岩木山、泉ヶ岳

岩木山
泉ヶ岳


【日時】 2009年6月20日(土)〜21日(日) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 20日:曇り 21日:雨

【山域】 岩木山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 岩木山・いわきさん・1824.7m・一等三角点本点・青森県
【地形図 20万/5万/2.5万】 弘前/弘前/岩木山
【コース】 百沢登山口より
【ガイド】 アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「新・青森県の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「八甲田山・岩木山・十和田湖」(昭文社)
【温泉】 アソベの森いわき荘 600円

【山域】 船形連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 泉ヶ岳・いずみがたけ・1175m・なし(1172.1m・二等三角点)・宮城県
【地形図 20万/5万/2.5万】 仙台/関山峠/定義
【コース】 芳ノ平駐車場より
【ガイド】 アルペンガイド「東北の山」(山と渓谷社)、分県登山ガイド「新・宮城県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「蔵王、面白山、船形山」(昭文社)

【時間記録】
6月19日(金) 5:30 新潟=(磐越自動車道、東北自動車道 経由)=1:00 小坂PA  (車中泊)
6月20日(土) 5:00 小坂PA=(東北自動車道、大鰐弘前IC、R.7、弘前、百沢 経由)=6:30 岩木山百沢スキー場駐車場〜6:57 発―7:45 鼻コクリ―7:59 姥石―8:54 焼止りヒュッテ―10:18 大館鳳鳴ヒュッテ―10:38 岩木山〜11:03 発―11:20 大館鳳鳴ヒュッテ―12:38 焼止りヒュッテ―13:24 姥石―13:34 鼻コクリ―14:05 岩木山百沢スキー場駐車場=(百沢、弘前、R.7、東北自動車道、泉IC 経由)=21:30 芳ノ平駐車場  (車中泊)
6月21日(日) 6:52 芳ノ平駐車場―7:52 水神分岐―8:46 泉ヶ岳―9:22 お分れ峠―9:46 芳ノ平駐車場=(R.457、仙台宮城IC、東北自動車道、磐越自動車道 経由)=14:50 新潟
 岩木山は、津軽平野に大きな裾野を広げる独立峰で、津軽富士とも呼ばれている。弘前の故郷の山であり、信仰の山として、四方からお山詣りのための登山道が通じている。現在では、岩木スカイラインと呼ばれる自動車道路が八合目まで開通し、さらに九合目までリフトがかかって、観光客でも登れる山になっている。

 泉ヶ岳は、船形連峰に属する山であるが、仙台市の北西にあって、山全体が仙台市内に含まれている。麓には学校研修のための野外センターやスキー場等が整備され、仙台市民に親しまれている山になっている。

