平標山、枡形山

平標山、枡形山


【日時】 2007年1月5日(金)〜(土) 前夜発2泊2日 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 5日:晴れ 6日:雨

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 平標山・たいらっぴょうやま・1983.7m・三等三角点・新潟県、群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/四万/三国峠
【コース】 平元新道
【ガイド】 ベストバックカントリー100第1巻、山スキールート図集2(白山書房)
【温泉】 宿場の湯 600円

【山域】 魚沼丘陵
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 桝形山・ますがたやま・748.5m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/十日町/塩沢
【コース】 六日町南スキー場
【ガイド】 なし

【時間記録】 
1月4日(木) 9:15 新潟=(関越自動車道、湯沢IC、 経由)
1月5日(金) =0:30 二居  (車中泊)
7:17 元橋登山口―7:39 ヤカイ沢取り付き―8:21 平元新道登山口―10:03 平標山山の家〜10:10 発―11:10 平標山〜11:53 発―12:25 平標山山の家―13:23 平元新道登山口―14:24 元橋登山口=(R.17 経由)=16:00 六日町  (車中泊)
1月6日(土) 午前中、六日町南スキー場=(R.17、中之島見附IC、北陸自動車道 経由)=14:30 新潟

 平標山は、谷川連峰の西端に位置する三国街道にのぞむ山である。山塊を代表する谷川岳が日本有数の岩場を抱いた山であるのに対し、平標山から仙ノ倉山にかけては、笹原に覆われた女性的な稜線が広がっており、冬は山スキーの代表的なコースになっている。

 桝形山は、魚沼スカイラインの北端の八箇峠に隣接するピークで、山麓一帯には六日町ミナミスキー場が広がり、頂上にはアンテナ群が立ち並んでいる。夏は魚沼スカイラインからアンテナ施設の管理道を辿り、冬はスキー場のリフトを利用すれば簡単に登頂できる。

