赤沢山、東谷山、日白山

赤沢山
東谷山、日白山


【日時】 2006年4月21日(土)〜22日(日) 各日帰り
【メンバー】 4名グループ
【天候】 21日:雪後晴 22日:曇り

【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 赤沢山・あかさわやま・1328.1m・三等三角点・群馬県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/越後湯沢、四万/茂倉岳、水上
【コース】 土合より
【ガイド】 私が登った群馬200山(上毛新聞社)
【温泉】 二居宿場の湯 600円


【山域】 谷川連峰
【山名・よみ・標高・三角点・県名】
 東谷山・ひがしやさん・1553.8m・三等三角点・新潟県
 日白山・にっぱくさん・1631m・なし・新潟県
【地形図 20万/5万/2.5万】 高田/越後湯沢/土樽
【コース】 二居スキー場跡より
【ガイド】 なし
【温泉】 街道の湯 500円

【時間記録】
4月20日(金) 21:00 新潟=(関越自動車道 経由)=23:30 谷川SA  (車中泊)
4月21日(土) 6:00 谷川SA=(水上IC、R.291 経由)=6:30 土合〜8:09 発―11:02 赤沢山〜12:12 発―14:22 土合=(R.291、水上、猿ヶ京、R.17 経由)=16:00 二居
4月22日(日) 6:57 二居スキー場―7:30 二居峠―7:58 鉄塔―9:38 東谷山―10:45 白日山〜11:20 発―11:42 沢―12:41 林道終点=(R.17、湯沢IC、関越自動車道 経由)=16:00 新潟

 赤沢山は、谷川岳の登山口である土合の背後の山である。白毛門から東黒沢を巻くように稜線が続いている。道の無い山であるので、登山の時期は積雪期に限られる。

 新潟県と群馬県の国境をなす谷川連峰の西端近くの平標山から、北に向かってメアテ尾根が延びている。この稜線は、魚沼川と清津川に挟まれて、日白山、タカマタギ、白板山を経て魚沼丘陵に長く続いている。多くの登山道が開かれている谷川連峰にあって、この稜線には登山道は無く、登山の時期は積雪期に限られている。日白山は、谷川連峰や巻機山、苗場山を始めとした360度の展望を楽しめる山であり、二居から東谷山経由では日帰りの山となるので、もっと人気が出ても不思議はない。

