岨巒堂山、松倉山、平城畑

岨巒堂山
松倉山から平城畑


【日時】 2008年4月12日(土)〜13日(日) 1泊2日
【メンバー】 佐渡汽船親睦登山 (64名)
【天候】 7日:曇り 8日:晴

【山域】 大佐渡
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 岨巒堂山・しょらんどうやま・751.0m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 相川/相川/両津北部、金北山
【コース】 梅津古峰登山口より
【ガイド】 なし

【山域】 大佐渡
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 松倉山・まつくらやま・803.8m・三等三角点・新潟県
 平城畑・ひらじょうばたけ・653.8m・三等三角点・新潟県
【地形図】 相川/相川/金北山
【コース】 後尾登山口より石花登山口へ
【ガイド】 なし

【時間記録】
4月12日(土) 8:00 新潟港=(ジェットフォイル)=9:00 両津港=(バス)=9:50 梅津古峰登山口―12:20 岨巒堂山〜12:55 発―14:52 梅津古峰登山口=二ツ亀フィッシャーズホテル泊
4月13日(日)7:40 二ツ亀フィッシャーズホテル―9:09 後尾登山口―11:43 稜線上ピーク―12:14 松倉山〜13:11 発―14:06 平成畑―14:47 石花登山口=(バス)=17:00 両津港〜17:30 発=(ジェットフォイル)=18:30 新潟港

 岨巒堂山は、佐渡島の大佐渡山脈の金北山とどんでん山の中間点から東に分かれる支脈上にある山である。山頂からは、大佐渡山地の眺めがパノラマ状に広がっている。地元での古くからの信仰の山であったという。登山の対象として名前が出ることはほとんど無いが、難読山名として取り上げられるのを目にすることがある。

 松倉山は、大佐渡山地の西の外海府側にある山である。また平城畑は、松倉山の西にある山で、両ピーク一帯は牛の放牧場として使われていたこともあり、芝生で覆われた山頂を持ち、大佐渡山地の眺めが広がっている。

