後烏帽子岳、不忘山、屏風岳、水引入道

後烏帽子岳
不忘山、屏風岳、水引入道


【日時】 2009年8月1日(土)〜2日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 1日:曇り 2日:晴

【山域】 蔵王連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 後烏帽子岳・うしろえぼしだけ・1581m・なし・宮城県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/白石、上山/遠刈田、蔵王山
【コース】 宮城蔵王えぼしスキー場ゴンドラを使い、股窪経由下山
【ガイド】 分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「蔵王・面白山・船形山」(昭文社)
【料金】 ゴンドラ(700円)
【温泉】 遠刈田温泉 300円(石鹸なし)

【山域】 蔵王山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 不忘山・ふぼうさん・1705.3m・三等三角点・宮城県、山形県
 南屏風岳・みなみびょうぶだけ・1810m・なし・宮城県、山形県
 屏風岳・びょうぶだけ・1825m・なし(1817.1・一等三角点本点)・宮城県
 水引入道・みずひきにゅうどう・1656m・なし・宮城県
【コース】 みやぎ蔵王白石スキー場より
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/白石、上山/白石、不忘山、蔵王山
【ガイド】 分県登山ガイド「宮城県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「蔵王・面白山・船形山」(昭文社)

【時間記録】
7月31日(金) 18:00 新潟=(磐越自動車道、東北自動車道、白石IC 遠刈田温泉 経由)
8月1日(土) =0:50 宮城蔵王えぼしスキー場  (車中泊)
8:55 宮城蔵王えぼしスキー場=(ゴンドラリフト)=9:05 ゴンドラリフト駅―9:47 かもしかリフト山頂駅―10:44 後烏帽子岳〜9:23 発―11:40 ろうづめ平―12:14 股窪―13:20 倉石ヒュッテ―13:54 白龍の滝―14:35 宮城蔵王えぼしスキー場=(遠刈田温泉、R.457 経由)=16:30 みやぎ蔵王白石スキー場  (車中泊)
2日(日) 5:23 みやぎ蔵王白石スキー場―5:53 白石女子高山小屋跡―6:57 弘法清水―7:40 不忘の碑〜7:45 発―8:05 不忘山〜8:10 発―8:50 南屏風岳―9:19 分岐―9:30 屏風岳―9;39 分岐―10:02 水引平―10:21 水引入道〜10:35 発―11:57 林道―12:25 みやぎ蔵王白石スキー場=(白石IC、東北自動車道、磐越自動車道 経由)=16:50 新潟

 後烏帽子岳は、南蔵王の屏風岳の北東に位置するピークである。主稜線から東に外れているため、蔵王連峰を一望することのできる展望台になっている。後烏帽子岳の東山麓には、みやぎ蔵王えぼしスキーが広がっており、このリフトを利用すれば比較的容易に登頂できる。

 蔵王連峰は、蔵王エコーラインを境にして、北蔵王と南蔵王に分かれる。南蔵王を代表するピークは、一等三角点が置かれている屏風岳であるが、その南の不忘山は、花の多い山として人気が高い。

