蒜場山

蒜場山


【日時】 2006年6月18日(日) 日帰り
【メンバー】 単独行
【天候】 曇り

【山域】 飯豊連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 蒜場山・ひるばやま・1363.0m・三等三角点・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 新潟/津川、大日岳/東赤谷、蒜場山
【コース】 加治川治水ダムより
【ガイド】 分県登山ガイド「新潟県の山」(山と渓谷社)、山と高原地図「飯豊」(昭文社)

【時間記録】 5:30 新潟発=(R.7、新発田、上赤谷、東赤谷 経由)=6:35 加治川治水ダム〜6:50 発―7:54 独標―8:27 岩岳〜8:35 発―9:19 烏帽子岩〜9:25 発―10:24 山伏峰―10:37 蒜場山〜11:32 発―11:50 山伏峰―12:46 烏帽子岩―13:24 岩岳―13:50 独標―14:36 加治川治水ダム=(東赤谷、上赤谷、五十公野、R.290、出湯、水原、R.49 経由)=16:30 新潟

 蒜場山は、飯豊連峰最高峰の大日岳より西に延びる長大な尾根の途中にある山である。ボリュームのあるその山容は、周辺からの展望で一際目立ち、登頂意欲をそそられずにはいられない。最近まで登山道は無く、残雪期に山中一泊で登頂がかなえられる秘峰であったが、新発田の下越山岳会の手によって登山道が切り開かれ、1997年10月に登山道開きが行われた。現在では、飯豊の展望の山として、人気の山になっている。

 土曜日は仕事があって山はお休み。日曜日に谷川連峰方面を考えていたが、関東方面の雨の影響が出て雨のようで、他の山を考えることになった。曇りの天気予報の出ている下越方面の山の中から、蒜場山を選んだ。
 蒜場山は、登山道が開設された年の1997年11月2日と1099年5月22日の二回登っているが、かなり時間が経っている。6月のこの時期ならば、飯豊に出かけることになるのだが、今年の大雪の影響で、奥胎内への道路の開通が6月20日に遅れている。
 蒜場山登山口の加治川治水ダムに到着すると、かなりの車が停められていた。蒜場山への登山者が大勢いるのかと思ったのだが、先行の登山者はいなかった。
ダムの堰堤を渡った先が蒜場山の登山口である。登山ポストがあり、記入した。一段上に、「米平新道」の石碑が置かれている。登山道の取り付きは急で、丸太の階段で整備されている。しばらくは、急な登りが続き、息が切れる。
 尾根の上に出ると、さびたレールやトロッコの車輪が登山道の脇に残骸をさらしている。山の斜面には、草を被ったコンクリート壁も見てとれる。はじめて俎倉山を訪れたのは、1992年5月5日であったが、下山後に、加治川治水ダムを訪れた時、ダムの堰堤下の山腹に、鉄筋の枠組みが赤さびを浮かべた姿を見せていたのを思い出す。日鉄鉱業所の跡であったようである。その後しばらくは、トロッコ電車が走っているのを見たが、いつの間にか廃止されて、軌道も撤去されてしまった。尾根歩きで注意してみると、西のスダチ沢に向かって、トロッコ軌道跡のような切り払い跡が、何本か通じているのが見てとれた。
 両脇が切り落ちた痩せ尾根に出て、展望が開ける。加治川治水ダムの湖面が眼下に広がり、赤津山が正面に大きな姿を見せている。飯豊の稜線も残雪模様に彩られた姿を見せていた。蒜場山の山頂も、高みに見えていた。
 今年一番の気温となり、大汗をかきながらの登りになった。急斜面の登りにひたすら耐える必要があった。ギンリョウソウが薄暗い中に白い姿を浮かべていた。岩壁をめぐらした俎倉山の姿が、木立の間からすぐ近くに見えていた。
 738mの独標が最初の目標地点になる。僅かな違いではあるが、山頂を越す道と、トラバースする道の二つが付けられていた。しばらくは、緩やかな道も、再び急な登りに変わる。ようやく岩岳に登り着くが、先はまだ長い。木立が切り払われており、烏帽子岩を経て山頂に至る尾根を一望できる。ここからの登りで、登頂意欲を掻き立てられるか、意気消沈するかで、この後の登りの辛さは変わってくる。天気は下り坂のようで、山頂部は雲に隠されていた。
 岩岳からは、一旦下りになる。標高差40m程なので、大した下りではないのだが、帰りの登り返しは辛い。鞍部付近は、美しいブナ林が広がっている。葉を打つ雨粒の音が聞こえてきた。幸い、雨はすぐに止んだものの、山頂からの展望は期待できそうにない。
 小ピークを越えると、再び急な登りが始まる。烏帽子岩が頭上に聳えている。ピークが迫った所で右にトラバースすると、岩尾根の末端に出る。鎖もかかっているが、手がかりもしっかりしている。烏帽子岩の山頂に到着してひと休みした。岩場の回りにはヒメサユリが咲いていた。
 烏帽子岩から先は、岩尾根となり、一ヶ所短いが垂直に近い岩場を鎖を頼りに登る。周囲に木立が広がるようになると、登山道の脇にはマイヅルソウがベルト状に咲くようになった。長い登りであったが、花の写真撮影を口実に足を止めることができた。
 稜線に登り詰めたところが山伏峰である。稜線はガスに包まれて、蒜場山の山頂も見えなかった。稜線上のヒメサユリは蕾であったが、シラネアオイの花は見ることができた。
 蒜場山の山頂は、途中で追い抜いていった単独行の二人が休んでいるだけであった。ガスが切れて飯豊の展望が開けるのを待ちながら、ビール片手に昼食にした。諦めて下山に移ろうとした時、ガスが切れ始めた。稜線部はガスに包まれたままであったが、大日岳へ至る尾根を眺めることができた。
 下りを開始すると、山伏峰近くで、10名程の団体とすれ違った。この時期としては、この日の登山者は少なかった。
 下りも、急斜面が続き、膝を痛めないように、足運びには注意が必要であった。蒜場山は、急斜面の登りが続く健脚向きの山であるが、それが魅了でもある。天気はぱっとしなかったが、花を楽しむことができたのでよしとしよう。

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