白根山

白根山


【日時】 2006年10月20日(土) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 川内山塊
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
白根山・しろねやま・918.1m・三等三角点・新潟県
【コース】 林道親沢線沿い登山口より往復
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/加茂/粟ヶ岳
【ガイド】 なし

【時間記録】 5:30 新潟=(R.49、亀田、R.403、加茂、粟ヶ岳第一貯水池、R.290、荒沢、R.289 経由)=9:20 林道親沢線途中〜9:30 発―9:34 登山口―9:43 山の神―10:22 稜線上―10:30 熊狩の眺め場―11:15 前白根―11:30 白根山〜11:52 発―12:06 前白根―12:40 熊狩の眺め場〜12:51 発―12:57 稜線上―13:15 山の神―13:22 登山口―13:27 林道親沢線途中=(往路を戻る)=15:30 新潟

 白根山は、粟ヶ岳の南、笠堀ダムとの間に位置する川内山塊の山である。北の駒出川と南の親沢、さらに東の笠堀川に囲まれて、粟ヶ岳と烏帽子岳に稜線が続いて、西面のみが開けた山になっている。川内山塊入口にあり、山頂付近からは、粟ヶ岳や矢筈岳、青里岳、駒形山、光明山、烏帽子岳といった山々を眺めることができる。この山は、これまでは積雪期の登山を行うか、地形図にも記載されている親沢沿いの破線をたどって最後はヤブコギで山頂に達していたが、最近登山道が開かれて一般登山の山になっている。

 登ったのは白根山であるが、当初の予定は粟ヶ岳であった。第一貯水池から橋立、権ノ神岳経由で登り、中央コースを下るつもりであった。貯水池の大駐車場の先から登山道は始まる。沢沿いの道から一旦林道に出るが、その先のカーブ地点を直進すると、再び山道になる。杉の植林地に入ると、踏み跡も辿れなくなり、左から回り込んできた林道に上がった。その先は、林道歩きで終点まで進んだが、以前よりも林道上の草も多くなっていた。
 林道終点からは、丸太の段々で整備された登山道が始まっているのだが、草が被っていた。ひと登りすると、左手に新ヶ沢石切の神様の祠が現れる。ここからはへつり道が続くのだが、完全に草に覆われていた。踏み跡をようやく見分けられるものの、とげのある草が茂っており、藪漕ぎも大変であった。尾根通しならともかく、この先、かなり長い区間へつり道が続くので、これでは辿れそうもない。諦めて引き返すことにした。帰りは、林道歩きで戻った。
 この周回コースを歩いたのは、2003年5月17日だったので、それほど時間が経ったわけではない。現在の状態は、草が伸び放題で廃道といっても良いが、まだ刈り払いもなんとかなるはずなので、整備を行って欲しいものである。