 赤沢山は、つきのない山である。昨年の2月27日に登ろうとしたが、当日の大雪のため、土合に集合しただけで諦めて、榛名山の掃部ヶ岳への転進となった。今年の4月9日に、白毛門から赤沢山へテント泊で周回する予定であったが、天気が崩れるとの天気予報のため、高檜山へと変更になった。今回、再びの挑戦になったが、またも、天気予報は、土曜日は晴のものの、日曜日には曇り後雨であった。二日目は早めに下山できるはずなので、予定通りに山へ出かけることにした。
 谷川岳SAで夜を過ごしたが、起きてみると、窓ガラスにうっすらと雪が積もって、みぞれが降っていた。半ば諦め状態で、土合に向かった。土合橋で待っていると、付近の木立が激しく揺れていた。悪天候の中、白毛門へ向かう登山者が、数組通過していった。ラジオで天気予報を聞くと、東京は青空が広がり、お出かけ日よりと話していた。国境付近では天気の回復が遅れていた。
 宇都宮からの一行が到着したところで、計画の再検討になった。この風では、尾根上では風が強くて行動困難であろう。白毛門直下の急登も、悪天候の中では危険。天気は回復するはずなので、先に赤沢山へ登ってから白毛門に向かうのは、白毛門の下りが怖い。結局、赤沢山の日帰りとなった。
 土合山の家の駐車場に移動して、ことわって車をおかせてもらった。テント泊の計画であったため、余計な荷物をザックから出したが、80Lザックは日帰り装備には大きすぎて、背負いにくかった。
 山の家の背後に、地図に載っていない林道が始まっている。雪の上に登って、林道を進んだ。南東に進んで、沢に突き当たったところの尾根を登る予定であった。尾根末端部の林道脇は削られて、コンクリートが張られていた。少し古い踏み跡が、コンクリート壁の手前の残雪斜面を登っていた。ここから取り付くことにした。かなりの急斜面であり、雪も薄くなって滑り落ちそうなため、ひと登りした後、右手の藪尾根に逃げた。トラバースは、落ち葉で滑りやすく、しばらくは木の枝を捕まりながら、緊張の登りが続いた。尾根上に出ると、藪は薄く、少し登ると残雪で覆われるようになった。右手の沢には、堰堤が幾つかかかっていた。
 やがて、左手にはブナ林の斜面が広がるようになった。1100m標高で傾斜も緩くなり、その後は、緩やかな尾根が続くようになる。北の斜面の縁に出ると、白毛門の眺めが広がっていた。山頂部の急斜面部は、雪庇が張り出し、しかも割れているようで、通過が難しそうであった。この眺めを見て、無理をしなくて良かったと納得がいった。
 尾根には、アスナロが生えていたが、木の下に穴が開いており、落とし穴状態で歩くのに苦労した。雪庇が割れており、木の間を抜けるようなところもでてきた。登りの途中振り返ると、天神平のゲレンデや谷川岳の岩壁の眺めが広がっていた。天気は急速に回復していた。
 登り着いた赤沢山の山頂は、雪の小山状態で、一段下がった木に、山頂標識が取り付けれれていた。東方面は、遮るもののない眺めが広がっていた。上州武尊山が正面に大きな裾野を広げ、北東部には至仏山があまり見慣れない背後からの姿を見せていた。朝の天気からは想像の付かない、青空が広がっていた。北に向かって白毛門へと続く尾根上の雪はクラックが入っており、時間があったら少し先まで歩いてみようかとも話していたのだが、ここまでで打ち切りとした。
 一段下がったブナ林に腰を下ろして昼食とした。冷たい風が残っていたものの、日差しは暖かく、やはり春山であった。
 下山は、足任せに下ったが、1050m標高で、西に向かう尾根へと進んでしまい、登り返しになった。その直前でGPSを見て、左に曲がらなければと思っていたが、藪の通過に気を取られて、ついうっかりしてしまった。その下部のブナ林の下りは、気持ちが良かった。
 最後は、尾根の末端部まで下り、林道終点の沢との角に、安全のためにロープをたらした。途中までは、岩をステップにできたが、最後の2m程が崖状で、ロープに頼って下った。
 今回は、林道の取り付き部の雪が薄くなって苦労したが、雪が豊富ならば、林道の切り通しのない山の家付近から登って、尾根に上がって尾根を目指した方が良いかもしれない。
 山頂での大休止の時に、翌日はどうしようかという相談になった。谷川連峰の群馬県側は、小出俣岳や阿能川岳を始め、ほとんど登ったことになるが、私以外の皆は、新潟県側のタカマタギや日白山は登っていない。日白山ならば、今晩登山口に泊まれば、日帰りも手頃である。
 今回は、予定変更は考えておらず、コンピューターは持ってきていなかった。登山口での地図の印刷はできないが、幸い、日白山ならば、2月25日に登ったばかりなので、記憶も新しい。GPSには、一応は地図も入っており、軌跡も記録されるので、現在位置は確認できる。地図が無くてもなんとかなるはずであった。
