代塚山

代塚山


【日時】 2007年4月1日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 代塚山・だいづかやま・1231.6m・三等三角点・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/大日岳/大日岳
【コース】 藤巻より
【ガイド】 なし

【時間記録】
3月31日(土) 18:30 新潟=(磐越自動車道、会津坂下IC、山都、R.459、一ノ木 経由)=21:00 川入分岐 (車中泊)
4月1日(日) 5:50 川入分岐=6:00 藤巻〜6:33 発―7:24 新稲荷峠―8:54 白布峰―10:26 代塚山〜10:54 発―12:07 白布峰―13:27 新稲荷峠―14:29 藤巻=(往路を戻る)=18:00 新潟

 飯豊連峰の福島県側の登山口としては、川入と並んで弥平四郎の名前が挙げられる。弥平四郎の集落は、三国岳の南西に連なる疣岩山付近から流れ出る奥川のほとりに広がっている。この奥川右岸に沿ってのびる稜線上には、鏡山や、疣岩山を経て三国岳に至る飯豊主稜線への登山道が開かれている。これに対し、左岸尾根は、松平峠から疣岩山の間は登山道が開かれているものの、その南に位置する代塚山は、登山道が無く忘れられた存在になっている。かつては、この稜線にも藤巻の集落から稲荷峠を経て登山道が開かれていたという。

 代塚山には、1999年11月23日に弥平四郎より藪漕ぎで登っている。地図を見ていると、車道の通じている新稲荷峠からはそれ程の難所も無く、残雪期なら問題なく歩けそうに思えた。新稲荷峠へは、弥平四郎よりは藤巻からの方が近い。ただ、藤巻がかなり奥地にあり、渓谷沿いの道が続くことから、車の運転が恐そうで、道路の雪が完全に消えるのを待つ必要があった。
 土曜日の午後からの雨も、日曜日の明け方には止むという。代塚山を目指すことにしたが、時間に余裕を持たせるために早立ちをしたかった。早起きは辛いため、前夜のうちに現地に入っておくことにした。これならば、朝方に雨が残っても、歩き出すしかなく、心変わりの心配はない。
 弥彦山から戻ってきて、カメラの画像のコンピューターへの取り込みを行い、GPSへのコースデーターの転送を行った。山行前後には、コンピューターの接続が欠かせないものになっている。
 本降りの雨の中、山に向かった。会津坂下から山都までは最近も走ったことのある道である。その奥は、最初の飯豊登山のための川入や黒森山にやって来たくらいで、記憶もほとんどない。立派な車道が続いたが、いいでの湯を過ぎると、急に渓谷沿いの細い道になった。ガードレールも無い道なので、夜間の車の走行に危険を感じた。川入との道の分岐が広くなっていたので、車を停めて寝た。
 翌朝、目を覚すと、雨が降り続いていた。藤巻へと車を走らせると、大勢の釣り人が竿を出していた。谷が広がると、藤巻の集落に到着した。10数戸の家が並んだ、隠し里といった感じの、思ったよりも大きな集落であった。集落手前で、道は二手に分かれたが、除雪のされている集落内への道に進んだ。家並みが途切れ、左岸に渡る橋の手前で、冬期閉鎖になっていた。路肩に車を停めて歩き出す準備をした。幸い、歩き出した時には、雨も止んでいた。
 新稲荷峠までは車道歩きが続く。道路脇に出ている雪解けした路面を伝いながら進んだ。田圃脇の、ほぼ水平な道が続いた。右の谷に進んだところで雪が深くなり、スノーシューを履いた。前夜の雨のために雪はグズグズになっていた。例年だと、雪も締まってつぼ足でも歩けるようになっているのだが、今年の雪の質は例年と違うようである。
 橋を渡ると、左手の斜面に杉林が広がるようになる。この先、林道は大きなカーブを描くので、ショートカットをした。杉林の中をひと登りすると、再び車道に飛び出した。この先は、尾根を巻いていくほぼ水平な道が続いた。日当たりが良くなったためか、車道上の雪が消えているところもあった。
 新稲荷峠は、切り通しになっており、その上に向かって踏み後が付いていた。峠の周辺に、古い峠に相応しい祠のようなものがあるかと見たが、それらしい物は見当たらなかった。
 切り通しの上に出ると、尾根沿いに踏み跡が続いていた。雪はなくなっており、スノーシューは外した。残雪歩きの期待は外れたので、この踏み跡はありがたかった。高度が上がれば雪も出てくるはずと、期待するしかなかった。
 ひと登りして尾根の合流点に出ると、残雪が現れたが、まだその上を歩けるほどではなかった。次の尾根合流点に出たところで、ようやく雪堤が続くようになり、スノーシューを再び履くことになった。その先も、雪が少なくて藪を通過するところも多かった。右手の谷奥には、代塚山の山頂を望むことができた。そこまでは、谷を大きく巻いていく必要があり、距離はまだまだあった。
 尾根が方向を変えるところにある950mピークは、白布峰と呼ばれるようである。雪原を登っていくと、山頂部は雪庇による壁ができていた。左の低くなった所で乗り越えた。雪原の広がる山頂からは、代塚山の山頂の遮るもののない眺めが広がった。山頂に続く尾根も目で追うことがができたが、山頂周辺は気持ちの良さそうな雪原が広がっているものの、尾根の途中では雪が消えているようであった。
 白布峰からの下りは急であったが、雪が柔らかく、スノーシューのままで下ることができた。次のピークは、ブナが点在する雪原が広がっていた。先回の弥平四郎からは、このピークに登ってきたのだが、季節が変わっているためもあり、記憶は残っていない。
 その先の尾根が痩せている所では、雪が消えてしまっていたが、ここにははっきりした踏み跡が続いている。先回の藪漕ぎ山行でも、この踏み跡には助けられた。
 代塚山への登りが始まる頃には、安定した雪原が続くようになった。このような登りがずーっと続いていれば、どれほど楽であったろうか。
 代塚山の山頂は、ブナの巨木が点在する台地になっている。登りついたところの左と右奥に高みがあるが、三角点は右奥に置かれている。ブナの巨木を眺めながら最後の雪原を登り、代塚山の二度目の登頂を達成した。
 代塚山の山頂からは、疣岩山から三国岳にかけての眺めが広がっていた。風が出てきており、周囲は黄色く霞んでいた。黄砂がおしよせてきたと、夜のニュースでも報道されていた。それでも、飯豊の眺めを楽しむことができた。風を避けるため、東に少し下ったところで腰を下ろした。山頂まで4時間かかっており、思っていたよりも時間がかかっていた。帰りも藪漕ぎがあるため、一気の下りというわけにはいかない。ひと休みの後に下山に移った。
 大休止のためにスノーシューを脱いでいたこともあるが、つぼ足で下った。雪原の下りは、時折膝まで潜ったが、下りは勢いがあるため、それほど気にならない。雪堤も気温が上がっており、踏み抜きや崩壊が怖いので、主に藪を辿った。体力というよりも根気のいる歩きが続いた。
 新稲荷峠に戻った後は、雪解けの路肩に顔を出しているフキノトウを採りながら歩いた。1時間の車道歩きも、飽きないものになった。
 下山の時間は、ほど良い時間であった。前夜発としなかったら、遅い時間の下山となって、スピードの上がらない薮漕ぎに気もあせることになったかもしれない。残雪歩きと思って、昼過ぎに下山したら山都の福寿草でも見に行こうかと甘く見ていた。
 藤巻からは、車を少し走らせばいいでの湯があり、汗を流すことができた。

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