三方岳、天水山、苗場山、赤倉山

三方岳、天水山
苗場山、赤倉山


【日時】 2009年9月26日(土)〜27日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 26日:曇り 27日:晴れ後曇り

【山域】 関田山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 三方岳・さんぽうだけ・1138.8m・三等三角点・新潟県、長野県
 天水山・あまみずやま・1088m・なし・新潟県、長野県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/松之山温泉/松之山温泉
【コース】 深坂峠より
【ガイド】 なし
【温泉】 竜神館 500円

【山域】 苗場山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 苗場山・なえばさん・2145.3m・一等三角点補点・新潟県、長野県
 龍ノ峰・りゅうのみね・2050m・なし・長野県
 赤倉山・あかくらやま・1988.4m・三等三角点・新潟県、長野県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/苗場山、岩菅山/苗場山、佐武流山
【コース】 苗場山三合目登山口より
【ガイド】 山と高原地図「谷川岳・苗場山・武尊山」(昭文社)

【時間記録】
9月25日(金) 18:00 新潟=(関越自動車道、越後川口IC、R.117、平滝 経由)=22:00 深坂峠  (車中泊)
9月26日(土) 8:17 深坂峠―8:42 三方岳―9:35 天水山―10:12 林道登山口―11:04 深坂峠=(平滝、R.117、津南、R.405、小赤沢 経由)=17:00 三合目駐車場  (車中泊)
9月27日(日) 5:35 三合目駐車場―6:25 五合目―7:26 坪場ベンチ―7:56 赤倉岳分岐―8:17 三角点―9:50 赤倉山―11:50 三角点―12:03 池ベンチ〜12:23 発―12:34 赤倉山分岐―12:52 苗場山―13:14 赤倉山分岐―13:33 坪場ベンチ―14:50 五合目―15:24 三合目駐車場=(小赤沢、R.405、津南、R.117、越後川口IC、関越自動車道 経由)=18:50 新潟
 信濃川は、新潟県から長野県に入ると千曲川と名前を変える。この信濃川の小千谷から飯山に至るまでの左岸沿いには、長く丘陵地帯が連なって長野・新潟の県境を作っている。この丘陵に沿って全長80kmの信越トレイルが設けられ、その最後の区間として三方岳から天水山に登山道が整備されている。

 苗場山は、広大な山頂湿原を持っているが、一般的に用いられているかぐらみつまたスキー場や秋山郷三合目からのルートでは、その一部しか歩けない。隣のピークの赤倉山へと佐武流山まで続く縦走路を辿ると、龍ノ峰と呼ばれる南西に広がる湿原を歩くことができる。

