光兎山

光兎山


【日時】 2007年6月2日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 朝日連峰周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 奥山(虚空蔵峰)・おくやま(こくぞうみね)・629.4m・三等三角形・新潟県
 観音峰・かんのんみね・621m・なし・新潟県
 雷峰・いかずちみね・805m・なし・新潟県
 ヨ平戻の頭・よへいのあたま・830m・なし・新潟県
 光兎山・こうさぎま・966.3m・二等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 村上/小国/越後下関、舟渡
【コース】 中束登山口より
【ガイド】 新・分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、新・にいがたファミリー登山(新潟日報事業社)、新・にいがた花の山旅(新潟日報事業社)
【温泉】 えちごせきかわ桂の関温泉ゆーむ 500円

【時間記録】 5:40 新潟発=(R.7、R.345、十文字、R.113、高田橋、R.290、宮前、中束 経由)=7:05 中束登山口〜7:18 発―7:35 笹峰休み場―7:56 干刈分岐―8:20 虚空蔵峰(奥山)―8:39 観音峰―9:19 雷峰―9:38 ヨ平戻の頭―10:02 光兎山〜10:33 発―10:54 ヨ平戻の頭―11:12 雷峰―11:42 観音峰〜11:47 発―12:01 虚空蔵峰―12:22 干刈分岐―12:50 中束登山口=(往路を戻る)=15:00 新潟

 光兎山は、飯豊連峰と朝日連峰を分ける荒川のほとりに広がる荒川峡温泉郷の奧にそびえる、きれいなピラミッド形の山頂を持つ山である。修験道の山であり、女人禁制が解かれたのは、昭和24年の高岳連の登山大会の時であったという。山名は、山腹に現れるウサギの雪形に由来すると言われている。

 光兎山に登ったのは、1996年6月15日であったので、10年が過ぎている。しかも登ったのは、雨混じりの日で、展望を充分楽しんだとはいえない。登りなおしに出かけることにした。
 荒川を高田橋で渡り、朴坂の手前で女川沿いの道に進み、中束に向かう。荒瀬橋を渡ったところで、光兎山登山口を示す標識に従って、右に別れる林道に進む。以前は、砂利道であったと思うが、舗装道路に変わっていた。
 林道を走っているうちに現在地が判らなくなるが、登山口には大きな標識があり、はっきりしている。登山口の先に、駐車スペースがあるが、すでに5台ほどの車が停められていた。思っていたよりも人気の山であることに驚かされた。
 光兎山の登山道は、しばらくは緩やかな尾根の一本調子の登りが続く。杉林から赤松の林、これをすぎると、ブナも目だってきた。笹峰休み場という以前は無かったと思われる標識も現れた。干刈との分岐に到着してひと息ついた。干刈からも上がってきている登山道も立派に整備されていた。
 さらに緩やかな登りを続けていくと、石碑が置かれた虚空蔵峰に到着した。地図には、奥山と地名がふられており、三角点は、登山道を少し進んだ所にある。
 虚空蔵峰からは僅かに下った後に登りに転ずると、観音峰に到着する。雷峰を前衛にした光兎山が高く屹立するのを、ようやく眺めることができる。緩やかに下っていくと、水場の標識が現れるが、のぞいてみると、かなり下るようなので、そのまま通り過ぎた。
 この先は、痩せ尾根になり、見晴らしも良くなる。登るに連れて、飯豊連峰が白い姿を表してきた。山頂からの展望の期待が高まった。今回の目的の一つに、ヒメサユリの花を見ることがあった。この付近で見た覚えがあるのだが、固い蕾が見られるだけであった。ヒメサユリは、6月中旬まで待つ必要があるようである。
 雷峰に向かっての急な登りが始まった。雷大権現と彫られた石碑が現れると、その先で小広場に出た。目の前に光兎山が高く聳えていた。
 ひと休みの後に、最後の頑張りどころに進んだ。光兎山は、遠くからもそのピラミッド型の山頂が目立つ山なので、楽には登らせてくれない。気温も上がってきていた。
 細尾根を行くと、大岩が現れ、姥石と標識に書かれていた。女人禁制の頃に、禁を犯して登った女性が石にされたという伝説に基づくものであろう。最後の登りにかかる前に小ピークの乗り越しがあったが、ここにはヨ平戻の頭という標識が置かれていた。これは、与平という者が、ここまで登ってきたものの、この先の急坂を見て登頂を断念して引き返したという謂れでもあるのだろう。
 最後の登りに汗を流していると、早くも下山してくる登山者とすれ違うようになった。急ではあるが、山頂も遠くはないはずなので、頑張って足を運び続けた。駒返という足場の少ない岩場をロープを頼りに登ると、傾斜も緩やかになった。もうひと頑張りすると、光兎山の山頂に到着した。
 山頂の広場の中央には、小さな赤い鳥居と祠が置かれている。祠の中をのぞくと、以前にも祀られていたガラスの兎を見つけることができた。夜店の輪投げの景品といった感じであるが、長年にわたって大事にされてきたようである。兎の土鈴など、兎にちなんだ置物の数も増えていた。
 山頂からは、朝日連峰と飯豊連峰の展望が広がっていた。この両者を同じ大きさで眺めることのできる山としては、この光兎山が筆頭であろう。これらの山は、まだ白さが勝っているが、高山植物が咲き乱れる季節も始まろうとしている。日本海の海岸線も良く眺めることができたが、日本海は空の色と混じっていた。
 ひとつ気になるのは、頭布山へと続く稜線の様子である。山頂から先にも、最近手の入ったと思われる刈り払いが続いていた。下ってみると、少し先で薮の中に消えていた。低潅木の薮なので、先に進めそうであるが、頭布山まで行き着けるだろうか。初冬にでも、頭布山の山頂で幕営して、頭布山を目指してみるのも、一つの方法であろうか。
 下山は、小さな登り返しもあって、意外に体力を使った。幸い、隣の鷲ヶ巣山と比べれば、アップダウンは小さい。
 下山途中に、大勢の登山者とすれ違ったが、気温も高くなっており、一様に疲れた顔をしていた。この山は、早立ちが賢明である。
 光兎山は、ほどほどに体力を要する山で、登った充足感も味わえる山であると、改めて思った。

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