黒滝山、御堂山、牛伏山

黒滝山
御堂山、牛伏山


【日時】 2009年12月11日(金)〜13日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 12日:曇り 13日:曇り

【山域】 西上州
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 黒滝山・くろたきさん・870m・なし・群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 長野/御代田/荒船山
【コース】 不動寺より
【ガイド】 新・分県登山ガイド「群馬県の山」(山と渓谷社)、ぐんま百名山(上毛新聞社),山と高原地図「西上州、妙義山、荒船山」(昭文社)

【山域】 西上州
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 御堂山・みどうやま・878.3m・三等三角点・群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 長野/御代田/荒船山、南軽井沢
【コース】 作業道西ノ入線より
【ガイド】 新・分県登山ガイド「群馬県の山」(山と渓谷社)、ぐんま百名山(上毛新聞社),山と高原地図「西上州、妙義山、荒船山」(昭文社)

【山域】 西上州
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 牛伏山・うしぶせやま・490.5m・三等三角点・群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 長野/富岡/上野吉井
【コース】 山頂駐車場より
【ガイド】 ぐんま百名山(上毛新聞社),山と高原地図「西上州、妙義山、荒船山」(昭文社)

【時間記録】
12月11日(金) 20:30 新潟=(関越自動車道、上信越自動車道、下仁田IC 経由)=12:20 道の駅「下に田」  (車中泊)
12月12日(土) 7:10 道の駅「下に田」=(野々上、塩沢 経由)=8:00 不動寺第一駐車場〜8:25 発―8:37 不動寺―8:46 峠―9:20 見晴台―9:44 観音岩―10:08 鷹ノ巣岩―10:42 下底瀬―10:56 上底瀬―11:24 峠―11:35 不動寺〜11:47 発―11:59 不動寺第一駐車場=(塩沢、野々上、下仁田、R.254 経由)=15:00 作業道西ノ入線入口  (車中泊)
12月13日(日) 8:02 作業道西ノ入線入口―8:25 作業道終点―8:45 滝―9:01 尾根上分岐―9:18 展望台〜9:23 発―9:36 尾根上分岐―10:04 御堂山〜10:09 発―10:29 尾根上分岐―10:39 滝―10:55 作業道終点―11:12 作業道西ノ入線入口=(R.254、吉井、多比良 経由)=12:25 牛伏山〜12:54 発=(多比良、吉井、上信越自動車道、関越自動車道 経由)=16:30 新潟
 黒滝山は、西上州の中心地の下仁田の南西部に位置する山である。黒滝山という特定のピークはなく、岩峰一帯の総称である。不動寺を登山口とする登山コースが整備されており、鎖場や梯子の連続する岩場の歩きを楽しむことができる。

 御堂山は、下仁田から長野県境の内山峠に向かう国道254号線の北側に位置する山で、山頂の南にあるじいとばあの岩峰群で知られている。御堂山の山頂からは、妙義山の眺めが広がっている。

