烏帽子岳、湯ノ丸山、角間山、東篭ノ登山、西篭ノ登山、水ノ塔山、三方ヶ峰

烏帽子岳、湯ノ丸山、角間山
東篭ノ登山、西篭ノ登山、水ノ塔山、三方ヶ峰


【日時】 2009年8月22日(土)〜23日(日) 前夜発1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 22日:曇り 23日:曇り後晴

【山域】 浅間山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 烏帽子岳・えぼしだけ・2066m・なし・長野県
 湯ノ丸山・ゆのまるやま・2101m・なし・長野県、群馬県
 角間山・かくまやま・1981.2m・三等三角点・群馬県
【コース】 地蔵峠より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長野/上田/嬬恋田代
【ガイド】 分県登山ガイド「長野県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「浅間山、軽井沢」(昭文社)
【温泉】 鹿沢温泉紅葉館 500円

【山域】 浅間山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 東篭ノ登山・ひがしかごのとやま・2227.2m・一等三角点補点・長野県、群馬県
 西篭ノ登山・にしかごのとやま・2212m・なし・長野県、群馬県
 水ノ塔山・みずのとやま・2202m・なし・長野県、群馬県
 三方ヶ峰・さんぽうがみね・2040.1m・三等三角点・群馬県
 見晴岳・みはらしだけ・2095m・なし・群馬県
【コース】 池の平湿原駐車場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 長野/上田/車坂峠、嬬恋田代
【ガイド】 分県登山ガイド「長野県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「浅間山、軽井沢」(昭文社)

【時間記録】
8月21日(金) 19:00 新潟=(北陸自動車道、上信越道、東部湯の丸IC、東部嬬恋線 経由)
8月22日(土) =0:50 地蔵峠  (車中泊)
7:35 地蔵峠―8:37 鞍部―9:20 烏帽子岳―10:03 鞍部―10:34 湯ノ丸山―10:45 湯ノ丸山北峰〜11:10 発―11:37 角間峠―12:10 角間山〜12:16 発―12:42 角間峠―12:52 鹿沢温泉分岐―13:31 車道登山口―13:57 地蔵峠  (車中泊)
8月23日(日) 7:30 池の平湿原駐車場―8:00 東篭ノ登山―8:28 西篭ノ登山〜8:35 発―9:00 東篭ノ登山―9:40 水ノ塔山〜9:50 発―10:26 高峰温泉―11:12 池の平湿原駐車場―11:57 三方ヶ峰―12:12 見晴岳―12:46 池の平湿原駐車場=(往路を戻る)=17:00 新潟
 湯ノ丸山は、関東を代表する火山である浅間山の西に連なる長野・群馬県境稜線上の山である。湯ノ丸山は、穏やかな丸みを帯びた山容を持ち、山麓に広がる高原や温泉などで、ハイカーの人気のある山である。湯ノ丸山から西の長野県側には、烏帽子岳が尾根沿いに隣り合っており、その鋭角的な山頂は、湯ノ丸山と好一対をなしている。角間山は、湯ノ丸山から北に延びる尾根上のピークであるが、訪れる登山者は少ない。

 浅間山から西には、水ノ塔山と篭ノ塔山が連なっている。篭ノ塔山は、東西二峰に分れているが、一般には一等三角点が置かれている東篭ノ塔山が登られている。2000mを越す標高ながら、路線バスが登山口の車坂峠まで登ってきており、さらに自家用車で湯ノ丸林道に乗り入れれば、途中の駐車場から短時間で往復することができる。

