鳴倉山、トヤの頭

鳴倉山、トヤの頭


【日時】 2007年2月24日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 越後三山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 鳴倉山・なりくらやま・578.6m・三等三角点・新潟県
 トヤの頭・とやのかしら・671m・なし・新潟県
【コース】 干溝林道入口より
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/須原/大湯
【ガイド】 無し
【温泉】 こまみの湯 500円

【時間記録】 6:10 新潟=(北陸自動車道、小出IC 経由)=8:00 干溝林道入口〜8:21 発―10:14 鳴倉山〜10:36 発―11:58 トヤの頭〜12:34 発―13:50 干溝林道入口=(往路を戻る)=17:30 新潟

 鳴沢山は、越後駒ヶ岳からカネクリ山、ヨモギ山、笠倉山を経て北西に延びる尾根が魚沼の平野部に終わる所にある山である。地図にも載っている大沢から延びる登山道は、地元の小学校の登山コースとして使われている。また、南面から山頂まで林道が延びており、ハンググライダーの山頂基地としても利用されている。山頂周辺は、丈の低い潅木帯で、周囲の展望の良い山である。また、トヤの頭は、鳴倉山の隣のピークであるが、登山道は無いため知名度は低いが、鳴倉山よりも標高が高いため、積雪期に登れば迫力のある展望を楽しむことができる。。
 小出の裏山ともいえる大池川源流を取り巻く稜線は、左岸沿いの城山から大力山を経て黒禿の頭までは歩いているが、右岸沿いでは鳴倉山に1999年9月4日に登ったきりである。大力山には、これまで5回も登っているのと対照的な少なさである。鳴倉山の隣のトヤの頭は道が無いようなので、積雪期に登ろうと機会をうかがっていた。
 今年は異常なまでの小雪であるが、鳴倉山に登ってきたという話を聞いたので、雪の状態もなんとかなるかと思って出かけることにした。
 鳴倉山への登山道としては、北側の大沢からの破線が地図にも記載されている。この登山道は、短い距離で山頂に達することができるが、傾斜も急で細尾根が続くため、雪の状態によっては通過が難しくなりそうである。冬季の登山には向いていないと思っていた。それよりは、干溝の林道入口付近から延びる尾根が傾斜もほどほどで登りやすそうに思えた。干溝から登れば、トヤの頭から西に延びる尾根を下って周回できるのも都合が良い。
 この週は、四月並の暖かい日が続いた。金曜日の晩にようやく寒気が入り込み、土曜日の朝まで雪が降るという天候になった。日曜日には晴天が期待できそうであったが、あいにくと入試の試験監督で、山はお休み。回復傾向の天候に期待することにした。
 早起きをして小出に向かった。小出のインターを下りると、大力山が目に入ってくる。雪が少なく、潅木が露出し、そこに雪がつもって灰色の斑模様を見せていた。コンビニによるため、薬師山方面に車を走らせると、鳴倉山が眺められるようになるが、こちらも状況は同じで、山の斜面の雪は落ち始め、かろうじて尾根沿いに白いベルトが続いている状態であった。夏道のある大沢側から登ろうかと迷ったが、まずは干溝からのコースをあたってみることにした。ダメなら、大沢コースに回っても、時間的な余裕はある。
 干溝の集落に入ると、鳴倉山と登る予定の尾根を良く眺めることができた。ほどほどの傾斜で、尾根の途中に、杉の大木が生えているのが目にとまった。民家の間を抜けていくと、養鯉池が脇に広がる干溝林道の入口で、除雪は終わっていた。車を除雪終点部に置いて歩き出す準備をした。丁度、送電線が頭上を通過する手前であった。雪が多い場合には、手前の道幅の広い場所に車を置く必要があるのかもしれない。
