焼山

焼山


【日時】 2008年10月18日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 頚城三山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 焼山・やけやま・2004.3m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/妙高山/湯川内
【コース】 笹倉温泉口より往復
【ガイド】 山と高原地図「妙高・戸隠・雨飾」(昭文社)
【温泉】 杉野沢温泉苗名の湯 450円

【時間記録】 10月17日(金) 19:10 新潟=(北陸自動車道、上信越自動車道、妙高高原IC 経由)=21:00 杉野沢橋  (車中泊)
10月18日(土) 5:25 杉野沢橋発―6:33 金山谷―7:03 裏金山谷―7:21 地獄谷―7:50 最後の水場―9:04 富士見峠―9:14 笹倉温泉分岐―9:18 泊岩―10:08 焼山〜10:40 発―11:32 泊岩―11:35 笹倉温泉分岐―11:49 富士見峠―12:59 最後の水場―13:28 地獄谷―13:48 裏金山谷―14:13 金山谷―15:27 杉野沢橋=(R.18、直江津、R.8、柿崎IC、北陸自動車道 経由)=20:00 新潟
 焼山は、頚城三山として妙高山と火打山とともに数えられる山である。火山活動のために、1987年から長らく登山禁止になっていたが、2006年4月に解禁になり、登山道の整備が進められてきた。2008年の登山地図では、火打山からの縦走路及び笹倉温泉からの登山道は破線ではあるが赤線とコースタイムが記されるようになっており、さらに、笹ヶ峰から富士見峠、富士見峠から金山の間の登山道も刈り払いが進んでいる。

