栗駒山、八森山、蔵王熊野岳

栗駒山
八森山
蔵王熊野岳


【日時】 2010年9月17日(金)〜20日(月) 前夜発3泊3日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 18日:曇り 19日:曇り 20日:曇り

【山域】 栗駒山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 栗駒山・くりこまやま・1627.4m・一等三角点本点・岩手県、宮城県
 秣岳・まぐさだけ・1424.0m・三等三角点・秋田県
【コース】 須川温泉より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新荘/秋の宮/栗駒山、桂沢
【ガイド】 秋田の山登り50(無明舎出版)、山と高原地図「栗駒・早池峰」(昭文社
【温泉】 須川温泉・須川高原温泉 600円

【山域】 神室連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 八森山・はちもりやま・1098m・無し・山形県
【コース】 薬師原登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 新荘/新庄/瀬見
【ガイド】 新・分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 大堀温泉・りんどう 350円

【山域】 蔵王山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 熊野岳・くまのだけ・1840.5m・二等三角点・山形県
 刈田岳・かっただけ・1758.0m・三等三角点・宮城県
【コース】 刈田岳登山リフト登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/上山/蔵王山
【ガイド】 新・分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「蔵王・面白山・舟形山」

【時間記録】
9月17日(金) 15:00 新潟=(日本海東北自動車道、神林岩船港インター、R.7、酒田、R.345、戸沢、真室川、R.13、雄勝、R.398 経由)=20:30 須川温泉  (車中泊)
9月18日(土) 6:02 須川温泉―6:17 名残ヶ原―6:50 昭和湖―7:29 天狗平分岐―7:48 栗駒山―8:05 天狗平分岐―9:34 秣岳〜9:50 発―10:34 秣岳登山口―11:13 須川温泉=(R.398、雄勝、R.13、新庄、R.47、鵜杉 経由)=15:00 薬師原登山口  (車中泊)
9月19日(日) 6:00 林道入口―6:15 林道終点―7:37 稜線上―8:15 八森山〜8:30 発―8:56 稜線上―10:00 林道終点―10:15 林道入口=(鵜杉、R.47、新庄、R.13、山形、蔵王エコーライン 経由)=15:30 刈田岳登山リフト登山口  (車中泊)
9月20日(月) 6:35 刈田岳登山リフト登山口―6:52 刈田岳下分岐―6:57 刈田岳―7:06 刈田岳下分岐―7:45 熊野岳―8:28 刈田岳下分岐―8:34 刈田岳登山リフト登山口=(蔵王エコーライン、山形、R.13、赤湯、R.113、胎内荒川IC、日本海東北自動車道 経由)=12:00 新潟
 栗駒山は、秋田、岩手、宮城の三県にまたがる独立峰である。高山植物に彩られ、山麓には多くの温泉が点在していることから人気の高い山になっている。秣岳は、栗駒山の西の秋田県内にあるピークで、栗駒山から秣岳を結ぶ天馬尾根には小湿原が連なっている。2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震は、栗駒山を中心にた山体崩壊や土砂崩れを起こし、アクセス道路の崩壊によって登山もできなくなっていた。今年になって復旧も進み、ようやく登山もできるようになってきた。

 八森山は、神室連峰南部の山で、鋭い山頂を持つ山が多いこの一帯で、ドーム型のなだらかな山頂を持っている。

 蔵王連峰の最高峰である熊野岳は、信仰の対象の山としての歴史も有しており、蔵王連峰の主峰になっている。熊野岳の南に隣り合う刈田岳には、蔵王エコーラインが通じて、噴火口が山上湖となった御釜見物の観光客で賑わいを見せている。

