刈羽黒姫山、小松原湿原、日蔭山

刈羽黒姫山
小松原湿原、日蔭山


【日時】 2007年6月9日(土)〜10日(日) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 9日:曇り 10日:曇り時々雨

【山域】 東頸城丘陵
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
刈羽黒姫山・かりわくろひめやま・891m・なし(889.5m・二等三角点)・新潟県
【コース】 磯之辺コース
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/岡野町/石黒
【ガイド】 新・分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、新・にいがたファミリー登山(新潟日報事業社)
【温泉】 高柳じょんのび村 450円

【山域】 苗場山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 
小松原湿原・こまつばらしつげん・1500m・なし・新潟県
日蔭山・ひかげやま・1860m・なし・新潟県
【コース】 グリーンピア津南口
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/苗場山/赤沢、苗場山
【ガイド】 新・分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)
【温泉】 ニューグリーンピア津南 500円

【時間記録】
6月9日(土) 8:20 新潟=(小千谷IC、R.291、七日町、R.404、山根橋、R.252、岡野町 経由)=10:23 磯之辺登山口―11:06 鵜川神社―11:15 刈羽黒姫山〜11:18 発―11:23 鵜川神社―11:57 磯之辺登山口=(R.252、十日町、R.117、グリーンピア津南 経由)=16:00 林道ゲート  (車中泊)
6月10日(日) 5:36 小松原林道ゲート―7:12 小松原登山口―7:24 黒滝コース分岐―8:03 見倉分岐―8:54 小松原避難小屋―10:02 日蔭山〜10:22 発―11:22 小松原避難小屋―12:19 見倉分岐―12:56 黒滝コース分岐―13:06 小松原登山口―14:23 小松原林道ゲート=(グリーンピア津南、R.117、越後川口IC、関越自動車道 経由)=17:40 新潟

 日本海に臨む米山の南東部の内陸部にあるこの山は、他の黒姫山と区別するため、刈羽黒姫山と呼ばれている。米山、八石山とともに、刈羽三山に数えられ、里人の信仰の山であり、各方面からの登山道が開かれ、山頂一帯には、ブナ林が残されている。

 山頂部に広大な湿原を広げる苗場山は、その特有な景観より日本百名山にも選ばれ、人気の山になっている。苗場山から北に向かっては、神楽ヶ峰を経て霧ノ塔、日蔭山と稜線は連なり、その山裾には、苗場山の広大な湿原とは違った庭園風の趣を持つ小松原湿原が広がっている。

