姥見ノ頭

姥見ノ頭


【日時】 2010年4月10日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 谷川連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 姥見ノ頭・うばみのかしら・946.1m・二等三角点・新潟県
【コース】 舞子後楽園スキー場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/越後湯沢/越後湯沢
【ガイド】 なし

【時間記録】 6:50 新潟=(関越自動車道、塩沢石打IC 経由)=8:45 舞子後楽園スキー場〜9:00 発―10:26 ゲレンデトップ―11:25 姥見ノ頭〜11:50 発―12:58 舞子後楽園スキー場=(六日町、R.253、十日町、R.117 経由)=19:00 さかえ倶楽部スキー場
 姥見ノ頭は、谷川連峰前衛のあたる飯士山の北東に向かいあう二等三角点ピークである。姥見ノ頭と飯士山で、越後湯沢と清水の間にまとまった山塊をつくるにもかかわらず、姥見ノ頭は地図にも名前が記載されておらず、忘れられた存在になっている。

 コンピューター・ソフトの「どこでもパノラマ」には、地図にも記載されていない山の名前も記されており、パノラマ図作成以外にも、知られざる山の発見のための役に立つ。 姥見ノ頭も、谷川連峰周辺で登りやすそうで面白そうな山を地図上で探していったところ、目に付いた山である。
 舞子後楽園スキー場のトップからなら、遠くない距離である。スキー場の閉鎖直後に、残雪を利用して登るのが良いであろうと、時期を待っていた。スキー場も4月の第一週の週末で営業を終わったようなので、出かけることにした。
 六日町付近を過ぎると、高速の上からも谷川連峰の眺めが広がるが、その中でも鋭い山頂を突き上げる飯士山は、ひと際目立つ存在になっている。肩まで広がるスキー場が目障りではあるが、今日はそのスキーゲレンデを登山ルートに使うので、あまり文句は付けられない。
 塩沢石打ICで高速を下り、案内標識に従って舞子後楽園スキー場に向かう。高みに向かって一直線に延びる車道を進むと、ゴンドラの山麓駅に出たが、除雪された車道はさらに続いていた。初心者用のゲレンデを右手に見ながら車を進めた。大雪であったせいか、ゲレンデには一面の雪が残されており、スキーには支障の無い状態であったが、あらかじめ決められた時期になったため営業は終了したようである。結局、最下部の初心者用ゲレンデの三分の二程を上がったところで、除雪は急に終わっていた。除雪終点には車の回転場所が無かったため、バックして戻り、車を回転させてから改めてバックで除雪終点まで車を進めた。600mほどの歩く距離を短縮することができた。
 ゲレンデ上部には岩原スキー場との境になる分界稜線も良く眺めることができた。稜線上には、最初の目標地点になるスキーリフトの山頂駅も見えていた。ゲレンデを歩くとなると、地図ではコースを読み取りきれないので、現場で判断しながら歩くことになる。
 久しぶりの青空が広がっていたが、雪もグズグスになっていた。つぼ足でも歩けないことはないが、スノーシューを履いた方が楽そうであった。ピッケルとアイゼンも持ったため、ザックは重くなった。
 最下部のゲレンデ終点からは、左手の長峰バレイに進む。ここからは、リフトが、稜線上まで続いている。ガンガンコースを辿ることになった。右手に沢を見ながら登っていき、急斜面に付き当たったところで、左に方向を変えて尾根上に出ると、ゴンドラ終点からの迂回コースが合わさる中間広場に出た。ゲレンデ登りは、楽そうで意外に体力を必要とする。汗を拭きながら背後を振り返ると、石打の丘陵地帯の眺めが広がっていた。
 中間広場からは、稜線に突き上げるコースが正面に見えていたので、そのまま直進したが、ここでは、リフトの左手に方句を変えて登るべきであったと、後で知ることになった。一番の急斜面になり、体力は必要なものの、一気の登りの爽快感があった。
 稜線上に出ると、飯士山の鋭い山頂が目の前にそそり立つ眺めが広がった。スキーゲレンデに真っ白な雪原が残されているにもかかわらず、人が見られないのは、白日夢を見るような不思議な感じであった。