 鳴倉山の山頂は眺めることができたが、登る予定の尾根の取り付きは判りにくくなっていた。林道を歩き出し、送電線の下をくぐったすぐ先に、左手の杉林の中に通じる作業道があったので、この道に進んだ。林を抜けて谷間に入ると、正面に尾根が落ち込んでいた。
 登り始めると、雪がグズグズなのはまだ良いとして、ストックが穴に落ち込んで抜けなくなるのは困った。見ると、雪は30センチほどしかなく、横に並んだ潅木の木の間に落ち込んでリングが引っかかって抜けなくなっていた。スノーシューは横幅があるので枝の上にのってはいるが、ゆれて周囲の雪原にひびが入る状態であった。藪も濃く、雪をうまく辿らないと進めない状態であった。これではだめかなと思いながらも、尾根の上に出れば、状況も変わるかと、しばらく忍耐の登りを続けた。
 細尾根に乗ると、右手から切り開きが上がってきており、その後は歩きやすくなった。のこで枝を落とした跡も沢山あり、雪が消えているところでは、しっかりした山道が続いていることが判った。鳴倉山の山頂まで林道が続いているといっても、かなり大回りをしている。歩いて登る山道も必要ということで、集落に近いところから始まるこの尾根に道が開かれているようである。雪の無い時期に、この道も確かめる必要がある。
 この後は、快調な登りが続いた。背後には、大力山の山頂が向かい合っていた。干溝の集落が眼下に遠ざかっていった。
 尾根の傾斜が緩やかになると、その先で杉の植林地が広がるようになった。植林のための作業道が、何本も右手から進んできていた。尾根通しは、藪が出ていて、通過はできない状態であった。右手から林道が上がってきているはずなので、右手にトラバースして林道を目指すことにした。浅い谷を越して右隣の尾根に乗ると、林道に乗ることができた。
 雪がしっかりと付いていれば、そのまま山頂をめざせそうな傾斜ではあったが、藪が出ているため、林道を忠実に辿る必要があった。林道が山頂直下まで続いていることは、先回の雪の無い時期に登って知っている。
 山腹をトラバースしていくと、山頂から西に延びる尾根に乗って、折り返すように方向を変えた。緩やかに登っていき、一回カーブすると、雪原に鉄棒が出ているハンググライダーの離陸台に出た。このすぐ先が鳴倉山の山頂である。
 鳴倉山山頂からは、さえぎるもののない展望が広がっているのだが、山頂到着と同時に雪が降り始め、遠くは見えなくなってしまった。大力山は目の前にあり、山頂の東屋は見分けることができた。稜線の先にはトヤの頭が誘うように、横に尾根を広げた姿を見せていた。尾根伝いのルートを目で追ったが、山頂からの下りが急で、藪も出ており、途中の小ピークの通過が面倒そうであった。一旦戻って、林道を使って、鞍部から取り付いた方が良さそうであった。北には権現堂山塊が広がっているのだが、眺めは閉ざされていた。大沢からの尾根を眺めると、すぐ下に取り付きの林道が見えており、距離は短いものの、雪解けが進んで、雪も割れはじめていた。
 山頂は風が強かったので、一段下がったところで休んでいると、青空が広がってきたので、再び山頂に戻ったが、眺めは少し良くなったものの、遠くの展望が開けるところまではいかなかった。それでも、トヤの頭まで歩こうという決心は付いた。
 一旦戻り、杉林の中をトラースする林道を進んだ。鳴倉山の山頂から下ってきた尾根もすぐ上を通過するようになった。鞍部で稜線に上がって、トヤの頭への登りを開始した。杉林を抜けると細尾根になった。
 山頂まであと僅かというところで、尾根の上に密生した藪が覆い被さっていた。岩が尾根に乗っているようであった。左の谷へ少し下ってから回り込もうとしたが、尾根への登り返しが急でできなかった。藪を強行突破することにして、スノーシューを脱いだ。木の枝の上で宙乗りしながら数本の枝をかいくぐると突破することができた。難所はここだけであった。