 猿ヶ京に出て、三国峠越えをして、登山口の二居に入った。地王堂川沿いの林道に進み、除雪終点部にテントを張った。周囲の小屋は無人で、他に登山者もおらず、静かに夜を過ごすことができた。
 二居スキー場から日白山に登った後、地王堂川に下山できるかは判らなかった。一応私の車を置いて、スキー場に向かった。スキー場中段の駐車場に、他の車はなかった。
 ゲレンデを横切って、送電線下の刈り払い道を登った。杉林に囲まれた日影のためか、雪は柔らかかったが、わかんを付けるほどではなかった。斜面が急になったところで、右手の杉林に逃げると、その先で旧街道の遊歩道に出る。その後は、この遊歩道を辿るのだが、雪のために判りにくくなっていた。先回の時は、スキーのトレースが残されていたのだが、今回は自分でルートを探る必要があり、難しかった。尾根を右手に巻くと、谷間沿いの登りとなり、その先で二居峠に到着する。峠の東屋の回りは雪が融けていた。
 尾根に取り付くと、雪堤の歩きになった。雪も締まっており、歩きやすかった。鉄塔が近づいてくると、その手前で、左手から巡視路が合わさる。雪も消えており、装備された巡視路を落ち葉を踏みながら登ることができた。
 送電線付近は、幅広尾根で、ひと休みするのに丁度良い。鉄塔から先で、尾根が鶏冠のように突出している難所が現れる。雪も柔らかく、慎重なキックステップで通過した。尾根が広がると、ブナ林の登りになる。木の間隔も開いており、このコースの見所の一つである。天気は、回復してきており、展望が広がっていたが、風は冷たかった。
 ブナ林を過ぎると、幅広尾根となり、少し先で東谷山の山頂に到着する。日白山の山頂は目の前に迫っており、平標山や背後の苗場山の眺めも広がっている。素晴らしい眺めであるが、目標の日白山へと、心は急かされる。
 東谷山からの下り口は、先が見えず、先回よりも怖く感じた。実際に足を踏み出すと、それほど難しくはなかった。その先は、日白山の山頂を見ながらの気持ちの良い雪稜歩きになった。歩きはまだ続くといっても、この歩き自体が楽しみといってよい。
 雪の上に、クルミ大の毛の塊があった。近づいてみると、急に大きくなって、動き出した。見ると、はつかネズミよりも小さなネズミであった。ヤマネズミのようであった。足元を走り回って、揃えた登山靴の足元を、物陰の安全地帯かと思ってか、うずくなった。写真を撮っていると、ここも危険と感づいたのか、ちょこまかと走って、雪庇の向こうに消えていった。足は速く回転していたが、足が短いためスピードは出ていなかった。鳥にでも見つかったら、逃れることはできそうになく、隠れるところにない雪の上でなにをしていたのやら。その先では、クマの足跡にも出くわした。
 雪庇の張り出した小ピークに登った先が、日白山の山頂になる。台地状の山頂が広がっており、360度の展望が広がっている。平標山から仙ノ倉山、万太郎山、谷川岳といった谷川連峰を一望でき、朝日岳から巻機山、八海山や中ノ岳。振り返れば、苗場山や佐武流山の展望も広がっていた。青空も所々で広がっており、まずまずの天候になっていた。白一色の前回と比べると、山の黒さが目立ってきていた。覆った雪も消えて、木立も表に出てきたようである。
 予想していた以上の展望を目の前にして、ゆったりとした気分で昼食を楽しんだ。
 下山は、スキーのトレースもあったことから沢コースで下山した。日白山から下って傾斜の緩んだ尾根から右手の谷間へ進んだ。ブナ林の広がる幅広の斜面が広がっている。傾斜は急であるが、雪の柔らかく、滑落の心配はない。一気の尻滑りの室井さんを追いかけての下りになった。
 沢に下り立ったところで、沢沿いに行くか、左手の段丘に上がるか判断を迫られた。雪崩の跡があったが、見上げると、雪はほとんど落ちていた。急ぎ足で、一気に通過した。その先は、沢を泥や雪のブロックが埋め尽くしており、通過に手間取った。傾斜も少しゆるい尾根が土砂崩れを起こしていた。この泥流は、少し先の砂防ダムの二つ目まで続いていた。この沢沿いのコースは、雨の後は、雪崩や土石流れで極めて危険なことを思い知らされた。左手の段丘上を通るコースを考えるべきのようである。
 砂防ダムから杉の植林地の中に続く林道に上がると、後は気楽なコースである。林道の除雪終点に出て、山歩きは終わった。
 それ程期間も開いていない登山になったが、今回も楽しめる山行になった。これからも定番の山になりそうである。

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