に到着した。
 兎平は、緩やかに起伏する雪原になっており、その先には風越山から三五郎山に至る稜線が広がっている。振り返ると、日本平や五剣谷岳、粟ヶ岳、白山といった川内山塊の遮るもののない展望が広がっていた。兎平にはこれまで二回登っているが、いずれも吹雪の中の登山であった。ようやく兎平の魅力を味わうことができた。
 カメラを構えながら、台地の先まで進んだ。あまりに素晴らしい天気のため、この雪原でのんびり昼寝状態で過ごすのも良いなという誘惑に変わられたが、やはり三五郎山に至る稜線が気になった。菅名山塊の主稜線は歩いているが、兎平と結んでいないのが心残りになっている。
 カメラを仕舞い込み、歩きに専念することにした。緩やかに登っていく尾根は、幅広で、雪庇が縁取っていた。1000mにも満たない山とは思えない本格的な雪山になっていた。
 風越山からの尾根に到着すると、兎平は下に遠ざかっていた。未踏区間を結ぶという目的は果たしたが、やはりピークまで登りつかないと、気がおさまらない。風越山と三五郎山のどちらに向かうか迷ったが、右手の横山(861m)ピークが真っ白な雪原に覆われて魅力的だったので、こちらに向かうことにした。
 雪原登りで横山に到着すと、目の前に大蔵山から三五郎山にかけての稜線が目の前に迫っていた。疲れも出てきていたが、もうひと頑張りして先に進んだ。横山からは、急な下りになった。固い雪の上に新雪が積もった状態になっており、滑りやすくなっていた。三五郎山に向かっては、幅広の雪陵の登りが続いた。
 三五郎山に到着すると、沢山の足跡が残されていた。単独行が菅名岳に向かうのが見えた。三五郎山は、菅名山塊の最高峰のため、この日の歩きはここまでとした。ここまでの眺めに加えて、菅名岳や飯豊連峰の眺めも広がっていた。
 横山への登り返しで息がきれそうなため、横山まで戻ったところで大休止をとることにした。
 横山に戻って食事をしながら展望を楽しんだ。暑いといってもよい陽気になっていた。冬の間の歩きでは、水をほとんど飲まなかったが、この日は喉が渇いて、下山までに1Lを消費していた。
 兎平には、トレースからするとかなりの登山者が登っていたようだが、この日は大展望の雪山を一人占めすることができた。

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