帝釈山、田代山、鬼ヶ面山

帝釈山、田代山
鬼ヶ面山


【日時】 2008年6月28日(土)〜29日(日) 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 28日:曇り 29日:雨

【山域】 南会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 帝釈山・たいしゃくさん・2059.6m・二等三角点・福島県
 田代山・たしろさん・1926m・なし・福島県
【コース】 馬坂峠コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/燧ヶ岳/帝釈山
【ガイド】 アルペンガイド「尾瀬、南会津の山」(山と渓谷社)
【温泉】 燧の湯 600円

【山域】 浅草岳
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
鬼ヶ面山・おにがつらやま・1465.1m・三等三角点・新潟、福島
【コース】 六十里峠登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/須原/毛猛山
【ガイド】 アルペンガイド「上信越の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「越後三山・卷機山・守門岳」(昭文社) 【温泉】 守門温泉SLランド青雲荘 600円

【時間記録】
6月27日(金) 19:00 新潟発=(R.49、安田IC、磐越道、会津坂下IC、R.49、会津坂下、会津本郷、芦ノ牧温泉、R.118、湯野上、R.121、会津田島、R.289、南郷、内川、R.352 経由)=23:00 檜枝岐
6月28日(土) 5;00 檜枝岐=5:30 馬坂峠〜7:40 発―8:30 帝釈山―9:40 田代山〜11:20 発―12:53 帝釈山―13:40 馬坂峠=(檜枝岐、R.352、R.401、R.289、只見、R.252、R.290 経由)=19:00 栃尾
6月29日(日) 7:15 六十里越峠登山口―7:42 峠―8:28 登山道入口―9:09 南岳―9:47 鬼ヶ面山―10:50 南岳―11:45 登山道入口―12:06 六十里越峠登山口=(R.290、下田、R.289、三条燕IC、北陸自動車道 経由)=15:30 新潟
 田代山と帝釈山は、福島県と栃木県の県境を形作る帝釈山脈にある山である。二つの山をセットにして登ることが多いが、それぞれの山の雰囲気は大きく異なっている。田代山は、山頂部に広大な湿原を持ち、帝釈山は、帝釈山地の最高峰としてオオシラビソに囲まれた深山であるといった異なった特徴を持っている。これまでは、湯の花温泉から林道を辿った先の猿倉登山口からまず田代山に登り、そこから帝釈山を往復するというのが普通であった。最近、檜枝岐から川俣にぬける林道を使い、馬坂峠から帝釈山に登る登山道が新しく整備され、帝釈山には1時間ほどで登ることができるようになった。帝釈山にはオサバグサの大群落があり、檜枝岐ではオサバ草祭と称して、登山客の誘致に勤めている。

