猫魔ヶ岳

猫魔ヶ岳


【日時】 2007年2月17日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 磐梯山周辺
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 猫魔ヶ岳・ねこまがたけ・1404.0m・一等三角点補点・福島県
【コース】 猫魔スキー場より周回
【地形図 20万/5万/2.5万】 福島/磐梯山/磐梯山
【ガイド】 スノーシューコースプランGUIDE・猫魔平のみ(山と渓谷社)
【料金】 駐車場1000円、リフト1回券350円

【時間記録】
2月16日(金) 19:20 新潟=(R.49、安田IC、磐越自動車道、猪苗代磐梯高原IC、R.115、R.459 経由)=22:30 桧原湖  (車中泊)
2月17日(土) 8:18 雄国第1Bロマンスリフト山麓駅=8:26 雄国第1Bロマンスリフト山頂駅―8:42 雄国第1Aトリプルリフト山頂駅―9:34 猫魔ヶ岳〜9:39 発―10:08 1312点―10:35 八方台〜11:05 発―11:45 猫魔スキー場=(往路を戻る)=15:30 新潟

 猫魔ヶ岳は、磐梯山の西に八方台を挟んで向かい合い、雄国山、厩岳山、古城ヶ峰などとともに古い火山のカルデラ湖である雄国沼の外輪山を形成している。猫魔ヶ岳は、南北からスキー場が山頂近くまで延びてきているが、そのリフトを使った猫魔平へのスノーシューツアーが行われるようになっている。