 信越トレイルには、山や峠を結んでいるが、最後の区間として三方岳から天水山の登山道が整備されたようである。三方岳は、2000年6月24日に登っているが、天水山はまだであったので出かけなければならないと思っていた。
 また、2004年5月2日〜5月4日の日程で、三国スキー場から白砂山を経て佐武流山への縦走を行ったが、赤倉山から赤湯に下山し、後一歩のところで苗場山につながらなかった。苗場山から赤倉山の区間を歩くのは懸案であったので、天水山と合わせて、紅葉の見物を兼ねて出かけることにした。
 土曜日に苗場山、日曜日に天水山を登るつもりであったが、直前になって、土曜日は朝のうちに雨という予報がでたので、順序を逆にした。
 越後川口から国道117号線はお馴染みのコースである。長野県に入ったところで、野々海池への林道に入る。カーブを交えながら一気に高度を上げる林道は、舗装されており、走りやすいが、高さを上げると霧の中に入ってしまった。緊張のノロノロ運転で、なんとか野々海池入口まで到着し、空き地を見つけて車を停めた。
 夜中の雨も朝にはあがっていたが、霧が立ち込めていた。信越トレイルの登り口が判らないので、まずは深坂峠を目指した。
 野々海池の南岸を辿り、キャンプ場を過ぎると、未舗装の林道が右に分かれる。これは、先回歩きだしたアンテナ施設の広場に通じるものである。その先で、信越トレイルの登り口があった。天水山4.0km、深坂峠0.1kmと書いてあった。深坂峠から歩き出すことにして、先に進んだ。
 深坂峠には、名前を刻んだ大きな石碑や展望板が置かれている。ガスの切れ目から松之山方面の眺めが広がっていた。周囲の灌木は、紅葉が始まっていた。
 天気が充分回復してからと考えて、車の中でゆっくりとコーヒーを飲んでいると、若い男性が一人トレイルに進んで行った。どこから来て、どこまで歩くのか、気になった。
 車道を戻り、信越トレイルに進んだ。泥斜面に掘られた階段をひと登りすると、ブナ林の広がる尾根に出た。乳白色の霧の中のブナ林は美しい姿を見せていた。少し先で、草地の広がる広場に出た。以前歩きだしたアンテナ広場のようであったが、施設は撤去されていた。
 その先は、しっかりした登山道が開かれているので、先回の訪問とは違って気楽な歩きになった。境界見出しの杭が一定の間隔で打ち込まれているので、先回利用した踏み跡は、それを辿ったもののようである。
 緩やかな尾根道を辿ってひと登りすると三方岳に到着した。ここから新しいピークを目指しての歩きになる。県境稜線の北側は地図にも見られるように切り落ちており、下方に沿って走る車道を見下ろすことができた。尾根が痩せたところもあったが、ロープも張られて、整備されていた。
 天水山が近付いてくると、美しいブナ林が広がるようになった。到着した天水山の山頂は、木立に囲まれて、標識がなければそのまま通過しような場所であった。先行した単独行が休んでいた。
 ここまでは、地図を見ればコースは推測できるものであったが、この先の下山コースがどのようになっているか判らなかった。事前に調べたが、松之山に下山できるようだということしか判らなかった。信越トレイルのマップは作られているが、新しく開かれたこの区間のマップはまだ手に入れていなかった。Webで詳しい地図が公開されていないのは、不親切である。山頂の北を走っている車道に出るはずと見当をつけて、標識には下山コースとだけ書かれている道に進んだ。
 しばらく東に向かう尾根を下っていくと、直進方向の森宮野原方面(栄村口)と、左方向の山伏山方面(津南口)及び大厳寺高原方面(松之山口)の分岐に出た。森宮野原方面への道が、忠実に県境線を辿るのか、地図の破線のようにピークを巻いていくのに興味はあったが、歩きだしの深坂峠に戻るには、左の道が近い。
 左の道に進むと、少し下ったところで、山伏山方面(津南口)と大厳寺高原方面(松之山口)の分岐になった。ここも左の道に進んだ。
 この分岐の下には、下生えがほとんど無く、すらっとしたブナが並ぶ美林が広がっていた。人の手が加わっているように思えたが、キノコ取りに人が入っているようでもなかった。
 荒れた林道を下っていくと、大厳寺高原方面と山伏山方面に続く車道の分岐部に出た。この後は、車道歩きで峠に戻ることになったが、登り坂が続き、ひと汗かくことになった。
 信越トレイルであるが、このような一方通行の登山道は、個人では利用しづらい。途中の見どころを日帰りで楽しむようなコース設定をして、利用者を増やさないと、このトレイルがいつまで保たれるか判らない。
 時間が早かったが、これで山はお仕舞にして、久しぶりに竜ヶ窪の湧水と温泉を訪れ、十日町まで戻って時間をつぶした後に秋山郷に向かった。
 秋山郷までの道は、細く曲がりくねっており、車の運転には神経を使う。小赤沢からは急坂の登りになる。道は細いが退避所も多く設けられているので、対向車の接近に注意していれば、それほど問題にはならない。上ノ原からの道が合わさるT字路にでて、ここは左に進む。以前は、未舗装であったが、現在では舗装されている。
 三合目には、登山地図では50台と書かれているが、100台程は可能に思われる大駐車場が設けられている。以前は、登山道に入ってすぐの所で小赤沢への道が合わさったが、駐車場の中ほどに飛び出している状態になっている。
 泊りの登山者の車や、前夜泊の車で、夜になっても駐車場は賑わっていた。夜中には、満天の星空が広がり、明日の山の期待が高まった。
