丹後山、大水上山

丹後山、大水上山


【日時】 2009年10月17日(土) 前夜発1泊1日 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 丹後山・たんごやま・1808.6m・二等三角点・新潟県、群馬県
 大水上山・おおみなかみやま・1831m・なし・新潟県、群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/八海山/兎岳
【コース】 十字峡より
【ガイド】 山と高原地図「越後三山・平ヶ岳・巻機山」(昭文社)

【時間記録】
10月16日(金) 19:00 新潟=(関越自動車道、小出IC、R.291、津久野、三国川ダム 経由)=21;30 十字峡  (車中泊)
10月17日(土) 5:00 十字峡―5:35 栃ノ木橋登山口―5:57 一合目―6:26 二合目―7:00 三合目―7:28 四合目―7:51 五合目―8:03 六合目―8:16 七合目―8:32 八合目―8:50 九合目―9:00 丹後山―9:38 大水上山〜10:00 発―10:39 丹後山―10:44 九合目―10:59 八合目―11:09 七合目―11:20 六合目―11:31 五合目―11:49 四合目―12:12 三合目―12:39 二合目〜12:44 発―13:06 一合目―13:27 栃ノ木橋登山口―14:03 十字峡=(三国川ダム、六日町IC、関越自動車道 経由)=16:50 新潟
 大水上山と丹後山は、越後三山の中ノ岳から兎岳を経て南に下ってくる新潟・群馬の県境線上のピークである。どちらの山も、山頂部はなだらかで、山の姿としては中ノ岳や兎岳に負けるが、大水上山は利根川源流の山として独自の価値を持っており、また丹後山には避難小屋が設けられて縦走登山の際の重要な拠点となっている。