 連休となると道路も混み合うことを考えると、どうしても東北の山に足が向いてしまう。天気はあまり良くなさそうなので、予定変更も考えて、地図を印刷するためのパソコンとプリンターも車に積んで出かけることにした。
 初日の山は神室山塊の八森山として、車を北に向かって走らせた。早めに家を出たことと、無料の村上まで延びた高速を使ったことから、新庄には思ったよりも早い時間に到着した。もう少し車を走らせることもできることから、目的地を栗駒山に変更することにした。栗駒山は、一般的には東北自動車道の一関から入るのが普通であろうが、無料化になる土曜日に入ってから高速を下りたのでは登山口に入るのが深夜になることから、初日の山としては避けていた。
 雄勝から子安峡を通って栗駒山への登りにかかると、快適な山岳道路が続いた。車のナビと実際の道路はずれており、新しい道路が開かれたようである。
 須川温泉周辺には、広い駐車場が設けられていたが、静かに夜を過ごすため、少し戻ったところの駐車場に車を停めて寝た。
 朝になってから須川温泉の駐車場に車を移動させた。早朝のせいもあるのか、登山者はみられなかった。地震による影響のせいで、入山者も以前のレベルに戻っていないようであった。
 登山口からしばらくは、コンクリート敷きの登山道が続くが、脇から延びた草が倒れ気味で、ズボンの裾がたちまち濡れてしまった。
 最初の目的地の名残ヶ原は、茶色に色づきはじめていた。ここまでは温泉客も散歩がてら入り込むのだが、誰もおらず、静かな湿原に霧が流れていた。
 その先で沢を渡って尾根沿いの登りになると、地獄谷に出た。先回の時よりも硫黄の臭いがきつく、足早に通過するよう努力した。その上で、昭和湖に出る。硫黄成分のせいか、緑の色をした水を湛えた火山湖である。ベンチも置かれており、ひと息入れるには良いところである。このコースは、湿原や火山湖が現れて変化に富んでいる。
 昭和湖からは、急な登りが続くが、丸太階段の改良工事中で、泥だらけの道に変わっていた。
 ひと汗かいて、天狗平の分岐に出た。栗駒山へは、左の道に進む。なだらかな細尾根の登りになるが、木道が二本並べられているところが左右から笹が倒れ込んで、木道の間の中央を伝い歩きするような所も出てきた。地震の影響で登山者が入らなかったため、草が延びてきてしまったようである。
 栗駒山の山頂に到着すると、地元の高校生の一団と、夫婦連れが休んでいた。時間的にみて、夫婦連れは、いわかがみ平から登ってきたようである。一瞬、ガスの切れ間からいわかがみ平を見下すことができたが、すぐに覆い隠されてしまった。風も冷たいので、すぐに来た道を戻った。
 天狗平の分岐から秣岳への登山道に進んだ。道型はしっかりしているものの、草が倒れ込んでおり、しずくが体に降りかかった。雨具を着るタイミングも逸しているため、そのまま歩き続けることになった。
 灌木帯の下りがしばらく続いた。小ピークを越えてから県境稜線から離れて秣岳への登りにとりかかると、木道が敷かれた草原が現れる。草原は、茶色に色づいていた。霧を透かしてピークが見えたので秣岳かと思ったが、手前の小岩峰であった。小岩峰を越えると、秣岳手前のしろがね草原に出る。霧も晴れて、秣岳の山頂が姿を現した。
 秣岳はは、草付きの斜面を急登する必要がある。振り返ると、霧の中からしろがね草原が見え隠れしていた。秣岳の山頂はドーム状で、山頂まで進むと灌木に囲まれて展望はないので、斜面の縁で眺めを楽しみながら休んだ方が良いのかもしれない。秣岳の山頂で、大休止にした。
 秣岳からは、急な下りが続く。ブナ林の中の歩きになると、やがて車道に飛び出し、後は須川温泉までの車道歩きになる。40分ほどかかるが、栗駒山から秣岳への周回は、その車道歩きの労力にみあったものがある。
 車に戻り、栗駒山の楽しみの一つである温泉に入った。栗駒山荘には入ったことがあるので、今回は須川高原温泉に入った。秘湯を守る会の温泉であるが、地震で壊れたのか、建物は新しくなっていた。硫黄臭のある温泉らしい温泉であった。
 翌日は、初日の予定であった神室山塊の八森山を登ることにした。新庄に戻り、鳴子方面に向かった。ガイドブックにある国道から鵜杉駅への入り方が判らず、一旦行きすぎてから戻り、上鵜杉の標識で曲がると、すぐ先で鵜杉駅脇の踏みきりを通過した。道なりに進み、人家を過ぎた所で、刃場川沿いの林道が左に分かれた。この分岐には、八森山登山口の標識が置かれていた。
 未舗装の林道は少し荒れており、簡易水道施設の先からは、草が倒れ込んで、車がかきわけながら進む所も出てきた。林道への車の乗り入れは、刃場川にかかる橋のたもとの小広場までになった。その先の林道は、草がかぶっていた。
 翌日は雨の予報が出ていたため、八森山に登ることができるかは判らない状態であった。雨の中、悪路の先で夜を過ごすのは嫌だったので、一旦林道から出ることにした。幸い、林道入口近くの刃場川脇に広場があり、ここで夜を過ごすことにした。車の中でくつろいでいると、激しい雨になった。翌朝の天気に不安を覚える状態になった。