 「スノーシューコースプランGUIDE」中に、猫魔平へのコースが載っていた。その中で、猫魔スキー場のリフトは、スノーシューでも乗れるようになったと書いてあった。最近では、「巨樹の森ツアー」ということで、普及を図っているようであるが、やはりピークハントでないと物足りない。
 地図を見ると、一番西側のリフトを使って1349mピークに上がってしまえば、後は稜線伝いに猫魔ヶ岳に登り、そのまま東に下ってこの猫魔平コースに入れば、周回できるはずである。登りもほとんど無く、楽しめるコースに思えた。
 木曜日は、爆弾低気圧が発生して大荒れになったが、土曜日は晴になるという天気予報が出た。展望や霧氷を期待して猫魔ヶ岳に出かけることにした。
 裏磐梯の冷え込みは厳しく、早朝は道路が凍結していることが多い。夜に入ったばかりの方が、まだ道路も安全かなと思って、朝出発でも間に合う距離ではあるが、前夜発とした。
 新潟周辺に雪は全くないのだが、猪苗代磐梯高原ICで高速を下りると、道路上は圧雪状態になった。夜遅くに裏磐梯に向かう車は少ないので、ゆっくりと車を走らせることができた。朝だと、スキー客の車がとばすので、こうはいかない。桧原湖の畔の路肩スペースを見つけて、夜を明かした。
 朝早くから、スキー客なのか、車の往来も多く、7時前には起き出すことになった。車の窓ガラスは霜で凍り付いていたので、車をスタートさせるのに、しばらく時間がかかった。
 湖岸道路から猫魔スキー場へは、幅広の取り付き道路が整備されている。駐車料金1000円を払って駐車場に入った。広い駐車場が設けられていた。リフトの運行開始前であったが、スキー客が続々と到着していた。
 快晴となって、ゲレンデの奥に猫魔ヶ岳の山頂が姿を現していた。ゲレンデを眺めると、このスキー場は、急斜面が多いようであった。
 リフト券をまず買ってから、リフトの運行開始を待つことになった。登山届けは必要かと聞いたが、いらないということであった。下の短いリフトしか動き始まらなかったが、ようやく目的の第1リフトが動いたので、リフト乗り場へ移動した。リフトに乗ろうとすると、スノーシューは履いてくれと言われた。スノーシューは、爪がひっかかるので、外したままの方が安全なのだが、係員のいうことを聞くしかない。いずれにせよ、私自信には、慣れているのでどちらでも良いが、初心者を連れていると、危ないかもしれない。
 リフトに乗って、行く先を眺めていると、大失敗をしたことに気が付いた。第1リフトには、1Aトリプルリフトと1Bロマンスリフトが平行して設けられている。1Bロマンスリフトが動き始めたのでこれに乗り込んだのだが、これはピークの上までいかず、1200m標高で終わっている。一旦下りて乗り直すわけにもいかず、歩いて登るしかない。
 リフトの係員と言葉を交わすと、あと30分まてば良かったのにと言われた。急斜面のゲレンデ登りに汗をかくことになった。今回は、きつい登りはない、お気軽登山のつもりであったのだが、あてが外れた。それでも15分程で登り切ったので、リフトの運行開始を待つよりは早かった。どうもスキーパトロールがゲレンデ上部の状態をチェックしているので、リフトの開始が遅れるようである。
 ゲレンデが広がる先には、桧原湖や吾妻連峰の眺めが広がっていた。ゲレンデ周辺の木立は、霧氷に彩られて、銀世界が広がっていた。台地状の1349mピークを越して下りの縁に立つと、猫魔ヶ岳に至る稜線と磐梯山の眺めが広がった。素晴らしい展望であった。右手には、凍結して白一色に染まった雄国沼と、雄国山を初めとする外輪山の展望が広がっていた。その向こうには、飯豊連峰が空に浮かんでいた。
 猫魔ヶ岳に至る稜線は、幅広尾根で、銀色の林が広がっていた。木立の間隔も開いており、山スキーでも快適そうなコースであった。雪も締まっており、ゲレンデで滑るのと、雪質もさほど変わらないようである。雄国沼までは緩斜面で、標高差もあまりないので、ひと滑りで下りられそうである。今日の目的地は猫魔ヶ岳であるが、雄国沼方面も歩いてみたいと心が揺れた。
 カメラを首から下げて、写真を撮りながらの歩きになった。吹き溜まりではスノーシューが少し潜るものの、ほとんどは足を蹴り入れれば、食い込む程度の堅雪で歩きやすい雪質であった。
 鞍部からは、猫魔ヶ岳の山頂に向かっての登りが続くが、なだらかな傾斜で、標高差も120mしかない。よけいなゲレンデ登りが無かったら、もっと楽々登山になったはずである。
 山頂が近づいたところで、スキーヤーのトレースが現れた。ゲレンデ中央部に設けられている猫魔第1ロマンスリフトを使って登ってきたようである。このコースは、距離は短いが急斜面なのと、この付近になると、木の間隔も狭くなって開放感はなくなってくる。1349mピークからのコースの方が、歩いて楽しいと思う。
