猿毛岳

猿毛岳


【日時】 2010年1月16日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 加茂丘陵
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 猿毛岳・さるけだけ・326.7m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/加茂
【コース】 猿毛登山口よりスキー場周回
【ガイド】 なし

【時間記録】 8:10 新潟=(磐越自動車道、新津IC、R.403、加茂  経由)=9:20 猿毛集会所〜9:45 発―11:40 猿毛岳〜11:53 発―12:15 見晴らし―12:43 スキー場跡―13:34 猿毛集会所=(R.290、馬下橋、R.49 経由)=16:00 新潟
 新潟平野の縁に沿って広がる加茂丘陵の南東の角に位置し、加茂川右岸の猿毛の集落の背後にある猿毛岳は、、この一帯の最高峰にあたる。猿毛岳とR.290を挟んで向かい合うように、最近閉鎖された冬鳥越スキー場があるが、猿毛岳にもかつてスキー場があり、山中にその跡が見られる。平成10年から11年にかけて登山道が整備され、現在ではハイキングの山になり、登山者も多くなっている。

 寒気もようやく通り過ぎたようだが、大雪が降った直後の新潟の山を避けて、会津の山に出かけることにした。高速に乗ったのは良いが、路面は厚雪状態で凍結しており、50kmの速度で走らせるのがやっとであった。スリップ事故を起こした車の事故処理脇を通り過ぎるところで、遠出は諦めて、次のインターの新津で高速を下りた。前日は、磐越自動車道は事故で不通となり、一般道に下りた大型車が津川の先の峠越えでスリップして動けなくなり、国道の封鎖状態が丸一日続いたという。上信越自動車道でも、同じような事故が起きて、こちらは24時間以上にわたって身動きが取れなくなったという。
 新津までやってきて登れる山としては、菩提寺山が一番近いが、駐車場が確保されている金津石油の里からだと、トレースもできている可能性があって面白くない。せっかくの大雪を楽しむためにスノーシュー歩きにふさわしい山として猿毛岳を考えた。
 猿毛岳は加茂丘陵の最高峰で、夏道も整備されて、最近では登山者にも知られるようになってきている。この大雪で、スノーシューを使わないと登れない山になっているはずである。
 加茂までの国道も圧雪状態でノロノロ運転が続いた。道路の除雪は行われていても、民家の駐車場は雪に覆われていた。
 猿毛橋を渡って、猿毛の集落内に進んだ。猿毛岳の登山道入り口は、冬は雪に覆われて使えないが、集落内の集会場前の広場に車を置くことができる。市民バスのバス停と回転場所になっているため、除雪も確実に行われている。
 連日の雪もようやくひと段落して青空が広がっていた。集会所前から眺める丘陵地は、杉林がクリスマスツリーのような雪をかぶって、美しい風景を見せていた。
 スノーシューをザックにくくりつけて、まずは集落内を抜けて日吉神社をめざす。枝道に入って民家の脇をかすめると、除雪の終点となり、雪原の向こうの杉林の中に鳥居が見える。この入口は少し判りにくい。
 スノーシューを履いて雪の上に立つと、膝程の深さまで潜る深雪であった。神社の社殿の奥から、尾根沿いの登りが始まる。杉林の中の雪は、まだ歩きやすく、登り続けることができた。以前、冬の初めの雪が落ち着いていない時に、雪の中でもがいたことがあったが、それに比べれば条件は良かった。まっさらな雪にトレースを付けて登っていく楽しみは、他人のトレースを辿っての雪山では味わえないものである。
 傾斜は所々で急になったが、順調に高度を上げていくことができた。杉林の広がる斜面に出ると、左手の尾根に乗り換える。この先は尾根沿いの登りになって傾斜も緩やかになる。
 杉林も途切れて、雑木林の中の歩きになる。木々は雪を抱いて、白く染まっていた。夏道沿いには、合目標識が置かれているのだが、それも雪の下となり、どこが山頂か判りにくくなっていた。前方が下りになり、左右の木立ちが切られて展望地になっていることで、猿毛岳の山頂に到着したことが判った。
 白山から宝蔵山、権ノ神岳、粟ヶ岳に続く稜線の眺めが目の前に広がっていた。振り返れば、新潟平野と角田・弥彦山の眺めが広がっていた。特に素晴らしかったのは、周囲の丘陵地に広がる杉林が雪をかぶって、クリスマスツリーのような姿を見せていたことである。標高300mの山からの展望とは思えない雪山の眺めであった。
 雪庇の下にできた棚に腰を下ろし、展望を楽しみながら昼食とした。天気も良いので、誰か登ってくるかと思ったが、結局、一人占めの山頂であった。
 下山は、来た道を戻るのも単純なので、スキー場経由で歩くことにした。尾根を先に進むと、すぐ先で、スキー場のリフトの残骸が現れる。国道を挟んだ向かいの丘陵地には、冬鳥越スキー場があり、スキーヤーで賑わっているのを見下ろすことができた。現在ではスキーの人気はすっかり下火になってしまったが、冬鳥越スキー場は、意外に人気があるようである。このスキー場は、余計な施設もなくお金もかからないことから、そり滑り目当ての家族連れの需要があるようである。
 しばらくは尾根沿いの下りが続く。夏道があるものの、藪も伸びてきており、雪に覆われた道を目で追うことは難しくなっていた。飯豊の見晴らしの良い展望地に出て、コースは左に方向を変える。展望地からは、五頭山塊の眺めは広がっていたが、飯豊の稜線部は雲に隠されていた。
 杉林の中のトラバース道が続く。幾つかの沢型を越した後に、杉林の中を下方に向かって下ると、スキー場の広がる谷間に下り立つ。トラバース道を完全に辿ることは難しいが、コースを少々外れても、スキー場下の谷間に出ることはできるので、コースを見失っても心配はいらない。
 谷間には、コンクリート造りのレストハウスや食堂らしい木造の建物が、廃墟になって残されている。冬は訪れる者もめったにいない秘めたる場所である。
 猿毛の集落へは、谷沿いの道が近いが、雪に覆われて、どのような状態になっているか判らない。いつものように、スキー場へのアクセスに使われていた車道歩きで戻ることにした。
 初めに僅か登りがあるが、吹き溜まり状態の雪のため、再び息を切らせることになった。下りが続くようになれば、スノーシュー歩きを楽しむ余裕もでてきた。
 この車道は、最後には集会所脇に下り立って、周回が終わる。猿毛岳は、低山であるが、コースを選べば、ルートファインディングも必要な充実感のある雪山を楽しむことができる。
 猿毛岳を登り終えた後に、国道49号線に回って会津を目指そうとしたが、途中の道路に雪が積もってがたがた道になっており、ドライブ意欲を失って家に帰ることになった。

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