 その先が山頂のように見えたので、つぼ足で登り続けた。ピークの上に出たが、トヤの頭の山頂は、僅かに下ってひと登りした先であった。細尾根で、雪稜が蛇行しながら続いていたが、幸いその頂点部は雪解けが進んで丸みを帯びていた。この雪稜の通過も、安全のためにはつぼ足の方が良いということで、そのまま先に進んだ。
 左から尾根が合わさり、先は落ち込んでいることで、トヤの頭の山頂に到着したことは、GPSを見なくとも判った。山頂は狭く、背の低い潅木に取り囲まれているだけで、展望を遮るものはなかった。山の標高も上がったせいか、潅木には、霧氷が付いていた。
 天気も回復してきて、権現堂山塊も良く見えるようになった。毛猛山塊の桧岳もピラミッドの姿を見せ初めていた。稜線続きの駒の頭もすぐ近くに見えていた。もうひと頑張りの距離で心が動いたが、ここまで戻ってからの下山を考えると、次回の課題ということになった。黒禿げの頭と笠倉山が谷奥に高く見えていた。駒ヶ岳の展望も期待できるはずなので、展望を楽しみに、また来ることになろう。津久の岐山と並んで、お気に入りの山になりそうである。
 下山は、山頂手前のピークから南西に延びる尾根を下ることにした。途中で、林道を三回横切ることになる。上からうかがうと、傾斜もほどほどで、雪も良く付いていることが確認できたので、このルートをとることにした。
 スノーシューでの気持ちの良い下りが続いた。今回の山行で、もっともスノーシュー歩きを楽しむことができた区間になった。右手の谷を見下ろすと、林道がうねうねと続いているのを眺めることができた。雑木林の尾根を下っていくと、杉の植林地に入って、林道に飛び出した。
 林道を横断して僅かに上り気味になると453m点を通過した。杉林を通過して、林道に出たと思ったら、林道脇が崖状になっていて下りられなかった。雪が付いていれば滑り下りられなくもないのだが、雪は消えて草付きの斜面が露出していた。降り口を探すために地図をみると、右手に沢が入っており、林道に下り立つことができそうに思えた。右手にトラバースしていくと、沢の上に出て、谷側の雪原を下って林道に下り立つことができた。
 林道を眺めると、脇の斜面から雪はほとんど消えていた。ショートカットはあきらめて、林道をそのまま下ることにした。距離は少し長くなるが、歩いていれば良いだけで気楽ではある。
 林道歩きの途中、マンサクの花も見ることができ、新しく買った90mmマクロレンズの試し撮りも行うことができた。また、大力山の山頂もすぐ近くで、下山途中の登山者も見えていた。
 今回下山に使った尾根は、傾斜も緩やかで、トヤの頭へ直接登り付くことから、利用価値は高い。林道脇の崖が問題になるので、まとめる。下から登る場合、東音木沢を渡ったら左岸尾根に取り付く。右手から大きく迂回してきた林道に出たら、この付近は道路脇の崖が急なため、しばらくは林道歩き。左に進んでヘアピンカーブを終えたら沢の縁から崖上をめざして453m点に続く尾根に乗る。ここの崖の通過が難しかったら、林道をそのまま進んで、453m点上まで迂回する。その後は、尾根沿いの登りで、トヤの頭をめざす。林道へ落ちる雪崩を警戒する必要はあるだろうが、大沢から鳴倉山を目指すよりは、歩きやすい尾根であると思われる。
 林道歩きの途中、大地川沿いに続く林道が分かれるのに出合った。大倉沢に堰堤があるようなので、その工事用の林道であろうか。大倉沢を越すことができれば、駒の頭に続く、ゆるやかな尾根に取り付くことができる。駒の頭の山頂下には杉林が広がっており、黒禿の頭から駒の頭方面には山道があることは確かめてある。駒の頭へ続く山道があるとすれば、この尾根なのだが、どうなのだろうか。一つのピークを登って、新たな謎は生まれる。
 この鳴倉山や大力山は、小出付近でも雪解けは早い。下山を終えて山を振り返ると、朝には灰色に見えていた潅木帯も茶色の藪を見せていた。この山塊の雪山シーズンは終わったようである。

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