百戸沼、木地夜鷹山

百戸沼、木地夜鷹山


【日時】 2006年11月3日(金) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 晴

【山域】 会越国境
【山名・よみ・標高・三角点・県名】 木地夜鷹山・きじよたかやま・859m・なし・福島県、新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/野沢/柳津、安座
【コース】 大滝林道より
【ガイド】 会津百名山ガイダンス(歴史春秋社)

【時間記録】 6:50 新潟=(磐越自動車道、西会津IC、R.49、R.400、落合、大滝 経由)=8:10 林道分岐〜8:30 発―8:43 林道終点―9:00 山道取り付き―9:21 百戸沢徒渉点―9:44
木地夜鷹山取り付き―9:49 百戸沼〜9:54 発―9:57 木地夜鷹山取り付き―10:40 木地夜鷹山〜11:10 発―11:43 木地夜鷹山取り付き―12:02 百戸沢徒渉点―12:17 山道取り付き―12:37 林道終点―12:48 林道分岐=(大滝、落合、R.400、R.49 経由)=15:40 新潟

木地夜鷹山は、西会津の会越国境線上にあるスラブを抱いた山である。東の麓には、かつては鉱山の社宅として百戸の家が並んだことに由来する百戸沼がある。

木地夜鷹山に刈り払い道があることを、インターネットの情報より知った。市販のガイドブックには、まだ載っていないので、このような藪山の情報源としてのインターネットの価値は高い。
 11月に入って秋も深まり、紅葉も山の麓に下がってきて楽しめる時期になっている。藪山も登り易くなっており、文化の日の三連休の初日は、気になっていた木地夜鷹山に出かけることにした。
 磐越道の西会津ICで高速を下り、少し国道49号線を走った後に、国道400号線に進む。この道は、只見川沿いの山に登ってから西会津へ近道をするために何度か通ったことがある。落合の集落をほぼ通り過ぎた所で長谷川にかかる橋を渡ると、右に大滝への車道が分かれる。この道は、谷沿いに続き、細く、ガードレールが無いため、運転に神経を使う。大滝の集落を過ぎると、未舗装の道に変わった。
 車の運転に神経を使うなら歩いた方がましと考えながら先に進むと、突然、左手に舗装道路が分かれた。下山後にこの道を確かめると、工事中で標高500m付近までのようであった。林道の名前からすると三坂高原に抜けるようである。
 この林道分岐の先で車を停め、歩き出すことにした。歩き出してみると、林道は水溜りができているものの、車の走行はできるようであった。朝霧がまだ晴れてはおらず、林道の周りの紅葉に染まった木立はしっとりした色を見せていた。途中で、一台の車が停められていた。車を先に進めるのを諦めて歩き出したようである。結局、最後は少し荒れてはきたものの、林道終点広場まで、車は入れる状態であった。この林道終点広場は、黒沢越分岐の手前300mの地点であった。先の林道分岐からは、10数分の歩きであったので、分岐から歩き出しても準備運動に良いくらいである。
 広場の先からは、急に草が深くなった。朝露に濡れており、草を掻き分けるのは、いやな状態であった。長谷川の徒渉が、5回にわたって現れた。水面下の石を踏み石に使う必要があり、スパイク長靴を履いてきていたので、水は気にならなかったが、登山靴だと、渡るためのルートを探す必要がある。黒沢越への道は判らないままに谷の奥に進んだ。
 百戸沢の合流点も近づいたところで、道は、右に曲がって尾根に取り付いた。この取り付き部は、葦の原になっており、刈り払いが行われており自然に導かれたが、そうでないと通過は難しいであろう。
 百戸沢の左岸尾根に上がると、しっかりした山道が続いていた。少し進むと枝沢の横断になったが、足場の悪い下りがあったので、少し手前で木の枝を掴みながら沢に下った。対岸に渡ってへつり道をいくと、百戸沢の左岸に出て、やがて沢が近づいてきて、徒渉点に出た。しばらく、沢沿いの歩きが続いた。苔むしていたが、護岸のコンクリート敷きも足元に現れた。
 数回の徒渉の後に右岸で沢から離れ始めると、「百戸沼 百戸の会」の標識が現れた。見落としたのかもしれないが、この標識は、ここでしか見なかった。沢が右手に遠ざかっていくと、ブナ林が広がるようになった。
 枝尾根を乗り越すところで、左手に「福島県自然環境保全区域」の金属プレートがあり、ここが木地夜鷹山の取り付きになる。テープも付けられている。まずは百戸沼を訪れていくことにして先に進んだ。
 ゆるやかに下っていくと、紅葉に彩られたスラブの眺めが飛び込んできた。木地夜鷹山から夜鷹山へ続く痩せ尾根のようであった。その右手に、周囲の紅葉を映しこんだ百戸沼がひっそりとたたずんでいた。かつてここに百戸は無いまでも、何軒もの家が立ち並んでいたとは思えない静まり返った風景であった。
 先ほどの分岐に戻り、今度は木地夜鷹山を目指した。下生えの少ないブナ林で、どこでも歩けるだけに、踏み跡を辿るのは難しかった。一旦左手の尾根の下がってきている方へ向かっての登りになった。尾根上に出る前に、今度は右手に方向を変えて高みに向かうようになった。この屈曲点は、GPSにマークを打ち込んでおいたのが、後で役に立った。テープと踏み跡をできるだけ辿ったが、ともすれば見失いがちであった。斜面をトラバースするようなはっきりした道もあり、かつての道の跡かと思われるようなところもあった。
 美しいブナ林を楽しみながら登っていくと、踏み跡を完全に見失った。右手にはっきりした尾根が現れたので、そちらにコースが付けられているかと思ったが、見つからなかった。そのまま高みをめざして登り続けた。うるさい藪が現れたが、これを突破すると、左手からはっきりした踏み跡が登ってきていた。この先は、尾根も細くなって、この踏み跡ははっきりしたまま続いた。
 山頂近くで、単独行が下りてくるのに出合った。この日の登山者は、二人だけで、それでもこの山としては多いのかもしれない。山頂手前で、ざれた斜面が現れたが、特に難しいこともなく、そのまま山頂に到着した。
 木地夜鷹山の山頂は、木立に囲まれた中の小さな切り開きであった。展望を楽しむためには、少し移動する必要があった。台倉山や大倉山が目にとまったが、特に夜鷹山の西に連なるキツネ戻しのスラブが印象的であった。
 下りは、踏み跡を辿ったが、平らな幅広尾根に戻ったところで、また見失った。尾根をそのまま東に向かって直進しそうになっており、方向を変える必要があった。GPSを使わない場合には、百戸沼への下降点付近には、特に注意する必要がある。
 帰りは、太陽が昇って、鮮やかさを増した紅葉を眺めながらの歩きになった。
 木地夜鷹山は、登山道のある山として会越国境沿いでは貴重であり、百戸沼やブナ林など見所も多いことから、もっと登られても良い山である。

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