越後駒ヶ岳、大源太山

越後駒ヶ岳
七ツ小屋山、大源太山


【日時】 9月2日(土)〜3日(日) 各日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 9月2日:晴 3日:曇り

【山域】 越後三山
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
小倉山・おぐらやま・1378.0m・三等三角点・新潟県
越後駒ヶ岳・えちごこまがたけ・2002.7m・一等三角点補点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 日光/八海山/八海山
【コース】 駒の湯より
【ガイド】 アルペンガイド「谷川岳と越後の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「越後三山・卷機山・守門岳」(昭文社)
【温泉】 ゆーパーク薬師 湯之谷薬師温泉センター 600円

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
シシゴヤノ頭・ししごやのかしら・1472.6m・三等三角点・新潟県
七ツ小屋山・ななつごややま・1674.7m・三等三角点・新潟県、群馬県
大源太山・だいげんたやま・1598m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/越後湯沢/茂倉岳
【コース】 シシゴヤノ頭経由周回
【ガイド】アルペンガイド「谷川岳と越後の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「谷川岳・苗場山・武尊山」(昭文社)
【温泉】 越後湯沢温泉・岩の湯 400円

【時間記録】
9月1日(金) 21:00 新潟=(関越自動車道、小出IC、R.352  経由)=23:00 大湯温泉  (車中泊)
9月2日(土) 5:52 駒ノ湯登山口―7:00 栗の木の頭―8:20 小倉山下分岐―9:04 百草の池―10:02 駒の小屋―10:28 越後駒ヶ岳〜11:15 発―11:35 駒の小屋〜11:42 発―12:29 百草の池―13:00 小倉山下分岐〜13:07 発―14:08 栗の木の頭〜14:15 発―15:02 駒ノ湯登山口=(R.352、小出、R.17、湯沢)=19:15 湯沢  (車中泊)
9月3日(日) 6:45 大源太山登山口―6:57 謙信道入口―7:23 水場―8:39 シシゴヤノ頭―9:32 縦走路分岐―10:13 七ツ小屋山〜10:33 発―10:38 大源太山分岐―11:35 大源太山〜11:55 発―13:14 北沢徒渉点―13:32 謙信道入口―13:42 大源太山登山口=(湯沢、R.17、小出IC、関越自動車道 経由)=17:15 新潟

 越後三山は、八海山、中ノ岳、越後駒ヶ岳の三つの山をまとめての総称である。これらの三山は馬蹄型に山稜を連ね、中央の水無渓谷に一気に落ち込んでいる。三山の内では、中ノ岳が最高峰であるが、二番目の標高を持つ越後駒ヶ岳が、日本百名山にも取り上げられて知名度も高い。枝折峠からの明神尾根がもっとも利用されているが、駒ノ湯からの小倉尾根コース、水無渓谷からのグシガハナコースといった登山道も開かれている。

 谷川連峰に太源太山という名の山は、二つあり、ひとつは三国山と平標山との間にある河内沢の頭とも呼ばれるピーク、もうひとつは蓬峠と清水峠のに位置する七ツ小屋山から北に延びる尾根上にあるピークで、丸ノ大源太という名前を持っているが、天を突く鋭い山頂をもつことから、上越のマッターホルンの名前の方が知られている。このマッターホルンこと太源太山へは、旭原から登山道が開かれ、一般にはこの登山口からの往復登山が行われていたが、シシゴヤノ頭への「謙信ゆかりの道」と呼ばれる登山道が開かれて、周回コースとして歩くことができるようになった。

