竜ヶ岳

竜ヶ岳


【日時】 2006年11月5日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 会越国境
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
竜ヶ岳・りゅうがたけ・532m・なし・福島県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/安座
【コース】 安座より
【ガイド】 会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)

【時間記録】 6:40 新潟=(磐越自動車道、西会津IC 経由)=8:10 大下橋〜9:14 発― 9:31 尾根取り付き―10:08 竜ヶ岳〜10:18 発―10:37 西尾根引き返し―10:58 竜ヶ岳―11:36 尾根取り付き―12:00 大下橋=(R.49 経由)=14:10 新潟
 竜ヶ岳は、西会津町の新潟との県境近くにある岩山である。磐越自動車道の龍ヶ嶽トンネルが、この山の東尾根を貫いており、ドライブの際に一瞬であるが、この岩山を目にすることができる。会津百名山に取り上げられており、登山道もあるが、ほとんど知られていない山である。

 会津百名山をぽつりぽつりと登ってきたが、竜ヶ岳は、新潟からも近く、登山道があるらしいと聞いていたにもかかわらず、後回しになっていた。スラブに囲まれた山で、岩場の通過があるとなると、敬遠しがちである。
 連休三日目の山を考えると、前日の鷲ヶ巣山での足の疲労も大きく、行動時間の短い山が良いということで、竜ヶ岳が思い浮かんだ。岩山だけに紅葉も期待できる。
 一昨日に続き、再び西会津を訪れることになった。福島県との県境近くなると、霧が深くなった。パーキングやコンビニに寄り道をしながら車を走らせた。これなら、一般道を走って、時間調整をするべきであった。
 西会津の国道から安座に向かうと、高速道の下を通過した。いつも、龍ヶ嶽トンネルに飛び込む際に、山を見上げては、登っていないことが気になっていたが、今日はその宿題を果たすことになる。
 安座の集落に到着して、最初の目印の安座川にかかる橋を探すと、それらしき橋のたもとに竜ヶ岳の案内標識が立てられていた。大下橋を渡った先で、川の下流に向かう細い道があり、標識はその方向を示していた。橋の脇に、駐車スペースがあったので、車を停めた。後で判ったことだが、この細い道を進むと、民家の中庭で終わってしまうので、たいした距離ではないので、ここに車を停めるのが正解である。
 霧が晴れず、周囲の山肌は隠されていた。しかたなく、車の中で居眠りをしながら待つことになった。1時間ほどの待機で、ようやく太陽が霧の中から透けてみえるようになったので、出発することにした。
 登山のために何を履くのか迷った。スラブ登りがあるというので、スパイク長靴を履いた。実際にはロープ頼りの岩場登りだったので、登山靴の方が良かったのかなと、現場で心が揺れることになった。
 畑の中を歩いていくと、じきに民家の前に出て車道は終わりになる。竜ヶ岳の標識があり、私有地につき、駐車の際には許可を得るようにという注意が書かれていた。
 そのまま直進して、僅かに下ると、穴沢川沿いの谷間にでる。桐の木が名残としてあり、以前は畑地であったようだが、ススキの原と杉の植林地になっている。霧のために、竜ヶ岳の山頂はうかがえない。谷奥に向かう道は、草が刈り払われており、良く手入れされている。凝灰岩らしき緑の石が転がる細い流れの沢を飛び越えながら谷奥に向かうと、600mほどで、尾根の取り付きに到着した。登山道は、山頂から南西に落ちる尾根に付けられている。ここには、最後になる登山標識が置かれていた。
 尾根に取り付くと、いきなり岩場が現れた。岩は凹凸があり、足場は豊富であるが、かなりの傾斜である。スラブ登りというので、フリクションを効かせながらの登りかと思っていたのだが、岩場の登りであった。これなら、細かいステップを足がかりにできる登山靴の方が良かったかもしれない。幸い、クライミングロープが固定されており、それの助けをかりて登ることができた。ロープ一本を通過すると、また岩場が現れた。今回は、二段に分かれていたが、長いロープが上から下げられていた。岩の上には、松の葉が積もっているため、足場にも注意が必要であった。大勢が通過する岩場なら、しっかりた鎖がかかっており、鎖に体重を掛けて足を踏ん張りながら登れるのだろうが、そうはいかない。ロープに体重をあまりかけるのも怖く、支点を求めながら慎重に登った。
 二本目のロープの終点は、岩場上端の少し下であった。上からは、紐が下がっていたが、だれかが残した梱包用ロープで、とても体重を掛けられるものではなかった。登りはともかくも、下りは、ロープに手が届くまでの2m程が怖い。幸い、今回は、補助ロープも持ってきていたので、下りはそれを使うことにした。
 始めの岩場を通過すると、急ではあるが、はっきりした道が付けられた尾根の登りが続いた。頂上も近くなると、岩混じりの尾根になり、木の枝を掴みながらの登りになった。スラブ登りとまではいかないまでも、滑落に気を使う必要があった。
 傾斜が緩むと、山頂脇に出た。右に曲がった先が小広場になった山頂であった。木立に囲まれて、東の西会津町方面が見えるだけであった。急登の連続で大汗をかいていたが、岩場の通過の緊張のせいもある。
 ひと休みの後、展望の開けたところはないかと思い、西の稜線に進んだ。はっきりした刈り払い道が続いていた。丁度霧も晴れて青空が広がった。潅木の間から、展望が広がった。竜ヶ岳の周囲の山の斜面は、白いスラブをまとい、美しい紅葉が広がっていた。穴沢川の源頭部には、スラブ状態の細尾根が続いていた。気温が高くなって、遠くの山は霞んでいたが、間近に広がるスラブの眺めだけで楽しむことができた。
 この刈り払い道はどこまで続くのだろうかと思いながら進んだが、小ピークを越していくと、大岩が現れた。その基部をトラバースする必要があったが、落ち葉が積もって足元が不安定なため、引き返すことにした。地図では、449点の東の尾根が西と北に分かれる手前であった。刈り払い道には、所々地境のためのものか金属標が埋め込まれていた。どこに続く道かは、確かめることはできなかった。
 写真を撮りながら、竜ヶ岳に引き返した。竜ヶ岳に登った際には、山頂からは、展望はほとんどないため、この西の稜線に少し進んでみることを勧める。
 下りは、登り以上に足元に注意しながら下る必要があった。岩場の最上部に到着したところで、補助ロープを出した。登ったお礼にロープを固定していこうかとも思ったが、古い紐のかかっている支点の木が細いため、体重をかけて折れでもすると責任問題になるなと思い、ロープは回収していくことにした。木に回したロープを支えに2m程下ると、固定ロープに手が届いた。後は、固定ロープを頼りに岩場を下ることになった。手がかりや足場は豊富で、下り始めてしまえば、そう難しくはない。ただ、長いロープが固定してあるため、一人しかとりつけないため、グループで来ていると、通過には時間がかかりそうである。私自身、岩場は苦手ということもあるが、この山に登るには、補助ロープは必携だと思う。
 谷間に下って戻る途中、竜ヶ岳の展望が広がった。スラブと紅葉の入り混じった姿は美しかった。写真を撮りながらの歩きになった。
 竜ヶ岳は、500mを僅かに越える標高しか持たない会津百名山の中でも低山に属するが、厳しい山であった。下山の時間は昼で早かったが、これで充分という気になって、家に帰ることにした。

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