 元旦の晴天を逃してがっかりしていたが、休暇をとった5日に晴天マークが点灯した。こうなると、是非とも展望の山に登りたい。今年の雪は遅れているので、それなりの標高を持つ山でなくてはならない。結局、平標山を目指すことにした。山スキーヤーに親しまれている山であるが、スノーシューで歩いても問題は無いはずである。
 昨年の12月に、衝動的に山スキーの板を買ってしまったが、小雪のためにスキー場のオープンが遅れており、スキーの練習ができないでいた。平標山の翌日は、湯沢付近のスキー場で、スキーの練習をすることにして、スキーの装備一式も車に積み込んだ。
 いつものように、高速代の節約のために、0時を回ってから高速を下りた。平標山登山口にも近い二居の道路ステーションで夜を明かし、翌朝車を動かした。
 平標山の登山口には、登山者用の広い駐車場が設けられている。ただ、冬の間は除雪されていないし、トイレも閉鎖されている。積雪量は少なく、車の轍がついていたが、スタックがこわく、中には入らなかった。すぐ先の三国小学校脇のトンネル入口に駐車帯があり、ここは冬でも除雪されており、車を置くことができる。
 歩き始めの林道は、分譲別荘地内ということで除雪されており、圧雪状態であった。別荘地が終わると、雪道になったが、スノーモービルの走行跡があり、雪もしまっていて普通に歩くことができた。天丸木山の麓を通っていくと、平標山から落ち込むヤカイ沢の谷間の眺めが広がった。当初の計画では、ヤカイ沢の左岸尾根を登るつもりであったが、尾根や谷間は、黒々としており、藪が出ていた。稜線一帯はさすがに真っ白であった。林道上にはスキーの跡も見られ、足跡から先行者が一人いることが判った。皆がどのようなコースをとっているかで、登るコースを決めることにした。第二候補として、平元新道脇の尾根を登ることも考えて、GPSに入力してきていた。
 沢を渡ると、ヤカイ沢左岸尾根の末端になる。雪が少なく、ここを登るなら藪漕ぎの覚悟が必要になる。この尾根はあきらめて、平元新道の登山口を目指すことにした。この先は、夏道でも長く感じられる林道歩きが続く。時折雪に足がもぐることもあったが、雪は締まっており、つぼ足で歩き続けることができた。
 結局1時間5分かかって平元新道の登山口に到着した。登山地図のコースタイムは1時間10分、昨年の初夏に歩いた時には50分の歩きであったので、荷物も重くなっていることを考えると、まずまずの時間である。
 スノーモービルの轍はここまでで、いよいよ雪道の歩きになった。先行者は、つぼ足で登っていたので、その足跡を辿った。登山道は、雪に埋もれているとはいえ、木立の間の刈り払いと溝状の窪地で見分けることができた。
 しばらく登ると足が潜るようになったので、スノーシューを履くことにした。予期しない時に雪に足が潜ると、体力を消耗するが、スノーシューを履けば、自分のペースで登り続けることができる。今回の山行は、今年最初のスノーシュー歩きをすることが目的でもある。
 夏道は、右手よりに緩やかに方向を変えながら登っていく。当初の予定の1776点付近に登りつく尾根からもそれて、沢を渡って右隣の尾根の登りになった。スキーの跡もいつの間にかなくなった。尾根を直登するよりは登山道を辿った方が楽そうなため、つづら折りを繰り返す道を辿った。
 地形的に目印の乏しい平坦な斜面の林の中を登っていくと、目の前に稜線が迫った。一息ついて背後を振り返ると、青空をバックにして苗場スキー場から背後の山の眺めが広がった。山頂からの展望の期待が膨らんだ。
 稜線上に到着すると、まず山の家の眺めが飛び込んだ。昨年2006年7月24日に登った時には、山の家は「建て替えのため6月から11月の間は使用できない」と、登山口にも掲示され、工事中であった。小屋のオープンは来シーズンと思っていたのだが、すでに出来上がっていた。二棟が並んだ立派な小屋であった。試しに入口のドアを回してみると鍵がかかっていたが、冬季入口はそちらと掲示があった。三国山側に回りこむと、梯子がかかり二階の屋根裏に入るドアが設けられていた。スノーシューを脱いで登ってみると、ドアが開いて、中を覗き込むことができた。この小屋が完成したことは、まだ報道されていないようである。春になれば一般に知られることになろうが、今シーズンの山スキーでは、この小屋が完成していることを知っておくことは、緊急時に役立つであろう。山スキーのコースは、かならずしも、この小屋を通らないようであるが、緊急避難場所として頭に入れておく必要があろう。
 小屋の前からは仙ノ倉山の遮るものの無い眺めが広がっていた。その脇からは、エビス大黒ノ頭が鋭い山頂を見せていた。このピークは、平標山の山頂からは見えないので、ここだけからの眺めになる。小屋を全景として、平標山への登りを目で追うことができた。おそらく、このアングルは、これからの定番写真になりそうである。
 これだけ立派な小屋が整備されたとなると、泊まってみたくなる。谷川岳縦走の1泊目をこの山の家で泊まって、翌日一気に谷川岳まで歩いて下山できる。1日目は時間もかからないことから、土合に車を置き、上越線で湯沢に出て、後はバスで元橋まで移動すれば良い。冬山が始まったばかりというのに、夏山に心が飛んでいた。
