双六岳

双六岳


【日時】 2006年8月26日(土)〜27日(日) 前夜発1泊2日
【メンバー】 単独行
【天候】26日:曇り 27日:曇り

【山域】 北アルプス
【山名・よみ・標高三角点・県名】
 双六岳・すごろくけ・2850.3m・二等三角点・長野県、岐阜県
【コース】 柏原新道より
【地形図 20万/5万/2.5万】 高山/上高地、槍ヶ岳/笠ヶ岳、三俣蓮華岳
【ガイド】 アルペンガイド「上高地・槍・穂高」(山と渓谷社)、山と高原地図「上高地・槍・穂高」(昭文社)
【温泉】 ひがくの湯 700円
【時間記録】
8月25日 17:00 長岡=(長岡IC、北陸自動車道、富山IC、R.41、神岡、R.471 経由)=22:00 新穂高温泉無料駐車場  (車中泊)
8月26日 4:45 新穂高温泉無料駐車場―4:55 新穂高温泉バス停〜5:05 発―6:04 笠新道口―6:18 わさび平小屋―6:41 小池新道入口―7:30 秩父沢〜7:35 発―8:29 ししうど平―9:07 くまの踊り場―9:20 鏡池〜9:41 発―10:08 弓折中段―10:32 弓折乗越〜10:47 発―12:00 双六小屋〜12:30 12:51 中道分岐―13:29 双六岳〜13:45 発―14:01 丸山分岐―14:43 中道分岐―15:00 双六小屋  (テント泊)
8月27日 6:20 双六小屋―7:30 弓折乗越―7:47 弓折中段―8:05 鏡池〜8:10 発―8:21 くまの踊り場―8:44 ししうど平―9:23 秩父沢〜9:28 発―10:01 小池新道入口―10:20 わさび平小屋―10:32 笠新道口―11:17 新穂高温泉バス停―11:26 新穂高温泉無料駐車場=(往路を戻る)=17:20 新潟

