飯谷山、大平山、惣山、前山

飯谷山、大平山
惣山、前山


【日時】 2007年5月19日(土)〜20日(日) 1泊2日各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 19日 曇り 20日:曇り時々雨

【山域】 会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 飯谷山・いいたにやま・782.9m・三等三角点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/柳津
【コース】 野老沢より
【ガイド】 新ふくしまの低山50(歴史春秋社)、新分県登山ガイド「福島県の山」(山と渓谷社)

【山域】 会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 大平山・おおひらやま・396.8m・三等三角点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/柳津
【コース】 森林公園より
【ガイド】 ふくしまの低山50(歴史春秋社)
【温泉】 柳津つきみが丘町民センター(310円・石鹸のみ)

【山域】 会津
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 惣山・そうやま・816.3m・三等三角点・福島県
 前山・まえやま・835.3m・三等三角点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/宮下/沼沢沼
【コース】 あらはまより湖一周
【ガイド】 分県登山ガイド「福島県の山」(山と渓谷社)、ふくしまの低山50(歴史春秋社)
【温泉】 早戸温泉つるの湯 500円

【時間記録】
5月19日(土) 7:00 新潟=(磐越自動車道、会津坂下IC、R.252 経由)=9:52 野老沢―10:05 飯谷神社―10:27 林道―10:33 登山道入口―11:16 奥の院―11:30 見晴らし―11:35 展望図―11:47 飯谷山―12:21 林道―12:56 野老沢=13:43 森林公園駐車場―13:55 大平山―14:05 森林公園駐車場=15:30 沼沢湖  (車中泊)
5月20日(日) 7:48 あらはま駐車場―8:12 惣山登山口―9:32 惣山―10:13 太郎布分岐―10:47 前山―11:32 湖畔―12:03 あらはま駐車場=(R.252、会津坂下IC、磐越自動車道 経由)=16:00 新潟