 ひと休みの後に、平標山への最後の登りに取り掛かった。夏は、過剰整備ともいえる階段の連続であるが、一面の雪原が広がっている。ただ、風のせいもあるのか。雪は少なく、ブッシュが所々で現れていた。スノーシューの跡がようやく付くほど堅いところあれば、潜るところもあった。
 最初のピークはだましのピークで山頂はまだ先である。長く感じられる登りが続いた。仙ノ倉山は、登るに連れて姿を変えた。振り返ると、雪が無く枯草色に染まった上州方面の山の眺め、さらに噴煙をたなびかせた浅間山、富士山も真っ白な山頂を見せていた。一眼レフデジカメをザックから取り出して首から下げての登りとなって、ペースは遅くなった。
 前方を登る先行者が目に入ってきた。一面の雪原で距離感が無くなっているのか、先行者も疲れているためか、なかなか先に進んではいかなかった。
 旧トラバース道の先で傾斜はゆるくなり、最後の登りが始まる。山頂に到着した単独行が展望を求めて山頂を動き回るのが見えるが、なかなか近づいてこない。天気も良く、あわよくば仙ノ倉山までという気持ちもなくなった。
 結局山の家から山頂までのコースタイム50分のところ、1時間かかって到着した。スノーシュー歩きとしては、雪の状態はそう悪くはなかったんで、足に疲労がでてきたということである。平元新道登山口から山の家までは、コースタイムでは1時間15分のところ、1時間40分かかっているので、この区間の疲労が大きかったことになる。
 山頂では、霧氷を片面に付けた山頂標識が出迎えてくれた。お馴染みであるが、今回はどのような姿を見せてくれるのかと期待して、山頂の西の縁に進んだ。仙ノ倉山は、白きたおやかな姿を見せていた。積雪期としては、2000年4月2日に、タカマタギからの縦走で登っているが、これは春山である。今回は冬山といえるが、時期はともかく、積雪はまだ本格的になっていない。ヤカイ沢を利用して登って、ようやく冬山といえようか。その時には山スキーを利用したい。登る機会はこれからもあるだろう。
 仙ノ倉山の左手には、谷川岳と茂倉岳、さらに巻機山に至る長い稜線を眺めることができた。日白山は、一段低く見えていた。さらに西を眺めれば、苗場山から佐武流山にかけての山塊を眺めることができた。これらの白い峰峰に対し、上州側の赤城山、子持山、榛名山といった山は、茶色に染まったままであった。見飽きない眺めであった。
 風景を眺めている間に先行者も下山していき、一人だけの山頂になった。腰を下ろして大休止としたが、太陽が明るく輝いていたとはいえ、山頂を吹く風は冷たかった。山頂でもっと眺めを楽しんでいたかったが、下山に移ることにした。
 急斜面で雪が締まっているところは、横向きになる必要もあったが、特に問題は無い下りであった。山の家から下のつづら折り部では、先のコースが判るところはショートカットしたが、笹薮が出ており、どことでも歩けるという状態でもなかった。途中で登山道が溝状に掘り込まれるようになると、スノーシューではサイドが引っかかって歩きにくくなった。傾斜も緩んだところで、つぼ足になった。
 平元新道の登山口に戻ってからの林道歩きは、行き以上に長く感じられた。
 車に戻った時には、丁度良い時間になっていた。雪山は、夏山よりも時間がかかる。
 荷物を車に放り込んで、まずは温泉ということで、二居の宿場の湯を目指した。この山は、温泉が近いこともありがたい。
 翌日のスキーをどこでするか、考える必要があった。足の疲労もかなり出ていた。温泉に入って元気を取り戻したものの、1日中スキーを頑張れそうにもなかった。天気も、爆弾低気圧が発達して下り坂になるというので、天気が崩れる前を狙うことになる。新潟方面に戻って、あまり混まないローカルなスキー場ということで、六日町南スキー場を考えた。このスキー場は、リフトが枡形山の山頂まで伸びており、一応は山頂を訪れたことになる。
 ひさしぶりのスキーである。プラブーツにフリートレックの組み合わせでは、最近も何度か滑っているが、やはりスキー靴でないと難しい。昨年の12月に、最近の山スキー板はどう変わっているのか、スポーツ店で見ると、幅広でカーブングカーブが付いて、かなり軽くなっていた。以前のものよりは良さそうということで、衝動的に買ってしまった。まずはゲレンデで練習しなければと思ったが、肝心の雪が遅れていた。
 リフトの開始と同時に滑る準備をした。スキー靴を履くと、はやくも足にきていた。半日券を買った。スキーを履いて、リフト乗り場までスケーティングをしようとしたら、いきなりつまずいた。スキーのブランクは大きいようである。
 六日町南スキー場は、中級コースがメインである。何度か滑っているうちに調子も出てきたので、枡形山の山頂から、GPSを立ち上げて記録しながら、下まで滑った。魚沼スカイラインを利用したのに続く二度目の登頂である。
 11過ぎに雨が降り出したため、半日券の終了時間前であるが、スキーを終えることにした。とりあえず、整地されたゲレンデなら滑ることはできるようになった。天気がもったなら、魚沼スカイラインをシールをつけて歩いてみようかと思っていたが、着替えの間に本降りの雨となり、今回は諦めることにして、家路についた。

山行目次に戻る
表紙に戻る