杁差岳

杁差岳


【日時】 2008年6月7日(土) 前夜発日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 大石山・おおいしやま・1567m・なし・新潟県
 鉾立峰・ほこたてみね・1573m・なし・新潟県
 杁差岳・えぶりさしだけ・1636.4m・三等三角点・新潟県
【コース】 奧胎内より足の松尾根
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/飯豊山/杁差岳、二王子岳
【ガイド】 分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「飯豊山」(昭分社)

【時間記録】
16日(金) 20:00 新潟発=(R.7、新発田、三日市、R.290、大島、R.113、玉川 経由)=21:30 胎内ヒュッテ  (車中泊)
20日(土) 3:15 胎内ヒュッテ発―3:54 足の松尾根取り付き―4:40 姫子ノ松〜4:45 発―5:09 岩場―5:25 滝見場―6:03 水場入口―7:12 大石山分岐〜7:20 発―8:07 鉾立峰―8:53 杁差岳〜9:30 発―10:17 鉾立峰―11:11 大石山分岐―12:08 頼母木山〜12:30 発―12:44 頼母木小屋―13:30 大石山分岐―14:31 水場入口〜14:41 発―15:18 滝見場―15:33 岩場―15:59 姫子ノ松〜16:05 発―16:44 足の松尾根取り付き―17:30 胎内ヒュッテ発=(往路を戻る)=19:10 新潟
 杁差岳は、飯豊連峰主脈北端を代表する山であり、日本二百名山にも選ばれている。その名前は、「杁差しの爺や」と呼ばれる残雪形が名前の由来であるといわれている。杁差岳への登山道としては、胎内ヒュッテが起点となる足の松尾根を登って大石山を経由するコースが一般に用いられ、新潟からの飯豊登山の入門コースになっている。

 山頂を踏むことが目的の山行と違って、花が目的の場合には、毎年恒例となってしまう。杁差岳のハクサンイチゲも毎年訪れるべき山のリストに入っている。昨年は、6月16日に訪れてハクサンイチゲのお花畑を堪能した。飯豊のハクサンイチゲも咲き出したと聞いて、いつが盛りになるかが、一番の関心事になった。この週末は、仕事の関係で遠出する元気もなく、だめもとで、杁差岳を目指すことにした。
 金曜日は曇り空で、土曜日の天気の回復を期待するも、期待はできない状態であった。日曜日に杁差岳を目指すには、日帰りの疲れが月曜に持ち越されるのが辛かった。飯豊の日帰りは、土曜に済ましておきかった。
 登山口の奥胎内へは、道路の整備が進んだことによって、1時間半ほどの近さになっている。しかし、杁差岳の日帰りを行うには、4時発が望ましく、逆算すれば、新潟は2時半出発になる。この早起きをするくらいなら、前夜に入って寝ていた方が、睡眠時間が確保しやすい。
 ということで、前夜に家を出て、奥胎内で夜を明かした。
 翌朝は、3時に起床。といっても、5時間の睡眠を確保している。3時半に車道歩きを開始した。新月であったが、道路の白線はヘッドランプなしでも見えるので、そのまま歩いていると、周囲も明るくなってきた。6月の山行のありがたいところである。
 一般に、このコースは自転車を用意するものが多いが、今回は持ってこなかった。自転車を押していくのは疲れるし、乗ろうとすると、おかしな体力の使い方になって、歩きの調子がでない。準備運動と割り切って、車道歩きを行った。
 この車道歩きで、この日の体調をつかめるのだが、絶不調であった。週末にかけて、立ち続けの仕事を行っていた。歩きと違って立ち続けは足に負担がかかるようで、足に疲労が出ていた。辛い山行になりそうであった。
 取り付きの急登りをこなし、ひと汗かくと、姫子ノ松に到着した。周囲の展望も開けるようになっていたが、飯豊の稜線はガスに覆われていた。この日の天気の回復は望めないような感じがした。足元を見ると、ヒメサユリが数本咲いていた。写真になる明るさでもなかったので、下山時に撮影することにした。
 この先は、小ピークの乗り越しや岩場の通過もあって、標高は上がらない割りに辛い区間である。
 滝見場を過ぎると、次の目標地点は、水場のある窪地であるが、その前に一箇所、遅くまで残る雪田がある。今回は、時期も早いことから、残雪も豊富であった。ただし、このコースは、雪融けも早く、残雪歩きが現れるといっても、それによる危険箇所は無い。
 水場のある窪地も豊富な雪に覆われており、周囲の斜面は、カタクリの花盛りであった。
 ここからは、本格的な一本調子の登りになるが、ブナ林も広がって、足の運びは楽で、体力が残っているかだけが、ここの課題になる。
 尾根が痩せて、周囲が潅木帯に変わると、大石山の山頂も近くなってくる。シラネアオイの花も出迎えてくれた。
 大石山に到着してひと休みになったが、風が冷たく、長袖Tシャツだけでは無理で、山シャツに雨具の上着を着込んだ。
 展望はガスに閉ざされており、関心事は花になった。鉾立峰への下りになると、ハクサンイチゲの群落が現れた。花も盛りで、その点の読みは当たったといえる。シラネアオイも咲いており、白花も多く混じっていた。ここのシラネアオイは、白花が多いのが特徴である。
 花を見ながらのため、鉾立峰を越して杁差岳へはゆっくりとした歩きになってしまった。昨年に続いての訪問なので、花の咲く場所もおおよそ見当がついている。  杁差岳の山頂で、大休止とした。風が冷たいの避難小屋に入ることも考えたが、寒くとも風景を楽しんでいたかった。ベテランになるほど、快適な避難小屋やテントの中で休みをとりたがるが、少々我慢をしても、風景の中にいたい。
 ガスの中から、豊富な残雪に覆われた稜線も一部であるが、見え初めてきた。カメラモードで歩き出すことにした。
 鉾立峰を越して大石山へ戻る道は、体力的には辛かったが、初夏を彩る花に慰められた。
 大石山に戻り、先に進んだところのハクサンイチゲのお花畑を見ることにした。今回のお花畑は、盛りといって良い状態であった。背景の白い斑模様の稜線を写しこみながら、何枚もの写真を撮った。今回の目的は、これで果たすことができた。
 足の疲労も、限界に近くなっていた。水場の窪地までは、そう問題もなく下ったが、その先は、足がもつれ気味になった。危険箇所は、いつも以上に慎重に歩く必要が出てきた。
 登山口に戻った時は、足はがたがたになっていた。気温が高くて飯豊や朝日でばてたことは何回かあるが、この日は涼しい気温であった。体調不良での飯豊日帰りは、やはりきつかった。
 最後の車道歩きは、辛いものになったが、足の疲労を後に残さない整理体操のためには、必要なものであった。
 飯豊詣では、いつも楽しさを与えてくれる代わりに体力の限界まで追い込んでくれる。
 
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