 飯谷山は、只見川左岸にあり、柳津町と向き合う山である。麓に飯谷神社の社殿、山頂下に奥の院跡、さらに山頂には石の祠が置かれ、信仰の山になっている。

 大平山は、柳津町の背後にある山で、山頂一帯は森林公園が整備されているが、三角点は忘れられたように園内から外れた伐採地の中にある。

 沼沢湖は、福島県金山町の只見川右岸にあるカルデラ湖である。日本有数の透明度を持つ湖で、湖畔にはキャンプ場などのアウトドア施設が設けられている。惣山と前山は、このカルデラ湖を取り巻く外輪山上のピークである。湖を一周する登山道が整備されている。
 週末は雨という天気予報が出た。少しでも天気の良さそうな方面ということで会津に出かけることにした。少々の雨でも登れる山として、飯谷山をまず考えたが、二日目の山としては、登山道のある山や、踏み跡状態の山など、候補を幾つか考えて天気次第で決めることにした。
 飯谷山は、1997年11月24日に登っているが、最近のガイドを見ると、林道の整備などで、状況が変わっているようである。また、地図を見ても、登山コースがどう続いているか判らない。GPSを使ってコースを確かめることも目的として出かけた。
 天気予報は当たり、本降りの雨が断続する、すっきりしない天気の朝になった。会津坂下ICで高速を下り、柳津に向かった。ガイドに従って、郷土駅から柳津ダムの堤防上に付けられた道路を渡った。ダムへ向かって下る道路は、ガードレールが無く細いので、慎重な運転が必要であった。只見川の左岸に渡り、野老沢(ところざわ)の集落に着くと、飯谷山登山口の案内板が置かれていた。集落の中から田圃の中に進むと、谷奥へ進むよう示している案内板が再び現れた。毎年9月23日登山日と書かれており、例祭が行われているようである。
 この先は未舗装の道で、車の進入が躊躇された。また、周辺には適当な駐車場所がなかったので集落に戻った。
 集落に到着して驚いたことは、飯谷大橋という新しい橋が架かっており、柳津方面から幅広の道が延びてきていことであった。雨が降っており、歩き出すために様子見をする必要があったため、この道がどのように続いているか確かめに車を走らせた。飯谷大橋を渡ると、野球グランドの脇に出て、坂を下ると国道に出た。結局、現在の野老沢への行きかたは、只見川とは反対の運動公園に進み、飯谷大橋を渡るというものであった。
 橋の袂のスペースに車を止めて、歩き出す準備をした。雨具は着たものの、雨は止んでいた。標識に従って、谷間に続く田圃の中に進んでいくと、谷は二つに分かれた。その中尾根をひと登りすると、杉林に囲まれた飯谷神社遥拝所に出た。飯谷神社と書かれた石碑と石段は立派であったが、その上の社殿は、質素なものであった。
 神社の背後に登山道は続いていた。登山道周囲には、杉林が広がっていた。溝状にえぐられた薄暗い道であったが、良く見ると、林床には、チゴユリやコウライテンナンテンショウの花を見ることができた。地味ではあるが、この季節の花である。
 ひと汗かいたところで、林道に飛び出した。思ったよりも立派な車道であった。林道を横断して登山道に進んだが、すぐに林道に飛び出して、その後しばらくは車道歩きになった。
 433m点を巻くと、登山道が右に分かれた。歩き始めは、林道と平行に一段下に続いていたが、休憩の松という標識を見ると、緩やかに下って、沢に向かう道になった。沢の横断点は、土砂崩れが起きていたが、付け替え道が付けられて、ロープも張られていた。この沢が、うがい沢のようである。
 杉林の台地に出ると、倒木もあって、道が判りにくくなっていた。尾根の登りになると、ブナの大木も現れて、新緑を楽しみながらの歩きになった。
 杉林が現れると、石灯籠や祠が点在する奧の院に到着した。現在では建物は無くなっている。地形図では、山腹に神社マークが記されて、麓から破線が通じている。GPSのトラックデーターを見ると、実際の奧の院の位置は標高590m地点で、地図とは大幅に違っていた。ガイドブックの概念図を見ると、地形図を丸写しして、神社マークを奧の院の場所としているようである。歩いているうちに現在地が判らなくなるようなコースであるが、市販のガイドなら、GPSを使って、コースを確認してもらいたいものである。
 奧の院から先は、左の尾根へとコースを変えた。尾根沿いは美しいブナ林が広がっており、薄暗い奧の院で休むよりは、尾根に出たところで休んだ方が良いであろう。しばらくは、急な登りが続いた。
 一旦傾斜がゆるむと、飯谷山の山頂も迫ってきたようであるが、ガスの中に入ってしまった。刈り払いの広場があり、只見川沿いの眺めが、ガスの中からうかがうことができた。柳津の不動尊下の赤いアーチ橋が良く見えたはずなのだが、展望は望めない気象条件で登っているので仕方がない。このすぐ先で、展望図が現れた。展望図の背後は藪が濃く、ここからの展望はあまり良くないように思えた。
 急坂を登り詰め、左に方向を変えると、飯谷山の山頂に到着した。山頂の西側は崖でロープが張られており、東斜面は展望確保のためか伐採地になっていた。傾斜地のために、休むのにも腰が落ち着かない。すぐ先の僅かに下った所に小広場があり、石の祠が置かれている。ザックを下ろして、ひと息ついた。
 小広場のすぐ先で、新田への登山道と、野老沢への下山道が分かれた。野老沢への下山道へと進むと、ブナに囲まれた尾根の一気の下りが続いた。高度が下がっていくとガスも切れて、只見川沿いの眺めも広がるようになった。
 最後に林道に下り立つところは、高さのある崖になっていた。木の階段で林道に下り立った。この先は、ガイドブックに従って左に進めば、新しくできたという「とこざ公園」を経て、登りのコースに戻ることができる。
 ここからは、先回も歩いた、ガイドでは紹介されていないコースを下ることにした。林道に下り立った反対に、草が茂っていて車の走行は無理な状態の幅広の林道跡が続いている。この林道跡に進んだ。10年前は、新しい刈り払い道という感じで、林道というまではいかなかったような記憶がある。沢を見下ろしながら下っていくと、やがて沢に下り立ち、右岸沿いに続く車一台幅の林道に飛び出した。コンクリートで舗装されてはいるものの、路肩の崩壊が進んでいた。野老沢の西の谷間に続く破線が、この道を現している。最後に畑の中に出て、川沿いの県道に飛び出す。このコースは、短時間で下山できるのでお勧めであるが、逆方向では入口が判りにくい。集落を抜けると、すぐに車に戻ることができた。
