粟ヶ岳、高城

粟ヶ岳、高城


【日時】 2008年5月17日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 川内山塊 【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 粟ヶ岳・あわがたけ・1292.7m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/粟ヶ岳
【コース】 五百川コース
【ガイド】 粟ヶ岳まで:アルペンガイド「谷川岳と越後の山」(山と渓谷社)

【時間記録】 5:20 新潟発=(北陸自動車道、三条燕IC、R.289、北五百川 経由)=6:50 一合目登山口〜7:35 発―8:29 五合目粟薬師―9:40 八合目―10:11 粟ヶ岳〜10:38 発―11:20 八合目―12:21 五合目粟薬師―13:27 一合目登山口=13:54 臨時駐車場―15:11 高城〜15:18 発―16:25 臨時駐車場=(往路を戻る)=17:40 新潟
 粟ヶ岳は、新潟平野から福島県境に広がる川内山塊の最高峰である。川内山塊の山々は、標高は低いながら雪崩に磨かれたスラブをまとい、険しい渓谷に囲まれて容易に人を寄せ付けない、現在では少なくなっている秘境である。その中にあって、粟ヶ岳は、新潟平野に接する位置にあり、麓からその姿を良く眺めることができ、信仰あるいは登山の対象として、親しまれる山になっている。

 袴腰山は、川内山塊の最高峰である粟ヶ岳の前山である。五十嵐川のほとりから袴腰山に至る稜線上には高城(たかじょう)と呼ばれる山城の跡が残されている。現在、袴腰山への尾根には、ヒメサユリが大切に育成され、「ひめさゆりの小径」として登山道が整備されている。

 高城のヒメサユリが咲き始めたと聞こえてきた。さっそく、ヒメサユリ見物に出かけたいところだが、袴腰山は先日登ったばかりである。これだけでは少しもったいない。粟ヶ岳に登った後にヒメサユリ見物を行うことにした。ひめさゆり祭りも行われていて、見物客で賑わうであろうが、夕方近くなら、少しはすいているはずである。
 八木鼻の岩壁を見上げる北五百川の集落の奥に進むと、粟ヶ岳登山口の駐車場があるが、車はまだ奥まで進むことができる。橋を渡って、畑の中の狭い道を進むと、1kmほどで一合目の駐車場に到着する。車20台ほどおける駐車場であるが、空きスペースも残りわずかになっていた。登山者ばかりではなく、山菜採りもまじっているようであった。分県登山ガイドの新版では、この北五百川コースが紹介されていることから、登山者も増えているようである。
 しばらくは、用水路沿いの林道歩きが続く。山道に変わって、鉄製の橋を渡ると二合目になる。この道を前回歩いたのは、2004年11月であった。集中豪雨によって、この橋は半分落ちていたのだが、今は完全になおされていた。
 苔むした石段が現れると、元宮跡で、ここから本格的な登りが始まる。そうきつくはないが、登りが続くので、ペース配分には気を使う必要がある。気温が高くなって、汗がしたたりおちてきた。
 雑木林の広がる尾根沿いの登りを続け、四合目の粟石跡を過ぎると、岩尾根となって背後の展望が広がる。守門岳が、残雪の筋を残した火口壁を見せていた。袴腰岳から伸びてくる稜線も頭上に近づいてきている。
 ブナ林が広がるようになると、薬師の水場に到着する。水場は、登山道のすぐ脇で、パイプから流れ出ていた。喉が渇いていることは別として、ブナ林から流れ出る水は、美味しい気がする。
 ひと休みの後に、ブナ林の中を登っていくと、五合目の粟薬師に到着する。お堂の中には、何体もの石仏が置かれていたが、以前はあったのだろうか、記憶が無い。脇には、避難小屋も設けられている。以前は、扉が壊れていたが、きちんと直されていた。今回歩いた印象では、かなり整備の手が入ったように思われる。
 緩やかに登っていくと、袴腰岳から伸びてくる稜線上に出る。ほっとひと安心してしまうが、この先の登りはまだ長い。粟庭の頭や粟ヶ岳ヒュッテも谷向こうに見えるが、まだ高いところにある。
 ブナ林から潅木帯に変わって、標高が上がってきたことも実感できる。六合目は、天狗の水場であるが、帰りにのぞくと水は枯れていた。
 八合目は、小ピークになっており、その先の痩せ尾根になった午の背や、粟ヶ岳の山頂をのぞむことができる。粟ヶ岳の山頂も近くなってきたが、最後にきつい登りが待ち構えている。
 午の背は、露岩帯の痩せ尾根であるが、問題なく通過できる。その先で残雪も現れたが、幅も短く、歩きの支障にはならなかった。
 山頂から南西に延びる尾根に出ると、九合目。ここから最後の急坂になる。登山道脇には、ミヤマスミレであろうか、紫色の花が広がっていた。  粟ヶ岳山頂は、登山者は多かったが、大混雑というほどではなかった。青里岳や粟ヶ岳といった川内山塊の展望も広がっており、展望を楽しむことができた。ただ、ブヨが多く、虫を払うのが煩わしかった。
 下山は、それほどの難所もないが、足は次第に疲れてきた。
 下山後、高城登山口の長禅寺に向かった。登山道入口まで林道を上がろうとしたが、一般車は進入禁止になっていた。院内方面に少し進んだところで、五十嵐川沿いの田圃の中の農道が駐車場になっていた。ここか、下田の道の駅からシャトルバスでやってくるしかないようである。もっとも、一日を登山にあてるなら、八木鼻の駐車場に車を置いて、袴腰山から高城へ下るという手もある。
 カメラと水を持って、歩き出した。林道の坂道を上がると、長禅寺からの登山道が合流する。ここには、地元の人が、おでん等食べ物の店を出していた。その先で登山道の入口になる。ヒメサユリ祭り期間中ということで、環境整備費に200円とられた。
 混雑がいやで、ヒメサユリの盛りにこの山を訪れたことはなかった。花は咲き始めのようで蕾が並んでいたが、開いた花の写真を撮るのには不自由しなかった。以前、会津のスキー場に植えられたヒメサユリ園をみたことがあるが、花は沢山あるものの、違和感を感じた。高城は、登山道沿いに植えられているため、自然な感じがする。
 午後も遅くなったためか、人もまばらであったが、先に進むと、さらに人は少なくなった。日はまだ高いので、ゆっくりとヒメサユリの写真を撮ることができた。高城近くでは、ヒメシャガが群落状態で咲いており、これも収穫であった。高城まで登ってから、引き返した。  ヒメサユリの盛りは、この後のようで、次の週末が一番の花盛りになるかもしれないが、静かに咲きはじめの花を見物できたので、良かったということにする。
 雪割草を目標とする春山が終わり、次はヒメサユリを追って、守門・浅草、飯豊・朝日連峰へと高みを目指すことになろうか。

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