 このまま登山を諦める訳にはいかない。粟ヶ岳を中央登山道から登るのも、出遅れた感じで、あまり気が進まなかった。付近の山を考えると、白根山が頭に浮かんだ。白根山に前回登ったのは、2004年12月18日で、それほど時間は経っていないが、紅葉の山を楽しめるはずであった。
 下田に向かって車を走らせた。日帰り温泉「いい湯らてい」を過ぎて笠堀に向かうと、白根山登山口への入口になる。左手に舗装道路が分かれ、分岐には、石塚と並んで白根山登山道と書かれた標柱が置かれている。以前は未舗装の道であったが、この舗装を進むと、会越産業駐車場の敷地内の広場に出る。
 この広場の奥から、登山口に至る林道親沢線が始まっている。先回は、林道は通行不能な状態で、入口に鎖も掛けられており、この広場から歩き出した。林道の先をうかがうと、林道は開放されていた。登山口までは20分程の歩きであったが、楽ができるならばということで車を先に進めた。林道は補修されて砂利も敷かれていた。それでも、林道の中央部に生えた草が車の腹をするようになり、車を先に進めるのに不安を覚えるようになった。車の回転が可能な路肩が広くなったところに出たので、ここから歩くことにした。
 歩き出してみると、5分もかからずに、以前ゲートのあった広場に到着した。草が被り気味のところを我慢すれば、ここまで車で入れる路面の状態であった。林道入口の広場にも、ここにも他の車は無く、登山者はいないようであった。曇り空ではあったが、天気予報は晴と出ていたので、紅葉も始まっている山で、このように静かとは意外であった。
 白根山への登山道が整備されたのは、2003年頃であっただろうか。少なくとも先回は、登山道開設直後の人気が高まっていた頃だったと思う。登山道が開かれた直後は登山者で賑わう山も、市販のガイドブックにでも取り上げられていない限り、じきに忘れられてしまうのか、静かな山に戻ってしまう。そう意味では、山の本来の姿を知るためにも、数年してブームがひと段落したところで再度出かける必要がある。
 広場の先にも林道は続いているが、急に草が深くなってくる。沢が左から入る手前に、白根山の登山口がある。この沢は、515mピークから南に延びる枝尾根の東の沢である。登山道の入口付近は杉の植林地で、少し進むと、沢沿いの道になる。夏草が茂って歩きにくい。水量はそれほど多くない沢を越して、沢の東の尾根に取り付く。尾根沿いになると、幅広の良い道が続くようになる。ひと登りすると、右手の杉の木の下に、山の神が現れる。大中小の三基の石の祠が置かれており、その前には木でできた男根が置かれている。この山の神からして、この登山道は、以前からある道を利用したものだろうと思われる。
 この上で杉の植林地に出ると、コースは右にトラバースし、東の尾根に取り付く。この先は、標高差200m程の一気の登りが続く。足が止まらないだけの体力が必要な登りである。稜線に出るのもあとひと息というとこで、木立が切り開かれており、南の烏帽子岳の眺めが広がっていた。
 稜線の上に出て、やれやれひと休みと思ったところ、左手後ろの藪から熊が現れた。方向からいって、登山道の先に走って逃げるしかない。幸い、熊も藪の下の方に逃げていった。姿を見たのは一瞬であったが、そう大きくはない熊であった。その場では休む気にはなれず、そのまま先に進んだ。鈴は腰に付けていたが、鳴りはあまり良くない。ストックの手元のベルトの先に付けて、鳴らしながら歩くことにした。
 緩やかな稜線上の道を進むと、熊狩の眺め場という標識が現れた。先回は無かった標識である。谷向こうに粟ヶ岳の山頂が大きく広がっていた。山頂部だけに雲がかかっているのが残念であった。しばらく緩やかに続いた後に、一気に山頂へと上がっていく稜線の眺めが素晴らしかった。稜線上の紅葉も始まっていた。
 稜線の途中では、痩せたところもあるが、危険なほどではなく、良い展望地になっている。638点を過ぎると、標高差200m程の一気の登りが始まる。なんとかこの急登を乗りきると、前白根山の標識が現れてがっかりする。前方には、まだ登りが残されている。このピークを登っても、まだ山頂は先であるが、最後は緩やかに登って山頂に到着する。最後まで、気を持たせる山である。
 一人占めの山頂で、展望を楽しみながらの大休止になった。現在は、刈り払われて展望も良いが、初めて登った1999年11月14日の時には、鉈で枝を切って、ようやく粟ヶ岳の山頂の写真を撮ることができた。天気は登り初めよりも悪くなっており、雲が厚くなっていた。粟ヶ岳や、矢筈岳、青里岳の山頂部が雲に覆われているのは残念であった。粟ヶ岳に続く稜線が、紅葉に彩られているのを見て楽しんだ。
 下りは、来た道を引き返すことにした。稜線を先に進んで、地図にも破線で記載されている山道に出ることもできるが、枝沢沿いの下降が判りづらく、また親沢沿いの道も崩壊が進んでいる。
 紅葉の眺めを楽しみながら歩いたが、季節外れのイワウチワやイワカガミの花が咲いているのには驚かされた。
 白根山は、急登が続いて体力も必要だが、歩行時間は長くはないので、手ごろな山である。展望を楽しみに、また登ることになるであろう。

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