 牛伏山は、群馬県中央部の吉井町の南に位置する山である。標高もさほどない山であるが、関東管領上杉憲実の山城が置かれていた歴史を持ち、地元に親しまれている山である。

 12月はじめの新潟は、みぞれの季節で悪天候が続き、青空が恋しくなる。晴天を求めて群馬県の西上州の山に遠出することにした。以前は、雪のため新潟の山を登れない冬に。西上州の山を何度か訪れたこともあったが、それから時間が経っている。現在は、高速料金が安いため、西上州にも出かけやすい。
 西上州には、一般登山道が開かれている多くの岩山がある。そのうち、黒滝山と御堂山を目指すことにした。
 高速道を日が変わって土曜日になったところで下りて、インター近くの下仁田の道の駅で夜を過ごした。黒滝山の登山口としては、まず不動寺をめざす。西上州の山の登山口へは、入り組んだ谷に沿って点在する集落を辿ることになる。最終人家を過ぎると、車のすれ違いに注意が必要な狭い道になった。第二駐車場を過ぎると、急坂になって、スリップに注意が必要な道になった。
 不動寺は、黄檗禅宗の寺で、厄除け不動の寺として信仰の対象になっているようである。トイレが片隅に設けられている第一駐車場には一番乗りであったが、朝食を取っている間に、二台の車が到着した。
 不動寺まで車道が通じているが、駐車場の先は歩くと息が切れる急坂が続いた。途中のカーブ地点では、ショートカットの歩行者用の道が付けられていた。
 不動寺の入口には、鐘楼が置かれ、その先の谷間を見下ろす展望台になっていた。お寺の参拝は後回しにして、まずは黒滝山を目指した。
 入口を通過して、杉林の中をトラバース気味に登っていくと、未舗装の林道に飛び出した。右方向にたどれば、荒船山に至るようだが、左に進む。すぐ先で峠部となり、黒滝山の登山道が始まる。
 細尾根を辿ると、鉄の梯子が現れた。前夜まで雨が降っていたため、梯子は濡れていた。靴底が滑るのを危惧して梯子をしっかりと手で握ると、水滴で手が冷たくなった。岩山を登るには、良くない条件であると、後悔の気持ちもわいてきた。
 すぐに黒滝山のコース中の難所の馬の背が現れた。細い岩尾根であるが、幅もあり、手すり状に鎖が付けられているので、それほどの問題はなかった。
 その先の小ピークの上を目指して、梯子と鎖が連続する登りになった。途中、岩に掘られた足場と鎖を頼りに、下が切り落ちた岩場をトラバース気味に登る個所があり、ここの通過は一番に緊張した。鎖場を通過すると、雑木林の尾根になって、緊張から解放された。
 岩場の先の小ピークが見晴台ということになっている。岩の中段には御嶽神社と彫られた石の名札が置かれていた。見晴台ということであったが、岩の上に登らないと、展望は開けない状態であった。岩には鎖もかかっておらず、濡れた岩は滑りそうであったので、基部までで充分ということにした。
 展望台の手前から、岩峰の下を巻く道に進み、その先で尾根に戻った。雑木林の尾根歩きを続けると、右手に鷹ノ巣岩への道が右に分かれた。そのまま直進して観音岩を目指した。
 観音岩の基部で、ちょっとした岩場が現れたが、岩が泥まみれになって滑りやすく、登るのに苦労した。観音岩の岩の上には観音像が置かれ、周囲の展望が広がっていた。特に四ッ又山と鹿岳が間近に並ぶ姿は目を奪われた。観音岩から分岐に戻る途中では、岩峰に囲まれた不動寺を見下ろすことができた。
 分岐から鷹ノ巣岩へは、尾根の下りが続いたが、岩場が断続的に現れ、気は抜けなかった。岩が乾いていれば、フリクションを利かせて足を出せるのだが、靴底には泥が付いて滑りやすくなっていた。右手の谷間には、岩壁が広がり、これが九十九谷のようであった。尾根の先に、通過してきた馬の背よりももっと細い戸隠並みの痩せ尾根が現れたが、幸い、これは通過せずに左に巻いた。
 下底瀬との分岐から少し登り返して尾根上に戻り、ひと登りすると鷹ノ巣岩に到着した。展望ピークで、眼下の谷間には、下底瀬の集落を見下ろすことができた。岩峰の先に続く道は立ち入り禁止のロープが張られ、上底瀬へは岩峰の手前の基部から回り込むようになっていた。
 鷹ノ巣岩からは、どのようなコースをとるか迷ったが、分県登山ガイドに従って、下底瀬へ下ることにした。分岐に戻り、谷間に下った。ジグザグの道が続き、カーブ地点で道を見失わないように注意が必要だったが、目印のテープやロープが助けになった。
 荒れた谷間に出て、右岸寄りに方向を変えて下っていくと、杉林の中の歩きになった。廃屋の脇を過ぎると、砂防ダムの堰堤下に出た。工事用の道を下っていくと、民家脇をかすめて、下底瀬の登山口に飛び出した。
 鷹ノ巣岩の岩峰を見上げながら上底瀬まで進み、黒滝山登山口の峠に続く林道に進んだ。豚舎を過ぎると、未舗装の道に変わり、木立の間からは、馬の背の痩せ尾根も望むことができるようになった。
 峠に戻ると、6名程のグループが馬の背に向かって歩きだすところであった。黒滝山は、結構人気のある山のようである。
 不動寺に戻って、お寺を参拝していくことにした。山門を過ぎると、岩壁の下にお堂が置かれていた。その背後の岩壁には不動明王像が置かれ、沢水が降り注いでいた。
