白布山、櫛ヶ峰

白布山、櫛ヶ峰


【日時】 2007年3月3日(土)〜4日(日) 1泊2日 各日帰り
【メンバー】 3日:単独行 4日:5名グループ
【天候】 3日:晴 4日:曇り

【山域】 裏磐梯
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 白布山・しらぶやま・1220.6m・二等三角点・福島県
【コース】 千貫より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山、中ノ沢
【ガイド】 無し
【温泉】 川上温泉ホテル寿 500円

【山域】 磐梯山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 櫛ヶ峰・くしがみね・1636m・なし・福島県
【コース】 国道459線より
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山
【ガイド】 無し
【温泉】 川上温泉ホテル寿 500円

【時間記録】
3月3日(土) 5:30 新潟=(R.49、安田IC、磐越自動車道、猪苗代磐梯高原IC、R.459、秋元 経由)=8:00 千貫〜8:58 発―9:20 池―10:43 稜線分岐―11:26 白布山〜11:53 発―12:22 稜線分岐―13:14 池〜13:18 発―13:38 千貫  (車中泊)
3月4日(日) 7:25 国道459線尾根取り付き―10:11 1404m点〜10:23 発―11:06 櫛ヶ峰〜11:52 発―12:07 1404m点―13:24 国道459線尾根取り付き=(R.459、猪苗代、河東、R.49 経由)=17:20 新潟

 裏磐梯で桧原湖に次ぐ広さを持つ秋元湖の南岸に聳える山が白布山である。山頂一帯にはブナ林が広がり、磐梯山や西吾妻山、桧原湖の展望台になっている。

 猪苗代湖の北に聳える磐梯山は、1888年の水蒸気爆発によって山頂が吹き飛び、流れ出た土砂は川をせき止め、裏磐梯の湖沼地帯が作られた。櫛ヶ峰は、現在の磐梯山山頂の北西に位置し、磐梯山山頂や爆裂火口、沼ノ平を眺めることのできる展望ピークになっている。