 この週末もぱっとしない天気予報が出て、それでもまだましそうな長野県に出かけることにした。夏の残暑も厳しく、それなりに標高のある山を選ぶ必要がある。台湾旅行の疲れもあり、楽に登れる2000m級の山ということで、浅間山の西に連なる湯の丸山や篭ノ登山を登ることにした。以前にも訪れたことはあるが、登っていないピークも残されている。
 日付が変わってから高速を下りて、湯の丸山登山口の地蔵峠を目指した。良く整備された道で高度を上げていくと、濃い霧の中に入ってしまった。路肩に目を凝らしながら車を走らせ、ようやく地蔵峠の駐車場に入ることができた。濃霧のため、周囲の様子は全く判らないまま、車の中で寝た。
 朝は、到着する車の物音で目が覚めた。登山者の車が到着しはじめていた。急いで歩きだす必要もないため、湯を沸かしてコーヒーを飲んだ。広い駐車場の周囲には、ソフトクリームを売る食堂が並び、その奥には牧場になって牛が放たれているスキーゲレンデが広がっていた。
 今回は、湯ノ丸山と烏帽子岳に加えて、角間山も登るつもりであった。無駄な歩きをしないように考える必要があった。まず、巻き道を通って、湯ノ丸山の西の肩に出て烏帽子岳へ。引き返して湯ノ丸山へ登り、北尾根を下って角間山まで足を延ばすことにした。
 食堂の並びの脇からは、湯ノ丸キャンプ場まで林道歩きになった。キャンプ場の奥には、白窪湿原があり、木道が敷かれていた。マツムシソウやワレモコウ、ハクサンシャジンを楽しみながら木道を一周した。
 この後は、湯ノ丸山の南の山裾を巻いていく道になった。これを抜けて西の鞍部に出ると、烏帽子岳の山頂が目の前に迫ってきた。
 烏帽子岳への登りは、登山道周辺に、ハクサンシャジン、ワレモコウ、オヤマボクチのマツムシソウのお花畑が広がり、楽しむことができた。
 尾根上に出て、右手に方向を変える。前方のピークを登って山頂到着かと思ったが、山頂はまだ先であった。緩やかな登りを続けて烏帽子岳の山頂に到着した。あいにくとガスが流れてきて、周囲の眺めは閉ざされてしまっていた。
 鞍部へ戻り、湯ノ丸山への登りにとりかかった。標高差250mの直登で、烏帽子岳への登りよりもきつく感じられた。登りの途中でも烏帽子岳を目指して下ってくる登山者にすれ違ったが、台地状の湯ノ丸山の山頂は登山者で賑わっていた。
 湯ノ丸山から北に延びる尾根上には、湯ノ丸山北峰と呼ばれる高まりがある。人ごみを避けて北峰まで進んで休んだ。尾根が下っていく先に、角間山を眺めることができた。足を延ばして登ってみたいと思う眺めであった。
 標高差280mの一気の下りになった。鞍部の角間峠では、鹿沢温泉からの登山道が上がってきていたが、角間温泉方面の道は無くなっていた。
 この先は、木道も敷かれていたが、傾いたりして荒れ始めていた。登山者ともすれ違い、角間山は人気もそれなりにあるようであった。
 笹原をトラバースしながら登っていくと、木立の間の急な登りになった。山頂手前でちょっとしたステップに鎖が掛けられていたが、脇の木立ちに踏み跡が付けられており、鎖も必要無い状態であった。
 角間山の山頂は、露岩状態で展望が広がっていた。青空も出てきて、登ってきた烏帽子岳や湯ノ丸山も眺めることができるようになった。東篭ノ登山の奥には、浅間山の山頂の一部が見えていた。
 角間峠に戻り、鹿沢温泉への道に進んだ後、途中から九十番観音への道に進んだ。分岐から少し進むと牧場地に出た。ツツジの間に草地が広がり、かえって道が判りにくくなっているところもあった。荒れた林道に出て、後はこの林道歩きで県道に戻った。
 後は地蔵峠までの車道歩きを頑張るだけだが、登り坂のため、汗を流されることになった。
 この日の温泉は、鹿沢温泉紅葉館にぜひとも入りたかった。紅葉館は、雪山賛歌の生まれた場所としてしられている。秘湯を守る会の旅館ではあったが、建物や浴槽は、鄙びたというよりは老朽化が進んでいた。山奥の一軒宿ならともかく、一般道脇の旅館としては、お勧めとはいえない。
 雪山賛歌の碑があったはずと探すと、旅館の脇ではなく、角間峠への登り口の脇に置かれていた。脇の説明板には、次のように書かれていた。
