面白山、羽黒山、月山

面白山
羽黒山
月山


【日時】 2009年7月18日(土)〜20日(月) 前夜発3泊3日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 18日:雨 19日:雨 20日:曇り

【山域】 二口山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 面白山・おもしろやま・1264.4m・二等三角点・山形県、宮城県
【コース】 天童高原スキー場
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/楯岡、関山峠/天童、関山峠
【ガイド】 山と高原地図「蔵王・面白山・船形山」(昭文社)
【温泉】 天童最上川温泉ゆぴあ 300円

【山域】 出羽山地
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 羽黒山・はぐろさん・414m・なし・山形県
【コース】 羽黒山表参道口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 坂田/鶴岡/羽黒山
【ガイド】 なし
【温泉】 かたくり温泉ぼんぼ 400円

【山域】 出羽山地
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 月山・がっさん・1984m・なし(1979.5m・一等三角点補点)・山形県
【コース】 姥沢コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/月山/月山
【ガイド】 アルペンガイド「鳥海・飯豊・朝日」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「山形県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「鳥海山、月山」(昭文社)

【時間記録】
7月17日(金) 17:30 新潟=(R.7、R.113、赤湯、R.13、天童、R.48 経由)=22:30 天童高原スキー場  (車中泊)
7月18日(土) 6:45 天童高原スキー場―7:22 長命水―7:48 水沢山―8:23 面白山―8:56 巻き道分岐―9:17 長命水―9:55 天童高原スキー場=(R.48、天童、寒河江IC、山形自動車道、酒田みなとIC、R.7、鳥海ブルーライン 経由)=17:00 大平駐車場  (車中泊)
7月19日(日) 5:30 大平駐車場=(鳥海ブルーライン、R.7、酒田、藤島 経由)=8:00 羽黒山表参道入口〜8:47 発―9:50 羽黒山〜10:07 発―10:50 羽黒山表参道入口=(R.112、弓張平、志津 経由)=17:00 姥沢 (車中泊)
7月20日(月) 6:45 姥沢登山口―7:52 リフト山頂駅分岐―9:00 月山〜10:10 発―10:56 リフト山頂駅分岐―12:00 姥沢登山口=(志津、弓張平、R.112、鶴岡、R.7、荒川胎内IC、日本海東北自動車道 経由)=18:00 新潟
 宮城・山形県境の、蔵王連峰と船形連峰の間に、神室岳、大東岳、面白山を代表的なピークとする二口山塊が広がっている。標高は低いものの、深い渓谷が刻まれて、変化に富んだ地形を示している。面白山は、仙山線の北の山形・宮城県境線上にある山である。面白山は、つらしろやまとも呼ばれていたというが、山頂部が雪で覆われて白いからとか、あるいは山頂付近のガレ場に由来するとか言われている。

 月山は、羽黒山、湯殿山と合わせて、出羽三山と呼ばれ、古くからの信仰の山である。なだらかな山頂を持ち、日本海近くの豪雪地にあることから、夏遅くまで残雪を抱き、高山植物が豊富なことから人気の高い山になっている。