 梅雨入りとなった六月末は、山では花の季節になっている。花を目当てに出かけることになるが、この週末は、帝釈山のオサバグサと守門大岳のヒメサユリのお花見を考えた。気になる天気予報は、土曜日は曇りでまずまずであるが、日曜日は曇り後雨というものであった。ヒメサユリは雨の中でも見ることができるが、オサバグサは林床の薄暗い場所で咲くため、雨では困る。土曜日に帝釈山、日曜日に守門大岳を登ることにした。
 この週末まで檜枝岐で開催しているオサバ草祭の期間中である。馬坂峠でバッチを配るというのは楽しみであるが、林道や駐車場の混み具合が心配である。前夜のうちに檜枝岐まで入っておいて、早朝に峠に上がることにした。
 先々週も御池から尾瀬ヶ原に入っており、桧枝岐までは通い慣れた道になっている。檜枝岐の村内にある燧の湯の分岐には、帝釈山と田代山の大きな標識が置かれている。馬坂峠へは、14.5km30分の距離がある。この林道は、帝釈山と台倉高山の他にも、長須ヶ玉山や孫兵衛山、大中子山登山の際に利用しており、御馴染みになっているが、夜間の林道の走行は避けたく、未舗装に変わったキャンプ場先の空き地に車を停めて寝た。
 夜明けの頃、通過する車の音で目が覚めた。登山者の他に釣り人が入ってきているのかもしれない。車を動かして、峠を目指した。
 林道は未舗装であるが、以前よりも路面の状態は良くなっていた。それでも途中で、徐行しなければならない、凸凹も現れた。もっとも、この林道で心配なのは、観光バスとすれ違うことである。バスと出くわそうものなら、必ずこちらがバックすることになるが、運転手の他に誘導者を乗せていて欲しい。それでなければ、ジャンボタクシー以上の大型車は進入禁止にして欲しい。早朝とあって、問題なく峠に到着することができた。
 峠の駐車スペースには、車一台づつの白線が敷いてあった。太陽が充分昇るまで、ひと眠りした。
 オサバ草祭でバッチを配るのは、8時からとのことであった。朝食を取り終えても時間があったので、台倉高山側でオサバグサの写真を撮ることにした。こちらも一面の群落が広がっていることは、2005年6月18日の登山の際に経験済みである。
 オサバグサは、羊歯のような葉を持ち、茎の先に米粒のような白い花を咲かせる。どちらかというと地味な花であるが、オオシラビソの薄暗い原生林の林床を一面に埋め尽くしている様は、夢のような光景である。しかし、花の写真撮影は、なかなか難しい。
 到着する車の音が続くようになった。峠に戻り、登山口を見ると、村のスタッフがバッチを配り始めていた。バッチをもらって、歩き出す準備が整った。
 馬坂峠から帝釈山に登るのは、2002年7月6日以来である。この時もオサバグサは見ることはできたが、落ち始めた花が多かった。今回は、盛りのお花畑をみることができた。登山口から少し入っただけで、木道が敷れた登山道の周辺は、一面のオサバグサの群落が広がった。何本と数えられるようなものではなく、無数のというしかない数であった。写真を撮りながらの歩きになって、他の登山者には先に追い越していってもらう歩きになった。ただ歩いて先に進むのがもったいない道であった。木道や階段もかなり奥まで整備されていた。
 登山の経験の無い観光客でも眺めることのできるお花畑なので、将来はもっと混み合うようになるのかもしれない。幸い、オサバグサは珍しい花なので、よほどの花好きでないと名前も知っていないであろうから、ミズバショウほどには客寄せ効果はないのかもしれない。尾瀬の花の、6月初旬のミズバショウと7月中旬のニッコウキスゲの間にオサバグサが咲くので、檜枝岐の花暦としては、うまい並びになっている。
 オサバグサも姿を消すと、つづら折りの急な登りが続くようになった。息も切れてきたが、この登りはそう長くは続かない。
 帝釈山の山頂は、ガスに包まれて展望は無かったので、そのまま先に進んだ。岩っぽい尾根の下りが始まる。岩を巻くような場所があるが、以前、落雷で亡くなった登山者がいたがこの場所のようである。
 下りがひと段落した後は、針葉樹に囲まれた薄暗い道が続く。オサバグサの群落は、帝釈山と田代山との間の尾根沿いで、断続的に現れる。標高が高い分、ここの花は。盛りの花が多かった。オサバグサの花は散りやすく、白い花びらは落ちて横に伸びた横枝だけが残る。以前は、この鞍部付近では、道を見失いやすかったが、テープも張ってあり、良く整備されていた。  再び登りに転ずると、避難小屋を兼ねた弘法太子堂脇に出て、田代山に到着となる。その先で湿原に出るが、大勢の登山者が木道の上で休んでいた。湿原にはガスが流れて、木道に沿って並ぶワタスゲが揺れていた。
 湿原に進んでいくと、ガスも切れて、湿原の全景が広がるようになった。湿原は、ワタスゲの他に、チングルマ、ヒメシャクナゲ、タテヤマリンドウ、コイワカガミが咲いてお花畑状態になっていた。
 田代山の湿原に敷かれた木道は、テラスが設けられていないので、休む場所を探すのに苦労する。腰を下ろせる場所を見つけて大休止にした。湿原の花を楽しむには充分な天気であったが、駒ヶ岳を初めとする山の展望は開けなかった。
 下りも、花の写真を撮りながらのんびりと歩いた。土曜の歩きは、下山後の時間的余裕があるのが好きである。
 馬坂峠に戻ると、駐車場にも空きはできていたが、車を走らせると、かなり下の林道脇にも車が停められて、かなりの混み具合であったことが判った。
 燧の湯で温泉に入り、桧枝岐名物の裁ソバを食べた。盛りソバの大盛りで、1240円と値段も張ったが、たまには贅沢もよいであろう。
 翌日は、守門大岳へ大穴沢コースから登る予定であった。登山者も少ないマイナーコースであるが、途中の三休平にはヒメサユリが咲く。六十里越を通って、栃尾に出て食料の買出しをしてから、刈谷田川ダム先の登山口に入った。
 夜中に雨が降り出した。大穴沢コースは、刈り払いの状態が不明で、雨の中での登山には不安があった。一般登山道の歩きで、ヒメサユリの花を楽しめる山を考えることにした。六十里越登山口から鬼ヶ面山なら、南岳までは樹林帯の歩きなので、少々の雨でも歩くことができる。その先は、崖際の歩きになるが、南岳付近からヒメサユリが現れるので、状況によっては花に出会えたら引き返しても良い。ということで、六十里越登山口へと移動することになった。
 昨日通った道を引き返して六十里越に戻った。トンネル手前の駐車場に車を停めた。本降りの雨になっていた。雨具のズボンを履き、長靴に傘をさしての姿で歩き出した。
 始めは急登であるが、山腹を巻いて行く道になり、やがて六十里越の峠に到着する。左の山道に進むと、すぐに送電線の鉄塔下に出る。その先は、つづら折りの急坂が続くようになる。きつい登りであるが、鬼ヶ面山までのコースでは、ここが一番の頑張り所である。
 急坂が終わると、マイクロウェーブの中継板の置かれた台地に出て、この先は、荒れた林道歩きになる。この道は、吹峠を経て五味沢に通じている。700m先で、この道と判れて登山道に進む。いよいよ南岳への登りがはじまるが、傾斜は緩やかである。
 南岳に到着すると、その先は、崖際を辿る道になる。山頂からの下りで待望のヒメサユリが現れた。本降りの雨であったが、歩けないほどでないため、鬼ヶ面山の山頂を目指すことにした。その先は、小さなピークを越していく道になった。ヒメサユリも次々に現れてきた。一旦カメラを濡らすと、レンズが曇って撮影不能になる可能性もあるため、花の場所を記憶にとどめながら先に進んだ。
 晴れた日よりは苦労したが、鬼ヶ面山の山頂に到着することができた。女性の二人連れが休んでいたが、入れ違いに下山していった。ここまでは傘をさしてきたが、カメラを構えるために手をあける必要があり、雨具を着込んだ。ヒメサユリは、この先が素晴らしいのだが、無理をせずに引き返すことにした。
 幸い、雨が小降りになって、写真撮影の余裕が生まれた。雨粒が付いたヒメサユリの花は美しかったが、風に揺れるし、眼鏡が曇ってピント合わせがしずらく、撮影には苦労した。
 南岳まで戻ったところでカメラをしまいこみ、再び傘をさして下山の足を早めた。
 雨でずぶぬれとなり、温泉へと急ぐことになった。

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