トヤの頭

トヤの頭


【日時】 2008年3月20日(金) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 雨

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 トヤの頭・とやのかしら・671m・なし・新潟県
【コース】 干溝林道入口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/須原/大湯
【ガイド】 無し
【温泉】 こまみの湯 500円

【時間記録】 6:10 新潟=(北陸自動車道、小出IC 経由)=8:00 干溝林道入口〜8:21 発―10:14 鳴倉山〜10:36 発―11:58 トヤの頭〜12:34 発―13:50 干溝林道入口=(往路を戻る)=17:30 新潟
 越後駒ヶ岳からカネクリ山、ヨモギ山、笠倉山を経て北西に延びる尾根は、黒禿の頭、駒の頭、トヤの頭、鳴倉山を経て魚沼の平野部に終わる。末端の鳴倉山は、登山道もあり、また林道が山頂まで延びてハンググライダーの山頂基地としても利用されていることから登る者も多いしかしながら、その隣のトヤの頭は、登山道は無いため知名度は低いが、鳴倉山よりも標高が高いため、積雪期に登れば迫力のある展望を楽しむことができる。

 春分の日は、新潟付近では、雪も締まって、残雪歩きの季節の到来となる。毎年、この祝日を楽しんできたが、今年は雨の予報が出てしまった。前日までの出張から直接山に出かけることにしたので、行き先は中越方面あたりで考えることになった。昨年から懸案になっていた駒の頭にトヤの頭経由で登ることにした。  小出のインターの背後の千溝から歩き出すことになる。大力山や黒禿の頭の登山口でもあることから、何度も訪れている。民家の間を抜けると、干溝林道が始まるが、入口で除雪は終わっていた。手前の民家の前で車を回転させ、バックで除雪終点部に進んだ。雨も小降りになっており、なんとか歩き出せそうであった。霧がかかって、周囲の展望は閉ざされていた。
 林道に足を踏み入れると、雪に潜ったので、すぐにスノーシューを履いた。ここのところの暖かさと雨のたえ、雪もすっかり緩んでいる。養鯉池を見ながら林道を進んでいくと、谷沿いの右手に林道干溝支線が分かれるが、そのまま直進する。その先250mほどで、東音木沢にかかる橋を渡る。左岸沿いに奥の砂防ダムへ通じる道があり、そこから尾根を登れば、林道をショートカットできるはずである。ただ、標高100mほどを一気に登ることになるので、林道歩きとどちらが楽かは判らない。とりあえず、登りは林道を使い、下りは薮の様子を見て尾根を下るか決めることにした。
 積雪期の林道歩きは、雪崩の危険があり、注意が必要である。霧が晴れると、大地川を取り巻く山の斜面の雪は、まさに落ちかけている最中で、雪と茶色い地肌が斑になっていた。林道をデブリが覆うところも出てきて、上を見ながらの歩きになった。帰りは通りたくない状態であった。この後、雷鳴のような雪崩の音を何度も聞くことになった。
 ヘアピンを描いて林道は方向を変え、やがて東音木沢の谷に沿った登りになる。鳴倉山や大力山の山頂も望むことができるようになった。
 谷に動く物があり、目を凝らすと、カモシカであった。途中で、木の枝の皮がはがされていたのは、カモシカの仕業であったようである。岩の上に二頭が並んで立ち、動かなくなった。カメラを取り出して撮影したが、向こうもこちらを観察しているようである。
 再びヘアピンカーブとなって、東音木沢から離れて、南東に向かうようになると、453m点から下りてくる尾根の末端になる。前回は、この尾根を下りてきたまでは良かったものの、林道脇が崖になっていて下りられず、ようやく谷に向かう急な雪原を下って林道に下り立った。今回は、もう少し楽に上がれる場所はないかと探しながら、林道を進んだ。崖状態は続き、453m点から南におちてくる尾根を回りこんだ先の窪地から杉林に進むことができた。ここまで来ては、林道をそのまま歩いてもそれほどは変わらない。
 再び林道に出たその先が、トヤの頭に通じる尾根の取り付きになる。杉林を抜けていくと、右手から尾根が上がってくるので、それに乗る。その先は、雪稜歩きになった。傾斜はほどほどであり、前回は、始めてでありながら問題なく下れたことから少し油断していた。山頂手前で、尾根の右手は雪庇が崩れかかっており、左手の一段下をトラバースしながら登る箇所が出てきた。登りはスノーシューの爪で充分であったが、下りはピッケルが欲しいところであった。先回は、雪が少ないため、尾根の上部が丸まって歩きやすくなっていたようである。
 下山後にGPSの軌跡を見ると、尾根から外れた所を歩いており、雪のために地形自体が変わっているようであった。
 山頂が近づくと、雑木林の斜面が広がる。トヤの頭の山頂は、西峰と標高の記されている東峰に分かれている。尾根を登っていくと、西峰に到着し、もうひと頑張りと東峰を見ると、山頂手前の雪庇が大きく割れて落ちていた。ヤブコギでアプローチしても、雪庇の上に上がるのは難しそうであった。この日の雪の状態では、崩壊に巻き込まれる危険性もあった。この日は、ここまでとすることにした。駒の頭は、またしても課題として残った。
 東峰を見ると、西峰よりも低いように見え、地図でも、二つのピークに分かれているようには読み取れないのは不思議である。
 雨雲の上に出たようで、まずまずの展望が広がっていた。権現堂山と唐松山。黒禿の頭と笠倉山。その向こうには八海山が雲の切れ間から一部が見えていた。鳴倉山は、かなり下に見えていた。
 まずは気になる細尾根の難所を下ってしまい、その先で大休止にした。
 林道歩きの途中、今回の目的の一つであるマンサクの花の撮影を行った。新潟のマンサクは、雪の中で花を咲かして、春の楽しさを与えてくれる。
 最後に、林道のショートカットをするため、東音木沢沿いの尾根を下った。雪も良くついており、歩きやすい尾根であった。最後に沢沿いの道に出ると、その先が橋であった。林道を歩くよりは、この尾根を使った方が良さそうである。
 トヤの頭までしか登れなかったが、この日の条件では、これで充分であろう。体も濡れたことから、こまみの湯へと急いだ。

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