 海の日がらみの三連休は、夏山シーズンの開幕となるが、時期が少し早過ぎ、梅雨が明けていないことも多い。今年も、最終日に天気が回復するものの、前二日は悪天候に見舞われそうであった。高速道の渋滞を避けるため、一般道でアプローチできる山として鳥海山と月山をめざすことにした。
 今回の天気図は、低気圧が北海道に位置して、そこから延びる梅雨前線が北陸を横切るというものであった。この天候配置は、ここのところ繰り返し現れ、大雪山系のトムラウシで10名の死亡遭難が起きたばかりである。ツアー登山の危険性が実現してしまったにせよ、無理はできないと自重しなければならない。
 少々の雨でも登れそうな山ということで、面白山にまず向かうことにした。以前、面白高原駅から面白山・南面白山の周回コースを歩いたことがあるが、天童高原スキー場から面白山をめざすコースは歩いていない。交通の便はこちらの方が良さそうで、残雪期の登山コースとしての様子見も兼ねている。
 天童から天童高原スキー場への道は、スキー場のアクセス道路であるため、問題の無い道である。深夜に到着し、周辺の様子が判らないため、スキー客用の駐車場に車を停めて寝た。
 天童高原スキー場は、牧場の緩やかな斜面に広がっていた。レストハウス脇から牧場の上部に向かう道に進むと、キャンプ場の管理棟が現れて、舗装道路は終点になった。ここが登山口になるようであったが、登山案内標識には、北面白山へと書かれていた。歩いて判ったことだが、一般に面白山と呼ばれるピークを、南面白山があることから、北面白山と呼んでいる。
 小雨が降っており、雨具のズボンを履き、傘をさして歩きだした。
 車道の延長上の未舗装の道に進むと、左手には設営済みの大型テントが並んだキャンプ場が広がっていた。夏休みの林間学校に使われているようである。少し先で右に登山道が分かれた。
 尾根の右手の一段下を巻いていく道が続いた。どうも林道跡のようであった。雨は降り続いていたが、風当たりも弱く、問題なく歩くことができた。
 そろそろ分岐かなと思いながら歩いていくと、長命水という清水があり、そこから尾根上に向かう登山道が分かれた。ここまで歩いてきた林道跡のような道は、さらに先に続いているが、下山時には、この道を使って戻ってくる予定である。パイプから流れ出ている水を飲んで、登りに備えた。
 急登が始まったが、それも長くはなく、尾根上に出た。その後は一定の傾斜の登りになった。登山道周辺には灌木が広がっていたが、面白山や南面白山の山頂が時折見えていた。
 標高差160m程で、ピークの上に出たが、ここは三沢山と呼ばれ、天童市の最高点とのことであった。目の前に面白山の山頂がまだ高く聳えていた。三沢山の山頂は広場になっており、天童市方面の眺めも開けていた。
 一旦下った後に、標高差260m程の登りになる。長命水から三沢山への登りよりも、標高差があるので、三沢山に着いたからといっても、気を抜くことはできない。
 灌木帯の中の登りになって展望は閉ざされていたが、標高が上がると雲の中に入って本降りの雨になった。
 傾斜が緩んだ後、稜線を少し進むと面白山の山頂に到着した。面白山大権現の石碑が置かれ、広場になった山頂である。周囲の展望が開けているはずであるが、本降りの雨の中で、そうそうに下山に移った。
 下山は、カモシカコースとも呼ばれる面白山高原駅への道に進む。面白山へのメインコースでもあるので、歩きやすい道で、一気に高度を下げることができた。
 トラバース道に出て、後は、長命水を経て登山口に戻ることになった。
 ヤマホタルブクロやトリアシショウマ、ウツボグサも見られて、雨の中の歩きとしては楽しむことができた。
 車に戻ると本降りの雨になった。山登りができたことに感謝して天童の温泉に向かった。
 本降りの雨の中、翌日の登山計画を考えることになった。天候が許すなら鳥海山のまだ歩いていない矢島コースを歩きたいと思っていたのだが、雪渓の通過もあり難しそうである。鋒立から御浜までなら、遊歩道並みの道のため、少々の小雨なら歩けるはずである。 山形から酒田までは高速道路のおかげで、短い時間で移動できるようになっている。食料を仕入れて、鳥海ブルーラインに進んだ。
 麓では本降りという状態であったが、大平駐車場に到着すると暴風雨に変わっていた。朝の様子を見ることにして、そのまま寝た。
 朝になっても車の外に出ることを躊躇するような暴風雨が続いていた。ラジオのニュースを聞くと、秋田方面では川の増水も起きているようであった。秋田方面の低山とも考えていたが、これも無理そうであった。とりあえず、山歩きをするため、羽黒山に向かうことにした。
 山を下っても、本降りの雨は続いていた。鶴岡手前で国道から別れて、羽黒山に向かった。大鳥居をくぐり、宿坊が並ぶ中を進んでいくと、表参道の入り口にでる。駐車場はその先に設けてあった。