 双六岳は、槍ヶ岳、笠ヶ岳、三俣蓮華岳の中間に位置し、北アルプス中央部の要にあたる山である。なだらかな山頂を持ち、槍ヶ岳や笠ヶ岳、鷲羽岳などの展望、豊富な高山植物がこの山の魅力になっている。
 双六岳は、1994年8月17日に、鷲羽岳、水晶岳、黒部五郎岳、笠ヶ岳といった日本百名山巡りの途中に登った。この時、双六小屋のキャンプ場に広がるテント群を見て、いつか自分もテント泊をしたいと思った。今回の双六岳は、夏の初めの黒部源流周回山行の捕逸と同時に、テント泊を行うこと自体が目的である。
 金曜日に長岡で仕事があり、早めに開放されるというのも、今回の山行のためには都合が良かった。というのも、最近は、新穂高温泉の無料駐車場が非常に混み合うようになって、夜半過ぎには満杯になるという。早めに到着する必要があった。
 富山で高速を下りて、神岡から新穂高温泉に向かう。無料駐車場は、深山荘の案内を目印にスノーシェードの入口から左に入ったところにあるが、路肩に停められた車の列で、それと判る。150台収容で、かなり広いのだが、10時の到着にもかかわらず、すでに九割ほどが埋まっていた。奥から二番目のブロックに空きを見つけて車を停めた。
 朝は出発していく登山者のざわめきで目を覚ました。夜明けの薄明かりの中で出発の準備をし、ヘッドランプで歩き出した。
 沢に沿って歩行者用の道が付けられている。バス停前のトイレで用を済ませると、ヘッドランプもいらない明るさになっていた。橋を渡り、ロープウェイ利用者用の有料駐車場の脇を抜けて、林道に進む。
 つづら折りを終えると、谷奥へと続く林道の歩きが長く続いた。1時間の歩きで、笠新道の入口に到着した。テント泊の装備ではまずまずのペースといってよいか。入口に水飲み場が設けられているのを、下山時の歩きのために覚えておいた。
 ほどなく、わさび平小屋に到着した。先行の登山者が一人休んでいるだけで、静かな雰囲気であった。その先は、登山道周辺に美しいブナ林が広がっていた。
 もうじき小池新道の入口に到着と思ったところ、林道を残雪とデブリが覆っており、右手の河原に迂回路が付けられていた。1447点を過ぎた先の、下抜戸沢の手前の沢であった。河原への上り下りで、余計な体力を使った。
 左俣谷にかかる橋のたもとから小池新道が始まる。河原を向けていくと、尾根の登りが始まる。右手の谷奥には、槍ヶ岳がシルエットになって空に浮かんでいるが、逆光で写真にはならない。
 しばらくは、潅木に覆われて、見通しの利かない忍耐の登りが続く。ようやく見晴らしが開けると、秩父沢に到着する。雪渓からの雪解け水が勢い良く流れていた。水を飲んで、元気を取り戻した。
 この先は、右手の谷間へ向かっての登りになった。次の目的地はししうど平である。ししうどが群落となって広がり、中にトリカブトとミソガワソウが紫の花を広げていた。ここには、直登と迂回路の二通りの道が設けられていたが、すぐ先で合わさるので、そのまま直進すれば良い。下山時に迂回路を歩いてみたが、それほど楽にはならないし、花は、直登コースの方がお花畑をつっきるので楽しめる。
 ししうど平の先からは、トラバース気味の登りになり、再び谷奥に向かうようになると、鏡平のある稜線も近い。木道の敷かれた熊の踊り場を過ぎると、ほどなく鏡池に到着する。池の畔の板敷きのベランダに腰を下ろして、ひと休みした。ここからの槍穂高連峰の眺めは有名である。天気が良ければ、三脚が立ち並ぶのであろうが、ガスがかかって、他に人はいなかった。休んでいる間に、山頂が姿を現さないかと期待したが、かなえられなかった。
 木道を進むと鏡平山頂に到着した。どこから現れたのかと思う程の、団体も含めた登山者が休んでいた。双六山荘からでは時間がかかり過ぎているので、三俣蓮華山荘からであろうか。鏡池の畔で充分休んでいたこともあり、そのまま通過した。
 この先は、弓折乗越を目指しての登りが始まる。弓折中段からは、トラバース気味の登りになる。疲れも出てきて、辛い登りになった。
 弓折乗越は、お花畑の中の小広場で、ひと息いれるには良い所である。登りもほぼ終わったということで、気も楽になった。花も多いことから、カメラを首から下げての歩きになった。
 この先は、主稜線上ということで、楽な歩きかと油断したが、以外にアップダウンがあった。途中で雷鳥の親子にも出会うことができた。人間は警戒していないようで、カメラを構えて近寄っていっても、煩そうに少し離れるだけであった。ところが、上空をカラスかなにかの鳥が通過すると、警戒の声を上げて、潅木の下で動かなくなった。親鳥は、確かに注意しないと見つからないようにうまく隠れていたが、子供の方は、尻が丸見えであった。
 2622mピークから下っていくと、双六岳との谷間の奥に双六小屋が見えてきた。木道に下り立ち、草原の中を抜けていくと、双六岳のキャンプ場に到着した。広大なキャンプ場には、テントが数張り残されているだけであった。場所は自由に選べるため、場所を決めるために、あちこちとうろつきまわることにんなった。
 テントを張ってから、テントの受付も済ませた。このまま、おでんに生ビールに移ろうかとおもったが、昼の弁当がそのままになっていた。小屋の前からは、鷲羽岳の展望が広がっていたが、双六岳の山頂はガスに覆われていた。午後になって天気が回復する可能性もあるかなと思って、カメラと弁当、ビールを持って、双六岳の山頂へ向かった。小屋の脇からひと登りすると、三俣蓮華岳へのトラバース道の分岐に出る。さらにひと登りで、中道との分岐に出る。山頂めざして、ガレ場の登りに向かった。急坂を終えると、台地の上にでる。天気が良いと、台地のかなたに槍ヶ岳の山頂が聳える印象的な風景が広がっているのだが、ガスに視界は閉ざされていた。台地を進むと、小高くなったピークが現れ、そこが双六岳の山頂であった。
 団体が休んでおり、騒々しさを我慢する必要があったが、ビール片手に休んでいるうちに、出発していき、静かになった。展望が望めないなら、せめてガスの流れる静かな山頂を味わいたい。
 ひと休みの後に、中道を通って戻ることにした。三俣蓮華岳方面に少し進んでから、折り返す方向にトラバース道が続く。夏の花は終わり気味であったが、咲き残りの花は、まだ多かった。
 小屋に戻って、カレーと生ビールを注文した。今回の山行では、この山小屋での食事というのも食料計画に入っている。カレーが出てくるまで時間がかかったため、それまでには生ビールも半分に減っていた。食事も終わってひと休みしていると、ヘリが着陸するため、小屋の中に入ってという声がかかった。中には、食べている途中のラーメンどんぶりを持って避難しているものもいた。到着時にもヘリが着陸していたので、二度目である。大学が引き受けている夏山診療所があるがためもあろうが、急病人がそれほど多いとは驚かされる。
 テントに戻って、缶ビールを飲み、iPODで音楽を聴いているうちに夜も更けて眠りについた。ふと気が付くと、遠くで雷鳴がして、雨もぱらついたが、じきに止んだ。
 翌朝は、天気が良いならば、樅沢岳にでも登って展望を楽しもうと思っていた。あいにくと、ガスがかかったままであった。ゆっくりと朝のコーヒーを飲んでから、出発の準備をした。こういったのんびりした時間の過ごし方も良いものである。
 後は、来た道を戻るだけ。花の写真を撮りながら来た道を戻った。最後の林道歩きは、足も疲れてきた。
 双六岳までで下山してしまうというのももったいない気もするが、週末の二日間をテント泊で過ごすには、良いコースである。また、時間があったなら、ここに定着テントを置いて、周囲の山に日帰りで足を伸ばすのも面白いであろう。

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