 赤倉山まで足を延ばすため、明るくなったところで出発した。秋分を迎えて、明るくなるのもずいぶんと遅くなってきている。
 しばらくは緩やかな尾根の歩きが続く。登山道の周辺の木立ちは紅葉して、色鮮やかな風景を楽しむことができた。五合目を過ぎると、トラバースしながら高度を上げていく登りになる。途中、鎖やロープのかかる岩場が何か所も現れるが、それに頼るほどのことはない。ただ、下りは、泥がのって滑りやすいので注意が必要である。
 合目標識は、20分ほどの間隔で現れるが、今回は七合目の標識は、見落とした。六合目から八合目の間が、急登になって辛い区間であるが、八合目を過ぎるとすぐに苗場山の山頂台地のいっかくの坪場のベンチに到着する。
 苗場山の湿原は、草紅葉真っ盛りで黄金色に輝き、点在する灌木が黄や赤に色づいていた。青空のもと、鳥甲山や烏帽子岳、佐武流山の眺めが広がっていた。日をずらして晴天を待ったかいがあった。
 池塘が点在する湿原を眺め、鳥甲山を振り返りながら木道を進む。一旦木立の中に入り、岩の上を飛び移る足場の悪い箇所が現れるが、それも僅かでまた湿原に出ると、赤倉山との分岐に出る。
 小屋泊りと思われるグループが赤倉山方面への林道に進んでいくので、赤倉山までの往復をする物好きは自分くらいだろうし、佐武流山までの縦走にしては出発が遅すぎるしと不思議に思った。結局、すぐ先の苗場神社まで寄り道をしたもののようであった。
 木のお堂の苗場神社の先で湿原に下りると、その先も木道が延々と続いていた。少し前までは、湿原の保護のため木道の整備中で、通行禁止になっていた。苗場山には、これが八回目であるが、この付近に足を踏み入れたのは初めてであった。他の登山者も、ここまでは入ってこないようであるのに、良く整備された木道が敷かれている。
 大きな池の畔には木のテラスも設けてあった。湿原の中に針葉樹や紅葉した灌木が点在する独特の雰囲気があった。地図には龍ヶ峰とピーク名が記載されているが、台地状で高まりも見当たらない。登山道は、地図の破線よりも大幅に西に移っていた。
 林道の終点からも、幅広の刈り払い道が続いた。現在地が判りにくいが、180m程で2036.7m三等三角点(点名上野原)に到着した。
 その先で下り斜面に出ると、佐武流山方面の眺めが広がった。山の斜面の紅葉が美しく、崖際の草付きに登山道が続くのが目に入ってきた。めざす赤倉山よりもその背後のナラズ山の方が高くて目立っていた。ナラズ山までとなると遠いが、赤倉山なら隣のピークである。標高差で250m下って、200m登り返せば良いので、そう難しくはないはずであった。
 県境線の通っている崖際を下っていくと、天狗ノ庭という標柱が現れた。藪に向かって薄い踏み跡が始まっていたが、奥の湿原まで行けるのだろうか。今回は確かめることができなかった。
 天狗ノ庭の標識が置かれた小広場には、燃料の缶が置かれており、最近、回転鋸で刈り払いが行われたようである。その先の鞍部付近では、最近の刈り払いは行われておらず、笹が倒れこんで夜露で下半身が濡れてしまった。
 鞍部付近からはだらだらの登りがしばらく続いた後、急登に変わった。登山道はジグザグに付けられているので、少しは楽ができた。
 傾斜が緩み、山頂の直前で、赤湯からの道が合わさった。先回の白砂山方面からの縦走の際には、この道を下ったので、越後三山方面からの縦走路の欠落部を埋めたことになる。
 到着した赤倉山の山頂は、木立に囲まれて、ピークハントだけが目的なら地味な山といって良いが、ここまでの風景は変化に富んですばらしかった。
 紅葉の写真を撮りながら戻るつもりで、そのまま引き返した。足の疲労をとるためやはり休むべきだったのか、山頂から少し下った所で、落ち葉の下の枝を踏んだかして、左足首をひねってしまった。痛みよりも、足の感覚が無くなって、大事故を起こしてしまったかと冷や汗をかいた。苗場山ならともかく、赤倉山では他の登山者に合うこともまれである。幸い、痛みが少し治まったところで足を下ろしてみると、垂直方向の加重ならなんとかなることが判った。急斜面をなんとか下りきり、登りに転ずると、足をかばいながらも順調に歩くことができるようになった。
 登山道周辺の紅葉に目をやる余裕も出てきたが、ガスが流れるようになっていた。辛い歩きになったが、GPSで、どこまで歩いたかがはっきり判っていることは助かった。台地まで登り返し、木道まで戻ると、後は、足を引きずりながらでも歩きやすくなった。
 下山出来ないという最悪の事態は避けることができたため、池のほとりのテラスまで戻ったところで、大休止にした。緊張のせいか喉が乾いており、迷ったが、結局ビールを開けて飲んだ。それなりに歩けるようになったので、苗場山の山頂にも寄っていくことにした。
 時間のせいなのか、苗場山の山頂付近の登山者は少なめであった。山頂に二軒ある山小屋の内、遊仙閣は今年から営業を停止している。小屋の裏手にある三角点を見に行ってみると、小屋の窓や戸は板が打ちつけられていた。
 下山に移ると、六合目までの急坂では、遅い登山者を追い抜くそこそこのスピードで歩けたものの、その後は足の痛みに耐えながらの歩きになった。左足をかばったせいか、右足の筋肉も痛み出した。
 最後は、よれよれの足取りになりながらも、なんとか下山を完了することができた。コースタイムを後で検討してみると、標準タイムとはそれほど変わらずに歩いてはいた。
 はしりの紅葉を楽しむことができたが、今年の紅葉は早めのようである。

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