 結局、林道の途中にできたという「とこざ公園」は見ていなかったので、GPSを働かせながら車を走らせて、林道を地図に落とすことにした。林道の入口を見つけて、田圃の中をひと登りすると、道路崩壊につき通行止めと柵が置かれていた。小型車なら脇をすり抜けられそうな微妙な置き方であったが、無理をするまでもないので引き返した。現在のところ、飯谷山へは下から歩く必要がある。
 時間も早いので、柳津の背後にある大平山を訪れることにした。山頂一帯は、森林公園になっているようで、ほとんど歩かずに登れる山のようであった。
 一旦、会津坂下方面に戻り、細越経由で森林公園に向かった。公園の管理棟脇の駐車場に車を停めた。園内の案内図を見ても、大平山山頂がどこか判らなかった。現在地がどこかも良く判らなかった。GPSのさす方向ということで、オートキャンプ場背後のピークを目指したが、これは違っていた。
 登ってきた車道の先で、車道は急に細くなって、下りに転ずる。この手前で、平行するサイクリングロードに入ると、すぐ先で園内の案内板が現れた。ここから雑木林の中に進むと、すぐに伐採地に出て、その中央の小高いところに三角点が頭を出しているのを見つけることができた。周辺には、伐採された木の枝や幹が散乱していたので、三角点も埋もれていた可能性もある。大平山は、地図にも山名が記載されているのもかかわらず、森林公園では無視されている山頂であった。雨が激しく降りだし、駆け足で車に戻ることになった。
 本降りの雨となって、山歩きは終わりにして、温泉へと向かった。この周辺は、何度ともなく訪れているが、柳津つきみが丘町民センターは、今回が初めてであった。浴槽も広く、料金も安く、お勧めの温泉であった。
 施設の入口の、博士山山開きのビラが目に止まった。5月20日とあった。明日は、博士山とも考えて地図の印刷などの準備もしていたのだが、山開きとかち合うのはいやなので、他の山にすることにした。ひさしぶりに、沼沢湖の惣山を登ることにした。先回登ったのは、1996年11月2日であったので、飯谷山と同じに10年程が経過している。
 夕食を買い込み、沼沢湖に向かった。最近は、沼沢湖を訪れていないので、標識に従って、会津宮下の先の高清水橋から右岸道路に進んだが、細い道が長々と続く。むしろ国道をそのまま進んで、早戸から回り込んだ方が快適に車を走らせることができる。
 沼沢湖は、以前よりもキャンプ場や湖水浴の施設が整備されたようである。湖畔の駐車場に車を停めて、夜を過ごした。
 湖を一周するコースのために、どこから歩き出しても同じようなものだが、荒浜のレストハウス脇の駐車場から歩き出した。小雨が残り、雨具の上下を着ての出発になった。まずは、車道を歩いて、惣山の登山口を目指した。湖の向こうに惣山を望むことができたが、まだ遠くにあった。
 湖の畔から少し離れて、下りに入ろうとするところに惣山の登山口がある。鳥居をくぐって進むと、小さな神社があり、登山道はその後に続いている。杉林の中の階段登りがしばらく続き、その後は急斜面のつづら折りの登りに変わった。
 急な登りが終わると、休憩に良いように、ベンチが置かれている。その後は、外輪山の稜線歩きになって、ほぼ平坦な道になる。湖面がかなり下に遠ざかっているのが見えた。登山道の周囲は、ナラやブナの林で、緑が美しかった。
 惣山の山頂が近づいてくると、尾根が痩せて、岩場の登りも現れた。鎖や桟道が整備されているが、足下には注意する必要があった。地図でも、登山道は、崖マークに挟まれている。ただ、以前よりは、コース整備がしっかりされていると感じた。
 穏やかな登山道に変わってひと登りすると、惣山の山頂に到着した。大きなマイクロウェーブの中継基地が建てられており、ここまでの静かな山道とはそぐわない雰囲気であった。ベンチが置かれているが、以前あったあずまやは無くなっていた。湖の眺めは開けていたが、ガスがかかって、一部が見えているだけであった。
 山頂の東北電力無線中継基地から、西に進んだ防災無線の中継基地に向かっては、車道が続いている。地図を見ると、北の813mピークにもアンテナマークがあるので、麓から車道が上がってきているのだろう。防災無線の中継基地手前で、左に登山道が分かれた。
 大きくカーブを繰り返す道が続いた。効率は悪いかなとも思ったが、歩きやすい道で、山頂は一気に遠ざかった。惣山と前山に挟まれた鞍部付近は、美しい森が広がっていた。石碑の置かれた小広場に出ると、太郎布野鳥の森と書かれた案内板も置かれていた。その先で、太郎布への道が右に分かれた。地図では、ここまでに分かれる道があるように書かれているが、一本道であった。惣山と前山方面を示す標識は置かれていたが、太郎布方面とは書かれていないので注意が必要である。
 先回といっても10年前であるが、前山への道はやや不明瞭で、うっかり太郎布への道に入り込んでしまったのだが、しっかりした道が続いていた。前山へは、標高差200mの急な登りが続く。前山は、惣山よりも標高が僅かだが高いので、縦走というよりは、もう一山登るといった感じである。幸い、一気の登りのために、登りの時間は短くて済んだ。
 前山の山頂は、台地状であるため、GPSを見ながら、三角点を見落とさないように歩いた。その手前で、前山と書かれた山頂標識が現れた。周囲の見晴らしは利かなかったが、新緑のブナ林が美しかった。 三角点を過ぎると、露岩帯に出て、湖の眺めが広がった。ゴールの荒浜も良く見えた。ここからは、急な下りになった。岩が転がっており、足下にも注意が必要であった。
 沢に下り立った後は、北に方向を変えて湖畔に突き当たるまで進めば良いことになるが、杉林の中で、道がやや不明瞭になっていた。湖畔に沢が流れ込むところに、オリエンテーリングのナンバー標識が立てられており、その後は、湖畔に沿ったはっきりした道になった。サイクリング道路に出て沼神社を巻くと、荒浜に戻ることができた。
 沼沢湖を周回して惣山と前山を登る今回のコースは、変化に富み、歩きでのあるお勧めコースである。ところが、山と渓谷社の分県登山ガイド「福島県の山」の新版からは、消えてしまっている。他の人の報告を探すと、2002年頃は、前山付近の刈り払いがされておらず、露岩帯が危険ということで、荒浜の掲示に通行不可と書かれていたという。現在では、問題なく歩けるだけのコース整備がされているので、是非歩いてもらいたいものである。
 時間は早かったが、車に戻ってひと休みしていると本降りの雨となり、次の目的地は山ではなく温泉になった。

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