大力山

大力山


【日時】 2010年2月21日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 大力山・だいりきさん・504m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田、日光/小千谷、須原/小出、大湯
【コース】 南面コースより
【ガイド】 南面コースはなし

【時間記録】 7:00 新潟=(関越自動車道、小出IC 経由)=8:40 城山トンネル南出口〜9:15 発―11:20 大力山〜12:00 発―13:00 城山トンネル南出口=(往路を戻る)=14:50 新潟
 大力山は、関越道の小出IC近くの干溝の背後にたたずむ里山である。標高は500mで、登山口の標高を考えれば、角田山程度のアルバイトで登ることのできる山である。越後駒ヶ岳や八海山をのぞみ、小出の町並みや魚野川の流れを見下ろすことのできる、展望の良いピークである。中部北陸遊歩道として城山に至る登山道が整備されており、最近では冬の時期にも登山者で賑わうようになっている。

 土曜日の荒天とはうって変り、日曜日には晴天がめぐってくるという。展望を楽しみに大力山を登ることにした。新しい山も良いが、せっかく登っても展望が開けているとは限らないので、晴天のチャンスを逃さないために、様子の判っている山を選んだ。
 大力山も、最近では冬にも登る登山者が多くなっているようである。長靴歩きで登ったという報告も見られるが、これは宝泉寺からのコースでの話である。今年は大雪で、昨日もかなり降ったため、宝泉寺からでもラッセルを強いられるはずであった。といっても、晴天に誘われて、多くの登山者が登ってくるため、少し時間が遅くなればトレースは出来上がるはずである。スノーシュー歩きを楽しむには、トレースがあっては面白くない。昨年に続いて、他の登山者がいないはずの南面からの林道を使ったコースから登ることにした。
 降雪翌日の晴天とあって、高速道周囲の山々は白く染まって輝いていた。小出のインターを出て、城山トンネルを目指すが、その手前の干溝が一般的な登山口である。城山トンネルを抜けた先の出口の左右に駐車スペースがあるので、そこから歩きだすことになる。 車道の脇の雪壁は、最盛期よりは低くなっているようであるが、2mを超える高さになっていた。まずはスコップを持っていき、取り付き部近くの雪の低い所を崩し、雪原に上がるステップを作った。
 新雪に備えてスノーシューにはイクステンションを付けていたが、雪の上に立つとそれでも膝下まで潜る状態であった。田圃を覆った雪原を横切って、沢の脇を走る林道に進んだ。谷の奥には、青空を背景にして、大力山手前の南の肩部が、白砂糖をまぶしたような杉林を纏った姿を見せていた。動物の足跡しか見られない雪原を、一歩ずつ、遅いものの、休むことなく前進できる速度を保って歩き続けた。
 谷奥の堰堤の下に雪に埋もれた橋があり、沢を渡って池の左岸に出る。池で休んでいた水鳥が、人間の登場に驚いて羽音も大きく飛び立っていった。
 林道は池を回り込んでいくが、脇の斜面から崩れた雪が林道を覆っていた。今年は大雪であったことに加えて、前日の昼間は気温が高かったので、雨が降ったのかもしれない。前方の谷も、デブリで埋まっていた。池の周囲の斜面は灌木帯で、雪が滑りやすいようである。
 池の先から尾根をからみながらの登りが続く。つづら折りが続くので距離は少し長くなるが、スノーシュー向きの緩い傾斜である。
 ひと汗かいて高度を上げると、六日町方面の眺めが広がった。さらに上がると、八海山の山頂も姿を現してきた。青空のもとの山頂での展望が楽しみになった。
 350m標高で杉林の中に入り、林道とは別れて、直登を開始する。杉林の中は見通しが利かないが、左右に沢が入り込んできて、枝尾根沿いの登りであることが判る。林道歩きよりは傾斜が増したが、杉林の中の雪は締っており、歩きは楽になった。
 390m標高を過ぎると、右手から迂回してきた林道に合わさるので、これを辿る。もっとも雪が積もっているため、林道とかろうじて見分けることができる状態になっていた。
 再び林道は右手に方向を大きく変えるが、城山に通じる尾根がすぐ上に迫っているので、直進して尾根に出る。その先は、一面の雪稜が広がっている。谷を巻いた先には、大力山が丸い山頂を見せている。もうひと頑張りと、雪稜の登りに取りかかる。傾斜は急であるが、幸い、ジグザグにコース取りをする余裕がある。
 大力山の南の肩の三叉路に出ると、大展望が目に飛び込んでくるが、お楽しみは山頂でということで、先に進んだ。山頂まではもうひと汗かく必要があるが、真っ白な雪稜を歩くこと自体が楽しみに思える。
 大力山の山頂に到着すると、踏み跡の無い真っ白の雪原が広がっていた。北の肩部の東屋脇では、大勢が休んでいる様子が見えたが、まだ誰もこの最高点まではやってきていなかった。先回は、一人ラッセルで処女雪を踏んで山頂に辿りついたものの、宝泉寺からの登山者がトレースをつけていた。山頂の処女雪は期待できないと思っていただけに、予想外のプレゼントをもらった気分になった。
 少し北に進んだ所の尾根の張り出し部でザックを下し、展望を楽しんだ。目の前には鳴倉山からトヤの頭へと稜線が連なり、その背後には下権現堂山、上権現堂山、唐松山が並んでいた。南東には、黒禿の頭越しに、越後駒ヶ岳、中ノ岳、八海山が並ぶ姿が素晴らしかった。黒禿の頭に続く尾根には、雪庇が張り出し、斜面はもこもこの凹凸を見せていた。雪稜にトレースがあると思って良くみると、雪庇の上にのっており、カモシカのもののようであった。小出の町並みも見下すことができ、山の標高以上に高度感を味わうことができる山頂である。一般登山者でも登れる雪山として、屈指の展望ピークである。
 休んでいると、東屋から山頂に向かって歩き出してくる者がいた。200mほどの距離であるが、ラッセルに苦労しているのか、なかなか到着しなかった。一旦トレースがつくと、山頂に向かう登山者が続くようになった。
 山頂も騒がしくなってきたので、山頂で最後の写真を撮って下山に移ることにした。女性から「下山はこちらでいいですか」と、今下る方向をさして尋ねられた。宝泉寺から登ってきて、トンネル口に下りるという。コースといってもいろいろ考えられるので、グループからはぐれてついて来られてもこまるので、急いで歩きだすことになった。
 下りは登りと違って楽ではあるが、その分快調に飛ばし過ぎるため、息が切れる。昼になって気温が上がって雪も緩み、スノーシューのイクステンションも外しているため、雪に足を取られるようになっていた。
 ラッセルしなくちゃ雪山ではない。大力山への本コースは、静かなスノーシュー歩きを楽しむにはお勧めである。

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