雨引山、唐松岳

雨引山
唐松岳


【日時】 2007年8月4日(土)〜8月5日(日) 前夜発1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 8月4日:曇り後雨 8月5日:晴

【山域】 安曇野
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 雨引山・あまびきやま・1371.0m・二等三角点・長野県
【コース】 馬羅尾林道登山口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 高山/信濃池田/有明、大町南部
【ガイド】 長野県北信・東信日帰りの山(章文館)

【山域】 北アルプス北部
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
 唐松岳・からまつだけ・2696.4m・二等三角点・長野県、富山県
【コース】 八方尾根往復
【地形図 20万/5万/2.5万】 富山/白馬岳、黒部/白馬町、欅平
【ガイド】 アルペンガイド「立山・剣・白馬」(山と渓谷社)、山と高原地図「鹿島槍・黒部湖」(昭文社)
【温泉】 第一郷の湯 400円(500円をリフト券によって割引)

【時間記録】
8月3日(金) 18:30 新潟=(北陸自動車道、糸魚川IC、R.148 経由)=10:30 白馬  (車中泊)
8月4日(土) 6:50 白馬=(R.148、大町、馬羅尾高原 経由)=7:50 雨引山登山口〜8:14 発―8:28 鉄塔No.40―8:51 鉄塔No.38―9:24 下山道分岐―9:40 雨引山―9:55 下山道分岐―10:02 林道登山口―10:15 林道―10:41 雨引山登山口=(馬羅尾高原、大町、R.148、白馬 経由)=13:30 黒菱平  (車中泊)
8月5日(日) 4:52 黒菱平―5:39 八方池山荘〜5:46 発―6:35 八方池〜6:54 発―7:57 丸山ケルン―8:40 唐松岳頂上山荘―9:04 唐松岳〜9:30 発―9:52 唐松岳頂上山荘―10:43 丸山ケルン―11:57 第三ケルン―13:04 八方池山荘―13:45 黒菱平=(白馬、R.148、糸魚川IC、北陸自動車道 経由)=17:20 新潟
 雨引山は、安曇野に望む北アルプスの前衛で、有明山の脇に位置する山である。山頂には、神社が置かれ、信仰の山になっている。

 唐松岳は、後立山連峰にあり、八方尾根の上部に位置する山である。白馬岳や五竜岳の眺めも素晴らしく、高山植物も豊富で、八方尾根にかかるロープウェイとリフトを乗り継げば、1850m地点からの歩き出しになり、コース上で難しいところもないため、北アルプスの入門コースになっている。