 昨年も全く同じコースのツアーに参加したが、今年も続けての参加である。目的は、佐渡の雪割草をもっと見たいということである。一人での参加は少し寂しいため、佐渡の山を昨年訪れて、すっかり気に入ってくれたらしいI夫妻に声を掛けたところ、参加ということになった。
 最終的な参加人員は総勢64名という、マイクロバス三台を繰り出す、大人数の団体になった。といっても、事前の連絡で、グループごとに歩くが、私たち三名は、グループから外れて歩いても良いという許可を得ることができ、花の写真撮影のために良い条件になった。
 始発のジェットフォイルを待つ乗船口の待合室は、今回のツアーの参加者で大賑わいになっていた。海も穏やかで、1時間の航海で両津に到着した。ただ、天気の回復が遅れているようで、近づいてきた大佐渡山脈の稜線は雲で覆われていた。両津からそう遠くないところに聳える三角ピークが 岨巒堂山であるが、経験済みの山ということで、見分けることができた。
 マイクロバス三台を連ねて、 岨巒堂山の登山口に向かった。梅津から海津川に沿ったドンデン山へ通じる道路に進み、さらに、金北山の山麓を巻くように走る国仲北林道に入ると、すぐ先のカーブ地点で、未舗装の林道が分かれる。100mほど進んだところが、岨巒堂山の登山口であるが、最後の区間はマイクロバスが左右に揺れる悪路でもあり、一般的には、林道入口で車を下りた方が無難のようである。
 古びた橋の手前でバスを降り、歩き出す準備をした。余分な荷物はバスの中に置くことができてありがたいが、マイクロバスを丸二日間貸し切り状態にするのも大変なことである。
 三班のうち、真ん中のグループに属して歩き出した。さっそく福寿草の花が現れて、花の撮影のために足が止まった。雪割草も見られたが、花はすぼんでおり、この先でもっと現れるはずと、目で楽しむだけになった。先回は、福寿草は終わりかけであったので、今回は少し遅い日程のため、この花は諦めていた。花の時期を見極めるのは難しいが、うまく花の盛りに出会うことができたようである。
 少し先で、沢の徒渉が現れる。昨年は、少し下流の発電施設からヤブコギで進んだが、今年は仮橋が架けられていた。切り倒した木を使ったワイルドな橋であるが、地元の梅津の人が掛けてくれたとのことである。岨巒堂山一帯は、梅津集落の持ち山のようで、団体が入山するのも了解されているとのことで、安心して歩くことができる。
 もう一度丸太橋を渡り、後は左岸沿いの歩きが続く。山道は歩くものも少なく、カタクリや雪割草もはみ出してきている。角田山のように、登山道をはみ出さないように神経を使う道もあるが、ここでは、一年のうち、この団体が歩くことによって山道が踏まれて、藪に返らないよう維持されているといった感じがする。この先、岨巒堂山の知名度が上がれば、自然保護についての状況も変わるかもしれないが。
 花も、エンレイソウ、カタクリ、エゾエンゴグサ、スミレサイシン、ウスバサイシン、ショウジョウバカマが次々に現れた。先が詰まったと思ったら、シラネアオイの花が咲いていた。皆がカメラを構えるための渋滞であった。雪割草も大きな株が現れて、曇り空のもとでの半開き状態であったが、それなりの美しさを見せてくれた。花が目的のツアーなので、みな満足げであった。
 途中で、沢を渡るところがある。ここは昔の道が少し下で横断していたのを迂回路として切り直したようで、尾根に出たところが、下から古い道が合わさるため、引き込まれやすい。帰りにも直進して登山道から逸れた人も出たので注意が必要である。
 岨巒堂山の標高は750mほどあり、登山口の標高はほとんど無いので、それなりの標高差となって体力も必要になる。鞍部の台地に出たころには、体力切れで、ここまでで止めるという人も出てきたようである。これだけの大人数ともなると、引率者は大変である。
 鞍部付近は、残雪が斑模様を描き、美しい風景を見せていた。この先は、残雪のために山道は判りにくくなっていた。岨巒堂山への最後の登りは、灌木の中の細道を木の枝を摘みながら登るようになる。
 息が切れてきたところで、岨巒堂山の山頂に到着した。石の祠が置かれ、周囲はガレ状態で、団体が休むには良い山頂である。昨年は、この山頂から、大佐渡山脈の主稜線の眺めを楽しんだのだが、今回は雲に隠されていた。かろうじて、両津湾と加茂湖を見下ろすことができた。
 昼食の休憩時間が過ぎる前に、寒いために早めに下山を開始することになった。リーダーに断った上で、花の写真を撮りながら先行したが、途中で、皆に追いつかれて、最後尾での歩きになった。
 カタクリはうなだれたままであったが、白花がないかと探しながら歩いていくと、見つけることができた。佐渡では、白花のカタクリが出現する率が高いようである。
 曇り空のために雪割草やカタクリ、キクザキイチゲは開かないままであったが、多くの花に会えて、楽しめた山行であった。
 車に戻り、この日の宿の二ツ亀にあるフィーッシャーズホテルに向かった。泊まった部屋からは、海や二ツ亀の眺めが広がり、リゾート気分で休むことができた。
 風呂に入った後、ビール片手に宿の周りを一周した。ホテルの脇からキャンプ場へ下っていくと、二ツ亀や大野亀の眺めが広がる。遊歩道脇には、ニリンソウ、ムラサキケマン、タチツボスミレ、アマナ、キバナノアマナといった花が咲いていた。海岸近くであるが、花は多かった。