 山頂直前で、二人連れのスキヤーが下りてくるのとすれ違った。小ピークを越えてひと登りすると、猫魔ヶ岳の山頂に到着した。磐梯山の山頂も目の前に迫り、迫力のある姿を見せていた。周囲の写真を撮りながら振り返ると、10名以上はいそうな山スキーの一団が迫ってきていた。
 猫魔ヶ岳山頂から東に向かっての下りは、雪稜状態で傾斜もきつかった。団体の先行者が到着したところで、下りを開始した。幸い雪もほどほどに柔らかく、スノーシューのテールが食い込む状態であった。一気に急斜面を下った。安全地帯に下りたところで振り返ると、スノーシューの足跡は、山頂から長々と続いていた。雪が堅いと、この下りは難しくなるかもしれない。残雪期は、ピッケルとアイゼンを用意した方が良いかもしれない。もしも初心者がいて、ここの通過が難しい場合には、引き返して、鞍部から延びる枝尾根を使ってゲレンデに下りるのが良いかもしれない。
 その先は、雪稜の上が三角に尖った上を踏みしめながら歩くような細尾根がしばらく続いた。幸い、一段下には木立が続いていたので、滑落の心配は無かった。
 振り返ると、山頂に立つ一団が見えるものの、こちらには下りてこずに、引き返していった。猫魔ヶ岳の山頂を踏んだ後は、雄国沼へと下降するのだろうか。後を追いかけられる心配もなく、のんびり歩くことができるようになった。
 磐梯山を正面に見ながら快調に下っていくと、右手からアルツ磐梯スキー場のリフトが上がってきた。猫魔ヶ岳は、両側からスキー場が延びてきて、夏山として登った時は、開発されすぎと思ってしまうのだが、今回は不思議と気にならなかった。自分自身スキー場のリフトを利用していることもあるが、稜線を彩る銀色の林や大展望にすっかり満足しきっているためであろう。
 緩やかに登っていくと、1312mピークに出る。猫魔平のスノーシューツアーは、丸山第2ロマンスリストの終点からこのピークに上ってくるようである。このピークは、台地状で、ブナ林が広がっているため、コースの方向が掴みにくい。尾根の方向も微妙に変わっていくので、方向を修正しながら歩く必要がある。緩やかに下っていくと、再び、アルツ磐梯スキー場のリフトの山頂駅がすぐ下に現れる。
 磐梯山の眺めとも別れて、左手のブナ林へと下降を開始する。稜線の右下には、アルツ磐梯スキー場のコースが平行しているので、そちらに引き込まれないように注意が必要である。
 ブナの原生林の中をトラバースしながら下っていくと、夏は谷地になっていそうな雪原に下り立ち、その先で、磐梯山ゴールドラインの八方台休憩所脇に出た。雪に覆われているとはいっても、道路脇で休憩するのも面白くないので、その先の尾根に上がってから、大休止とした。雪質も上々で、体力の消耗も少なかったが、ここらで休まないと、下りきってしまう。
 夏には大勢の登山者や観光客で賑わうところだが、ブナ林は静まり返っていた。
 下りは、ゴールドラインを横切って北西に進むと、谷地状の雪原に出た。右手の小ピークを巻きながら進むと、ブナの原生林に出た。このあたりが猫魔平なのだろうか。
 左手から声が聞こえてきたと思うと、5,6名のスノーシューツアーの一行が近づいてきた。ブナの木が並ぶ小高い丘の上で、休憩と声をかけていた。スキー場で手に入れたパンフレットを見ると、この「巨樹の森ツアー」は、スノーシューレンタル、ガイド料、リフト券、保険料込みで、3675円とのことである。冬山初心者には、値段も手頃で良いだろうが、ガイドのもうけは少ないのが気になる。
 この先で、沢が始まった。ガイドでは、右岸沿いに下るように書かれていたが、トラバースが続くようなので、左岸に渡って、1164m点の北に回り込んだ。下降点を探しなら歩いたが、どこも変わらない傾斜であった。適当なところで急斜面を一気に下った。スノーシュー歩きに自信がなければ、尻滑りに良い斜面かもしれない。
 雪に覆われた沢を渡って、右岸に出た。この先は、沢が深くなって水の流れも出て、飛び越えるのが難しくなったので、丁度良いところに下り立ったことになる。一般には、右沿いに続く尾根に乗った方が良いであろう。
 その先で、上部の駐車場に出た。駐車場を横切ってゲレンデに入ると、その下が歩き始めのレストハウスであった。
 時間は早かったが、山は終わりにすることにした。これ以上、満足感を足すことはできない。
 今回の猫魔ヶ岳周回コースは、リフトを利用した安直コースであるが、展望の素晴らしさは、これまでの経験の中でも屈指のものである。スノーシューでのリフト乗車が解禁になったのは先シーズンからというので、今回のコースも知られていないが、そのうちに人気のコースになる可能性が高い。
 雪景色の裏磐梯から戻ってきたら、雪が全く無い新潟に改めて驚かされた。

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