 秋というには早いが、とにかく夏は終わった。夏の間猛威を振るったアブなどの虫もようやく少なくなって、越後の山に戻る季節になった。といっても、低山はまだ暑さが厳しいので、少しでも高い山が良い。ということで越後駒ヶ岳に出かけることにした。今年の5月27日に登ったばかりであるが、雪の斜面に苦労したところが、どのようなところであるか確かめたかった。
 先回と同様に、前夜に大湯温泉の公園の駐車場に車を停めて寝た。朝になって、車を駒の湯の登山口に移動させた。二台の車が停められていたが、登山者のものではなかたようである。2000年8月26日に、この登山口から登ったことがあるが、駐車場付近でアブに取り巻かれたおぼえがある。今回は、アブは姿を消していた。
 吊橋を渡り、尾根の登りを開始した。5月の山行と比べれば、アイゼン・ピッケルなどの荷物がなくて軽いだけ、快調に登ることができた。朝の涼しさにも助けられ、栗の木の頭まで一気に登った。この付近には美しいブナ林が現れる。
 木立の間から望むと、前方には、小倉山の山頂がまだ高い。急登が始まり、露岩の上に立つと、毛猛山塊の眺めが広がっていた。鎖場が現れたが、ここは先回も雪が消えていた。この先は、藪の中に切り開かれた藪っぽい登山道が続いた。2000年の時には、全部で三ヶ所の鎖場が現れたのだが、現在は迂回路が整備されて、1ヶ所だけになっている。5月の時は、ここの雪の斜面が急で、しばらく藪漕ぎを行って通過した。尾根にのった雪のために地形が変わってしまったようである。
 小倉山の山頂から少し下ったところで、枝折峠からの道が合わさる。日本百名山のメインルートだけあって、幅広の道が続くようになる。青空を背景に、越後駒ヶ岳の山頂が聳えていた。といっても、木立の間から見るため、積雪期に比べると、全景が現れずにもどかしい感じもする。
 緩やかな登りを続けると、百草の池に到着する。以前は、植生回復のために立ち入り禁止になっていたが、道が付けられて、池の近くまで入れるようになっていた。小さな池であるが、背後の荒沢岳と組み合わさって、絵になる眺めであった。何度も登っているが、百草の池を近くで眺めたのは、これが始めてである。
 この先は、潅木に囲まれて見晴らしのない中の登りになった。かなり長く感じる登りを終えると、岩尾根に出る。越後駒ヶ岳の山頂が、目の前に迫る。先回は、雪の斜面を見て、山頂へは急斜面が待ち構えているなと、不安が高まったところである。
 急斜面の下に着いて、5月を思い出しながら、斜面を見上げた。夏道は、鎖も下がる急斜面の直登になっていた。その上は、岩場をジグザグに登るようにコースがとられていた。夏でも足場には注意が必要な岩斜面であった。
 岩場のコース上を水が流れていた。小屋についてから知ったのだが、水場から流れ出た水が、岩場に落とされていた。以前は、このようなことは無かったと思うのだが、岩に泥が付かないようにという、滑り止めの配慮なのだろうか。
 駒の小屋について、まずは水を飲んで元気を取り戻した。山頂まではあとひと息である。山頂下の雪渓も小さくなったとはいえ、秋までは残っていそうである。登山道脇には、お花畑が広がっているが、花は少なくなっていた。
 越後駒ヶ岳の山頂は、それほど広くはなく、登山者が座っており、満員状態であった。中ノ岳がドーム型の山頂を見せていたが、目の前の八海山には雲がかかていた。この人混みでは落ち着かないので、縦走路を進んで、展望が広がったところで腰を下ろした。燧ケ岳や平ヶ岳、白根山、会津駒ヶ岳なども遠くに望むことができた。ここまでは誰も来ずに、静かに眺めを楽しむことができた。
 下りは、特に問題もなかったが、最後には、やはり疲れも出てきた。
 下山後に温泉に入り、元気を取り戻した。翌日の山を考えたが、2000年の時と同じになるが、大源太山を目指すことにした。先回は、登山道の開設直後とあって、歩く者も多かったのだが、しばらく時間がたって、登山道がどうなっているか興味があった。登山道が開かれながら、歩く者が少ないため、草ぼうぼうといった登山道もある。