 夕食も料理が並び、一人ビール大ビン一本の割り当てで、注がれたりしてすっかり酔ってしまった。
 翌朝、差し込む朝日で目を覚ますことができた。海を眺めながらの目覚めのコーヒーになった。天気は良さそうで、雪割草見物も期待できそうであった。
 朝食も、皿が並んでいた。いつもの山行では考えられない、朝食である。唯一残念なことは、朝食から出発まで時間が少ないことであるが、これは仕方がない。
 松倉山の登山口の後尾までは、外海府の海岸線のドライブが続く。今回のツアーでは大佐渡を一周することになり、観光気分も味わうことができる。満開の桜の花が目を楽しませてくれた。
 松尾の集落から細い林道に進む。個人の車では乗り入れに躊躇するような道に、マイクロバスはずんずん進んでいく。かなり高度を上げたところで、登山口になる。
 この登山口から松倉山への道は、地図にも破線で記されているが、実際には境界見出し標の埋設作業道のレベルになっている。杉林の中で、歩き始めはGPSも効かず、はじめて歩こうとするとかなり難しそうである。 
 林道から杉林の中の林道跡のような道に進む。古びて上に木が生えた橋を渡り、その先で杉林の広がる斜面を登り始める。尾根沿いの登りになると、雪割草も現れてくるが、始めは白い花が主で、薄暗い杉林の中とあって、写真撮影には向いていない。
しばらく歩いて最初の休みに入る頃には、雪割草も多くなってきて、撮影のために足が度々止まるようになった。第二グループの後尾について、第三グループが追いつかないようにペースを合わせながら歩いた。
 途中、福寿草のお花畑があり、前回はここで休んだ。福寿草の撮影のために足を停めると、第二グループはそのまま先に進んでいってしまった。第三グループが到着して、ここで休むということで、ザックを下ろした。数人の女性が、トイレのためか、数名先の方に進んでいってしまった。先に進むタイミングを失い、しばらく待つことになった。グループから離れるのもまずいと思って、追いつくために先に進んだが、一人で歩いてみると、なかなか心細い道であった。特に、その先でこの道は尾根から離れていってしまうのを知っているので、その分岐を見落とさないようにと注意が必要であった。昨年は倒木を越すのに手間取るところもあったが、今年は少し歩きやすくなっていた。
 幸い、分岐のところで、先行グループは休んで、雪割草見物を行っていた。
 この分岐から先は、踏み跡状態の道に変わる。枝を掻き分けるところもあり、軽いヤブコギ状態といって良い。登るのには苦労するものの、足下にまで雪割草が咲いており、つい足を停めて写真を撮りたくなる。
 景趣が緩むと残雪も現れるようになる。最後に灌木を掻き分けながら進むと、芝地に出て、一気に展望が開けた。小ピークを越えた先が松倉山の山頂である。先回はここで休んだが、今回は松倉山の山頂で昼食にするという。やはり大人数のため、行動に余裕を持たせるために苦労しているようである。
 周辺は、牛の放牧場で芝地が広がっているものの、島状に藪が広がり、その間をぬうように続く山道は判りにくい。すぐ先の小ピークからの下りは、一面に芝地が広がり、開放的で気持ちの良い歩きである。
 松倉山の山頂へは、地図の破線とは異なり、西を通過した後に南から戻るようにして登る。昨年は山名板は無かったのだが、今回は新しく置かれていた。広い芝地の山頂に腰を下ろして、お昼の大休止になった。どんでん山から金北山に至る稜線を眺めながら、食事を楽しんだ。
 松倉山からは、全般的に下りとなる。残雪が融けて、どろどろの道になっていた。鞍部に下ると、カツボラ池と呼ばれるらしい小さな池が現れた。追分と呼ばれるT字路になっており、ジャバミを経て、主脈の石花越に至る大佐渡自然歩道と呼ばれる道に合わる。この先の平城畑を経て石花に下るルートは、主要な登山道になっているため、幅広の道がつけられている。
 松倉山の周辺では高度が高いためか一旦花はなくなっていたが、この付近から、再び雪割り草や福寿草の花が現れるようになった。
 平城畑の山頂は、芝地に覆われており、遮るもののない展望が広がっている。牛の放牧のおかげではあるが、このように芝地に覆われた山頂は、新潟では珍しい。芝地には、アマナの白い花が点々と咲いていた。ここの山頂標識で記念撮影をすると、背後に金北山の山頂が写り込むのも良い。
 平城畑からの下りは、地図の破線と違っているので下り口に注意が必要である。ひと下りすると、林道跡のような幅広のトラバース道に変わる。この付近も雪割草や福寿草の花は多く、皆の下山の足が速まっている中で、写真を撮りながら急ぐという歩きになった。
 登山口に下りたって少し待つと、マイクロバスも到着して、両津に向かって出発することができた。
 両津港に到着して、しばらくお土産タイムを過ごすと、ジェットフォイルの出発時間となった。1時間の航海で、新潟港に到着して解散。
 山で花を楽しんでいたと思ったら、あっというまに新潟に戻っていたという、順調に運営されたツアーであった。昨年に続いて、同じコースであったが、満足することができた。
 声を掛けて参加してもらったI夫妻も、佐渡の山と花を満足してもらったようである。

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