 金曜日の晩は、激しい雷雨となった。土日の天気予報もぱっとせず、天気の様子を見て、登る山を考える必要がある。日曜日に天気の回復を期待して小松原湿原に登ることにして、土曜日は十日町方面の低山でも簡単に登って終わりにすることにした。土曜日に起きてみると、天気は回復していたため、刈羽黒姫山を登ることにした。
 刈羽黒姫山の最も一般的な磯之辺コースは、1994年9月23日に登っているが、記憶も薄れている。刈羽黒姫山の登山道を全て登るのを目標としているが、この代表的コースをGPSで記録しておかなければならない。磯之辺は、2004年10月23日の中越地震で被害を生じた。2006年9月18日にそろそろ復興したかなと思って訪れたが、道路が工事中で通れず、あきらめて八石山を登った。再トライということになる。
 岡野町から鯖石川沿いに下ると、磯之辺への道が右に分かれる。黒姫川沿いに登っていくと、カーブの連続となって、一気に高度が上がる。標高400m付近まで上がると、磯之辺の集落が現れる。岡野町は標高100mほどなので、一気に300m上がったことになる。黒姫山の山頂までは、あと500mほどである。買い物は大変だと思うのだが、住めば故郷ということなのだろう。
 民家の間を抜けると、田圃が広がり、その背後には、黒姫山が屏風のように聳えている。向かって左手の尾根に向かって車道を進むと、登山口となる。一段上がった草地が登山者用の駐車場になっているが、路肩スペースも広いので、ここに車を置いた。心配した雨も、パラパラと雨粒は落ちてきたもののすぐに止んで小康状態であった。雨が降り出さないうちにということで、急いで出発した。
 トイレも設けられており、登山口であろうことは判るのだが、黒姫山登山口とはっきりした標識がないのは不親切である。代わりに「新潟県森林浴の森百選」という標識が草に埋もれて立っている。広場には、3台の車が止められていた。
 幅広の登山道が広場の奥から始まっている。つづら折りの登り僅かで、キャンプ場跡に出る。トイレは板が打ち付けられて閉鎖されており、キャンプサイトの広場は、ハナニガナの黄色い花で覆われていた。
 ここから本格的な登りが始まる。少し高度が上がると、ブナ林が広がるようになる。ガスがかかって、幽玄な姿を見せていた。雨模様の日でも、ブナ林は晴の日とは違った美しい姿を見せてくれる。急な登りが続くので、汗がしたたりおちた。季節は、初夏に入ろうとしている。
 鵜川神社の社殿の置かれた広場に出て、ひと息ついた。ここから山頂へは、あと僅かである。若者グループが休んでおり、「ここが山頂ですか」と尋ねられた。もう少し先だよと答えたが、無知というよりは、山の経験は無い若者がよく山に来たなという感じがした。大学あたりのサークルで登ってきたのだろうか。結局このグループは、下山の時に戻ると、広場で宴会をしていた。まずは山を楽しんでくれれば良いだろう。山が好きになれば、そのうち、本格的な登山に進むものも出てくるかもしれない。
 三十三観音にお参りしてから、登りをもうひとがん張りした。アンテナ施設のある最高点を越すと、その先で、黒姫山の山頂に到着する。石仏と三角点、小さな避難小屋が並んでいる。ガスがかかっており、下界を眺めることはできなかった。
 なんとか雨にも会わずに一山登ることができたので、急いで下山にうつった。午後からは、雨になるという予報がでていた。
 車に戻り、これで本日の山は終わりにして、近くのじょんのび村の温泉に向かった。山と温泉はセットのようなところもある。さしずめ、刈羽黒姫山登山の後はじょんのび村の温泉に入れば、登山をより楽しむことができる。
 時間も早かったため、十日町のショッピングセンター内にあるブックオフで漫画をあさってから、小松原湿原登山口のグリーンピア津南に向かった。登山の際の野宿で、車の中で夜読む漫画を買っておく必要がある。
 グリーンピア津南入口にはアーチがあり、以前は園内に入るのにも入場料が必要であったと思う。現在は、経営者が変わって、入場料は無くなったようである。水道工事ということで、入口のアーチの下は通らずに迂回路で園内に入った。第一駐車場と第二駐車場の間を抜けて、大場集落への道に進む。鎌川に向かって坂道を下っていく途中、右手に林道が分かれた。標識はないため、車のナビを頼りに林道に進むことになった。
 細い舗装道路を進んでいくと、直進方向に続く舗装道路に設けられたゲートに行き当たった。その前から、未舗装の道路がヘアピン状に折り返して続いていた。ここが歩き始めになるゲートかと思って地図を見ると、735m地点のようであった。未舗装の道に車を進めた。山の斜面をトラバースする道が続き、少々不安に思う頃、ゲートに突き当たった。左手には、釜川に向かって下りていく林道が分かれ、これで現在地が判った。913m点のヘアピンカーブ南東のにある林道との分岐がゲートの位置である。
 小松原湿原へのルートは、このゲートの位置が判らないのが、ひとつの障害となっていた。昭文社の登山地図でも、このゲートは、範囲外になっている。頼りのガイドブックであるが、新・分県登山ガイドの地図におけるゲートの位置はでたらめであった。著者は、なにを根拠に概念図を作っているのだろうか。実際のゲートの位置は、ガイドブックよりも奥で、少しは歩きが楽になったとうれしい誤算になった。