 湯沢で夜を過ごし、朝になってから大源太山の登山口に移動した。以前よりも林道は延びており、カーブを越してからの直線部が長くなっていた。登山口に到着すると、路肩駐車の車が現れた。駐車場は、沢登りのグループに占拠されていた。少し戻って路肩駐車した。このような大勢で沢登りをするとは知らなかった。
 晴の天気予報であったのだが、小雨がぱたつき、車の中で少し様子見をしてから出発した。
 杉林を抜けると、北沢の徒渉になるが、ここにはしっかりした橋がかかっていた。この先で、シシゴヤノ頭へ続く「謙信ゆかりの道」の分岐になる。
 この道に進むと、トラバースして、ヒロクボ沢の谷間に入る。へつり道からカーブ。そして、またへつり道ということを繰り返して、谷奥へ進み、なかなか尾根沿いの登りは始まらなかった。この登山道の正確な走り具合というものは、GPSを使わないかぎり、判らないであろう。昭文社の登山地図も、縮尺が違っていて、細かい所は表すことはことはできないところを差し引いても、実際とは違っているという感じである。
 登山道に夏草が倒れこんでいるところもあり、崩壊によって足場に注意が必要なところも現れた。先回よりも、登山道は荒れた感じである。道型はしっかりしているので、今後は、人があまり通らないため、少し藪っぽい登山道という状態が続くのであろう。
 ようやく尾根沿いの登りになって、ひと息つくことができた。最後に、笹薮の中の刈り払い道を抜けると、シシゴヤノ頭に到着した。眺めの良い山頂なのだが、谷川連峰の主稜線にはガスがかかっていた。しかし、ガスは流れて薄いところもあり、晴れそうな気配もあった。シシゴヤノ頭からは、緩やかに起伏する尾根の歩きになる。周囲には、笹原が広がっており、気分も良い道である。
 主稜線手前の登りでは、笹が濃く、足元が隠された。ただ、登りでは、道を外れようとも、縦走路に飛び出すのは確かなため、気は楽であった。縦走路は、刈り払いが行われており、広々としていた。振り返ると、道は完全に隠されていた。この分岐から下降を始めようとすると、躊躇してしまうかもしれない。
 谷川連峰は、岩壁と笹原の稜線二つの顔を持っている。蓬峠から七ツ小屋山への稜線は、笹原の稜線の代表といってよいかもしれない。青空も広がるようになって、朝日岳や武能岳といった群馬県側の眺めも広がった。木道の敷かれた草原に出ると、その向こうに七ツ小屋山の山頂が姿を現した。
 ひと登りすると七ツ小屋山の山頂に到着した。再びガスに覆われてしまった。大源太山の鋭い山頂を見たく、しばらく待ったが、ガスが晴れる様子はなかった。諦めて歩き出した。
 縦走路を清水峠方面に進むと、大源太山への道が左に分かれる。小ピークを越すと、急な下りが始まる。登山道は、刈り払いも最近行われたようで、良く整備されている。
 ガスが切れることを期待して、ゆっくりと歩いた。鞍部手前で、ガスが切れるような気がして、少し待ったが、山頂は隠されたままであった。鞍部からは痩せ尾根の登りになる。山頂手前で、このコースの難所の鎖場が現れる。三段に分かれているので、その間で息を整えることができる。足場はしっかりしているが、三点支持を守りながら登る必要がある。山頂も近く、登山者の話し声も聞こえてくる。最後に、潅木帯を抜けると、大源太山の山頂に到着である。展望もなく、混みあっていたので、少し下ってから腰を下ろした。
 登ってくる登山者も多かった。谷からは、沢登りのグループが山頂に迫っていた。再び青空が広がり、シシゴヤノ頭から七ツ小屋山を経て大源太山に至る稜線を眺めることができた。
 大源太山からの下りは、暑さも加わって、なかなかハードなものになった。沢に下りたって、枝沢の水を飲んで、元気を取り戻した。
 登山道は、北沢を横断するが、ここに橋はなく、飛び石伝いに渡る必要がある。緩やかな下りを続けていくと、「謙信ゆかりの道」の分岐に戻る。この後、車まではそう遠くはない。
 シシゴヤノ頭から大源太山へ周回するものは、往復するものに比べて遥かに少ない。歩いて充実感を味わえるコースなので、是非歩いてもらいたい。「謙信ゆかりの道」が維持されるためにも。

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