 櫛ヶ峰の誘いが入った。櫛ヶ峰には、2004年8月22日に、猪苗代スキー場から沼ノ平経由で磐梯山と合わせて登っている。櫛ヶ峰の山頂からは、磐梯山の全景を眺めることができ、お気に入りのピークになった。雪の季節の眺めも見てみたいということで、再び訪れることにした。
 櫛ヶ峰に登るのは日曜日であったため、土曜日に登る山を考える必要があった。裏磐梯でなくとも、磐越道沿いの山なら良かったのだが、新潟周辺の今年の雪の少なさは異常事態となっており、ある程度の標高のある山でないと藪山に変わっている。そういった状況でも、裏磐梯付近の山は、標高もあり、雪も比較的多い。地図をあれこれ見て、結局思いついたのが、秋元湖の南岸にある白布山である。1000mを越える標高を持ち、展望も期待できそうである。
 晴天の朝になった。暖かい陽気が続いており、裏磐梯への道路も凍結の心配は無くなっている。猪苗代で高速を下りた付近からは雪は無くなっていたが、裏磐梯に走りこむと、平地部にも雪原が広がるようになった。
 五色沼入口の少し手前で国道から別れて、秋元への道に進む。秋元湖に突き当たったところで長瀬川を渡ると、千貫に到着する。集落を通り抜けたところで、車道の除雪終点になった。
 ここが予定していた取り付きのはずと、GPSを立ち上げたが、信号が全く入らなかった。周囲は開けており、晴天で雲が厚いということもない。しばらく様子を見たが、信号が入る気配もなく、壊れてしまったという結論になった。最近の山行でのコース判断は、GPSまかせであったのが、地図を見ながらの判断が必要になった。白布山の山頂は見えるものの、登る予定の尾根は、谷の奥で、うかがうことができない。これが悪天候であったなら、あっさりと諦めてしまうところであるが、快晴とあっては登らない訳にはいかない。GPSが無くとも、地図読みでなんとかなるだろうとも思った。
 ただ、明日の櫛ヶ峰では、GPSを使いたかった。下山後に一旦新潟に戻り、以前使っていたGPSを再度用いる準備をするか、新しくGPSを買ってしまおうかと迷うことになった。
 歩き出しのトラブルで手間取ったが、ともかくも、スノーシューを履いて歩き出した。雪も締まっており、つぼ足でも歩ける状態であった。谷間には、湿地帯が広がっており、雪解けの進んだところではヨシ原が姿を見せていた。最初の目標は、地図にも出ている谷奥の池である。水も流れている沢に突き当たり、これに沿っていけば、池に出られるだろうと見当を付けた。しばらくこれに沿って歩いたが、この沢は蛇行していて距離が長くなってしまうので、跨ぎ越して、谷の中央部を進むことにした。
 谷の突き当たりに到着すると、右奥に静かな湖面を広げる池が現れた。地元で呼んでいる名前はあるのだろうが、地形図や登山地図には記載されていない。
 この池の左手から立ち上がるのが、登りに使う尾根である。ひと登りすると、雪が消えてしまいつぼ足になった。明瞭な山道とまではいえないが、鉈目も沢山あり、軽い藪漕ぎであった。登るにしたがい、谷向こうの尾根が低くなっていき、北の展望が開けるようになった。秋元湖や西大顛の眺めが素晴らしかった。谷を巻いた向こうに、白布山の山頂を見上げることができるようになった。
 尾根の突き上げ部は、1100mの小ピークであるが、最後は、その左肩にトラバースして、稜線にのった。日当たりが良くなったせいか、雪も緩んできたため、スノーシューを再び履いた。
 標高も上がって、雪稜歩きが続くようになった。背後を振り返ると、櫛ヶ峰の山頂が姿を現し始め、山頂からの展望の期待が膨らんだ。登るにつれて、ブナ林が広がるようになった。
 白布山は、南にも小さなピークを持った二コブ山頂である。両ピークとも丸いため、双耳峰とは言いづらい。南のピークはブナ林に囲まれて、鞍部越しに、本峰の展望が開けていた。両ピークの間は雪原となって、周囲の展望が開けていた。秋元湖越しの西大顛や西吾妻山、桧原湖の向こうに飯豊連峰。東には安達太良連峰。振り返れば、南ピークの向こうに櫛ヶ峰と磐梯山の山頂が姿を現した。山頂を目前にして、風景を楽しむために登りの足も止まってしまった。
 白布山の山頂は、木立に囲まれて、展望は閉ざされていたが、東の下り口まで進むと、安達太良連峰の眺めも開けた。
 結局、展望は鞍部への下り口が一番優れていた。雪原に腰を下ろして、風景を楽しみながらの大休止とした。この晴天に誘われて、近くの西吾妻山あたりでは、大勢の登山者が登っているのだろうが、この山にいるのは、私一人。感動も一人占めである。
 明日登る予定の櫛ヶ峰の雪の付き方も良く偵察することができた。雪は充分あるようでひと安心した。
 下山を開始して、いつものようにザックのショルダー部に取り付けていたGPSをふと見ると、信号が入り始めていた。これまでの故障はなんだったのだろうか。衛星の保守かなにかで信号が入らなくなるようなことがあるのだろうか。
 下山は、いつものようにGPSを参考にしながらコース取りができるので楽になった。一本尾根と思っていても、迷い込みやすい枝尾根もあり、コースを確かめる必要があった。一般には赤布をつけるところであろうが、安易に赤布にたよるのはいただけない。
 尾根の下りの途中からは雪が無くなったが、立て続けに数度尻餅をついた。落ち葉の下の土が凍った状態で滑りやすくなっていた。しかもまずいことに、スノーシュー歩きのつもりで、プラブーツを履いていたため、土の上での微妙な足捌きがしにくくなっていた。
 最後は、藪尾根の下りを嫌って、右手の谷に雪がついているのをみて、雪原を一気に駆け下った。
