六万騎山、鬼ヶ面山・北岳

六万騎山
鬼ヶ面山・北岳


【日時】 2009年3月20日(金)〜21日(土) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 20日:小雨 21日:晴

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 六万騎山・ろくまんきやま・321.0m・四等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/十日町/五日町
【コース】 地蔵堂駐車場より
【ガイド】 新潟の里山(新潟日報社)
【温泉】 こまみの湯 600円

【山域】 守門山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 北山・きただけ・1472m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/守門岳/守門岳
【コース】 浅草山荘より
【ガイド】 なし
【温泉】 浅草山荘 600円

【時間記録】
3月20日(金) 9:30 新潟=(関越自動車道、小出IC、R.291 経由)=12:30 六万騎山登山口〜13:41 発―14:20 六万騎山―14:44 六万騎山登山口=(R.291、小出、R.252 経由)=17:00 五味沢  (車中泊)
3月21日(土) 6:17 浅草山荘―9:46 北岳―12:43 浅草山荘=(大白川、R.252渋川、R.290、栃尾、R.351、川崎北、R.8、中之島見附IC、北陸道 経由)=16:00 新潟
 六万騎山は、八海山から猿倉山を経て西に延びる尾根が、魚沼川に落ち込むところにある山である。この山にはかつて山城が置かれていた。登山口の看板によれば「六万騎城は、六万騎山の頂上標高321mにあり、上田長尾氏の武将福島大炊督の居城であった。本丸、出丸、諾丸の配置や全山の様相から兵六万収容可能と推定され、その名に相応しい名城であった。南北朝時代には両党の死闘が繰り返された所であり、長尾氏入国以来、坂戸城の守りのためには無くてはならぬ要塞であった。」と説明されている。

 鬼ヶ面山は、浅草岳の南西に位置する山である。三角点の置かれている1466.1mピークを中心にして、北に北岳、南に南岳を連ねている。福島県側は一気に切り落ちる大岩壁になっているが、北岳へは北西に尾根が延びて、最後は浅草山荘脇に落ち込んでいるため、残雪期のルートとしてこの尾根を使うことができる。