 焼山は、9月14日に笹倉温泉登山口から登ったばかりであるが、今回、笹ヶ峰の杉野沢橋コースから登ることにした。この二つのコースは、日帰り可能なことから、今後利用者も増えると思われる。新しい登山コースとして紹介するには、二つを知っておかないことには片手落ちといえる。
 新聞の報道によれば、笹ヶ峰一帯は紅葉の盛りになったようで、登山の期待も高まった。翌日の晴天は確実なようで、久しぶりに天候の心配のない山行になった。
 このコースを歩く上での問題は、秋も深まって、日中の行動時間が短くなっていることである。ネット上の報告を見ると、11時間ほどを予定しておく必要がありそうである。5時半発で、4時半下山となり、ぎりぎりの線である。笹倉温泉口とは違って、最初の林道歩きが無いのは良いが、ヘッドランプで歩きで時間の短縮を図るわけにはいかない。
 杉野沢から笹ヶ峰への道路は、いささか長く感じられるが、その分、高度も稼いでいる。火打山の登山口の駐車場を見ると、車が結構停まっていた。紅葉の盛りとあって、明日の入山者は多そうであった。その先の道路は、未舗装になるが、夜間でも問題なく走れる状態である。
 杉野沢橋を渡った先は、以前も登ったことのある赤尾山の登山口広場であるが、上流に向かう林道が分かれている。これに進むと、すぐに堰堤脇の広場に出て、ここが登山口になる。一台の車が停められていたので、赤尾山登山口に戻って、夜を過ごすことにした。 月明かりで影ができるほどの明るい夜になった。5時前に起きて、出発の用意をしたが、夜明けなのか、月明かりなのか判らない状態であった。車を林道終点広場に移して、しばらく待つと、ヘッドランプ無しで地表を確認することができるようになった。予定通りの5時半の出発となった。
 広場の奥から山道に進むと、石で固められた川岸に出て、その先の堰堤脇から再び山道が始まった。しばらくは、川岸に広がる林の中の歩きが続いた。少し登ったと思ったら、その先は崖状の下りになった。固定ロープの助けを借りて下ったが、ここは、川岸が沢の流れで削られて崖になってしまったようである。その後しばらくは、ブナ林の中の平坦な歩きが続いた。
 細い流れの滝沢を越すと、いきなり急な登りが始まった。ようやく明るくなってきた周囲を見渡すと、色付いた紅葉に囲まれていた。急登もそう長くはなく、トラバース道が続くようになった。沢に向かって落ち込む崩壊地の上を通る所が何ヶ所も出てきて、足元に注意が必要になった。ロープが張られている所もあったが、支点の取り方が緩いため、頼るのは危険であった。
 緩やかに下っていくと、金山谷に出た。岩畳の上を水が流れており、徒渉というほどのことはなかった。岩の上にザックを下ろしてひと休みした。もっとも、雨の時は増水して、徒渉が危険になる可能性は忘れてはならない。
 金山谷の左岸尾根に向かっての急登が始まった。尾根を乗り越して下りに転じるところでは、焼山が、紅葉に彩られた谷の奥に聳えるのを眺めることができた。再び沢に向かっての下りを続けると、沢の二俣に出た。テープや岩に書かれた目印に従って、左の裏金山谷の右岸沿いに100m程進むと徒渉点になった。登りの時は、目印がはっきりしていたのだが、下りの方向からは少し判りにくく、河原歩きをするため、下山時にだけここを通る際には注意が必要である。
 次の目標地点は、地獄谷の徒渉点である。ここは、岩の端に立って、流れを一気に飛び越える必要があったので少し難しかった。もっとも、足場の悪いトラバースや徒渉があるようなので、スパイク長靴を履いてきていたので、徒渉も楽である。
 地獄谷の左岸沿いにしばらく進むと、沢から離れての登りになった。台地を緩やかに登っていくと、小さな沢の横断点に出た。ここは崖から清水が湧き出ており、最後の水場になっていた。水を飲んで、元気を取り戻した。
 ここからいよいよ高度を稼ぐ歩きになった。富士見峠までは、標高差450mの登りになる。等高線は密ではあるが、つづら折りになっていて歩きやすい道であった。灌木の枝も鋸で挽いてあり、整備されていた。GPSの軌跡を家に戻ってから見ると、この区間では、地図の破線とほとんど変わっていなかった。登山禁止の間も消えないでいられただけの幅広の道が昔からあったようである。
 谷に臨む場所に出ると、金山の眺めが広がったが、山の斜面は盛りの紅葉に彩られていた。紅葉を堪能できるコースであるが、この風景を目にした者は、まだ僅かしかいないであろう。
 つづら折りが終わると、トラバース気味の登りが続くようになった。裏金山から富士見峠に続く稜線も次第に同じ高さに近づいてきた。直登に入ったと思うと、またすぐにトラバース状態に入った。
 登山道の脇には、僅かの距離になってきた焼山の山頂が見えるようになってきた。富士見峠の少し手前から尾根沿いの道になった。見下ろす谷間には、紅葉に囲まれて残雪が消え残っていた。この時期なら、そのまま冬を迎えそうである。
 順調な歩きで、富士見峠に到着した。太陽が低くて南の遠望は利かず、富士山を見ることはできなかった。金山に至る尾根を一望できた。焼山登頂の次の目標は縦走になるので、良く見ておく必要がある。金山に至る尾根は、特に急なところも無さそうで、道さえ開かれていれば、歩きやすそうであった。峠付近は、最近刈り払いが行われたようで、広場ができていた。テントを張るスペースはあるが、笹の枝の切り跡が飛び出しているので、底に穴をあけそうである。
 富士見峠から泊岩分岐までは、一旦下りになる。先回、分岐から富士見峠方面を眺めた時は、夏草がかぶって、足元の踏み跡をかろうじて辿れる状態であったが、刈り払われて、普通の登山道状態に変わっていた。沢沿いに下っていくと、泊岩分岐に到着した。
 この後は、先回も歩いているので、気は楽になった。泊岩を過ぎて灌木帯を行くと、ザレ場の登りになる。頭上に見える大岩の間が、焼山への入場口であるが、ここが一番の頑張り所になる。
 西にある火口の縁に出て、火口原をつっきって、向かいの稜線上に出る。火口の眺めが目の前に広がり、外輪山に乗った岩の高まりが山頂である。続いて、右手の岩場を登ることになるが、二回目ともなると、落ち着いて通過することができた。手前のピークから一旦下って登り返すと、ようやく焼山に到着した。再び、金属製の山頂標識にお目にかかることになった。山頂手前で、数組の登山者とすれ違ったのだが、誰もいない山頂であった。
 先回と違うのは、周囲の展望であった。影火打を越して火打山続く尾根を眼で追うことができた。その右手には、高谷池付近の湿原と高谷池ヒュッテの三角屋根を眺めることができた。奥には妙高山が聳えていた。振り返ると、金山や雨飾山、海谷山塊の山々。一段高く後立山の連なりが横たわり、白馬三山、五龍岳、鹿島槍ヶ岳といったピークを見分けることができた。雪はまだ訪れていないようであった。
 風が冷たく、山頂で長居はできなかった。鎖場の下まで戻って、大休止にすることにした。誰もいない山頂を後にした。焼山は、時間もかかることから、そろそろ登山シーズンは終わりのようである。
 鎖場の下で休みながら火口を眺めていると、白い煙が上がっているのに気がついた。僅かな煙であるが、焼山は、活火山としてまだ生きているようである。
 杉野沢橋への下山は、途中で登り返しや足元に注意が必要なトラバースもあって、気が抜けなかった。笹倉温泉コースは、二つの谷の横断にロープ頼りの登り下りがあるものの、他は気楽に歩くことができる。どちらが楽かと聞かれても、どちらも難路であると答えるしかないであろう。しかし、登山道は、一般道並みにはっきりしていた。
 高く昇った太陽に照らされて、紅葉は鮮やかな色を見せていた。紅葉の写真を撮りながらの歩きになったが、予定よりは早い、行動10時間で下山することができた。

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