 翌朝は、曇り空で山の稜線も見える状態であった。再び林道に車を進めるのも気が進まず、林道入口から歩くことにした。幸い、15分の歩きで林道終点広場に到着した。
 夏草の茂った林道跡を辿っていくと、登山届のポストが置かれた、八森山の登山口に到着した。枝沢を踏み石伝いに飛び越したが、水量も増しており、場所を良く見定める必要があった。渡った先の河原は夏草が茂って、踏み跡も判りにくい状態であった。コンクリートの護岸を右手に見ながらまっすぐ進むと、尾根にぶつかった。ひと登りすると水平に延びる幅広の道に出た。杉の植林のための作業道の名残りのようであった。一旦、右の下流方向に進み、折り返すようにして尾根の登りにとりかかった。
 ここからは、はっきりした幅広の登山道が続くようになった。ひと登りすると、一合目の標識が現れた。「平成21年度大堀小学校親子行事」と書かれていた。八森山は、学校登山にも使われる山ということが判ったが、田舎の子供は元気で体力もあるため、気をぬくことはできない。おそらく、担任の先生が、この登山では一番辛い思いをするのではないだろうか。
 尾根の一本登りが続いた。二合目を過ぎると、杉の植林地からブナ林に変わった。植林地よりは、ブナ林の中を歩く方が楽しい。雨がぱらついてすぐに止んだものの、天気に不安を覚えて、登りの足を速めることになった。
 七合目付近の急坂を突破すると、稜線上にでた。小ピークの脇を抜けると、細尾根が続く先に、八森山を望むことができた。この先の登山道は細くなり、草がかぶっている状態になった。山頂は、まだ高く、稜線上に出たからといっても、気を抜くことができなかった。八合目から九合目を過ぎると、コースは西に方向を変え、なだらかな山頂を持つ八森山に到着した。
 槍ヶ先への登山道が分かれる三叉路に出たので直進すると。そのすぐ先が最高点であった。登山道は緩やかに下っていくので少し先に進んだが、ガスがかかって周囲の様子が判らないので引き返した。
 最高点に山頂標識がなかったので、槍ヶ先方面の登山道に進んだ先に山頂広場でもあるかと思ったのだが、笹原の中の道が緩やかに下っていだけであった。車に戻ってガイドブックを読むと、西峰が山頂とされているとのことであった。地図では、三叉路脇が山頂となっているので、登ったことには違いはないであろう。
 八森山の山頂部はガスに囲まれて寒いほどであったので、そのまま下山に移った。7合目のブナ林に戻ったところで、雨に合わずに下山できそうなため、腰を下して食事にした。
 その先の尾根沿いの登山道はしっかりしているので、足早に下ることができた。
 下山後は、近くの大堀温泉で汗を流した。温泉から出ると、本降りの雨になっていたので、良いタイミングでの下山であったことになる。
 三日目は、連休最終日ということで、家近くまで戻った所の山ということで、蔵王の熊野岳を登ることにした。名号峰まで足を延ばしたかったが、これは天候次第ということになる。
 新庄から山形までは、高速道路の無料開放区間が断続し、以前よりも時間が短くなっている。
 蔵王エコーラインで一気に高度を上げると、刈田岳へのリフト乗り場に到着した。風が強く、半そでで車の外に出ると、震えるほどであった。その中でも、リフトは動いており、観光客が登り下りしていた。ここで夜を過ごすことにして車の中で休んでいると、霧が濃くなり、雨も降ってきた。翌朝は、そのまま山を下って、他の低山に変更する可能性も出てきた。  翌朝は、霧がかかるものの穏やかな朝になっていた。様子見をしていると、霧も晴れて稜線が見えるようになってきたので、歩きだした。
 リフト乗り場から登山道が始まっていたが、荒れ気味であった。登山者には充分な道であるが、片道でも下ろうという気になった観光客には難しい道であった。
 傾斜が緩むと幅広尾根に出て、刈田岳の下に到着した。刈田岳の駐車場から登ってきた者が刈田岳の山頂にいるのが見えた。空いているうちに刈田岳の山頂に立っておくことにして、刈田岳に向かった。石段状態の坂をひと登りすると刈田岳の山頂に到着した。刈田岳は、1993年6月以来ということになる。山頂には、刈田嶺神社が置かれ、広場からは屏風岳方面の展望が開け、緑の水を湛えたお釜も望むことができた。熊野岳に至る馬ノ背からもお釜の眺めが広がっているが、刈田岳からの眺めが、一番のような気がする。
 分岐に戻り、道標代わりの木の柱が並ぶ馬ノ背を進んだ。熊野岳から東に延びる尾根に突き当たると、ガレ場の急な登りになり、避難小屋の前に出た。左に曲がって幅広尾根を進むと熊野神社のある熊野岳に到着した。熊野神社は石垣に囲まれて、避難小屋も設けられている。
 地蔵岳方面も眺めることができたが、ガスが流れて、この先の天気は回復しそうにはなかった。名号峰は諦めて、下山することにした。熊野岳からは直接馬ノ背に戻る道を下った。
 リフト乗り場に戻ると、丁度リフトが動き始めていた。
 蔵王は、まだ歩いていないコースも多いので、また来ることにして、早めに家に戻ることにした。

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