 羽黒山の表参道を歩いたのはかなり前になる。観光気分で歩き出したが、階段の連続で大汗をかいてしまった。雨の日の足慣らしにはちょうど良い。
 雨が激しくなって、しばらく様子見をしてから歩きだした。随神門をくぐって石段を下っていくと朱塗りの祓川神橋が現れる。その上からは、右手に須賀の滝を見ることができる。連日の雨のためか、滝の流れは迫力を増していた。
 その先で爺杉が現れる。表参道沿いには樹齢300年から500年の杉並木が続いているが、その中でも樹齢1000年の大木である。以前は、婆杉もあったというが、台風で倒れてしまったという。
 爺杉の奥には、五重の塔が佇んでいる。東北地方では最古の塔で、平将門の建立と伝えられいる。羽黒山のシンボルになっており、国宝にも指定されている。いつもなら観光客に囲まれているが、雨のために人もまばらであった。
 その先から石段の登りが続く。両脇に続く杉並木と合わさって、独特の風景を作っている。石段は、2446段あり、標高差は300mほどなので、観光以上のハイキングコースといってよい。一の坂、二の坂、三の坂の急登が続く。途中には、茶屋も設けられている。
 赤い鳥居をくぐると、羽黒山の山頂境内に出る。羽黒山を開山した蜂子皇子を祀った蜂子神社の前を過ぎると、三神合祭殿の前に出る。本殿である三神合祭殿では、羽黒山、月山、湯殿山の三神を祀っていおり、これは月山と湯殿山は、夏の限られた季節しかお参りできないため、羽黒山に三神を祀ったものである。
 山頂に続く有料道路経由で上がってきた観光客で賑わっていたが、登山姿の者も目についた。月山登山を悪天候のために諦めて、羽黒山観光に変更した者のようである。
 境内には、八坂神社や白山神社など、他の神社のお堂も並んでいるが、松尾芭蕉の像が置かれている。奥の細道の紀行で、羽黒山から月山を経て湯殿山まで歩いているが、ここでは、「涼しさやほの三日月の羽黒山」という俳句を残している。この句碑も脇に置かれている。
 境内をひと回りしてから同じ道を引き返した。石段を歩いている者もそれなりにいた。 翌日は、月山を歩くことにした。月山八合目コースは、道路の渋滞が予想される。乗用車同士なら問題はないのだが、大型観光バスが入り込むため、身動きがとれなくなる。交通の面から問題の無い、姥沢登山口から登ることにした。いつもはリフトを使うが、今回は下から歩くつもりであった。
 雨は止んだが、風の強い朝になった。ゆっくり朝の準備をして歩きだした時には、リフトの運行開始時間になっていた。山頂へと急いでもガスが消えていないため、予定どおりに歩いて登ることにした。
 200円の清掃協力費を払い、リフト乗り場への道から分かれて、沢の対岸の姥沢小屋に向かう。小屋の脇から登山道が始まっている。尾根を乗り越すと、谷をトラバースしながらの緩やかな登りが続くようになる。リフトの遊歩道として整備されたためか木道が敷かれているが、傾いて苔で滑りやすくなっている。登りはともかく下りは要注意であるが、幸い、下りの時は木道は乾いて滑りにくくなっていた。
 谷が広がると、草原の中の登りになる。ニッコウキスゲやヒナザクラの花も咲いているが、連日の雨のせいか、花付きが悪いようであった。
 少し上をトラバースしながら進む登山者が見えてきた。リフトを使って登ってきた登山者である。登山道の合流点のすぐ先で、残雪の登りが現れた。スプーンカットもできており、歩くのも難しくはなかったが、軽アイゼンを付けたり藁縄を靴に巻いたりと、苦労している初心者が多かった。
 ひと登りで、牛首の分岐に出て、この後は鍛冶月光と呼ばれる急登に汗を流すことになる。早くも下山してくるグループにもすれ違ったが、昨日の荒天の中を登って山頂小屋で泊まったのであろうか。
 鍛冶小屋跡を過ぎ、最後の坂を乗り越えると、山頂台地のいっかくに到着する。ピラミッド型をした高まりの上に月山神社が置かれている。振り返ると、雲海の上に大朝日岳が頭を出していた。
 周囲には草原が広がり、花を捜しながらの歩きになった。ウスユキソウは少し盛りを過ぎ、クロユリはすでに終わっていた。
 神社の門前は、参拝客で賑わっており、八合目側からも多くの登山者が登ってきていた。いつものように一等三角点まで進んで大休止にした。残雪に覆われた姥ヶ岳から湯殿山にかけての眺めが広がっていた。鳥海山の頭が雲海の上に飛び出していた。二日間雨に悩まされた後の晴れた山頂であった。
 下山に移る頃には、大勢の登山者とすれ違うようになった。リフト山頂駅への道から分かれると、人気もまれな静かな道になった。晴れ間も消えて、再び雲が厚く垂れこめてきた。
 雨に悩まされ続けた三連休であるが、最後に束の間の晴れを楽しむことができたので、良しとしよう。

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