 岩木山は、東北地方の日本百名山のうちでも八甲田山と並んで遠くにある山である。岩木山は、麓の弘前から円錐型の美しい姿を望むことができて登頂意欲がそそられるが、車道が八合目まで通じていることから、日程短縮の安直山行に陥ってしまい、地元の者以外は麓から登るものは少ないようである。
 私も、日本百名山巡りを行っていた時、当初は東北地方の観光途中で八合目から登ったのをカウントしていたが、達成が射程圏内に入った1997年8月17日に百沢登山口から改めて登った。ところが、この時は、夏も終わりに近く、この山の特産種のミチノクコザクラに出会うことはできなかった。
 先週は、庚申山で特産種のコウシンソウを見たことから、この時期ならではの特産種の花を考えていったところ、ミチノクコザクラが思い浮かび、岩木山目指して北上することになった。現在、高速料金が上限1000円であることも、遠出の理由になっている。
 磐越自動車道から東北自動車道に入り、ひたすら車を走らせる。新潟から大鰐弘前までは、567.2kmあり、7時間以上の長時間ドライブとなる。
 弘前手前で夜を過ごし、早朝の弘前を通り抜け、百沢に到着した。先回は、岩木神社から歩き出したが、その上部のスキー場から歩き出すことにした。登山道は、このスキー場に出るので、往復で1時間ほどの短縮になる。
 スキー場には、広い駐車場が設けられていたが、登山者の車は二台あるだけで、静けさに包まれていた。スキー場の上には、岩木山が山頂を見せていた。登る予定の大沢には雪がべったりとついていた。暖冬であったので、雪融けも早いかなと思っていたのだが、予想が外れた。念のために持ってきた六本爪の軽アイゼンが役に立ちそうであった。
 スキー場の管理塔の下を抜けてゲレンデに出る。上方に延びているゲレンデではなく、左手の林道に進む。左に反れて林に入ると、恵比寿・大黒の絵が飾られた登山道口に出た。
 緩やかに下って沢を渡ると、つづら折りの登りが始まるが、ひと登りで尾根上に出て、後は緩やかな登りに変わる。尾根上に出たところに七曲がりの標識があるが、これは取りつきの急坂をさしているようである。
 深い森に囲まれて、展望の利かない登りが続いた。カラスの休み場という小広場が現れるが、特に変わった地形というわけでもない。
 最初の目標地点は姥石になる。大きな岩にしめ縄が付けられており、その奥の展望台は、朽ちて登れなくなっている。
 ここからは、傾斜も少しきつくなり、気温も高くなって汗がしたたりおちるようになった。緩やかに右にトラバースするようになると、小さな沢の横断となって、水を飲んでひと息ついた。その先が焼止りヒュッテなので、手前のこの沢が泊りの際の水場になるようである。
 焼止りヒュッテのすぐ先で大沢に行き当たる。ここから沢沿いの登りが始まる。登り始めは流れが出ていて、飛び石伝いであったが、すぐに雪渓の登りになった。傾斜もかなりあった。登りはなんとかなっても、下りは、登山靴だけでは難しそうであった。六爪アイゼンを履いた。
 残雪は、キックステップは入らない硬さであるが、表面一層は融けて滑りやすい状態であった。スプーンカットも充分にはできておらず、足元が安定しなかった。
 雪渓を登り始めると、沢岸にミチノクコザクラの群落が現れたが、高いところで、写真にはならなかった。
 夏道では、途中に坊主転がしと呼ばれる急坂があるが、雪渓は、途中で傾斜を増すところもありながら、空に向かって続いていた。きつい登りであった。
 ようやく傾斜が緩んで、前方に岩峰が見えるようになると、周囲が草付きに変わった。普段に見る花とは違った色合いのショウジョウバカマに続いて、ミチノクコザクラがようやく現れた。ミヤマキンバも群落状に広がっていた。
 アイゼンを外し、花を見ながらひと登りすると、種蒔苗代の池が現れた。池の周りにはミチノクコザクラが広がっていたが、日当たりが良いためか、終わりかけのものが多かった。ミチノクコザクラは、雪田が消えた跡に咲いて長い期間花を見ることができるとはいえ、花自体はすぐに痛んでくるようである。
 池からひと登りすると、大館鳳鳴ヒュッテで、八合目駐車場からの登山道も合わさり、登山者も急に多くなってくる。第一御坂、第二御坂と呼ばれる急坂が待ち構えている。第一御坂は、大きな石の上を伝い歩く必要があり、登山に不慣れな者は、登るのに苦労していた。幸い、渋滞するほど登山者は多くなかった。
 岩木山の山頂は、岩木山の奥社が祀られているが、登山者には、脇にある鐘が吊るされた三角ケルンの方が、記念写真のために人気が高いようであった。
 周囲の展望が開けており、津軽半島の七里長浜を見下ろすことができる。南には白神山地の山が広がっている。登山者は多かったが、夏の盛りの大混雑というほどではなかった。
 急な雪渓の下りを避けるため、岳温泉へのコースを下るか迷ったが、歩けないわけでもないので、来た道を戻ることにした。
 ミチノクコザクラの写真撮影を行った後に、アイゼンを付けて、雪渓の下りを開始した。下りの勢いを一歩ずつ止めるため、足に負担の大きな歩きになった。ストックを一本しか持ってきていなかったが、二本ストックあるいはピッケルが欲しいところであった。六本爪アイゼンは、爪の長さが短いため、やはり本格アイゼンの方が歩きやすい。四本爪軽アイゼンは、役に立たないようであった。
 焼止りヒュッテに戻り、その先の沢で水を飲んで元気を取り戻した。緊張のために余計に喉が乾いてしまったようである。
 この後は、問題の無い道になる。草臥れた足を前に出し続けて、登山口に戻った。岩木山は青森県の最高峰で、今回の標高差は1200mほどになり、結構きついコースである。
 弘前は、新潟からさすがに遠い。明日の山は、できるだけ新潟に戻ったところの山にする必要がある。最近、下山後の恒例になった感のあるすき家でカレーを食べた後に高速に乗った。途中で天気予報を聞くと、東北地方は、朝から雨のようで、簡単な山を考える必要が出てきた。結局、仙台の泉ヶ岳を登ることにした。
 泉ヶ岳は、1995年5月13日に登っているが、この時も大雨であった。泉ヶ岳は、仙台の岳人に愛されている山で、何本もの登山道が整備されている。先回は歩いていないコースを歩けば、再訪の意味も出てくる。
 泉ICで高速をおり、泉ヶ岳の登りにかかると、濃い霧に包まれた。朝になって目を覚ますと、本降りの雨になっていた。
 スキー場の大駐車場の奥には、数台の車が置かれ、登山姿で歩きだしていく者もいた。
 駐車場の出口に、登山道の案内図があるが、取りつきが良く判らなかった。まずは、先回も歩いた水神コースから登ることにした。
 少年の家の入口をかすめて車道を進むと、登山道が始まる。登山道は、樹林に囲まれて、緩やかに登っていく。途中でお分れ峠への道が右に分かれるが、そのまま直進する。
 水神分岐でトラバース道から分かれると、ようやく泉ヶ岳への登りが始まった。ひと登りしたところに、大きな水神の碑が置かれている。
 長く感じられる登りが続いた。登山道の周囲に大岩が転がる中を登っていくと、賽の河原のガレ場に出た。その先は、緩やかな傾斜に変わり、台地を進むと泉ヶ岳の山頂に到着した。
 山頂からは、以前にも歩いたことのある北泉ヶ岳への縦走路の他に、表コース、カモシカコース、滑降コースが下っている。歩きやすそうな滑降コースを下ることにした。
 少し下ると、カモシカコースの分岐になった。カモシカコースは、斜面をまっすぐ下っていったが、滑降コースはトラバース気味の下りが続いた。大カベ、小カベと呼ばれるらしい急斜面が二か所現れたが、階段状に整備されており、歩きやすくなっていた。
 その先からは、樹林帯の緩やかな下りに変わった。少年の家の裏手で沢を渡ると、その先で駐車場に戻ることができた。
 滑降コースはゲレンデの下りかとおもったが、ゲレンデには出ることなしに続いていた。
 雨の中、登山を行うことができたことに満足して、家へはまだ長いドライブに移った。

山行目次に戻る
表紙に戻る