 3泊4日の朝日岳・白馬岳山行から戻って、体力も充分に回復しないうちにまた週末になってしまった。天気予報もあまりかんばしくはなく、日帰りの山行で、天気の具合をみながら、柔軟に対応する必要があった。全国の天気予報をみると、長野県北部が、天気が良さそうなので、再び北アルプス方面に出かけることにした。日帰り可能な唐松岳と燕岳を本命として、安曇野付近の里山の雨引山を、天候不良の際の予備の山とした。
 前夜のうちに白馬に入り、朝を待った。雨は止んでいたが、白馬の稜線部は厚い雲に覆われていた。高い山は無理と諦めて、雨引山に登ることにして、もうひと眠りした。
 大町から県道に進み、馬羅尾高原をめざした。馬羅尾高原の標識に従って曲がると、細い道が続くようになった。馬羅尾の地名は、有明山の登山口があることで、名前を知っていた。キャンプ場施設を過ぎ、ヘアピンカーブの先で、雨引山登山口の標識が現れた。道幅は狭かったが、すぐ先で、車を置くことのできる路肩スペースが見つかった。
 雨引山への登山道は、送電線巡視路を利用しているため、幅広のしっかりした道が続いていた。すぐに急な登りが始まって、汗が吹き出てきた。
 最初の鉄塔を通過してさらに登りを続けると、尾根上に出て傾斜も緩やかになった。尾根沿いに進んでいき、送電線鉄塔No.38の先で、荒れた林道に飛び出し、横断した先から登山道が始まっていた。ここからが、ようやく登山道ということになる。
 緩やかな尾根歩きを続けていくと、大岩の脇を通過したり、ザレ場の縁を辿るようなところも現れた。危険なところにはロープが取り付けられており、名前も一般には知られていない山にもかかわらず、しっかりした登山道整備が行われていた。  左手の谷間を見下ろすと、林道と送電線が走っていた。山の稜線部にはガスがかかり、有明山の山頂が見えるのかどうかは判らなかった。
 伐採地の上の小ピークに出ると、下山路という標識が置かれ、踏み跡が、谷間の峠部に立つ鉄塔方向に下っていた。ガイドブックにこの道のことは書かれていなかったが、帰りは、この道に進むことにして、まずは山頂をめざした。
 伐採地の縁を登っていくと、雨引山の山頂に到着した。最初に大和田神社の祠が現れ、その先で、鳥居が立ち三角点の置かれた山頂広場にでた。鳥居の向きからすると、裏口から登ってきたことになる。はっきりした道が松川方面に向かう尾根に続いていた。晴れておれば、展望の良い山なのだろうが、安曇野がぼんやりとみえるだけであった。
 分岐に戻り、下山路に進んだ。伐採地の中では、夏草がしげっており、道をはずさないように注意が必要であった。鉄塔の立つ林道に下り立つと、横断した先から山道が始まっていた。これも送電線の巡視路のようであった。谷間を下っていくと、林道に飛び出し、あとは林道歩きが続いた。
 有明山方面へ続く林道との分岐近くで、歩いてきた林道の入口はゲートで車の進入禁止になっていた。ここから歩き始めの雨引山登山口までは遠くない距離であった。
 なんとか雨にも会わずにひと山登ることができて、この日の目標は達成することができた。小さな山であったが、ガイドブックにも載っていないコースを確認できた。
 翌日の山としては、昨年に引き続いてのことになるが、唐松岳を登ることにした。八方尾根の花は、お手軽な歩きにもかかわらず素晴らしい。
 温泉に入ってから、夕方までに黒菱平の駐車場まで上がれば良いと思っていたが、白馬まで引き返すと、雲が切れて稜線部が見えていた。リフトを使って上がり、八方尾根の花の見物をしようと思い、そのまま車を走らせて、黒菱平に向かった。
 黒菱平の駐車場は、天気が悪かったせいか、がら空きであった。カメラと最小限の装備を背負い、リフトに乗った。リフトに乗るなり雨が降り出し、無抵抗のまま雨に打たれることになった。リフトを下りた所で、雨具の上下を着込んだが、幸い、雨は小降りになった。続くリフトに乗り込んで八方山荘を目指した。
 花を見ながら、のんびりと周辺を散策し、第三ケルンまで進んだところで引き返した。花の写真もひと通り撮影したが、薄暗い条件での撮影であったので、明日を期待することにした。
 この日は、観光モードでリフトを利用したが、この半券は、白馬の温泉の割引券にもなるので、徳をした感じになった。  翌朝は、曇り空ながら、天気は回復傾向のようであった。昨年も歩いたばかりなので、コースの記憶は新鮮である。牧場の中の急坂を登っていくと、背後の空が赤く染まった。八方池山荘までのリフト二本分は、50分の登りで、登山のつもりであれば、遠い距離ではない。
 八方山荘から先の尾根歩きも、観光客はおらず、静かな登りを続けることができた。八方池に到着してみると、白馬の稜線には雲がかかっていたものの、残雪を抱いた山肌の眺めは広がり、その姿を水面に浮かべていた。朝の静かな風景を楽しんでいると、八方池山荘泊まりらしい団体が登ってきてうるさくなった。風景も充分楽しんだので、先に進むことにした。
 ガレた尾根を登っていくと、やがてダケカンバの木の並ぶ下ノ樺となる。お花畑も次から次に現れて、花を眺めながらの歩きは、飽きることがなかった。ここから丸山ケルンまでが、このコースの頑張り所となる。残雪の脇をからみながら登るようになると、そこの草付きで、オオサクラソウの花がまとまって咲いているのに出会うことができた。
 丸山ケルンまで上がると、不帰ノ嶮の岩稜が目に飛び込んできた。五龍岳方面はガスに隠されていたが、天気予報からすれば贅沢はいえない。この先は、尾根の一段下のトラバース気味の登りになる。途中、崩壊地の通過もあるが、しっかりした桟道も設けられており、危険というほどのことはない。
 唐松岳山頂山荘に到着してみると、増築他の工事が行われていた。唐松岳は、リフトを使えば北アルプス入門の初心者向きのコースになるが、歩き出しも遅くなるため、宿泊者も多いのであろう。
 山荘の前からは、ピラミッド型の唐松岳の山頂が目の前に迫っている。最後の登りを頑張ると、唐松岳の山頂に到着した。白馬岳方面を眺めながら腰を下ろした。不帰ノ嶮の岩稜は良く見えていたが、その先の高みは隠されたままであった。不帰ノ嶮にガスがかかって見え隠れしているのも、かえって険しさは増していた。しばらく待ったが、展望の回復は望めないので、下山に移った。
 下りは、花の写真を撮りながら、のんびりペースになった。このコースで驚くのは、昼間の八方池の混み具合である。池の周りや第三ケルンの周辺には蟻が群がるように、ハイカーや観光客が集まってきていた。この光景を見ると、八方尾根は、観光地と軽くみてしまうが、ここの花は、ハッポウセンブリをはじめあなどれない。ハッポウウスユキソウという特産種もあり、この花の時期に訪れる必要があろう。

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