 昼になって雰囲気も少し変わってきた池の畔でひと休みしてから、雪原歩きで車に戻った。
 まずは、温泉に入ってさっぱりし、翌日の櫛ヶ峰の登り口を確かめた。再び裏磐梯へ戻って、コンビで買い物をしてから、桧原湖の河畔に車を停めておける場所を見つけた。例年なら凍結してわかさぎ釣りで賑わう桧原湖ではあるが、水面が広がっていた。桧原湖に映る磐梯山と櫛ヶ峰の眺めを楽しんでいるうちに、夜になった。
 朝早くから、釣り人のものと思われる車が何台も通過した。コンビニで食料を買い込んだ後に、櫛ヶ峰の登り口へ移動した。
 今回用いたコースは、長坂の北側の国道459線に落ち込む所に684m点と書かれている尾根である。この尾根は、1404m点を通過して櫛ヶ峰の山頂へと続いている。尾根の南の谷間には杉林が広がり、国道脇には駐車スペースがある。
 この登り口は、猪苗代方面からだと周囲の見通しが利かないために判りにくいが、五色沼方面からだと、車を走らせているうちに尾根の眺めが広がって判りやすい。この国道は、猪苗代と裏磐梯を結ぶ幹線道路であるため、登山口を探してのノロノロ運転は禁物である。
 朝の支度をしているうちに、予定時間より前に、宇都宮グループが到着した。雪の状態を確かめると、昨日の晴天のためにグズグズになっていた。放射冷却により締まった雪を期待して、ワカンをザックにくくりつけていたのだが、スノーシューに交換し、歩き初めから履くことになった。この季節、雪の状態もめまぐるしく変わる。
 尾根に上がると、日当たりが良い為か、土が所々で現れていた。雪の付いたところを辿りながらの登りになった。ひと登りすると、雑木林の中に岩が転がる斜面になった。雪が被さっているとはいえ、岩の間に隙間があり、落とし穴にはまらない様に注意が必要になった。
 尾根の傾斜はそこそこにあったが、スノーシュー歩きの支障になるほどではなく、快調に高度を上げることができた。880mの小ピークは左を巻いて通過した。この先は、台地状の地形が広がった。前方に山頂のように見えるのは、尾根の張り出しの1404m点のようであった。視界が閉ざされていると、登りはともかく、下りに方向を定めるのが難しくなりそうな台地であった。
 この台地の突き当たりで、急な斜面が現れたが、雪もほどほどに柔らかく、登るのも難しくはなかった。念のためにピッケルとアイゼンは持参してきたが、結局使うことはなかった。1150m付近も急な斜面になったが、ここは大岩が転がっており、その間を縫うように登る必要があった。
 この尾根は、緩急を繰り返す。三番目の急坂は、一面の雪原となり、うまくじぐざぐをきって息を整えながら登る必要があった。
 この急坂を乗り切ると、1404m点に到着した。緩やかに続く尾根の先には、櫛ヶ峰の山頂を目にとらえることができた。快調なペースで登ってきたが、疲労もたまってきた。山頂までは、標高差1000m強の登りであるので、雪の状態が良いといっても、かなりきつい。ひと休みしてから歩き出したが、この最後の区間は、もっとも歩き易いはずであったが、足が止まりそうになり辛いものになった。
 山頂が近づくと、ダケカンバの林に変わった。山頂から延びる稜線の上は、潅木が茂って歩きにくいため、一段下をトラバースしながら歩いた。
 山頂の少し手前で稜線上に上がり、雪が飛んでガレ場が現れた中を最高点まで進んだ。朝方は、櫛ヶ峰や磐梯山の山頂にガスがかかっていたが、歩いているうちに晴れることを期待していた。櫛ヶ峰の山頂のガスは消えていたが、残念ながら、磐梯山の山頂は隠されたままであった。ガスはときおり薄くなって展望が開けるので、腰をおろしてしばらく待つことにした。
 眼下には、沼ノ平や幾つかの沼が点在する鞍部の台地を見下ろすことができた。風の通り道で雪が飛ばされてすくないのか、あるいは火山の地熱で融けてしまったのか、茶色の岩肌が目立っていた。凍結した沼の上を歩いている登山者の一団が目にとまった。おそらく、猪苗代スキー場から赤埴山を越してきたものと思われる。時間的にみて磐梯山の山頂までは届かないはずなので、火口壁を見下ろすところまでで終わりのはずである。人声も、下から風にのって届いてきた。
 火口壁もガスの中から荒々しい姿を見せていた。時折、自然に石が落ちる音が、しじまを破った。夏に櫛ヶ峰へ登った時も、ガレ場の浮石を手で押さえつけるようにしながら登ったが、雪解け後で、一層ガレ場が不安定になっているようであった。
 ガスが晴れてくれれば、弘法清水小屋やピラミッド型の山頂の眺めが目の前に広がるのだが、この日は姿を現してくれなかった。櫛ヶ峰は、なだらかなスカイラインを描く表の顔と、荒々しい火口壁の裏の顔の両方を眺めることのできる展望台である。雪の季節にも登り易いことが判ったので、また来ることになろう。「心残りの山」として、再訪の思いを心に留めて下山することにした。
 下りは、つぼ足で歩くことにした。途中の急坂も、雪球と競争するように一気に下ることができた。快調に下ったが、尾根を下る直前の岩の転がる区間では、岩の隙間に落ち込んで、つらい歩きになった。
 山頂からは短時間で下ってしまったため、まだ早い時間での下山になった。前日と同じ旅館で温泉に入ってさっぱりした。
 時間が早いため、一般道で新潟に戻ることにした。途中で高速に乗って、ETCの夕方の割引をきかせるつもりであったが、結局そのまま一般道を走り通すことになった。西会津や県境の峠、津川付近では、雪が消えており、今年の暖冬に改めて驚かされた。

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