 駐車場に戻ってから昼食になった。時間は早かったが、結構疲れて、この日の山は終わりにした。通常の下山と違って、最後に峠までの登りがあったため、余計に疲れた感じになっていたのかもしれない。
 下仁田の道の駅に戻って時間つぶしをし、食料を買い込んでから御堂山に向かった。
 作業道入口の見印として藤井関所跡を目指したが作業道は狭いため、行きすぎてからそれと気づいて引き返すことになった。お墓の脇を通り過ぎると民家があり、その先は未舗装の道になった。泥道になっていたので無理をしないで、少し進んだ所の路肩スペースに車を停めた。国道をもう少し先に進んだところの荒船の湯で入浴するつもりであったが、車を動かすのも面倒になって、そのまま腰を据えることになった。
 翌朝は、ゆっくりと起きだしてから歩き出した。冬至が近いため太陽がなかなか高く上がらず、写真のことを考えると、朝早くに登っても仕方がないことになる。
 沢に沿って作業道が続いた。路面の状態は、四駆なら問題の無い状態であったが、足慣らしと思って歩いても良い距離である。林道の二又は右の道に進むが、残された轍からしても、自然に右の道に進むことになる。
 作業道の終点となり、山道が始まった。その先も割れたコンクリートの痕跡も見られることから、しばらくは、作業道が雨水によって荒れてしまったような感じであった。岩が露出して歩き難い道を進むと、涸れ沢沿いの登りになって、左上方に、じいとばあの岩峰を見上げるようになった。
 スカイラインが見えて、尾根上まであと僅かの距離になったところで、水音が聞こえてきて、高さ3mの滝に行き当たった。滝はオーバーハングの岩を流れ落ちていたが、右手に越すルートが設けられていた。足場が彫られており、ロープの助けをかりて、斜上すると滝の落ち口に上がることができた。難しい岩場ではないが、足場が濡れているので、慎重に登る必要はある。
 谷間を登り詰めると、尾根上の鞍部に出た。まずは、じいとばあの岩峰をめざした。雑木林の細尾根を辿ると、岩峰の基部に出る。テープに従って岩場の右下を巻く道に進む。岩場を巻き終わったところで、尾根上へと直登するが、滑りやすい泥斜面を木の枝につかまりながら登ることになった。
 尾根上からは右手に進んで、松の木の生えたテラスに出ると、目の前にじいとばあの二つの岩峰が現れた。左手前がババ岩で、右手がジジ岩と呼ばれるようである。岩の尖塔がそそり立つさまは、確かに印象的な眺めであった。ジジ岩の右奥には、四ッ又山と鹿岳が、これも特徴的な山頂を見せていた。
 眺めを楽しんだ後に分岐に戻り、御堂山の山頂を目指した。背後にじいとばあの岩峰を眺めながら雑木林の広がる急斜面を登った。正面に御堂山の山頂が迫ってくると僅かに下り、杉林を左方向にトラバースするようになった。尾根に乗った所で、山頂目指しての急な登りが始まった。滑りやすい所にはロープも張られており、下りの際には助けになった。
 杉林が、御堂山の山頂近くまで広がっていたが、御堂山の山頂は、雑木林に囲まれていたが、妙義山を良く眺めることができた。冬の弱い日差しに照らされた、誰もいない静かな山頂であった。
 下山の途中、滝の所で夫婦連れに出会ったのと、登山道の北の谷間を歩いている二人連れを見かけただけの山であった。
 時間も早いので、家に帰る途中、牛伏山に寄っていくことにした。牛伏山は、群馬百山に選ばれているが、車道が山頂まで延びている山である。地元の人間には足慣らしの登山に良い山かもしれないが、この山のために遠くから出かけてくる山ではなさそうである。 下仁田から吉井までの国道沿いには、郊外型の店が並んでおり、都市近郊という雰囲気であった。昨年の11月末に、下仁田近くの鍬柄岳と大桁山に登る際、高崎からの上信電鉄に乗ったが、ローカル線の旅で、西上州の山へのアプローチには相応しい感じがした。車は便利であるが、山旅という面では、抜けおちてしまう部分があるようである。
 牛伏山を目指して車を走らせると、山頂に向かって一気に高度を上げていく道が続いた。標高はたいしてないが、平野部から立ちあがっているため、高度差はけっこうある。駐車場が現れたが、車道はさらに続いているので、先に進んだ。
 山頂のいっかくに出ると、お城が現れた。トイレ脇の駐車場に車を止めて、まずはお城を見ることにした。上信越自動車道の開通を記念して造られたコンクリート製の、価値に疑問も湧くお城であったが、関東管領上杉憲実の支配下の山城であったことには興味が湧いた。
 お城の展望台に上がると、遮るもののない展望が広がっていた。高崎を中心とする街並みが眼下に広がり、谷川連峰方面は雪雲に隠されていたが、妙義山を前景にして浅間山が白い姿を見せていた。
 お城から車道を歩いて山頂を目指した。青い山脈の碑や、名前の由来にちなんだ牛の像を見ながら歩いていくと、あずまやや金毘羅神社、テレビの中継基地があり、その先に三角点が置かれていた。歩いた距離は短いが、一応牛伏山の登頂となった。
 山を下りると高速のインターチェンジ脇に出て、一路家に向かって車を走らせることになった。

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