 天気予報が当たって、夜中から本降りの雨になった。小松原湿原へのアルバイトは、林道歩きがかなりの部分をしめるので、少々の雨でも歩けるだろうと思ったが、林道が土砂崩れによって不通になるのが怖くなった。林道入口まで戻っておきたかったが、すでにビールを飲んで酔っていたため、覚悟を決めて寝た。
 朝になると、雨は止んでいた。出発の準備をしていると、車がやってきて、ゲートを空けて先に進んでいった。この日、林道歩きの途中、合計3台の車にあったが、山中で登山者には出会わなかったことから、地元の山菜採りのようである。
 小松原湿原訪問の最大の関門は、行きは2時間、帰りは1時間半といわれる林道歩きである。途中のカーブも車向きのため、歩くのには距離が長くなってつらい。林道の距離は6km程で、標高差は460mある。途中からは、後どれくらいかと思って、GPSを見て現在地を確かめることが多くなった。
 尾根の上に出ると台地状の地形になり、僅かに下ると、トイレの設けられた登山口に到着した。立派なトイレが設けられていたのは、ここまで小松原湿原への登山コースを示す標識は全くなかっただけに意外な感じがした。小松原自然環境保全地域と小松原湿原の二枚の大きな看板が登山道入口にあるが、登山道自体の標識はない。
 登山道に進むと、木道がずーっと続いていた。急斜面の一部では無くなるところもあるものの、小松原湿原避難小屋の先まで木道が敷かれていた。雑木林の中を抜けていくと、草原に出て、黒滝からの道が合わさった。ここが下ノ台あるいは下屋敷と呼ばれる湿原である。
 木道歩きが続くので気楽な歩きかと思ったが、足元に注意する必要があった。古びた木道の上は苔がついており、雨上がりとあって滑りやすかった。新しい横木が追加されていたので、それに足裏をのせて歩く必要があった。ちょっと油断した拍子に、滑って湿原に転がり落ちてしまった。
 ブナ林の中の登りに変わり、それを越すと中ノ台あるいは中屋敷と呼ばれる湿原に到着する。ここからは、見倉登山口への登山道が分かれる。先回の苗場山からの縦走では、ここから見倉登山口へ下山したので、この先は歩いたことのあるコースということになる。
 1999年7月4日にインターネットの山のメーリングリストの仲間と、小赤沢登山口より苗場山に登り、霧ノ塔を経て小松原湿原へと縦走した。あいにくの雨模様の日で、小松原湿原に出た時には疲れており、体も冷えて、下山を急ぐ気持ちになってしまっていた。小松原湿原自体の印象は薄いものになっている。そのため、新たな気持ちで、小松原湿原の風景を楽しむことができた。
 潅木帯の中を抜けていくと、大小の湿原が現れるということが続いた。大小の池が点在し、変化の富んだ湿原であった。特に上ノ台あるいは上屋敷の湿原は大きく、その向こうに黒倉山から日蔭山に続く稜線を眺めることができた。苗場山の湿原が広大な湿原の眺めであるならば、小松原湿原は箱庭的な美しさを持っていた。
 池の縁には、菓子パンほどの大きさの白い泡状の物体が幾つも置かれていた。モリアオガエルの卵のようであった。生みたてのようで、そこかしこからカエルの声が聞こえていた。
 湿原はようやく緑の芽吹きが始まったばかりのようで、花は、ショウジョウバカマやミツバオウレン、ワタスゲの花くらいが目立つだけで、少し寂しいかなと思ったが、良くみるとヒメシャクナゲが咲き始めていた。
 僅かに下って沢を越えると、小松原避難小屋に到着した。ここまで泊まりの荷物を背負って歩いてくるには、小松原林道経由では少々辛い。見倉登山口から金城山経由で入山するには、この避難小屋は利用価値は高いであろう。
 時折小雨がぱらつくこともあったが、天気はなんとかもっていたので、日蔭山へと進むことにした。枝尾根を一本トラバースして越すと、沢に出た。飛び石伝いに渡った先は、残雪の斜面になっていたが、キックステップで登ることができた。その先で尾根の上にでると、日蔭山の山頂も頭上に迫ってきた。尾根沿いには、イワナシやイワカガミの花を見ることができた。
 山頂が近づくと、残雪の斜面が広がるようなって、登山道の続きを見落とさないように注意が必要になった。
 日蔭山の山頂は小広場になっており、周囲の展望が開けていた。尾根は、僅かに下った後に、霧ノ塔の山頂へと続いていた。先へ進むよう誘うような眺めであったが、霧ノ塔まで往復してくるのに、時間の問題もあるが、体力をかなり費やす必要がありそうであった。先回の縦走がなかったなら、霧ノ塔を登りに進んでいたであろうが、この日は日蔭山まであとした。残念なのは、ガスがかかって、苗場山の山頂部が隠されていたことであった。
 風は冷たく、笹薮の陰に身を隠して腰をおろした。薮の中にはシラネアオイの花が咲いていたが、連日の雨のためか、花びらはしぼんでいた。
 帰りは、花と湿原の写真を撮りながらの歩きになった。行きとは違った花が見つかり、風景を楽しむことができる。
 林道の歩きは、全般的に下りになったが、足には辛い歩きになった。
 車に戻り、一番近い温泉ということで、ニューグリーンピア津南に向かった。

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