 新潟の春は、花の山と残雪の山を楽しめることができるのが魅力である。雪割草はすでに楽しんだので、今度は残雪の山が目標になる。ところが、今年は異常なほどの暖冬で、雪消えも早くなっている。そのような状態でも雪が豊富なところということで、鬼ヶ面山の北岳を目指すことにした。
 天気予報は、三連休の中日の土曜日だけが晴れるようであった。この一日を期待して北岳にあてるとした。土曜日は、昼から雨が上がるというので、中越方面の山の計画をいくつか立てて出かけることにした。
 土曜日は、天気予報が当たって、朝から雨であった。昼からは晴れるという予報を期待して高速に乗ったものの、長岡を過ぎても、本降りの雨が続いた。小出付近の山からは、すっかり雪も消えており、残雪歩きの期待も失せてしまった。六日町で昼食をとってから、ともかく山に登るため八万騎山の登山口に向かった。
 八万騎山はこれまで二回登っているが、春の花の時期はこれが初めてである。地蔵堂の駐車場に入ったが、雨が止むまで、車の中で待機することになった。結局、小雨が続く中を出発することになった。
 階段を上ると地蔵堂のある広場に出るが、ここから山頂への遊歩道が始まっている。遊歩道脇には、雪割草が生えていたが、ピンクの濃い色のもので、栽培種のような感じであった。カタクリがお花畑の主役であるが、コシノコバイモが沢山あったのは収穫であった。
 低い山ではあるが、義木の丸太の階段が続き、結構辛い登りである。傾斜が緩むと、曲輪跡のような台地が広がっており、魚沼平野が眼下に広がっている。六日町の坂戸山も目の前で、この城も坂戸城の支城であることがうなずける。
 桜の木が並ぶ遊歩道を進んでいくと、六万騎山の山頂に到着する。山頂に雪は無くなっていたが、六万騎城址の石碑は雪囲いに覆われていた。
 下山は、山頂の先に進み、一本東側の尾根を下る。こちらも歩きやすい道が整備されているが、花は登りに使った尾根の方が多かった。
 小出で温泉に入り、食料も買い込んでから、北岳の登り口の五味沢に向かった。途中の大原や入広瀬周辺の山からは、すっかり雪がなくなっていた。残雪を使って登ろうと考えていた山もあったが、すでに時期を逸したようである。
 それでも、大白川に入ると、一気に雪が多くなった。破間川ダム沿いの道路スペースに車を停めて夜を過ごした。道路脇の雪を足で踏んでみるとグズグズの状態であり、明日の雪の状態が気がかりであった。
 晴天の朝にはなったが、山頂部には雲がかかっていた。太陽が昇るにつれて雲は消えるはずである。赤い鉄橋の浅草大橋のたもとからは、登山口の浅草山荘と登りに使う尾根が一望できた。雪は豊富であるものの、取り付き部の尾根末端付近では、雪融けが進んで黒く見えているところもあった。コース取りには注意が必要そうであった。
 浅草山荘の駐車場に車をおかせてもらった。下山後には、温泉が待っているのはありがたい。
 駐車場の前庭にはきれいな雪原が広がっていた。沢が池に流れ込んでいたので、まずは沢の右岸側に移動した。
 砂防ダム建設のためのような林道が始まっており、それをひと登りすると杉の植林地に出る。右手に沢を見ながら進むと、沢は雪で覆われるようになった。この窪地をしばらく辿った後に左の尾根に取り付き、さらに左奥の尾根に移動した。この尾根は少し急ではあるが、雪堤が続いており、歩きやすい状態になっていた。杉林の中では、スノーシューが潜る状態であったが、尾根に取り付いた頃には、夜の間の冷え込みで締まって、歩きやすくなっていた。北岳までは距離が長いので、雪の状態が良くてほっとした。
 一気に高度を上げると、標高790m付近で背後の展望が広がった。守門岳や黒姫が目の前にそびえていた。山頂部にかかっていた雲もだいぶ薄くなってきていた。
 周囲の木立ちには霧氷が付いて、銀世界が広がった。春としては珍しい風景である。尾根上や谷間には、ブナの大木が点在し、白く染まり、雪の上に美しい影を引いていた。
 雪堤は、終始、尾根の左に広がっていた。雪庇の崩落が怖いが、すでに脆い所は落ちて、安定した状態になっていた。
 地図上では、950.0m三角点及び1045m点といった目標地点があるが、GPSでないと確認できない特徴のない地点であった。
 たんたんとした尾根の登りが続いた。右手の尾根越しに、毛猛山塊が姿を現したが、登るにつれて尾根に隠されてしまった。
 尾根の彼方に見えていた北岳の山頂も、1252点の沢源頭点に到達すると、ようやく迫ってきた。登りのコースも目で追うことができた。最後は少し急になるが、幅広斜面なので、コース取りを考えれば、通過できるはずである。麓の雪が柔らかかったので、ピッケルとアイゼンを持ってこなかっった。
 左手の谷越しには、桜曽根が並行した走っている。登りの途中からは、カヘヨノポッチが山頂かと思うほどに目立っていたが、ようやく前岳の奥に浅草岳の山頂も見えてきた。 風が冷たく、周囲の木々にも、氷の結晶が20センチ程に長く延びていた。フリースを着こみ、雨具の上着も着こんだ。
 山頂への最後の登りに取り掛かった。雪は締まっていたが、スノーシューのアイゼンも喰いこんでくれて、歩くのに問題はなかった。ただ、吹き溜まりによるものなのか、段ができており、迂回しながら登る必要もあった。
 浅草岳から落ち込んでくる県境稜線も目の飛び込んできた。雪が落ちたところからは、ナイフエッジの稜線が姿を見せていた。
 北岳の山頂は台地状で、奥に少し進んだところが山頂になる。県境稜線からは、少し新潟県側に入っており、夏の縦走の際には、灌木帯の踏み跡を辿ることになる。
 田子倉湖が眼下に見えていた。鬼ヶ面山の山頂を、一段低いところに見下ろすことができた。鬼ヶ面山の福島県側は大岩壁になって落ち込んでいるが、雪庇の踏み抜きが怖く、あまり奥にすすまず恐る恐る覗き込むことになった。
 西には、毛猛山塊と中ノ岳から越後駒ヶ岳、八海山が並ぶ稜線が二重に走っている。標高の高い越後三山の方が目立つが、毛猛山塊も荒々しい姿を見せていた。遠くには、燧ヶ岳が特徴のある山頂を見せ、その右手には、平ヶ岳や荒沢岳が並んでいた。天候にも恵まれ、素晴らしい風景を楽しむことができた。
 風が冷たいため、風景を楽しんだら、そのまま下山を開始することになった。スノーシューの跡は雪の上にほとんで付いておらず、山頂からの下り口を確認するのが難しかった。尾根をそのまま辿ると急になったので、右手に回り込んでから登っているので、下り口が余計に判りにくくなっていた。
 足元に注意しながらの下りもすぐに傾斜が緩んでくれて楽になった。一段下りると風も弱くなったので、腰を下ろして大休止にした。休んでいると話声が聞こえてきた。登山者が登ってきたかのかと思ったが、誰もいない。桜曽根を眺めると、点状に登山者が登っていくのが見えた。望遠レンズで撮影した写真を後でズームしてみると、スキーを履いているのが確認できた。浅草岳は山スキーヤーや登山者で賑わっているようだが、こちらの北岳は独り占めの山であった。
 守門山塊を正面に見ながら、霧氷の森の風景を楽しみながらの下りが続いた。登りは一本尾根のように見えたのだが、下りは、コースを確認しなければならない枝尾根が分かれた。
 下山した後は、すぐに温泉に入れるのもこの山の良いところである。時間も早かったため、独り占めの温泉になった。
 北岳は、浅草岳や守門大岳に比べれば、積雪期に登る者は少ないが、もっと登る者がいても良いお勧めの山である。

山行目次に戻る
表紙に戻る