 梅雨明けが遅れており、直前に天気予報をWebで確かめ、雨の降らない地域を捜して登る山を考えるということが続いている。この週末は、宮城県だけが雨からまぬがれそうであった。南蔵王の後烏帽子岳と不忘山を目指すことにした。両山とも歩いたことはあるが、後烏帽子岳はスノーシュー歩きで登ったため、夏山でも歩いてみる必要がある。不忘山は、先回は花の時期を過ぎていたため、花の盛りを期待してのことである。
 高速を料金の安くなる土曜日に変わってから下りて、深夜に宮城蔵王えぼしスキー場に到着した。ゴンドラの始発は9時と少し遅いが、早く目が覚めたら、下から歩いても良いかなと思っていた。結局、起きた時間は、少し待っても、ゴンドラに乗った方が早いという時間になっていた。
 ここのゴンドラの夏山運航は、シロヤシオの咲く春と、夏休み、紅葉の時期に限られている。丁度8月1日から夏休みの客をあてこんだ運行が始まったところである。
 ゴンドラ駅の入口には、管理事務所に登山届を出すように書かれていたので、提出してから出発した。予想に反して、他の登山者はだれもいなかった。
 ゴンドラに乗って、一気に高度を上げた。下に長々と続いているゲレンデを歩いたらと思って眺めたが、やはり700円を払ってゴンドラを利用した方が楽であるという結論になった。途中のゴンドラ索道脇には、千年杉と呼ばれる杉の大木が立っていた。
 中央ゲレンデに下り立って、ここから歩きが始まる。冬の場合には、もう一本リフトを乗り継ぐことができるが、このリフトはなぜか秋にしか動かない。後烏帽子岳は、冬にスノーシュー歩きで登った方が楽ということになる。
 かもしかリフトと呼ばれるリフト沿いに登るが、なかなかの急坂である。うっすらと続く足跡を辿ることになった。一旦、中間で終わる短いリフトの山頂駅のところで、リフトの左手のゲレンデに移り、ひと登りしてから右手のゲレンデに戻った。
 尾根上に出て傾斜が緩やかになり、左手に進むと、後烏帽子岳の登山口に到着した。すぐ先がかもしかリフトの山頂駅広場であった。
 針葉樹の林の中で、見晴らしの利かない登山道の歩きが続いた。途中で、登山道の整備が行われており、段々が作られて歩きやすくなっていたが、その区間を過ぎると、雨水で登山道がえぐられて歩きにくくなった。途中の地形の変化がないため、山頂まであとどれくらいかは、GPS頼みになった。
 後烏帽子岳の山頂は、大岩が転がり、周囲の展望が広がっているが、あいにくと雲に覆われていた。先回、屏風岳の眺めを充分に味わったので、今回は登れたことだけで満足することにしよう。
 今回は、西の谷間に下ってから股窪経由で下山することにした。急坂を下っていくと、ガスが切れて、展望が開けてきた。目の前の屏風岳や北の刈田岳の眺めが広がった。
 ろうづめ平で屏風岳への道から別れて右手の道に道に進む。少し先で、蔵王山岳会の山小屋が、沢向こうに現れた。
 緩やかな下りを続けていくと、股窪に到着する。みやぎ蔵王スキー場方面の道が分かれる三叉路になっている。この先は、後烏帽子岳の山腹を巻いていく道が続いた。一般には開放されていない倉石ヒュッテに到着して、下山もほぼ終わりかと思ったが、その先もまだ長かった。登山道は、沢水が流れ込んで荒れていた。
 ナメ滝状の白龍の滝を飛び越すと、その先でゲレンデ脇に出た。ゲレンデ脇の林の中を下っていくと、楽器演奏の練習の音が近付いてきた。スキー場の宿泊施設で、大学の演奏部の合宿が行われていた。
 後烏帽子岳の周回は、冬のスノーシュー歩きよりも体力を消耗した。
 遠刈田温泉で入浴し、コンビニで食料を買い込んだ後、みやぎ蔵王白石スキー場に向かった。
 みやぎ蔵王白石スキー場には、広い駐車場が設けられているが、到着してみると、アスファルトの表面にタイヤの跡がついていた。夜中になると、不安は的中して、ローリング族がやってきて、騒音に悩まされることになった。
 天候などの状況にもよるが、不忘山から屏風岳を経て水引入道経由で下山する予定であったので、早めに出発した。このコースは、2004年8月8日に歩いて以来ということになる。
 はじめは、ゲレンデの左端を、草むらの中に続く踏み跡を辿って登ることになる。リフト一本ぶんを登った所で、左に分かれるトラバース道に進む。
 空き地になっている白石女子高校山小屋跡に出ると、ここから本格的な登りが始まる。傾斜はきつくはないが、長い登りが続いて疲れが出てきた。ゲレンデ上部の台地に出ると、前方に不忘山の山頂も姿を現してきたが、まだ遠かった。小さな沢をまたぎ越してしばらく登ると弘法清水に出たが、水は涸れていた。不忘山は日帰りの山なので、水の補給も必要ではないと思うが、どうしてもということならば、通り越してきた沢で水を確保することになる。
 登山道は、流水によってえぐれており、整備されていないところは歩きにくくなっていた。ガレ場の登りになると、稜線上に大岩が見えてきた。足も止まりそうな辛い登りになった。幸いハクサンフウロ、ミヤマシャジン、イブキトラノオのお花畑が広がり、写真を撮るために足を止めて、息を整えることになった。
 稜線上に出ると大岩が並ぶが、その一つには、第二次大戦中に、ここで墜落したB29の慰霊碑の「不忘の碑」が嵌め込まれている。戦死者を悼むのはよいとしても、このB29は、東京大空襲に参加したものという。10万人以上の非戦闘員の犠牲を思えば、8名の戦闘員を慰霊する気にはなれない。
 不忘山の山頂は目の前に見えているが、体力を振り絞る必要がある。不忘山の山頂に到着すると、周囲の展望が広がっていた。これから歩く予定の屏風岳に続く稜線は、細尾根が続き、アルペン的な姿を見せていた。主稜線から外れて水引入道と馬ノ神岳が並び、昨日登った烏帽子岳の山頂も姿を見せていた。雲海の上には、朝日連峰が浮かんでいた。
 屏風岳への縦走路は、痩せてはいるが、危険というほどでもない。一旦大きく下ってから南屏風岳へ登り返すことになる。ミヤマシャジンやイブキトラノオが一面のお花畑を作っており、その眺めに助けられて疲れは感じない歩きになった。屏風岳の山頂で引き返し、この縦走路を歩かなかったとすると、大きな見どころを逃したことになる。
 南屏風岳への登り返しは、見た目ほどは辛くなかった。南屏風岳の山頂は、ハイ松が広がる台地の中で、お花畑もここで終わる。屏風岳にかけては、東斜面は崖状に切り落ちているが、西側は台地状になっている。台地の向こうには、刈田岳方面の眺めが広がっていたが、山頂部は雲に隠されていた。
 南屏風岳を過ぎると、何組かの登山者に出会うようになった。みやぎ蔵王白石スキー場からの逆回りなのか、刈田峠方面からの登山者なのかは判らない。
 水引入道への分岐を通り越して、分岐からはそう遠い距離ではない屏風岳に足を延ばした。屏風岳の山頂は、一等三角点の置かれている場所とされているが、最高点は、少し北よりである。最高点は灌木帯の中の特徴のない地点なので、三角点広場から引き返した。
 分岐から水引入道へは、泥斜面にに切られたステップを足掛かりに、木の枝も掴みながらの急降下となる。鞍部は、水引平と呼ばれ、湿原が広がり、池塘もあって箱庭のような美しさを見せている。キンコウカやイワショウブの花が彩りを添えていた。
 水引入道への登り返しには、再び力を振り絞ることになる。岩の転がる水引入道の山頂に登り返し、屏風岳を振り返りながら大休止にした。
 水引入道からは、先回と同じように、ジャンボリコースを下ることにした。ユガ沢コースとの分岐になるガレ場を過ぎると、登山道も木立の中を通るようになって、展望はなくなる。気温も上がってきて汗が噴き出るようになってきたので、日影はかえってうれしかった。
 坦々とした下りを続け、最後に林道歩きを頑張って、スキー場に戻った。

山行目次に戻る
表紙に戻る