 尾根を左に巻いていき、奥添地ボールからのリフト山頂駅をめざした。ゲレンデ歩きは、ここまでで、後は稜線を辿ることになる。
 リフト山頂駅脇の取り付き部は、奥添地側は急斜面で藪も出ていたため、舞子後楽園側の少し下から取り付いた。稜線上は、雪庇が落ち切った後の三角形の雪稜になっていた。スノーシューで頭を踏み締めながら進んだが、足を滑らせば落ちて危険な状態であった。885mの小ピークを越えると、その先は雪が割れて藪が出ていた。事前の地図読みでも、この885m点周辺は、尾根が痩せていそうなため、このピークを避けて、北の鞍部へ谷沿いに進む予定であった。スキーゲレンデに引きずられて、このピークを越すことになってしまった。
 稜線から西の谷間に向かって比較的傾斜の緩い所があったため、ここを下ることになった。つぼ足になると、膝下まで潜る状態で、滑落の心配は無かった。一段下ったところでトラバースし、高度をできるだけ落とさないようにした。谷の源頭部にはブナ林が広がっていた。885m小ピークの下りは雪が消えて、かなりの長さで藪が出ていた。稜線上まで、ひと頑張りして登り返した。登り返しは標高差で30m程であったので、それほどのロスというわけではなかった。
 左から尾根が合わさると、その先はブナ林に囲まれた稜線歩きが続いた。再びスノーシューを履いて、残雪歩きを楽しんだ。一部は尾根が痩せているところもあったが、難なく通過できた。
 姥見ノ頭の直下に到着して、山頂をうかがうと、短いが急斜面になっており、雪原にも穴が開いていた。雪解けが進んで藪が出かかっていた。スノーシューを脱いで、つぼ足で登ることになった。
 穴に注意したが、やはり落ち込んでしまった。腰までもぐったが、バランスを崩して滑落するよりは良い。左手の藪の縁を枝をつかみながら登ることになった。
 姥見ノ頭は、尾根が合わってできた雪の小山になっていた。ザックを下すため、雪を踏みしめて足場を確保したが、一畳ほどの広さであった。文字通りに360度の展望が広がっていた。
 巻機山から柄沢山、大烏帽子山、ジャンクションピーク、七ツ小屋山、武能岳、茂倉岳、万太郎山、仙ノ倉山、平標山といった谷川連峰の主稜線を一望できた。その他にも、守門岳や大源太山、飯士山など、見るべき山は多かった。周囲一周の写真を撮るのは良いが、足元がおろそかになって雪稜から転落するのが恐ろしかった。飯士山も同様の360度の展望が楽しめるといっても、残雪期に登るのは難しいので、このような春山の眺めを楽しむことはできない。今年の冬も、一般登山道の無い山に登ってきたが、木立に囲まれて展望のない山というのが続いていた。久しぶりのヒットといえる山であった。
 下りの際に北に延びる尾根に進んでみると、山頂からは木立で阻まれていた六日町市街地と坂戸山の眺めが広がっていた。
 下山では、885m小ピーク手前の谷間からは、そのまま谷を下った。ブナ林が広がり、雪崩の心配もなさそうであった。沢形が現れたので、左岸にコースをとり、リフトの山頂駅の北側の谷間に出ると、ゲレンデに出た。その先はゲレンデの下りになった。登りの際に通過した中間広場に出ると、新しいスキーの跡が続いていた。細かいターンの連続で、かなりの腕前のようであった。
 ゲレンデの下りは、足が少し潜るといっても、そのままつぼ足で歩くことができた。一気に下り、早い時間に下山することができた。
 翌日は、やはりスキー上部の山ということで、県境から僅かに長野県に入った所の貝立山を目指すつもりであったが、時間が少し早かった。六万騎山で、春の花を見ていくことにした。登山口に到着してみると、周辺には多くの車が停められて、賑わっていた。
 登山口付近は、カタクリや雪割草が咲いていた。お花畑は登り口付近だけで規模は小さいが、ここでは、確実にコシノコバイモが見られる。花の撮影をしてから十日町に向かった。
 買い物をし、5時過ぎの割引された温泉に入った後に、さかえ倶楽部スキー場に向かった。スキー場の駐車場で夜を過ごしたが、朝になってみると、本降りの雨になっていた。前日の高い気温に、この雨とあっては、雪崩の危険が高い。登山はあっさり諦めて、家に向かって車を走らせた。結局、雨は止まず、そのまま家に戻ることになった。

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