 丹後山は、1992年10月に中ノ岳からの周回で歩いたきりのため、再度登ろうと気になっている山である。昨年の10月に登ろうとして、十字峡で夜を過ごしたが、天気が悪かったため、他の山に変更してしまった。丹後山は、悪天候でも登れるような気楽な山ではない。この土曜日には、晴れ間が巡ってきそうなので、紅葉を楽しみに丹後山を目指すことにした。
 ロングコースで早立ちするため、十字峡に前夜入りした。秋になって日が短くなっており、夏山なら普通の5時スタートもヘッドランプを頼りに歩きだすことになった。三国川の林道入口の駐車場には、他に一台の車が停められていたが、中に人はいないようであった。
 はじめは林道歩きのため、ヘッドランプの明り頼りでも問題無く歩けるのだが、渓谷は深く落ち込んでおり、崖寄りも歩くことになった。大きな瀬音を聞きながらの歩きが続いた。
 登山地図では50分のコースタイムが記されているが、それほどはかからない。丹後山登山口までは35分、その奥の本谷山登山口の内膳落合まではさらに30分といったところがコースタイムといったところだと思う。
 栃ノ木橋を渡ると、山に向かう作業道が分かれるが、登山口はさらに50m先にある。間違える人も多いのか、そのむね記された看板も置かれている。
 計算通りに、登山口に到着した時には、薄明るくなってきてヘッドランプも必要無くなっていた。
 登山口からは、すぐに四つん這いになるような急登が始まった。鎖が掛けられた、高さ3m程の岩場も現れた。難しい岩場ではないが、下りは後ろ向きになって、鎖に頼って足場を探る必要があった。力を振り絞る必要があり、息も上がってきた。
 ようやく左手からの尾根と合わさると、一合目となった。合目表示が彫り込まれた立派な石柱が置かれていた。鉄砲平と書かれた標識も置かれていたが、まさに鉄砲登りの途中の、ひと息つく平であった。
 再び、木の根を足掛かりにするような急登が始まった。ブナ林の紅葉も、登るにつれて黄色の色が鮮やかになっていった。二合目を過ぎると、ヒメコマツなのか、松の木の生えた痩せ尾根にも現れた。谷の奥には、中ノ岳から丹後山に至る稜線が高く、遠くに見えていた。
 一合目は尾根の上まで登るまでで区切る訳にはいかないだろうが、その後の二合目、三合目、四合目は、30分程の間隔で、一合を登るのに、大汗をかかされることになった。歩き通して判ったことだが、五合目から先は、おおよそ15分間隔になるので、気持ちを萎えさせないで登り続けることが大切である。
 色々な山で、合目標識の間隔の不揃いが気に掛かることが多いのだが、どのように作業をしているのだろうか。はじめは間隔が広く、山頂が迫ったところで、残りの合目を消化するため短い間隔にしてしまうことが多いような気がする。現在なら、地図上で、標高や距離によって合目の仮ポイントを決め、特定の場所がある場合には前後にずらす。GPSを使って、地図上で決めたポイントを現地で再現すれば良い。合目標識には、不満を感じることも多いが、登山の助けになっていることは確かなので、現地の人に感謝しなければならない。
 周囲の灌木が紅葉まっ盛りになって、中ノ岳の山頂の眺めが広がってきたことが、登りの支えになった。ジャコノ峰は、四合目が置かれ、痩せ尾根状でピークといった感じではなかった。1470m点はジャコ平と呼ばれ、五合目と六合目の間で、傾斜が少し緩んだ。その先は、色付いた灌木のトンネルの中を抜ける急登になった。
 尾根の前方にしし岩の岩峰が迫ってくると、人声が近付いてきた。すれ違うと、10名程のツアーの団体であった。前夜は、中ノ岳に泊って周回したのかと思ったが、9時前であったので、それには少し早すぎる。丹後山の避難小屋に泊って、大水上山を往復してから下山といったところであろうか。
 しし岩は、一枚岩の小さな足掛かりを一歩踏んで登るため、鎖も掛けられている。その上に登ると、丹後山へは、笹原に刻まれた登山道を緩やかに登るだけになる。中ノ岳から兎岳を経て丹後山に至る稜線も目の前にパノラマ状に広がっている。谷間は赤や黄の紅葉の盛りになっていた。振り返ると、ネコブ山や桑ノ木山を眺めることができたが、その奥の巻機山は雲に覆われていた。汗を拭きながら展望を楽しんでいると、兎岳に雲がかかってきたので、先を急ぐことになった。この日の中越方面の天気予報は、晴後曇りであったが、下越は晴後雨で、天気が下り坂であることは確かなようである。
 笹原を登っていくと、稜線上に出て、直進方向の水場への道との分岐に九合目が置かれていた。左の道に進むと、すぐに避難小屋が現れた。小屋は、冬支度が済んで、入口は横板で塞がれていた。ドアノブに鍵は掛けられていないので、横板を外せば、中に入ることはできるようであった。
 霧が流れてきて、周囲の展望は閉ざされてしまった。笹原の中を緩やかに登っていくと、丹後山の山頂に到着した。笹原の中といった感じで、山頂らしからぬ地形である。
 大水上山へと先に進んだ。霧は流れてきては薄れるということを繰り返していた。緩やかに下っていくと、前方にピークが見えてくるが、大水上山の南峰である。ここまでの登山道は、刈り払いもしっかり行われていたのだが、この登りでは笹がかぶり気味になっていた。越後駒ヶ岳から丹後山への縦走路は定期的に刈り払いが行われているが、距離も長いため、全体を一度に行うことはできず、一部に笹が延びていることがあるようである。 男女二名が下ってくるのにすれ違った。これは、中ノ岳から周回してきたようである。この日に会ったのは、先ほどの団体とこの男女だけであった。紅葉の盛りとあって、もっと多くの登山者が入っているかと思ったのだが、意外であった。
 大水上山南峰には、利根川水源の碑が置かれている。中ノ岳と兎岳が並び、その間からは越後駒ヶ岳が山頂を見せている。中ノ岳の左には八海山の山頂も見えている。各方面からの中ノ岳の眺めのうちでも、ここからのものが一番好きである。
 大水上山へは、草原の縁を辿っ先である。緩やかな稜線歩きが続き、辿りついた大水上山の山頂も、笹原の中の切り開きといった感じで、あまりぱっとしない。この山の価値は、山頂の南斜面に広がる草原で、ここを下る一滴が、利根川に変わる。
 兎岳も目の前で、もうひと頑張りの距離である。先に進む誘惑に駆られたが、兎岳まで進めば、中ノ岳まで行きたくなるのは確実である。足の状態も充分回復してはいないので、無理はしないことにした。周回を行うには、まず中ノ岳を登ってしまい、時間の余裕を確認してから先に進むのが良い。
 下山にも時間がかかることから、ビールを飲みながら、ガスが切れるのを待った。大水上山からは、東に平ヶ岳に至る稜線が延びているが、最後まで平ヶ岳は姿を現さなかった。この稜線を歩きたいと思ってはいるが、両登山口への車の回送が難しい。兎岳から東には、灰ノ又山を経て荒沢岳に至る稜線が延びている。ピラミッド型をした荒沢岳の山頂も、霧の切れ間から望むことができた。藪こぎに苦労したコースであるが、現在は刈り払いが行われて、そう苦労しないでも歩けるようである。過去と将来の山行に思いを馳せることのできる山頂であった。
 カメラを首から下げて、紅葉の風景を眺めながら、来た道を戻った。
 しし岩に戻る頃には青空が広がるようになって、錦模様の谷と山の眺めが広がった。急に落ち込む尾根の周辺の灌木も紅葉の盛りになって輝いていた。秋の太陽は高く登らないため、ようやく光線の具合も良くなったようである。足元に注意が必要な急坂が続いたが、カメラをザックに仕舞うことはできず、写真を撮りながらの下りになった。二合目付近で紅葉も終わり、カメラをザックに仕舞い、下りに専念することになった。
 丹後山となると、体力的にもきつく、そう度々登れる山ではないが、紅葉の盛りに合わせて登れたことには満足することができた。

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