 対象15年1月京都帝国大学の山岳部が鹿沢温泉でスキー合宿された。合宿が終わってから後に第1回南極越冬隊長をされた西脇栄三郎氏、京大カラコルム遠征隊長となった四手井綱彦氏、アフガニスタン遠征隊を勤めた酒戸弥二郎氏、並びに東大OBで後にチャチャヌプリ遠征隊長をされた渡辺漸氏の4名にてスキーで新鹿沢へ下って宿泊されたが翌日天候が崩れ宿に閉じこめられた。一行は、退屈まぎれに「山岳部の歌」を作ろうと言う事になり、曲をアメリカ民謡「いとしのクレメンタイン」としこれに合わせて皆で上の句、下の句を持ち寄って作り上げたものであると言う。戦後京大山岳部員が当時の資料に記載されていたこの曲を寮歌に加え歌われ始めたのが急速に一般にも愛唱されるようになったが、作者不詳となっていたものを作詞の状況を知った、京大教授、桑原武夫氏が作詞は西堀だと著作権の登録をされたもので、この印税は同山岳部の活動の大きな資金源になっていると言う。「雪よ岩よ」で山を愛する者に親しまれているこの歌こそ粉雪舞う鹿沢温泉角間峠付近にピッタリで有り、その自然は今も昭和初期と全く変わっていないと思う。今回地元でこれを記念し、「雪山賛歌の碑」として台字を西堀氏直筆にて鹿沢温泉に建立した。 昭和57年4月群馬県吾妻郡嬬恋村
 翌日は、東篭ノ登山を登ることにした。1995年7月26日に登ってはいるのだが、隣の西篭ノ登山が残されている。
 東篭ノ登山の登山口へのアプローチに使う湯ノ丸高峰林道は、17:00 〜7:00までの夜間通行止めがあるため、ゆっくりと起きてから車を走らせた。スキー場をカーブを交えながら登っていくが、舗装道路が登山口の池ノ平湿原駐車場まで続く。
 池ノ平湿原駐車場は、有料で500円かかる。早くもハイカーの車が何台も入っていた。
 東篭ノ登山へは、登山口から尾根を少し辿った後に本格的な登りになる。朝一番の大仕事とあって息も切れるが、標高差170mなので、2000m峰としたは、意外に簡単に登ることができる。
 東篭ノ登山の山頂からは、周囲の展望が広がるが、まず気になるのは西篭ノ登山であるので、そのまま足を進めた。東篭ノ登山には、先行の登山者が休んでいたが、西篭ノ登山に向かう者はいないようであった。
 標高差にして、70m下って、50m登り返すことになる。西篭ノ登山の登りの方が傾斜はゆるいので楽だが、その分、帰りは頑張る必要がある。
 西篭ノ登山の山頂からは、東篭ノ登山からでは西篭ノ登山の陰になっていた北アルプス方面の展望が広がった。富士山や八ヶ岳、昨日歩いた湯ノ丸山や烏帽子岳も良く眺めることができた。静かに展望を楽しめるピークであった。
 東篭ノ登山に戻って山頂脇の草地に目をやると、イワインチンやマツモシソウが咲いていた。
 続いて水ノ塔山に向かった。西篭ノ登山よりは登られているようで、多くの登山者とすれ違うことになった。
 水ノ塔山へは、南側が切り落ちた痩せた稜線が続き、アルペン的な雰囲気を楽しむことができる。途中で岩場も現れるが、危険というほどのことはない。
 水ノ塔山の山頂は岩が点在し、南東方面を見下ろしながら休むことになる。休みながら高峰温泉からの登山道を見下ろすと、大勢の登山者が登ってくるのが見えた。
 水ノ塔山から引き返す登山者もいたが、高峰温泉に下って、林道歩きで戻ることにした。
 水ノ塔山の山頂直下は、岩場となって、危険というほどではないにしろ、初心者では苦労しそうであった。その後は、急な下りが続いた。東篭ノ登山と水ノ塔山への登りを考えると、東篭ノ登山の方が楽である。
 湯ノ丸温泉前に出て、後は水ノ塔山を見上げながらの林道歩きになった。未舗装であるが、それなりに整備されており、一般車の通行も多かった。全般的に登りになり、汗を流すことになった。
 池ノ平湿原駐車場に戻ると、観光客やハイカーで賑わっていた。湿原の奥の三方ヶ峰を登るため、遊歩道に進んだ。遊歩道を緩やかに下っていくと、池ノ平湿原に出た。山あいの窪地に広がる、思ったよりも広い湿原であった。草原化が進んでいるためか、地図には湿原マークは記されていない。
 木道が一周しているので、ひと回りしていくことにした。マツムシソウが群落状態で咲いているのに目を奪われた。富士山も姿を見せているのに気がついた。
 半周した十字路部の先には、鏡池という小さな池があった。三方ヶ峰へは、分岐からひと登りすることになった。湿原の脇に聳える小ピークかと思っていたが、奥の見えていないピークであった。
 三方ヶ峰の西斜面は切り落ちており、コマクサ保護のためか金網が張られていた。駐車場への道の途中、2095mピークは見晴岳という標識が置かれていた。その先の稜線上の高まりは2110mあるので、無名のピークの方が高いということになる。
 雲上ノ丘で東篭ノ登山の眺めを楽しんだ後に下っていくと、駐車場に戻ることができた。
 三方ヶ峰一帯は、標高2000mを通る登山道であるが、途中、ペットボトル片手の観光客も多く、一般的な登山装備だと場違いな感じであった。

山行目次に戻る
表紙に戻る